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【レポート】大本命・長濱佑飛が優勝、団体戦の悔しさ晴らす/第70回インターハイ柔道競技男子90kg級レポート

(2021年10月27日)

※ eJudoメルマガ版10月27日掲載記事より転載・編集しています。
大本命・長濱佑飛が優勝、団体戦の悔しさ晴らす
第70回インターハイ柔道競技男子90kg級レポート
日時:2021年8月10日(火)
会場:長野市真島総合スポーツアリーナ(ホワイトリング)

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本命・長濱佑飛は2試合連続のビハインドスタート。写真は3回戦、木田敦也に背負投を返されて「技有」失陥。

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立ち直った長濱、準々決勝は小林開道を試合が始まるなりの巴投「一本」に仕留める。

【決勝まで】

決勝に進んだのは長濱佑飛(埼玉・埼玉栄高)と片山凪(兵庫・報徳学園高)の2名。

3月の全国高校選手権無差別で2位入賞の長濱は優勝候補筆頭。これもV候補筆頭に挙げられていた団体戦のV逸から一夜明け、この個人戦で雪辱を期す。しかし序盤は苦しい戦い、徹底マークを受けて苦戦した団体戦同様どこか感覚が噛み合わない様子。2回戦は嶌津空(京都・京都先端大附高)に右大外刈を食って1分3秒まさかの「技有」失陥。試合時間3分の今年度レギュレーションではもはや万事休したかと思われたが、残り1分32秒、一気に勝負をつけに来た嶌津の裏投に被り返して起死回生の隅落「技有」奪回。これで追いつき、以降は担ぎ技の放列で得た「指導」差2つでなんとか僅差の優勢勝ち。続く3回戦もケンカ四つの木田敦也(静岡・静岡学園高)を相手に思わぬ展開。背負投は見切られ、肩車はかわされ、立ち際に隅返を狙われる苦しい出だし。1分8秒には肘抜きの右背負投を完璧に返され、後襟をひっつかまれたまま真裏に崩落、「技有」失陥。「技有」に収めた身体能力をむしろ褒めるべき、決定的な一撃だった。しかしまさにその直後の1分16秒、調子づいた木田の勢いを逆につき、両者ともに畳から浮き上がる豪快な内股透「一本」で逆転勝ち。

この鮮やかな一発で「自分のタイミングを取り戻した」(本人談)、以後の戦いは順調。準々決勝は小林開道(千葉・木更津総合高)を僅か10秒の巴投「一本」、準決勝は髙橋麟大郎(宮崎・延岡学園高)を肩車「技有」の優勢で破って決勝進出を決めた。

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準決勝、片山凪が多田隈隆汰から払巻込「一本」。

2018年全国中学校大会の準優勝者・片山は混戦ブロックを素晴らしい内容で制した。2回戦は落合啓太(栃木・國學院栃木高)を2分34秒支釣込足「一本」、3回戦は中川晃希(鹿児島・明桜館高)を内股巻込「技有」による優勢で下し、準々決勝は2回戦で2019年全国中学校大会王者・三並壮太(愛知・大成高)を「技有」優勢で破っている橋本晃佑(大阪・東海大仰星高)をGS延長戦1分32秒肩固「一本」で退ける。準決勝は前評判の高かった多田隈隆汰(神奈川・東海大相模高)をGS延長戦1分10秒払巻込「一本」に沈める快勝。ついにインターハイ決勝の畳に立つこととなった。

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決勝、長濱が肩車。

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自らも畳から跳ね上がる勢いで押し込み、決定的な「技有」。

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主将も務める長濱。優勝決定後、入れ替わりで畳に上がる後輩の100kg級・新井道大を励ましていた。

【決勝】
長濱佑飛(埼玉・埼玉栄高)○優勢[技有・肩車]△片山凪(兵庫・報徳学園高)

長濱が右、片山が左組みのケンカ四つ。長濱はいつもどおり強気の組み立て。リスクを恐れず右背負投に肩車と思い切り良く技を仕掛け続ける。深い右背負投でほぼ体側から叩き落とした1分、片山に消極的姿勢の「指導」。以降も試合は長濱のペース。1分35秒には右背負投の2連発から右方向の肩車に潜り込み、勢い良く一回転させて「技有」を得る。長濱は決定的なリードを得ても全く攻めの手を緩めることなく、変わらず積極的に技を出し続ける。先に、それも威力ある技を次々繰り出す長濱の前に、準決勝まで思い切りの良い柔道を展開していた片山は沈黙。長濱、2分17秒には右背負投から捲って押し込み、崩上四方固で抑え込む。これは逃してしまったものの、最後まで攻め続けてタイムアップ。「技有」優勢で勝負あり、長濱が万全の試合運びで優勝を決めた。

初戦を見る限り団体戦のショックからまだ立ち直れていない模様だった長濱。徹底マークを受けた団体戦では全国高校選手権で投げに投げまくった背負投が効かず、ここから自身の、そしてチーム全体の歯車がかみ合わなくなってしまっていた。己の力に一抹疑問を持ったまま乗り込んだであろうこの個人戦、精神的に潰れてしまってもおかしくなかったが、立ち直ったこと自体が何より素晴らしい。タフな身体や練れた技術はもちろん、土壇場ですべてを吹っ切って自分の柔道を貫いた精神的な逞しさに拍手を送りたい。

入賞者と長濱のコメント、準々決勝以降の結果は下記。全試合結果は記録ページを参照のこと。

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90kg級を制した長濱佑飛。2位2回を経て、これがキャリア初の全国制覇。

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3回戦、長濱が木田敦也から内股透「一本」。本人曰くこの一撃で立ち直ったとのこと。

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2回戦、片山が落合啓太から支釣込足「一本」。

【入賞者】
(エントリー48名)
優 勝:長濱佑飛(埼玉・埼玉栄高)
準優勝:片山凪(兵庫・報徳学園高)
第三位:多田隈隆汰(神奈川・東海大相模高)、髙橋麟大郎(宮崎・延岡学園高)
第五位:関口健(群馬・常磐高)、橋本晃佑(大阪・東海大仰星高)、小林開道(千葉・木更津総合高)、田中良尚(宮城・東北高)

長濱佑飛選手のコメント
「本当に嬉しいです。毎回全国の舞台では決勝で負けていた(※全国中学校大会90kg級2位、全国高校選手権無差別2位)。やっと取れたという感じです。初戦は団体戦を引きずっているわけではないのですが、自分の柔道が出来なかった。3回戦で早い時間で投げることが出来て、気持ちが変わりました。(―団体戦でも背負投が掛からなかった。警戒されていると感じた?)はい。全然上手く行かず、そう思いました。今日はたまたま思い切り投げることが出来て、自分のタイミングを取り戻せました。(―試合前、チームのメンバーとはどんな話を?)昨日は自分のせいで団体戦負けてしまって。落ち込んでいたら、慰めてくれた。敢えて頑張れとか声を掛けるのではなく、遊んでくれたりして気を遣ってくれていた。もう勝つしかないなと思いました。(―決勝を振り返って)背負投が対応されていたので、逆をついて肩車。稽古でも『掛けるまで技を続ける』というのはやっていて、それが出せたなと思います。(―この後の目標は)全日本ジュニアで優勝して、日本を代表して活躍できる選手になりたいです。」

【準々決勝】
多田隈隆汰(神奈川・東海大相模高)○小外掛(0:31)△関口健(群馬・常磐高)
片山凪(兵庫・報徳学園高)○GS肩固(GS1:32)△橋本晃佑(大阪・東海大仰星高)
長濱佑飛(埼玉・埼玉栄高)○巴投(0:10)△小林開道(千葉・木更津総合高)
髙橋麟大郎(宮崎・延岡学園高)○優勢[技有]△田中良尚(宮城・東北高)

【準決勝】
片山凪(兵庫・報徳学園高)○GS払巻込(GS1:10)△多田隈隆汰(神奈川・東海大相模高)
長濱佑飛(埼玉・埼玉栄高)○優勢[技有]△髙橋麟大郎(宮崎・延岡学園高)

【決勝】
長濱佑飛(埼玉・埼玉栄高)○優勢[技有]△片山凪(兵庫・報徳学園高)

※ eJudoメルマガ版10月27日掲載記事より転載・編集しています。

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