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【レポート】東海大薄氷の勝利、オーダーずばりの筑波大は圧勝で決勝進出決める/全日本学生柔道優勝大会男子マッチレポート②準決勝

(2021年12月2日)

※ eJudoメルマガ版12月2日掲載記事より転載・編集しています。
【レポート】東海大薄氷の勝利、オーダーずばりの筑波大は圧勝で決勝進出決める
2021年度全日本学生柔道優勝大会(男子70回)マッチレポート②準決勝
日時;2021(令和3)年11月13日~14日
会場:千葉ポートアリーナ(千葉市)
取材・文:古田英毅/eJudo編集部

■ 準決勝
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準決勝開始がアナウンスされる

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東海大は先鋒を笹谷健に入れ替え、次鋒石川智啓と併せた同学年の東海大相模コンビで前衛ブロックを形成。

【第1試合】
東海大 ― 日本体育大
(先)笹谷健 ― 菅原幸大
(次)石川智啓 ― 平山才稀
(五)中村雄太 ― 石原樹
(中)松村颯佑 ― 小嶋洸成
(三)鈴木直登 ― グリーンカラニ海斗
(副)村尾三四郎 ― 海堀陽弥
(大)中島大貴 ― 八木郁実

東海大は前戦で圧勝の流れを作った殊勲者・安部光太に替えて、同じポジションに笹谷健を起用。次鋒の石川智啓と併せた4年生の東海大相模コンビに前衛ブロックを託した。ここからは新エース候補の1年生中村雄太と主将松村颯佑、そして副将村尾三四郎と大将中島大貴の安定した2つのブロックで鈴木直登を挟んで布陣。まず、盤面を見る限りこの「五将以降」での東海大のマイナス収支は考えにくい。細かいことを言えば、大型ながらまだ1年生で柔道もオーソドックスな中村にゲリラ戦タイプのファイター石原樹、もともと「抱き勝負」属性の鈴木にこのフィールドでは格上のグリーンカラニ海斗が当たるという相性的な不安要素はあるが、順当に考えればここでのマイナスは後者の「1」まで。無理をする状況でなければこれを「0」にすることも十分可能だ。そして普通に考えれば松村・村尾・中島の勝利は揺るぎなく、この確実な持ち点「3」を超えられることなきようチーム全体が振る舞えばそれでよしという試合ということになる。考え得る悪い流れは前2枚が得点できず、気負った中村が引っ掻き回されてポイントを失い、以降を追いかける展開で戦わねばならなくなることくらい。こうなってしまうと、「安定した2ブロックで鈴木を挟む」という構造のそもそもの起点がずれ、松村・鈴木・村尾と、失点の可能性がある鈴木を挟んで得点役が「まだら」に登場して点をまとめられないという弱さが出てしまう。前でビハインドを作らず、出来れば1点取って相手が出て来る状況で中村に戦わせて戦果を拡大、リードのまま後衛に繋いでさらに差を広げたいところ。正シナリオであれば大勝すらあり得る布陣である。

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日本体育大は前3枚にジョーカーを並べる策に出た。

一方の日本体育大。マッチアップを見る限り、五将以降で得点が可能なのは三将戦のグリーンー鈴木戦のみ。それも、鈴木が攻め合いに応じてくれる状況であることが大前提だ。試合の流れがフラットであれば東海大を凌ぐことは難しく、よほどの乱戦舞台でない限り、松村・村尾・中島を止めることも現実的ではない。前衛でリードして焦りが焦りを呼ぶスパイラルを作り出し、東海大側の精神的なパニックを引き出すしかない。前で一撃食らわせるしか勝利の道が見いだせないこの戦力差を良く知ってか、日本体育大は前衛にジョーカーを並べる策に出た。入学以降一発勝負属性を高めて怖さが一段増した菅原幸大、乗るか反るかの「抱き勝負」フィールドでは他に譲らぬ長身選手平山才稀に、意気に感じて仕事をするタイプで高校時代も73kg級ながら団体戦で印象的な活躍を見せた石原と、いずれも尖りのある選手。「何か」を起こせる面子を3枚まとめて、乱戦創出の僅かな可能性に賭けた。そこそこのスコアで試合をまとめるのではなく、試合自体が壊れるリスクを呑み込んで賭けに出た、勝負オーダーだ。

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というわけで重要なのは前3戦。特に前2戦が大事。試合が揺れる実質最後のチャンスである五将の中村―石原戦をどんなバックグランドで迎えるかどうかの、分岐点の取り合いだ。フラットであれば中村はミスを犯す可能性が極めて少なく、ここで実は試合は終わる。後に行けば行くほど勝敗読みやすいカードが続く盤面。「入り方」命の試合である。

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菅原幸大は「指導2」まで奪うも、この試合は引き分け。

(先)笹谷健 ― 菅原幸大
笹谷左、菅原右組みのケンカ四つ。互いに釣り手を抑え合って両袖となるが、菅原はいったん離すと釣り手でそのまま腋裏を掴み、振り回すような右内股で先制攻撃。笹谷は脚を揚げてディフェンス。菅原は続くターンも右内股で場外に送り出し、攻勢。一方の笹谷はあくまで冷静、崩し技を入れながら丁寧な組み手で陣地を取り返しに掛かるが、菅原は引き手争いを縫っての右内股の放列を止めず。笹谷が引き手を切ってこの技を防いだ1分16秒、「取り組まない」咎による「指導」。笹谷しっかり組めば大丈夫とばかりに以後も敢えて展開のスピードを上げずしっかり組み止めに掛かるが、菅原は良い意味で落ち着かず、右内股に小外刈と不十分な組み手からも技を打ち続ける。笹谷時折左内股に左体落と力強い技を打ち込んで一定の効は得るが、技をまとめる時間が短く展開を取り返すところまでは至らない。3分24秒には笹谷に再び片手の咎で「指導」。最終盤、笹谷膝を振り上げての牽制から左大内刈も、釣り手が作れておらず間合いが遠い。崩し切れぬまま技は終わり、このままタイムアップ。緒戦は引き分けに終わった。

笹谷は「指導2」ビハインドも無理押しをすることなく、引き分けで良しという姿勢の試合。獲りに行った菅原がこれを崩せず、こちらは「指導2」まで得るも無茶攻めまではせずにひとまずまとめた体の一番であった。先鋒笹谷が送ったメッセージは「前衛を鎮めて、中盤以降にじわじわ差を付ける」である。

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石川智啓は「抱き勝負」からの大技を連発。この技は平山才稀が空いた右手を着き、落ち際に離れてノーポイント。

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平山も譲らず「抱き勝負」からの小外掛で取りに掛かる。

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残り時間僅か、石川が左小外掛で突進。

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しかし平山時計回りに捩じり返して己の投げに変換。浮落「技有」を得る。

(次)石川智啓 ― 平山才稀
ともに左組みの相四つ。身長179センチ、体重120キロの石川は体幹の太いガッチリ型、一方183センチ、100キロの平山は長身痩躯。平山の好む密着戦には相性の悪い組み合わせに見受けられたが、平山ここで退いては意味なしとばかりに釣り手を石川の太い首の裏に回し、ガップリの組み合いを挑む。当然ながら石川応じ、斜めへの左大外刈一撃。しかし投げ切れぬまま崩れてともに膝を着き、40秒「待て」。続く展開も平山まったく怖じず、思い切って上から深く背中を叩く。石川横抱きで応じ、「やぐら投げ」の形で持ち上げると、小外掛の形で右脚を膕に引っ掛けて反時計回りに投げ落そうとする。しかし上体の拘束が甘く己が先んじて畳に落下。空中でバランスをとった平山が体を跨いで馬乗りに押し込み、あわやポイントという形になる。平山縦四方固で抑え掛かるが体格の不利を感じたか自ら矛を収め、離れて「待て」。

続く展開も石川が引き手で胴を抱いて持ち上げ、左の小外掛で突進もまたも詰めが甘いまま投げ切れず「待て」。直後の1分10秒平山に消極的試合姿勢の咎で「指導」。以後も様相は変わらず、平山が大胆な組み手で接近勝負を挑み、石川が大技で応じるも技が粗く投げ切れないという攻防の連続。平山は背中を抱いての左小外掛、左大外刈に左大外巻込と良い技を連発、大いに会場を沸かせて中盤以降は試合の流れを掴む。一方体格に勝るぶんこの戦型であれば圧倒的に有利のはずの石川は徐々に陣地を下げ、2分半過ぎには斜めから大外刈、ここから真裏に刈り込むかと思われたが自ら左前隅への巻き込みに逃げ、危うく隅落で捲り掛かられる。一発の怖さというアドバンテージを自ら捨てた格好。悪い流れは否めず。

平山は奥襟を叩き、石川はまたも正対から膕を狙った左小外掛を放つが腰が浮いたまま技を効かせられず、自ら立ち戻る。残り1分になると互いにやや慎重、平山は片襟を交えて様子を窺い、石川の側も「小内払い」による蹴り崩しで膝を着かせて間を取り、双方クロージングに合意しつつある印象。しかし残り18秒から始まったシークエンス、平山が釣り手で上から思い切って背中を叩くと、石川は叩き返し、引き手で胴を抱えて「抱き勝負」に応じる。そのまままたもや膕狙いの左小外掛で特攻。しかし平山下がりながらも背中を抱えていた引き手を離し、横腹を突いて空間を確保。石川が投げ切らんと体を浴びせると、その空間を利して時計回りにクルリと反転して己の投げに変換する。最後はこの引き手で袖を掴んでフォロー、体の伸びた石川巻き込まれる形で横転「技有」。

「待て」が掛かった時点で残り時間は2秒。このまま試合が終わって平山の「技有」優勢による勝利が確定。日本体育大が1点を先制することとなった。

決めるべきときに決め切らず相手を慣れさせ、抑えるべき時間で中途半端に相手の誘いに乗って失点。状況判断を誤って度々チームを危機に陥れた高校時代を彷彿とさせる石川の悪い癖が出た試合。一方の平山は会心の勝利。大胆な組み手とボディバランスの良さ、懐の深さという己の長所を十分発揮、奮った勇気にふさわしい戦果を挙げた一番だった。

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中村雄太が迫り、石原樹は巧みにいなしながらチャンスを窺う。

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中村の出鼻に石原が「韓国背負い」。見事「技有」を得てスコアは2-0で日本体育大のリードとなる。

(五)中村雄太 ― 石原樹
身長184センチ体重123キロの中村が右、同173センチ73キロの石原が左組みのケンカ四つ。体格に劣る石原釣り手を敢えて低く持ち、左小外掛で先制攻撃。石原が組み際に再び左小外掛を見せ、以降は組み手争いが続く。互いに引き手を持てぬ中、嫌ったとみなされた石原に1分5秒「指導」。中村両襟で組もうとするが石原巧みに外し、持たれると先んじて左背負投でいったん展開を切る。中村肘を落として圧を掛けると、石原いなして「韓国背負い」。中村は柔らかく両膝を曲げ、腰を落としてこれを止めて「待て」。この時点で試合時間は2分、いまだ展開大きく動かず。中村組み際に右小外刈でたたらを踏ませ、続いて両襟で圧を掛けながら前に出、さらに右大内刈で場外に出してと石原に散らされた展開をまとめようとするが、石原常に体を揺すって動きながら足技を放ち、マトも展開も散らし続ける。手先を絡まれ、引き手が持てない中村はひとまず展開を動かそうと片手のまま前へ。釣り手一本で股中の体落、次いで片手の右大内刈と崩し技を2つ積む。小型選手にとってはイヤな攻めのはずだが、石原乱戦はむしろありがたしとばかりに、追いかけた中村がさらに継ぎ足で寄せてきたところに「韓国背負い」一発。片手のまま前掛かりというこの技にもっとも入りやすい形で受けてしまった中村一瞬で崩れ、上体が石原の背中に乗ってしまう。石原綺麗に抜け落し、体軸回転で巻き込んで背中を着かせ「技有」。

残り時間は43秒、まさかの失点を喫した中村激しく前に出るが石原は取り合わず。中村右内股を放つも距離が遠く効なし。「待て」から試合が再開されると中村右大内刈に左出足払とアプローチの角度を変えて接近を図るが、石原今度は敢えて引き手から袖を掴み、釣り手も浅く持って中村を遠間に置いたまま決して寄せない。中村がなんとか両襟を持ち、左小外刈を見せたところで試合時間終了。石原値千金の勝利、日体大のリードは「2」に伸びる。

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松村颯佑が小嶋洸成を追い詰め、内股透でまず「技有」

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松村は誘いに乗った小嶋を逃さず、再びの内股透「技有」で勝負を決める。

(中)松村颯佑 ― 小嶋洸成
スクランブル状態の東海大はここで主将の松村が登場。この試合は松村が右、小嶋が左組みのケンカ四つ。松村二本を得て両足で地を擦るように前進、コーナーに詰まった小嶋が片手の左内股で場外に掛け潰れて「待て」。続く展開もまったく同じ形で小嶋が掛け潰れて「待て」。3ターン目、小嶋は釣り手で袖を絞り落として展開を変えようとするが松村構わず両袖を落としたまま前進。小嶋がコーナーに詰まると釣り手を襟に変える。小嶋場外に出ながら袖釣込腰に座り込み、次いで立ち上がるがもう場内に入れて貰えない。50秒小嶋に偽装攻撃の「指導」。松村続く展開も前に出、体を預けるように体側を付けて圧力。いったん押しとどめた小嶋ツイと離れて左内股。松村が股中で透かそうとしたことで体が持ち上がるが、両者そのまま潰れて「待て」。続くターンもまったく同じ展開、松村が前に出て小嶋はあっという間にコーナーに詰まる。小嶋これも同じく左内股に打って出るが、待ち構えた松村足を上げて透かす。小嶋体側から落ち、松村は押し込んで成果を拡大1分34秒「技有」。リードを得た松村いったんペースを落とすが、結局はコーナーに小嶋が詰まる形が出来上がり、そのまま場外に出た小嶋に2分2秒「指導2」。小嶋がまたも場外に出されるターン1つを挟んで、残り1分となるところで松村が釣り手で横襟を握ってガッチリ圧力。これを受けた小嶋いったん相手から離れて場外に出ると、立ち戻りながら思い切って左内股。一瞬作用足が掛かって手ごたえを得たかそのまま決めんとするが、松村タイミングを敢えて遅らせて高空でこの足を外し、捩じりを呉れる。小嶋旋回しながら背中から接地、内股透「技有」。3分1秒合技「一本」で東海大が1点を返し、スコアはこの時点で2-1となった。

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グリーンカラニ海斗が鈴木直登から内股「一本」。日本体育大の得点は「3」に伸びる。

(三)鈴木直登 ― グリーンカラニ海斗
鈴木が右、グリーン左組みのケンカ四つ。鈴木勢いよく組みに行くがグリーン落ち着いて1回外し、様相はグリーンが上から、鈴木が下から釣り手を持っての引き手争いとなる。グリーン両襟から左出足払、次いで引き手を持つと鈴木が嫌い、打開を期して引き手で胴を抱きながらの右大内刈に打って出る。これは深く入るかに思われたがグリーン立ったまま潰して「待て」。続く展開、グリーン思い切って上から背中を叩くと鈴木が抱き返して応じ、「相撲」状態のガップリ四つが出来上がる。これはグリーンが支釣込足で崩して収束、どうやら地力はグリーンが上の印象。グリーン両襟を持つと左払腰、鈴木が背中を抱いてインパクトを殺すといったん離れてすばやく間合いを整え、再度強烈な左内股一撃。吹っ飛んだ鈴木しかしギリギリで反転、膝から落ちてノーポイント。グリーン、明らかに優勢。

不利をかこつ鈴木それでも粘り強く組み手を進め、「抱き勝負」にも怖じずに付き合うが、鈴木がこの形に応じると見たグリーン釣り手を背中から後帯に持ち替えて一段拘束を強め、釣り手側に呼び込みながら左内股一撃。これまでインパクトをずらすことで技をいなしていた鈴木だがさすがにこの深さでは受け切れず、大きく崩れる。グリーン自ら縦に飛び込んでもろとも回し切り、2分6秒「技有」。しかし副審2人が片手を大きく上げており、これを見て取った主審すぐさま技の効果を「一本」に訂正。スコアは3-1、日体大再び突き離し、リードは「2」に戻る。残るは僅か2試合、東海大は絶体絶命。

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村尾三四郎が海堀陽弥から大外刈「一本」

(副)村尾三四郎 ― 海堀陽弥
ともに左組みの相四つ。海堀接近と離脱を繰り返し絡みつくように持ちどころを探るが、村尾ほとんど持たせず、しかし自分もなかなか持てず。村尾切り合いは相手を利すると見たか、40秒過ぎに海堀が引き手で袖を得ると嫌い過ぎず、敢えて持たせたまま進退。まず自らが引き手で袖をがっちり絞ってから持たせていた釣り手を切り離し、次いでこれを奥襟に入れて完璧な組み手を完成。海堀が切り離そうとすると頭の上に手首を移して「首抜き」リスクを晒しつつあくまで掴み続け、腰を切る牽制を入れて一発のチャンスを狙う。この形のまま時間が過ぎ、1分2秒海堀に防御姿勢の「指導」。これを受けた海堀組み際に奇襲の右背負投、そのまま立ち戻るが村尾はこの攻防の中で得た引き手の袖をあくまで離さず、以後は海堀にとっては厳しい時間帯。我慢できなくなった海堀が右一本背負投に掛け潰れてここは「待て」。海堀またもや先んじて引き手で袖を絞るが、村尾やはり嫌い過ぎず持たせたまま自らが引き手を絞り返して上腕を確保、これを決して離さぬまま釣り手の持ち替えを図る。まず左大外刈、これで釣り手を切ると次は奥襟を得て左大内刈、海堀が耐えるとケンケンで押し込んで釣り手首裏、と技を掛けるたびに組み手のレベルを上げていく。この技が止まったときには防御を強いられた海堀の引き手は背中、釣り手はもちどころなく奥襟を探る中途半端な状態。ベンチから「妥協するな、切れ!」との声が飛ぶが時すでに遅く、村尾盤石の構えから左大外刈一閃。退路を断たれた海堀あえなく吹っ飛び2分19秒「一本」。

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中島大貴は圧を途切れさせず、八木郁実に迫る。

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中島値千金の体落「技有」。ここでついに東海大が勝ち越し。

(大)中島大貴 ― 八木郁実
スコア2-3、リードする日体大は「技有」2つに「一本」が1つ、追いかける東海大は「一本」が2つ。つまり代表戦がありえない状態で迎える大一番は、177センチ120キロの巨漢中島が左、180センチ100キロの八木が右組みのケンカ四つ。中島は勝利必須、八木にとっては引き分ければ母校の勝利が決まる大一番である。

中島前に出て釣り手の肘をたたんで上から打ち込み、引き手は袖深くを持って折り込むほぼ一方的な形を作り出す。危機の八木は数合のやりとりを経てなんとか引き手を切り離すが、中嶋は体格と釣り手の状況の良さをテコに徹底前進、引き手争いを優位に運ぶ。八木が釣り手の不利を受け入れたまま引き手争いに応じると見るや、八木に手を伸ばさせると静かにこの袖を掴み返し、掴むなり左体落一閃。駆け引きの妙か、なぜか一瞬対応が遅れた八木剛体でこれを受けてしまいドンと膝から落下、中嶋が捩じりを呉れるとバウンドした体がそのまま転がり53秒「技有」。続いてそのまま縦四方固、横四方固と形を変えて制した中島の「抑え込み」が宣告されるが、八木なんとか8秒で逃れ「解けた」。

中島は以後も釣り手で状況を作り、片手のまま両足を擦るようにして前へ。嫌った八木思わずこの釣り手を叩き切ってしまい、2分0秒「指導」。中島ここで手だてを変えてがっちり両襟、得意の担ぎ技が封じられた八木は内股でいったん外し、片襟の右背負投を放つが中島は崩れず。中島以後も釣り手の強さを防波堤に展開を塩漬け、2分56秒には八木に場外の「指導2」が宣されてもはや展開は一方的。中島またも手を変えて近い距離で組みつき、八木に左組みを強いて時間を消費。八木いったん外して「抱き勝負」を挑み、嫌った中島が敢えて潰れ、這って逃れて「指導」。しかし八木にとってはこの場面が最大の見せ場。中島は八木の片手内股を潰すと寝技で時間を使い、再開されると釣り手を閂(かんぬき)に固めたまま振り回し、内股の形で展開を切る。残り10秒、八木再び釣り手で後帯を掴んで「抱き勝負」を挑むが、背筋を伸ばしたまま姿勢を崩さない中島の前にその選択は捨身技による掛け潰れに留まる。ここでブザーが鳴って試合終了。大将戦は中島の「技有」優勢による勝利となり、ここで東海大がついに逆転。スコア3-3、内容差で決勝進出を決めることとなった。

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大熱戦は東海大の逆転勝ちで終わった。

東海大 ③-3 日本体育大
(先)笹谷健×引分×菅原幸大
(次)石川智啓△優勢[技有・浮落]○平山才稀
(五)中村雄太△優勢[技有・背負投]○石原樹
(中)松村颯佑○合技[内股透・内股透](3:01)△小嶋洸成
(三)鈴木直登△内股(2:06)○グリーンカラニ海斗
(副)村尾三四郎○大外刈(2:19)△海堀陽弥
(大)中島大貴○優勢[技有・体落]△八木郁実

日本体育大は大健闘。東海大・上水研一朗監督をして「半分死んだと思った」とまで語らしめた熱戦だったが、最後は東海大の戦力の厚さと準備力の高さが勝った。これは大将戦の両選手の振る舞いに端的。選手の属性とこの配置から読み解ける潜在的使命は、中島が「アクシデントがあってもここで確実に1点取り返すこと」、八木は「クロージング」。つまり両者ともに期待された役割を演じるべき状況で試合が回って来たのだが、ここでしっかり仕事をしたのは中島の方だった。戦後「こういう状況もある、と何度もシミュレーションを繰り返してきた」と上水監督が語った通り、中島は戦い方が整理されていた。展開に応じて幾度かアプローチの方法を変えているのだが、いずれも「圧を掛け続けて最終的には獲る」「チャンスを与えずにリードを守る」と明確なポリシーが一本通っており、しかも的確なタイミングで形を変えることで相手に的を絞らせなかった。この状況に陥ったときの戦術、技術と具体的な引き出しがしっかり整えられていた。もともとの体格差、力の差はあるが、この点、大本命東海大に1点リードし、しかもエース級の中島を相手にするという状況自体でどこか腰が浮いてしまった八木と比べるに、チームとしての「準備」の力の差を感じざるを得ない。単に戦力の厚さでは括り切れない常勝・東海大の強さの所以、「勝つこと」を考え抜いた論理レベルの高さが匂い立つ一番であった。

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筑波大は1年生2人に前衛を任せる大胆なオーダー。

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国士舘大は後ろ重心。先鋒から90kg級の枇杷木勇樹、81kg級の竹市大祐と田中優大で前衛を組んだ。

【第2試合】

筑波大 ― 国士舘大
(先)田中航太 ― 枇杷木勇樹
(次)戸高淳之介 ― 竹市大祐
(五)千野根有我 ― 田中優大
(中)長谷川功斉 ― 清水雅義
(三)阿部拓馬 ― 髙橋翼
(副)日野山剛 ― 金澤聡瑠
(大)関根聖隆 ― 中西一生

筑波大は前衛2枚を1年生に任せるという大胆なオーダー。伝統的にオーダー配置が上手い筑波大が、いよいよ大勝負に出たという印象。受けに脆さがあって持ち技の質的に重量選手からの得点が難しい千野根を前衛に、そしてこの日調子が上がらず得点は期待できないが地力は死んでいない関根を大将にという配置は予想通りだが、他は読み解きが難しい。敢えて粗く解釈すると、1年生の攻撃型2枚を前に置くこととまとめ役の関根を最後衛に置くことで、攻撃あるのみの「特攻」姿勢を骨身に染みさせ、名のある選手が揃う国士舘の堅陣を突破しようという強気のオーダーということになる。あるべき細い道筋が「並び」から選手に伝わる、攻撃あるのみのオーダー順だ。

一方の国士舘の布陣は賛否分かれるであろう、少々意外な並び。大雑把にいって「小さいが柔道が上手い」筑波大に対してサイズ押しをせず、前衛にはまさに「サイズはないが柔道が上手い選手」を並べた。もっとも取り味のある中西一生が大将、三将に重量級の高橋翼、副将に同じく重さと厚みがアイデンティティの金澤聡瑠という後ろ重心の布陣を見れば「後半で捲る」作戦とも解釈できるが、髙橋と金澤は追いかける展開で取れる型ではなく、陣容の厚さに比してこの後衛ブロックが機能するシナリオは実は少ない。前で勝ってくるほかには良さが出しにくい、実は展開の自由度が高くない布陣である。前衛ブロックの3枚はいずれも攻撃型だが、先鋒には特攻気運を作り出せる竹市ではなく、上手さや伸びやかさで立つ枇杷木を前出し。後衛ブロックから導き出される「リード必須」という本来あるべきシナリオよりは、総合戦力で勝る試合を個々がしっかり繋いでいくという順行運転メッセージの方が立ってしまう印象のオーダーだ。前衛と後衛を繋ぐ継ぎ目の中堅には、前戦で決勝点を挙げた功を買って清水雅義を抜擢。良い時に加速し悪い時に立て直す、後衛ブロック到達前のバランサーの仕事をしっかり出来るか、このあたりがカギになりそうというのが盤面をひとにらみした上での感想。

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田中航太が枇杷木勇樹の小外掛を切り返し、隅落で2つ目の「技有」

(先)田中航太 ― 枇杷木勇樹
田中が左、枇杷木が右組みのケンカ四つ。枇杷木がリーチを生かして上から抱き込み、田中が左内股で剥がす形で試合が進む。序盤は枇杷木が上から圧を掛けて優勢。しかし1分53秒、田中が組み際にこの試合初めて抱きつきの左小外掛を仕掛けると、枇杷木は引き手争いからの急加速に付いていけずに密着を許し、体側から畳に落ちて「技有」となる。これで試合の様相は一変。リードを奪われた枇杷木は取り返さんと一段ギアを上げて攻勢に出るが、2分48秒、強引な右小外掛で体を捨てたところを透かされ、隅落で浴びせられ2つ目の「技有」。2分48秒合技「一本」となる。1年生の田中、母校に貴重な先制点をもたらす。この後の盤面に効くこと必至、強烈な内容の一番だった。

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戸高淳之介は竹市大祐の巧い組み手に付き合い過ぎず、腕を抱えて払巻込「技有」

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戸髙は外巻込で2つ目の「技有」獲得。筑波大は2戦で2-0という最高の滑り出し。

(次)戸高淳之介 ― 竹市大祐
もと全日本カデ90kg級王者で1年生世代の牽引車戸高、高校時代にジュニア以下のタイトルを総なめにした81kg級のスター候補竹市、ともに左組みの相四つ。組み手の巧者でもある両者は、当然のように激しく組み手を争う。竹市は先に引き手の袖を得ると、25秒、得意の右袖釣込腰を晒しながら足元を蹴り崩し、戸髙を畳に這わせる。生命線の組み手ではどうやら竹市に分がある様子。しかし戸高は頭脳派、すぐにこのフィールドでの戦いを止め、続く展開では己が優位な体格勝負に舵を切る。組み際に引き手を得るなり強引に相手の腕を抱き、左払巻込を一撃。予想外の技に竹市飛んでしまいこれは「技有」となる。リードを奪われた竹市はここから引き込んでの「カントチョーク」に右袖釣込腰と次々得意技を出して追い上げを図るが、戸高はいずれも凌ぎきり、2分49秒、相手の左大内刈の仕掛け終わりに豪快な左外巻込一撃。相手の上体を伸ばすようにして投げ切って見事2つ目の「技有」獲得、合技「一本」で勝利を決めた。戸髙がスケール感の高さを見せた一番だった。

筑波大は最高の滑り出し。2試合で4度投げを決め、スコア2-0というロケットスタートである。国士舘大は得点を期待していたカードで点を失い、この次鋒戦は潜在的な1点を加味して実質2点のマイナス。スコアはこの時点で実質「3-0」と言っていい。形勢さらに大きく、筑波大の側に傾く。

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千野根有我は丁寧な戦い、田中優大を組み手争いに持ち込んで引き分ける。

(五)千野根有我 ― 田中優大
身長186センチ体重130キロの千野根、173センチ81キロの田中ともに右組みの相四つ。体格に劣る田中は千野根の釣り手を徹底封殺、横にずれて噛み殺しながら右の担ぎ技を軸に攻める。しかし、チームのリードを受けた千野根は落ち着いており、己の技こそ出ないものの、体格差を生かして田中の攻めをしっかり受け止め続ける。ともにこれぞという技はなく、2分17秒には双方に消極的姿勢の「指導」。激しい組み手争いを経た3分6秒には両者に取り組まない咎による「指導2」が追加される。田中としては手数攻勢でここから「指導3」まで奪いたいところだったが、千野根のサイズと丁寧な組み手の前に果たせず、組み手争いから抜け出せないままタイムアップ。

千野根としては担ぎ技が得意で連続攻撃も効く田中は嫌な相手のはずであったが、リードを背に受けたこともあり、無理をし過ぎず手堅く4分間を凌ぎ切った。筑波大は不安要素のあったこのカードで面倒な田中を潰すことに成功、この試合も小さく、しかし確実に勝利に歩を進めたという印象。

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長谷川功斉が清水雅義から右袖釣込腰「技有」。筑波大のリードは「3」まで伸びた。

(中)長谷川功斉 ― 清水雅義
ともに厳しい組み手としぶとさが売りの選手同士による対決は長谷川、清水ともに右組みの相四つ。序盤から厳しい組み手争いと担ぎ技を軸とした攻防が続く。2分20秒、後帯を取られて引きずり潰された長谷川に偽装攻撃の「指導」。実力は拮抗も、時間の経過とともに取らねばならない状況を背負った清水の側に攻め急ぐがゆえの粗さが見られるようになる。そして2分54秒、焦りゆえか清水は組み手不十分なまま前に出てしまう。釣り手は絞られ、引き手も襟。おそらくはここから釣り手を切って右一本背負投を狙おうという中で出来上がった一瞬の隙であったが、長谷川これを逃さずいったん呼び込み、右大外刈様に足を踏み込みながら両袖の右袖釣込腰に打って出る。両腕を纏められてしまった清水は耐えきれず、転がり落ちて「技有」。「待て」が宣された時点で試合時間は52秒しか残されていない。残り11秒には清水が左一本背負投で懐深くに潜る場面も生まれるが、決めきれず、長谷川が寝技で攻めたままタイムアップ。袖釣込腰「もはや試合の趨勢決した感あり。筑波大、この時点でなんと3対0の大量リード。

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阿部拓馬は髙橋翼の接近戦志向に取り合わず。

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髙橋抱分も、体を捨てていなかった阿部は振り向いてしっかり対応。

(三)阿部拓馬 ― 髙橋翼
阿部が左、髙橋が右組みのケンカ四つ。怪力の高橋に対して阿部は持っては前に引きずって蹴り崩し、持たれる前に今度は自ら離れるというヒットアンドアウェイ戦法を選択。釣り手で深い位置を持たれても組み合いには一切応じず、片手の技で展開を切り続ける。引き手の持てない髙橋は相手の手首を掴み続けてしまい、1分11秒、相手の手を抑えたことによる「指導」。さらに2分10秒には両者に片手の「指導」が与えられ、追う立場のはずの髙橋は逆に「指導2」を背負ってしまう。取らねばチームの負けが決まってしまう状況の髙橋は密着しての一発を狙うが、阿部は付かず離れずの距離を徹底して維持。組み際の左大外刈に左内股と先んじて技を出しては一度離れて組み手の攻防に持ち込み、髙橋得意の抱き勝負に持ち込ませない。残り41秒、阿部の左内股に髙橋が抱分を狙う際どい場面が生まれるも、阿部の内股は最後まで自らの身体のコントロールを保っており、この技を受けても体は死なず。被さるように逃れて失点を回避、「待て」。このまま試合は引き分けに終わり、後衛2枚を残したこの時点で早くも筑波大の勝利が決まった。

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日野山剛の前に、金澤聡瑠は攻め手を見出せず。

(副)日野山剛 ― 金澤聡瑠
日野山、金澤ともに右組みの相四つ。体格に勝る金澤は組み合っての接近戦を企図し、まず引き手で襟を持って奥襟を狙う。対する日野山は組み手を切り離し、距離を取りながらチャンスを窺う。30秒、組み際に左体落で自分だけが伏せてしまった日野山に偽装攻撃の「指導」。ここからは組み手の攻防が続き、1分50秒、日野山に取り組まないとして2つ目の「指導」が追加される。ここまでは完全に金澤のペース。このまま一気に押し切るかと思われたが、以降日野山は引き手で前襟を突く左構え気味の形から右大外刈に右一本背負投と要所で技を打ち返して抵抗。対する金澤は圧殺を狙う以外に具体的な攻め手を見つけられず、大きな動きがないままこの試合も引き分けとなる。スコアは3-0のまま動かず、ここに至っても国士舘大は無得点。

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中西一生が関根聖隆に大内刈を押し込み「技有」

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中西が内股「技有」追加。国士舘大が一矢を報い、ここで試合が終わった。

(大)関根聖隆 ― 中西一生
関根が左、中西が右組みのケンカ四つ。試合が始まるとまず関根が相手の上体を左一本背負投様に固めた変則の左小外掛で奇襲を仕掛ける。中西崩れながらも右内股に切り返して伏せて「待て」。ここからはお互いにやや落ち着いての組み手の攻防。この日不調の関根はハイコンディション時のような一方的な連続攻撃は見せず、あくまで相手とのやり取りの中で投げを狙う。1分18秒、中西が右小外刈からの右内股で大きく崩すも、これは関根が腹這いで逃れてポイントには至らず。ここから再び組み手の攻防を経ての2分3秒、釣り手を上から持った中西が相手をいったん引き出し、膝裏に足首を引っ掛ける形で低空の右大内刈。途中で足は外れてしまったが、崩れた相手をハンドル操作で制し切って「技有」を得る。試合時間は半分以上残っているが、ビハインドを負った関根はギアを上げることができず、以降もスローペースに試合を展開。3分1秒、関根が組み手争いから試合開始直後に見せたものと同じ形の左小外掛を仕掛けるが、今度は距離を詰めきれず、中西はこれを呼び込んで自らの右内股に変換。乗り越えながら回しきって「技有」。大将戦は中西が意地を見せて合技の一本勝ち。最終スコア3―1で筑波大が決勝進出を果たした。

筑波大 3-1 国士舘大
(先)田中航太○合技[小外掛・隅落](2:48)△枇杷木勇樹
(次)戸高淳之介○合技[払巻込・外巻込](2:49)△竹市大祐
(五)千野根有我×引分×田中優大
(中)長谷川功斉○優勢[技有・袖釣込腰]△清水雅義
(三)阿部拓馬×引分×髙橋翼
(副)日野山剛×引分×金澤聡瑠
(大)関根聖隆△合技[大内刈・内股](3:01)○中西一生

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次鋒戦、盤面の最前線でマークした戸髙の「一本」が試合の様相を決めた。

筑波大はオーダー順ぴたりと噛み合い、しかもその意図通りに、どころか遥かに超えて選手が仕事をやり切った会心の一番。なんといっても、次鋒戸髙の竹市狩りの功が大きかった。国士舘大のオーダーとの噛み合わせによって戦場は前衛に限定されたのだが、この最前線で、しかも敵方の抜き役を「一本」で沈めるという最高の仕事。もっとも効く位置でもっとも効く相手から挙げたこの得点が、以降両軍の選手全員の振る舞いを規定した。要衝を的確に抑えることで最大限に戦果を拡大した、団体戦戦略のお手本のような一番であった。作戦立案者としては堪えられない7試合だったのではないだろうか。

一方の国士舘大は戦力十分も、やはりオーダー順が噛み合わなかった。もっとも取り味のある中西を最後衛に置いて関根相手に「消費」してしまったことに、この「追われることが得意な重量級をまとめて後に配した」後ろ重心オーダーの噛み合わなさは端的。いまの筑波大の「大将・関根」策は、たとえば2019年大会準決勝の国士舘大戦(副将で起用)、あるいはギリギリまで王者東海大を追い詰めた同大会決勝(大将)とは文脈がまったく違う。負傷からの復帰後、生命線である機関車攻撃が出来るコンディションがいまだ作れていない関根はこの日もまったくの不調。会場の磁場そのものを己の方向に歪めてしまうようなあの骨太の試合ぶりは到底期待できないし、率直に言って勝ち星を挙げることも想起しにくい。地力を生かし、まとめ役として大将に置くことでしか力を生かせない状況にある。そのポジションに、この陣容なら「相手が誰でも1点取れる」中西を当ててしまい、最後の最後まで潜在的な1点を具体的な得点に変換することが出来ない死に駒で終わらせてしまった。軽量が多いことが弱点の今回の陣容であれば、髙橋と金澤の重量2枚に獲らせること、相手が「勝負に来る」状況を作ってこの2人を送りだすとをまず最大の眼目とすべきである。リード状況と高橋・金澤の得点はセットで考えねばならない。その中にあっての中西大将策は、ポジション的にも「当たり」的にも、買えない。重量級相手に取り味が期待出来ない千野根が前出しされることが確実の状況で、軽い選手を前衛に並べた戦型選択にも疑問が残る。重量級に有力選手を抱えながら、軽量同士の対戦フィールドのみで勝負全体が決まる陣形を採ってしまったことはまさしく痛恨。大きく言って、戦力の充実ゆえ、どこか戦況を楽観したところがあったのではないだろうか。髙橋翼、竹市大祐、そしてこの日出ていない斉藤立ら2年生に「黄金世代」を抱える国士舘大、悲願の優勝大会タイトル奪回に向けて大きな課題の残った一番だった。

結果決まった決勝カードは、

東海大 ― 筑波大

となった。


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※ eJudoメルマガ版12月2日掲載記事より転載・編集しています。

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