PAGE TOP ↑
eJudo

【eJudo’s EYE】斉藤立に近藤隼斗、「待ったなし」の強化策採った日本代表に注目/グランドスラム・バクー14階級オーバービュー

(2021年11月5日)

※ eJudoメルマガ版11月5日掲載記事より転載・編集しています。
【eJudo’s EYE】斉藤立に近藤隼斗、「待ったなし」の強化策採った日本代表に注目
グランドスラム・バクー14階級オーバービュー
eJudo Photo
いよいよ初のワールドツアー大会に挑む100kg超級・斉藤立。

文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

きょう5日、グランドスラム・バクー2021が開幕する。今年7つ目のグランドスラム大会、9月のGPザグレブ、10月のGSパリに続く、オリンピック終了後3つ目のIJFワールドツアー大会だ。

上半期の大会日程が超過密だったことや、パリ五輪ポイント獲得レースがまだスタートしていないことなどもあり、東京五輪で活躍した一線級の選手たちはごく一部を除いてまだ休養中。日程が被った欧州U-23選手権と若手有望選手の参加を「割った」こともあって、全体的に海外選手のレベルは高くない。エントリー数も多くなく、1人の「個」の参加がそのままトーナメントの色を決めてしまう状態だ。

しかしファンとしては絶対に見逃せない大会である。みどころは日本代表、特に男子代表の戦いぶりにある。野心的な派遣、かなり大胆なメンバーだ。昨年の講道館杯と今春の全日本選抜体重別で活躍した、かつブダペスト世界選手権代表(≒10月のグランドスラム・パリ代表)に続く選手たちという建て前はあるが、機械的な序列だけでメンバーが決められたわけではない。キーワードは明らかに「若さ」、そして将来性。100kg超級の斉藤立(国士舘大2年)や、まだシニアで実績を残していない60kg級の近藤隼斗(国士舘大2年)らのピックアップにこのあたり端的だ。いよいよ鈴木体制が色を出し始めた大会であり、人材供給環境が細くなっていく中、そして時間が極めて限られる中で2024年のパリ五輪を勝たねばならないという危機感が生々しく感じられるメンバーである。鈴木体制の「本気」がビリビリ伝わってくる。

組み合わせや勝ち上がり展望を含めた各階級の様相については大会期間中に配信するプレビュー記事に譲るが、下記簡単に14階級について記しておく。比較的海外勢のレベルが高いのは男子66kg級、73kg級、81kg級、90kg級。序盤の注目カードは女子52kg級の1回戦。選抜体重別で優勝を飾った坪根菜々子(福岡大4年)が初戦で東京五輪48kg級王者ディストリア・クラスニキ(コソボ)に挑戦する。斉藤立は、弊サイトでかねて注目していたキャラクター愛すべき巨漢・ジャマル・フェイジエフ(アゼルバイジャン)とマッチアップ。次戦がウシャンギ・コカウリ(アゼルバイジャン)、対戦選手の相性的にもレベル的にもいきなりの優勝十分あり得る。

→グランドスラム・バクー2021日本代表選手
→グランドスラム・バクー2021組み合わせ

■ 男子
eJudo Photo
近藤隼斗もシニア国際大会初参戦。

【60kg級】
近藤隼斗(国士舘大2年)がシニア国際大会初挑戦。高校カテゴリで勝ちに勝ちまくったがジュニアカテゴリに本格参戦する前にコロナ禍が襲い、上位カテゴリ、そして国際大会の実績は皆無。一線級のいない今大会はいきなり結果を積み上げる大チャンス。

【66kg級】
GSパリでいきなり優勝、世界をあっと言わせた田中龍馬(筑波大2年)に注目。以後パリに居残って海外勢と稽古を続けたその進境に期待。第1シードに東京五輪銀メダルのヴァジャ・マルグヴェラシヴィリ(ジョージア)、第3シードにデニス・ヴィエル(モルドバ)ら強豪が揃い、優勝難易度は大会屈指。相田勇司(國學院大4年)は田中と同時派遣という絶好の機会で復権を狙う。

【73kg級】
大吉賢(了徳寺大職)、塚本綾(日本体育大4年)の日体大コンビが送り込まれた。四つ角シードにツェンドオチル・ツォグトバートル(モンゴル)、ルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)、ヴィクトル・ステルプ(モルドバ)、ヒダヤット・ヘイダロフ(アゼルバイジャン)がおり、メダル候補の面子だけでいえば凄まじいレベル。他はさほどでもなく、勝負どころを絞って戦いたい。塚本は2戦目がツェンドオチル・ツォグトバートル。付き合い過ぎず「破調」を演出するのかそれとも丁寧に戦うのか、非常に楽しみ。

【81kg級】
友清光(日本製鉄)の山に東京五輪銅メダルのシャミル・ボルチャシヴィリ(オーストリア)、賀持喜道(日本大3年)の山にヴェダット・アルバイラク(トルコ)と、ターゲット選手がはっきり。いずれも柔道のタイプはわかりやすい。ここで下剋上を狙うべき。

【90kg級】
ネマニャ・マイドフ(ジョージア)、ベカ・グヴィニアシヴィリ(ジョージア)、ママダリ・メフディエフ(アゼルバイジャン)にルカ・マイスラゼ(ジョージア)とこの階級も、「強い選手」とそれ以外がハッキリしたトーナメント。日本代表は増山香補(パーク24)と田嶋剛希(パーク24)。いずれも良い意味で日本人らしくない、破調と爆発力のある選手。世界をあっと言わせてほしい。

【100kg級】
GSパリで初戦敗退の飯田健太郎(旭化成)にとってはまさに背水の陣。力はあるはず。パリ居残りで積んだ海外勢との稽古で、アウトプットのきっかけを得られたかどうか。エントリーは僅か15名。かつ敵は極めて限られており、シャディー・エルナハス(カナダ)ただ1人、うんとラインを下げてもズラトコ・クムリッチ(クロアチア)とオニセ・サネブリゼ(ジョージア)、ニイヤズ・ビラロフ(ロシア)を加えた4人まで。しかもエルナハスとクムリッチは逆側の山。優勝は必須、最低でも決勝でエルナハスと矛を交えてファンと強化の信頼を取り戻さねばならない。

【100kg超級】
エントリー10名。斉藤立は既に書いた通り初戦がフェイジエフで次戦がコカウリ。続く準決勝は天理大所属のオドフー・ツェツェンツェンゲル(モンゴル)、決勝はおそらくテムル・ラヒモフ(タジキスタン)で、全員キャラがハッキリしている選手ばかり。敢えて言えば毎回違う顔を見せるフェイジエフが不確定要素感強く、決勝に絶対値は下がるが柔道が面倒くさいダニエル・アレルストルフェル(オーストリア)が来ると揉めるかもしれないが、どの選手に対しても戦い方が決めやすい。いきなりの優勝に期待したい。

■ 女子
eJudo Photo
70kg級の寺田宇多菜がワールドツアーに初めて登場。

【48kg級】
エントリー11名。基準点として機能する選手は、無理やり挙げてもシラ・リショニー(イスラエル)とサビナ・ギリアゾワ(ロシア)、ガンバータル・ナランツツェグ(モンゴル)のシード選手3人のみ。この中ではギリアゾワが実はもっかもっとも強いのではないかと思われるが、いずれにしても、立川莉奈(福岡県警察)にとっては優勝した上で内容を問われる大会。

【52kg級】
前述の通り、坪根菜々子(福岡大4年)と、五輪金メダル獲得を経て48kg級から出戻ったディストリア・クラスニキ(コソボ)の初戦がみもの。第1シードがチェルシー・ジャイルス(イギリス)、第2シードがレカ・プップ(ハンガリー)とこれだけ見れば結構な豪華さ。以降は面子まったく続かずも、五輪で大活躍したこの2人にクラスニキと坪根を加えて、なかなか面白い階級。

【57kg級】
エントリー10名。出国前取材会で「世界選手権の悔しさを晴らす」と語った玉置桃(三井住友海上)だが、初戦がおそらく柴田理帆(JR東日本)。ともに、ここを勝ってようやく「国際大会」がスタートする。逆側の山に出場停止明けのラファエラ・シウバ(ブラジル)がおり、この選手の勝ち上がりが大きなみどころ。躍進中のカロリーヌ・フリッツェ(ドイツ)も楽しみ。

【63kg級】
エントリー10名。崩壊気味のトーナメントの中で、堀川恵(パーク24)は唯一面倒な選手、第1シードのアンリケリス・バリオス(ベネズエラ)の直下を引いた。ここをしっかり勝って優勝することがミッション。

【70kg級】
エントリー9名、ワールドツアー大会優勝経験者はゼロ。寺田宇多菜(JR東日本)にとっては優勝の大チャンスだ。組み手との連動が独特な、寺田の威力ある技が国際大会でどんな効き方をするのか楽しみ。上がり目気配の選手の参加もあるが、これは各階級プレビューを参照のこと。

【78kg級】
日本選手の参加はなし。エントリーわずか8名、ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)らシード選手4名の表彰台登攀がほぼ間違いない情勢。

【78kg超級】
日本選手の参加はなし。エントリーは7名。ラズ・ヘルシュコ(イスラエル)とサンドラ・ヤブロンスキーテ(リトアニア)の決勝対戦がほぼ確実。

※ eJudoメルマガ版11月5日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る