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【レポート】最注目階級の勝者は木原慧登、1年生でIH制覇の快挙なる/第70回インターハイ柔道競技男子73kg級レポート

(2021年10月26日)

※ eJudoメルマガ版10月20日掲載記事より転載・編集しています。
最注目階級の勝者は木原慧登、1年生でIH制覇の快挙なる
第70回インターハイ柔道競技男子73kg級レポート
日時:2021年8月9日(月)
会場:長野市真島総合スポーツアリーナ(ホワイトリング)

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2回戦、木原慧登が小幡礼希から片襟の左大外刈で「技有」

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3回戦、木原が南出健槙から小外刈「一本」

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準々決勝、竹市裕亮が鈴木孝太朗から隅落「技有」

【決勝まで】

全国高校選手権を素晴らしい内容で制した花岡晴琉(宮崎・延岡学園高)と同2位の田中龍雅(佐賀・佐賀商高)、中学2年で全国中学校大会を制した1年生木原慧登(神奈川・東海大相模高)、さらに小幡礼希(奈良・天理高)や竹市裕亮(福岡・大牟田高)、全国中学校大会2連覇者(50kg級、60kg級)後藤颯太(千葉・習志野高)らスター候補がずらりならんだ、今大会の最注目階級。

激戦を勝ち抜いて決勝まで進んだのは、木原慧登と竹市裕亮の2名。

木原は2回戦でいきなり強敵・小幡と激突。高校1年生が臨む全国大会の初戦としては極めて厳しい組み合わせであったが終始落ち着いた進退を見せ、GS延長戦38秒に片襟の右大外刈「技有」を得て勝ち抜け。全国小学生学年別大会2連覇、高校近畿ブロック大会も圧勝している小幡は、花岡に敗れた全国高校選手権に続いてまたもや初戦敗退となった。

木原は続く3回戦で南出健槙(石川・鶴来高)を2分50秒小外刈「一本」、準々決勝は斉藤尊(京都・京都文教高)を2分17秒会心の内股「一本」に仕留めてベスト4入り。準決勝では3回戦で田中龍雅を破った後藤颯太とマッチアップ。ケンカ四つの抱き合いから左小外掛で誘い、思わず応じた相手の右内股を透かして開始早々に「技有」確保。そのまま残り約2分半の殿戦をしぶとく戦い切って優勢勝ちを果たした。気負わず淡々とポイントを重ねるその様には、既に強者の風格が漂う。

竹市は1回戦からの登場。まず野口康太(栃木・國學院栃木高)を開始56秒の大外刈「一本」に退けると、2回戦は加藤真那登(福島・東日大昌平高)をこれも僅か47秒の裏固「一本」で一蹴。3回戦は桜井信之(長野・佐久長聖高)を「技有」優勢、準々決勝は鈴木孝太朗(岐阜・美濃加茂高)をGS延長戦49秒隅落「技有」に仕留めてベスト4入りを果たす。迎えた準決勝は高校選手権で敗れた花岡晴琉と激戦、得意の「加藤返し」から裏固に抑え込み1分22秒「一本」でリベンジ達成。見事決勝の畳へ進むこととなった。

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決勝、組み手有利の竹市が右内股も、木原ぎりぎりで腹ばいに逃れる。

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GS延長戦、木原が肩車

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膝を着いた相手に乗り上げて、試合を決める「技有」。

【決勝】

木原慧登(神奈川・東海大相模高)○GS技有・肩車(GS2:02)△竹市裕亮(福岡・大牟田高)

木原が左、竹市が右組みのケンカ四つ。激しい組み手争いから試合が始まり、1分42秒に「取り組まない」咎で木原にのみ「指導」。以降はリーチのある竹市が釣り手を深く持っての密着技一発、あるいはカウンターを狙い、木原が強気に応じて左内股で攻め返す流れが続く。地力はどうやら竹市が上。2分37秒には竹市が組み際に片手の右袖釣込腰を放って大きく崩すが、木原が腹這いで逃れてポイントにはならず。決定打ないまま勝負はGS延長戦へともつれ込む。

先に勝負を仕掛けたのは竹市。開始直後に襲い掛かり、背中を抱いての右小外掛で浴びせにかかる。試合が決まってもおかしくない強烈な一撃だったが、木原強靭な体幹で耐え切る。するとこの攻撃で力を使い果たしたか、以降竹市は明らかに減速。続く展開のGS30秒には木原が左内股フェイントの左小外掛で追い込んであわやという場面を作り出す。GS2分が迫ろうかというところで、木原は一度肩車を仕掛けると立ち直し、一度前に振ってから再度の肩車一撃。竹市が大きく崩れたこの機を逃さず、乗り上げて捲りGS2分2秒「技有」獲得。これで勝負あり、1年生・木原が激戦階級73kg級を制することになった。竹市はその場に頽れてガックリ、木原は立ち上がると、一声思わず叫んで勝利を噛み締める。

1年生優勝の偉業を達成した木原、結果はもちろんその内容に凄みあり。淡々とした進退の中でしっかり解を見つけ、確実に、冷静に相手を仕留め続けた。組み合わせの妙や勢い、一発技の威力ではなくあくまで地力で勝ち抜いた点が空恐ろしい。しかも全試合その出口は「投げ」であった。底知れぬポテンシャルである。

敗れこそしたが、2位の竹市、3位の花岡らライバル選手も個性一杯。66kg級同様、この世代の先行きが実に楽しみになる、非常に面白いトーナメントであった。

入賞者と木原のコメント、準々決勝以降の結果は下記。全試合結果は記録ページを参照のこと。

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高校1年生にしてインターハイ王者の座に就いた木原慧登

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準々決勝、斉藤尊から会心の内股「一本」

【入賞者】
(エントリー48名)
優 勝:木原慧登 (神奈川・東海大相模高)
準優勝:竹市裕亮 (福岡・大牟田高)
第三位:花岡晴琉(宮崎・延岡学園高)、後藤颯太(千葉・市立習志野高)
第五位:鈴木孝太朗(岐阜・美濃加茂高)、新村隼也(東京・修徳高)、斉藤尊(京都・京都文教高)、中川倖士朗(高知・岡豊高)

木原慧登選手のコメント
「1年生で優勝する、と乗り込んだ大会。とても嬉しいです。目の前で先輩(服部辰成)が勝ってくれて、自分も日本一になるんだと強い気持ちで畳に上がれました。(―2連覇を目指した全中がコロナでなくなってしまった)実家で大会がなくなったことを知ったのですが、落ち込まずに、高校1年生でインターハイに出て優勝すると目標を切り替えて、トレーニングなど出来る練習を精一杯やってきました。(―レベルの高い階級、自信はあった?)はい。優勝出来ると思っていました。(―組んでみて、一段上の力が必要だと思った試合は?)準決勝・決勝の相手は自分よりも身長が高く、組み手も上手かった。準決勝は『技有』を取ったもののその後は何もさせてもらえなかった。まだまだこの部分はレベルアップさせないといけないと思いました。(―決勝も組み手に苦戦。厳しい試合に見えました。どう考えていましたか?)本戦では『指導』1つリードされていましたが、延長戦に入って『組んだら勝てる』ということがわかった。ただ実際なかなか組めず、相手は『めくり』も上手い。引き手も持てない状況。ただ、フェイント技などで崩れる場面があったので、最後は『びっくり技』というか、ああいう技に頼らないといけないかなと考えました。足を前に出して来たので、それに合わせて掛けました。(―この先の上積みは?) 二つ組んで技を繋げて、内股、大外刈で投げるのが自分の柔道。これを貫くためには組み手が上手くならないといけないし、組んだ時の強さ自体も必要。技もまだまだ自分のイメージに比べて全然軽いので、この技を掛けたら絶対に『一本』といいうところまで強くしたい。ここで勝って講道館杯に出られるので、社会人や大学生を相手に出来るだけ上に上がれるよう、自分の力を試したいです。」

【準々決勝】
竹市裕亮(福岡・大牟田高)○GS技有(GS0:49)△鈴木孝太朗(岐阜・美濃加茂高)
花岡晴琉(宮崎・延岡学園高)○合技(2:49)△新村隼也(東京・修徳高)
木原慧登(神奈川・東海大相模高)○内股(2:17)△斉藤尊(京都・京都文教高)
後藤颯太(千葉・市立習志野高)○GS僅差(GS1:36)△中川倖士朗(高知・岡豊高)

【準決勝】
竹市裕亮(福岡・大牟田高)○裏固(1:22)△花岡晴琉(宮崎・延岡学園高)
木原慧登(神奈川・東海大相模高)○優勢[技有]△後藤颯太(千葉・市立習志野高)

【決勝】
木原慧登(神奈川・東海大相模高)○GS技有(GS2:02)△竹市裕亮(福岡・大牟田高)

※ eJudoメルマガ版10月20日掲載記事より転載・編集しています。

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