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【レポート】「一本」連発、杉村美寿希が充実の内容で全国大会初制覇/第70回インターハイ柔道競技女子78kg級レポート

(2021年11月3日)

※ eJudoメルマガ版11月3日掲載記事より転載・編集しています。
「一本」連発、杉村美寿希が充実の内容で全国大会初制覇
第70回インターハイ柔道競技女子78kg級レポート
日時:2021年8月12日
会場:長野市真島総合スポーツアリーナ(ホワイトリング)

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準々決勝、杉村美寿希が千葉むつみから小外刈「一本」

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準決勝、杉村が中野弥花から左内股「技有」

【決勝まで】

決勝に進んだのは杉村美寿希(滋賀・比叡山高)と浮田笑子(愛知・大成高)。混戦との前評判高い階級だったが、有力と目された選手がしっかり決勝まで勝ち上がった形となった。

2018年全国中学校大会70kg超級で3位入賞、今春の全国高校選手権では無差別でベスト8入賞の杉村はV候補の筆頭格。この日は抜群の勝ち上がりを見せた。まず1回戦では服部杏菜(福井・福井工大福井高)から2分13秒左大内刈「一本」を奪って快勝。2回戦も滝本稟夏(福岡・敬愛高)に「指導2」を押し付けた上で2分38秒左大内刈「一本」という文句なしの試合ぶり。3回戦は菊池あいり(栃木・國學院栃木高)を相手にこれも1分39秒の間に「指導2」、「技有」、そして左内股「一本」を奪うという完璧な内容で快勝。準々決勝はここまで全試合一本勝ちの千葉むつみ(神奈川・横須賀学院高)をわずか30秒の小外刈「一本」に沈めた。このあたりでこの日の最強選手はどうやら杉村、という気配が会場に色濃く立ち込める。迎えた準決勝は中野弥花(佐賀・佐賀商高)とこの日初めての長時間試合、「指導」2-1のリードで迎えたGS延長戦1分17秒、左内股「技有」を奪って決勝進出を決めた。5戦して4つの一本勝ち、充実の勝ち上がりである。

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準々決勝、浮田笑子が上杉実世から大外落「一本」。開始僅か7秒の早業だった。

一方の浮田も小学校時代から将来を嘱望されていた強豪。この日はこれまでのキャリアの中でもひときわ攻撃的な柔道を披露、圧倒的な勝ち上がりを見せた。まず1回戦は川﨑千栄(大阪・東大阪大敬愛高)を内股から連絡しての左小内刈「技有」、そのままローリングして肩固に抑え込んで僅か37秒合技「一本」。2回戦は屋美来(鹿児島・鹿児島南高)を相手に組み勝つとグイと引き落とし、そのまま立たせずこれも僅か45秒の縦四方固「一本」で勝負を決める。3回戦は戸山このみ(千葉・八千代高)を相手に1分35秒の間に3つの「指導」を押し付ける完勝。準々決勝はまさに「秒殺」、開始僅か7秒、ファーストタッチで上杉実世(大分・柳ヶ浦高)を左大外落「一本」に沈めてベスト4へ。迎えた準決勝は、全国高校選手権無差別で杉村を破って3位入賞の稲葉千晧(東京・国士舘高)とマッチアップ。間違いなくこの日一番の山場と思われたこの試合を、試合時間僅か20秒、左大外刈と崩袈裟固の合技「一本」でクリア。全試合一本勝ちで決勝の畳に辿り着くこととなった。

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決勝は杉村が大内刈「一本」で快勝

【決勝】
杉村美寿希(滋賀・比叡山高)○大内刈(2:01)△浮田笑子(愛知・大成高)

杉村、浮田ともに左組みの相四つ。組み合っての攻防は地力に勝る杉村が優位。これをよく知る浮田はまず相手の釣り手を抑えにかかるが、杉村は応じながら攻防に混ぜ込む形で左小外刈を放ち、浮田は崩れ伏せる。この展開を受けた浮田は以後不十分な形からでも先手で技を仕掛けてまず展開を握ることを目指すが、杉村はほぼすべてを立ったまま受け切って動じない。杉村は先に引き手で襟を掴むと左大内刈に左大外刈と威力のある技を打ち込み、相手に状況を積むことすら許さず。浮田に手詰まり感が漂い始めた2分間際、杉村が引き手で襟を持った形から奥を叩きながら左大内刈に飛び込むと、浮田は抱き返して迎撃。がっぷり四つの密着勝負の形が生まれる。浮田はこの体勢から左小外刈を狙うが、杉村はこれを利用して呼び込み、自らの左大内刈に変換する。上体をがっちりと固めたまま一気に浴びせ倒すと浮田の背中が畳に埋まり、2分1秒「一本」。杉村が優勝を果たした。

ファイナリスト2人がともに「一本」連発で勝ち上がり、決勝も最後は乗るか反るかの密着勝負を経ての「一本」。国内・国外問わずどのカテゴリでも「撃ち合い」となる階級特性がきちんと高校カテゴリにも降りて来ているという印象。非常に78kg級らしい、見ごたえのあるトーナメントだった。杉村は地力があって状況を作る能力にも長けていたが、それ以上に自ら仕掛ける勝負度胸の良さが光った。高校チャンピオンの名にふさわしい戦いぶりだった。

入賞者と杉村のコメント、準々決勝以降の結果は下記。全試合結果は記録ページを参照のこと。

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78kg級を制した杉村美寿希

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3回戦、杉村が菊池あいりから内股「一本」

【入賞者】
(エントリー38名)
優 勝:杉村美寿希(滋賀・比叡山高)
準優勝:浮田笑子(愛知・大成高)
第三位:中野弥花(佐賀・佐賀商高)、稲葉千晧(東京・国士舘高)
第五位:千葉むつみ(神奈川・横須賀学院高)、川崎愛乃(山梨・富士学苑高)、上杉実世(大分・柳ヶ浦高)、杉田菜奈(静岡・東海大翔洋高)

杉村美寿希選手のコメント
「3年間日本一を目標に練習して来たので、最後の大会でそれがかなって嬉しいです。決勝は、組み手で組み勝つことが出来たので自分の技が効いたと思います。(―自分の柔道の強みは)前に出て気持ちで負けないところ、最後まであきらめないところ。(―参考にしている選手はいますか)素根輝選手。小さい体で大きい相手に向かっていくところです。(―今後の目標は)国際大会に出して貰って、大きい舞台で活躍できる選手になりたい。オリンピックに出て、金メダルを獲りたいです。」

【準々決勝】
杉村美寿希(滋賀・比叡山高)○小外刈(0:30)△千葉むつみ(神奈川・横須賀学院高)
中野弥花(佐賀・佐賀商高)○GS僅差(GS3:28)△川崎愛乃(山梨・富士学苑高)
浮田笑子(愛知・大成高)○大外刈(0:07)△上杉実世(大分・柳ヶ浦高)
稲葉千晧(東京・国士舘高)○大外刈(1:20)△杉田菜奈(静岡・東海大翔洋高)

【準決勝】
杉村美寿希(滋賀・比叡山高)○GS技有(GS2:17)△中野弥花(佐賀・佐賀商高)
浮田笑子(愛知・大成高)○合技(0:20)△稲葉千晧(東京・国士舘高)

【決勝】
杉村美寿希(滋賀・比叡山高)○大内刈(2:01)△浮田笑子(愛知・大成高)

※ eJudoメルマガ版11月3日掲載記事より転載・編集しています。

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