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【レポート】今大会最大の発見、笠井雄太が「一本」連発で頂点極める/第70回インターハイ柔道競技・男子100kg超級レポート

(2021年10月27日)

※ eJudoメルマガ版10月27日掲載記事より転載・編集しています。
今大会最大の発見、笠井雄太が「一本」連発で頂点極める
第70回インターハイ柔道競技・男子100kg超級レポート
日時:2021年8月10日(火)
会場:長野市真島総合スポーツアリーナ(ホワイトリング)

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準決勝、笠井雄太が野村陽光から小外刈「一本」。僅か27秒の早業だった。

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準決勝、藤本偉央が甲木碧から払巻込「技有」

【決勝まで】

全国的には無名の笠井雄太(愛知・桜丘高)が快進撃、素晴らしい柔道を見せて決勝進出。これが全国大会デビューとなる2回戦は庄司陸吾(山形・羽黒高)に小外刈「技有」による優勢勝ちだったが、以後は得意の足技で素晴らしい一本勝ちを連発。3回戦は佐藤椋太(徳島・阿波高から開始40秒支釣込足「一本」、準々決勝は2回戦で笠原勇馬(岡山・作陽高)に合技「一本」で完勝している武田幹太(福島・田村高)を相手に2分52秒小外刈「一本」。そして迎えた準決勝は優勝候補に挙げられていた3年生世代の全中準優勝者・野村陽光(埼玉・埼玉栄高)を僅か27秒、小外刈で捩じり倒して「一本」。会場驚かす圧巻の出来で、堂々決勝へ駒を進めることとなった。

逆側の山からのファイナリストは全国高校選手権無差別王者・藤本偉央(広島・崇徳高)。2回戦は新田朋哉(奈良・天理高)と大消耗戦、試合時間8分58秒(GS5:58)を掛けて「指導3」で勝利。3回戦は木村大樹(宮城・仙台育英高)を1分37秒内股「一本」に仕留め、準々決勝は山田晃揮(京都・京都先端大附高)に2分37秒の間に3つの「指導」を押し付けて快勝。そして迎えた準決勝は団体戦優勝で勢いに乗る甲木碧(千葉・木更津総合高)から払巻込「技有」を奪って決勝勝ち上がりを決めた。

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決勝、笠井が藤本の大内刈の戻り際に合わせて出足払。

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藤本耐える間なく崩落、「一本」

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笠井の初優勝なる。驚きのハイパフォーマンスだった。

【決勝】

笠井雄太(愛知・桜丘高)○出足払(GS2:07)△藤本偉央(広島・崇徳高)

笠井が右、藤本が左組みのケンカ四つ。怪力の笠井は釣り手で深く相手を抱き込んでの勝負を挑むが、藤本は多彩な技と釣り手のコントロールでこの形を作り切らせぬまま手数を積む。笠井は藤本の防壁をなかなか突破出来ず、形上は大枠藤本優位。それでも藤本の投げが決まる予感はほとんどなく、一発の気配を漂わせるのは圧を掛けて前に出る笠井の側という構図で試合が進む。この潜在的な関係を反映してか、2分24秒に藤本に片手の「指導」が与えられ、勝負はそのままGS延長戦へ。

延長戦に入ると笠井が釣り手で良い位置を持てる時間が増える。GS25秒には右体落で崩し、以降もじりじりとプレッシャーを掛け続けて徐々に見た目の優位も笠井の側へ。GS2分27秒、袖と奥襟の良い位置を得た藤本が左大内刈を仕掛けると、笠井これをどっしりと両足を着いて受け止め、戻り際を狙って右出足払を合わせる。切れ味抜群の一撃、重心移動の際を狙われた藤本は大きく崩れて背中から落下「一本」。ノーマークだった笠井、見事高校柔道の頂点を極めることとなった。

笠井は東海地区では知る人ぞ知る強豪。2019年には1年生にしてインターハイ100kg級に愛知県代表として出場、昨秋の全国高校選手権県予選の団体戦では大成高を相手にすべて「一本」で3人を抜くなど、無差別個人でも有力な代表候補と目されていた。コロナ禍のため推薦で代表が決まって(※前年度代表の大成・中山康が出場)「待ち」が長くなったが、その分今回のインパクトはさらに上がった。足技のセンス抜群、柔道のスケールも大きく、「自分の弱点を考え、(81kg級から)意識して階級を上げて来た」との来歴からは、努力を企める良い資質が強く匂う。

五輪が終わった直後、節目の年に凄い素材が現れた。潜在能力だけでいえば、インターハイ優勝は間違いなく単なる通過点。進路は定かではないが、希代の素材を大きく伸ばせるよう、能力に見合った成長が得られるよう、確かな育成をお願いしたい。

入賞者と笠井のコメント、準々決勝以降の結果は下記。全試合結果は記録ページを参照のこと。

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優勝した笠井雄太

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3回戦、佐藤椋太から支釣込足「一本」

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準々決勝、武田幹太から小外刈「一本」

【入賞者】
(エントリー48名)
優 勝:笠井雄太(愛知・桜丘高)
準優勝:藤本偉央(広島・崇徳高)
第三位:野村陽光(埼玉・埼玉栄高)、甲木碧(千葉・木更津総合高)
第五位:武田幹太(福島・田村高)、對中尚樹(大阪・東海大仰星高)、小島 アントニー(群馬・常磐高)、山田晃揮(京都・京都先端大附高)

笠井雄太選手のコメント
「(―優勝直後は涙も見えました)嬉しさはありましたが、親の顔が出てきて・・・。感謝の気持ちのほうが大きかったです。優勝が目標と言うよりは、1つ1つの試合に勝つことを意識して戦いました。力や技術で負けても、気持ちだけは負けないようにと。最後まで妥協しなかったことが勝因だと思います。(―愛知県は高校選手権個人戦の予選が出来なかった。悔しかったのでは?)いえ。仲の良い学校の選手が出ることになったので、むしろ、出るなら頑張って欲しいという気持ちでした。(―中学時代は81kg級。今の体格では信じられない)中学で挫折して(※県大会3位)、力、精神力、フィジカルが足りないと痛感しました。特に力。ジムに通って、食べて太るのではなく、筋肉で増量していこうと考えました。今は、115キロあります。(―勉強が得意と聞きました。好きな教科は?)数学です。(―勉強と柔道はどちらが好き?)それは…柔道です(笑)。今後もチャレンジャーの気持ちを忘れずに、日本一に挑んで、勝って、日本代表になりたいです。」

【準々決勝】
笠井雄太(愛知・桜丘高)○内股(2:52)△武田幹太(福島・田村高)
野村陽光(埼玉・埼玉栄高)○優勢[僅差]△對中尚樹(大阪・東海大仰星高)
甲木碧(千葉・木更津総合高)○GS払巻込(GS1:09)△小島 アントニー(群馬・常磐高)
藤本偉央(広島・崇徳高)○反則[指導3](2:37)△山田晃揮(京都・京都先端大附高)

【準決勝】
笠井雄太(愛知・桜丘高)○小外刈(0:27)△野村陽光(埼玉・埼玉栄高)
藤本偉央(広島・崇徳高)○優勢[技有]△甲木碧(千葉・木更津総合高)

【決勝】
笠井雄太(愛知・桜丘高)○出足払(GS2:07)△藤本偉央(広島・崇徳高)

※ eJudoメルマガ版10月27日掲載記事より転載・編集しています。

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