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【レポート】女子7階級レポート/グランドスラム・パリ2021

(2021年10月23日)

※ eJudoメルマガ版10月20日掲載記事より転載・編集しています。
女子7階級レポート/グランドスラム・パリ2021
(48kg級、52kg級、57kg級、63kg級、70kg級、78kg級、78kg超級)
日時:2021年10月16日~17日
会場:アコーホテルズ・アリーナ・ベルシー(フランス・パリ)

→全試合結果

■ 48kg級 宣言通りの圧勝、古賀若菜充実の出来でグランドスラム初制覇
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48kg級2回戦、古賀若菜はナターシャ・フェレイラと対戦。この試合は腕緘「一本」で勝利。

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48kg級準決勝、メラニー・レグ=クレモンがミリツァ・ニコリッチから内股巻込「技有」

(エントリー19名)

決勝の畳に上がったのは日本代表の古賀若菜(山梨学院大2年)とメラニー・レグ=クレモン(フランス)。

古賀は2回戦でナターシャ・フェレイラ(ブラジル)を2分37秒の腕緘「一本」で片付けると、準々決勝では昨年の欧州選手権王者で東京五輪代表を務めたシリーヌ・ブクリ(フランス)とマッチアップ。この試合はケンカ四つのブクリを相手に序盤から左背負投、左大内刈で攻めて主導権を握り、1分2秒に「指導」先行。焦ったブクリが攻め返さんと右内股を仕掛けると、腰を切りながら乗り越えて内股透一撃、鮮やかな切り返しで2分11秒「技有」奪取。以降も危なげなく試合をまとめ、優勢勝ちでこの唯一最大の山場を乗り切った。続く準決勝はプロンディーヌ・ポン(フランス)を相手にせず、1分42秒送襟絞「一本」。文句なしの内容で決勝へと勝ち上がった。

一方フランスの2番手メラニー・レグ=クレモンは初戦でアンバル・ヘルシェス(オランダ)をGS延長戦1分40秒「指導3」、準々決勝はアンドレア・ストヤディノフ(セルビア)をGS延長戦3分「指導3」と消耗戦をしぶとく勝ち抜いてベスト4入り。準決勝は互いに「指導2」で後がなくなった本戦残り50秒、左内股から内股巻込に繋いでミリツァ・ニコリッチ(セルビア)を横倒しに崩す。これで得た「技有」ポイントを守り切って、決勝へと辿り着いた。

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48kg級決勝、古賀がレグ=クレモンから崩袈裟固「一本」

【決勝】
古賀若菜○崩袈裟固(1:02)△メラニー・レグ=クレモン(フランス)

決勝はともに左組みの相四つ。まず引き手で襟、次いで釣り手で奥襟を持ちたいレグ=クレモンに対し、古賀はいったん釣り手から持ち、フリーの引き手は相手の釣り手の動きに応じる構え。やりとり数合を経ていったん両者が離れた直後の20秒、組み際に先んじて仕掛けたレグ=クレモンが引き手で襟、釣り手で肩越しに背中を掴む。大枠レグ=クレモンが欲しかったはずの形。しかし古賀動きを止めずに反時計回りに体を捌き、敢えてこの「クロス」を深める方向に動く。レグ=クレモンの反応が遅れる間にそのまま大きく捩じり、背中に食いついて潰すと素早く寝技に移行。両手を掴んだまま捲り返して横四方固に抑え込む。レグ=クレモン激しく抗うが、古賀は相手の動きに応じて体勢を整え、最後は崩袈裟固で抑え切って「一本」。試合時間は1分2秒。古賀、圧勝でグランドスラム大会初優勝を決めた。


決勝、長身の相手にクロスグリップで背中を持たれながら、背後に回って強引に捩り倒したこの対処は体幹の強い古賀ならでは。流れるような寝技への繋ぎも圧巻。潜在能力の高さに技術が噛み合った、文句なしの一番であった。

3位はいずれも古賀に敗れたポンとブクリのフランス勢2人となった。極めて順当な上位のラインナップにあって、健闘は22歳のポン。準々決勝で世界ジュニア王者アッスンタ・スクット(イタリア)を大外落と大外刈の合技「一本」で破り、3位決定戦はカタリナ・コスタ(ポルトガル)に1分7秒大外刈「一本」に仕留め、グランプリ・ザグレブ(優勝)で示した実力をあらためて証明してみせた。倒した敵の格と内容からすれば、レグ=クレモンを凌いでフランスの2番手として位置づけられてもまったくおかしくない出来。

入賞者と準々決勝以降の結果、日本代表選手全試合の結果は下記。全試合結果は"記録ページを参照のこと。

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48kg級メダリスト。左から2位のメラニー・レグ=クレモン、優勝の古賀若菜、3位のシリーヌ・ブクリとプロンディーヌ・ポン。

(エントリー19名)

【入賞者】
1.KOGA, Wakana (JPN)
2.LEGOUX CLEMENT, Melanie (FRA)
3.BOUKLI, Shirine (FRA)
3.PONT, Blandine (FRA)
5.NIKOLIC, Milica (SRB)
5.COSTA, Catarina (POR)
7.SCUTTO, Assunta (ITA)
7.STOJADINOV, Andrea (SRB)

【成績上位者】
優 勝:古賀若菜
準優勝:メラニー・レグ=クレモン(フランス)
第三位:シリーヌ・ブクリ(フランス)、プロンディーヌ・ポン(フランス)

【準々決勝】
古賀若菜○優勢[技有・内股透]△シリーヌ・ブクリ(フランス)
プロンディーヌ・ポン(フランス)○合技[大外落・大外刈](3:50)△アッスンタ・スクット(イタリア)
ミリツァ・ニコリッチ(セルビア)○背負投(1:02)△カタリナ・コスタ(ポルトガル)
メラニー・レグ=クレモン(フランス)○GS反則[指導3](GS3:00)△アンドレア・ストヤディノフ(セルビア)

【敗者復活戦】
シリーヌ・ブクリ(フランス)○合技[隅返・引込返](2:55)△アッスンタ・スクット(イタリア)
カタリナ・コスタ(ポルトガル)○横四方固(3:43)△アンドレア・ストヤディノフ(セルビア)

【準決勝】
古賀若菜○送襟絞(1:42)△プロンディーヌ・ポン(フランス)
メラニー・レグ=クレモン(フランス)○優勢[技有・内股巻込]△ミリツァ・ニコリッチ(セルビア)

【3位決定戦】
シリーヌ・ブクリ(フランス)○優勢[技有・隅落]△ミリツァ・ニコリッチ(セルビア)
プロンディーヌ・ポン(フランス)○大外刈(1:07)△カタリナ・コスタ(ポルトガル)

【決勝】
古賀若菜○崩袈裟固(1:02)△メラニー・レグ=クレモン(フランス)

【日本代表選手勝ち上がり】

古賀若菜(山梨学院大2年)
成績:優勝


【2回戦】
古賀若菜○腕緘(2:37)△ナターシャ・フェレイラ(ブラジル)

【準々決勝】
古賀若菜○優勢[技有・内股透]△シリーヌ・ブクリ(フランス)

【準決勝】
古賀若菜○送襟絞(1:42)△プロンディーヌ・ポン(フランス)

【決勝】
古賀若菜○崩袈裟固(1:02)△メラニー・レグ=クレモン(フランス)

■ 52kg級 ジェフェン・プリモが混戦制す、武田亮子は初戦敗退
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52kg級準々決勝、アストリード・ネトがアレシア・クズネツォワから大外刈「一本」

(エントリー18名)

第1シードのアストリード・ネト(フランス)と第2シードのジェフェン・プリモ(イスラエル)が順当に決勝進出。

ネトは初戦で日本代表・武田亮子(コマツ)と対戦。この試合はネトの得意とする「指導」の取り合いに武田が嵌った形で、1分20秒に偽装攻撃の咎で「指導1」、2分16秒に両者に取り組まない咎で「指導2」、最後はネトの奥襟圧力に武田が耐えきれず膝を屈した際に脚を抱えてしまい、2分32秒に3つ目の「指導」が宣されてあっさり試合が終わった。ネトは躓きゼロのまま順当勝ち、武田は初戦で畳から姿を消すこととなった。

ネト、続く準々決勝ではアレシア・クズネツォワ(ロシア)から2分間で「指導」2つを奪う磐石の試合運び。最後は膝車、さらに右「小内払い」で振り回してからの右大外刈「一本」(2:31)というパワー溢れる連携で完勝。準決勝ではこの日内股、大外刈と切れのある投げ技を見せ勝ち上がったビシュレルト・ホルロードイ(モンゴル)を得意のインサイドワークで封殺、GS延長戦「指導3」を得て見事決勝進出を決めた。

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52kg級準決勝、ジェフェン・プリモがマシャ・バルハウスから大内刈「技有」

プリモは2回戦のアナイス・モスディエ(フランス)戦をGS延長戦の「指導3」で切り抜けると、準々決勝ではアナスタシア・ポリカルボワ(ロシア)と対戦。56秒に「一本」級の右内股を食ってまさかの「技有」を失うも、1分49秒左大外刈「技有」で追い付くと、最後は左釣腰「一本」で勝ち越し。投げて投げられ、投げられて投げるプリモらしい戦いでベスト4入り決定。続く準決勝の相手はマシャ・バルハウス(ドイツ)。この試合は一方的に「指導2」を奪ってリードして迎えたGS延長戦開始8秒、相手の左谷落を右大内刈で切り返し「技有」を奪って勝利決定。バルハウスは初戦で先月のグランプリ・ザグレブでネトを破って優勝したアンバル・リヘウ(ベルギー)を下すなどこの日はかなりの勢いがあったが、ここはプリモが優勝候補の力を見せつけた形となった。

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52kg級決勝、プリモがネトから隅落「技有」

【決勝】
ジェフェン・プリモ(イスラエル)○GS技有・隅落(GS2:02)△アストリード・ネト(フランス)

迎えた決勝はプリモが左、ネトが右組みのケンカ四つ。投げのプリモ、圧殺のネトと属性真逆の顔合わせである。この構図通り序盤からネトが圧殺戦法を徹底。場外際で崩し技である「ケンカ四つクロス」からの右内股を仕掛けて攻勢を演出し続け、プリモには本戦1分12秒、そしてGS延長48秒と一方的に「指導」が積み重なる。しかし試合は簡単には終わらない。なかなか突破口を見いだせないプリモであったがじっと機を待ち、GS延長2分2秒、集中力の切れ始めたネトの油断を見逃さず一気に動く。明らかに雑な右釣込腰の潰れ際を狙い、隅落で捲り返して「技有」奪取。この一撃で逆転、みごと優勝を決めた。終始圧力に晒され続ける苦しい試合であったが、相手の苦手な時間帯まで我慢を重ねたプリモの粘りに軍配が上がった形となった。プリモは2019年7月のグランプリ・モントリオール以来2度目のワールドツアー優勝、初のグランドスラム大会制覇。

3位にはバルハウスとビシュレルト・ホルロードイが入賞。今年の世界ジュニア王者クロエ・デヴィクト(フランス)は準々決勝でバルハウスに本戦終了間際の釣腰「一本」で苦杯、敗者復活戦の一本勝ちを経て迎えた3位決定戦もホルロードイにGS延長戦の腕挫十字固「一本」で敗れて、5位に終わった。

入賞者と準々決勝以降の結果、日本代表選手全試合の結果は下記。全試合結果は"記録ページを参照のこと。

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52kg級メダリスト。左から2位のアストリード・ネト、優勝のジェフェン・プリモ、3位のマシャ・バルハウスとビシュレルト・ホルロードイ。

(エントリー18名)

【入賞者】
1.PRIMO, Gefen (ISR)
2.GNETO, Astride (FRA)
3.BALLHAUS, Mascha (GER)
3.BISHRELT, Khorloodoi (MGL)
5.KUZNETSOVA, Alesya (RUS)
5.DEVICTOR, Chloe (FRA)
7.DEGUCHI, Kelly (CAN)
7.POLIKARPOVA, Anastasia (RUS)

【成績上位者】
優 勝:ジェフェン・プリモ(イスラエル)
準優勝:アストリード・ネト(フランス)
第三位:マシャ・バルハウス(ドイツ)、ビシュレルト・ホルロードイ(モンゴル)

【準々決勝】
アストリード・ネト(フランス)○大外刈(2:31)△アレシア・クズネツォワ(ロシア)
ビシュレルト・ホルロードイ(モンゴル)○GS大外刈(GS1:33)△ケリー・デグチ(カナダ)
ジェフェン・プリモ(イスラエル)○釣腰(3:48)△アナスタシア・ポリカルボワ(ロシア)
マシャ・バルハウス(ドイツ)○釣腰(3:55)△クロエ・デヴィクト(フランス)

【敗者復活戦】
アレシア・クズネツォワ(ロシア)○GS反則[指導3](GS2:28)△ケリー・デグチ(カナダ)
クロエ・デヴィクト(フランス)○合技[背負投・崩上四方固](4:00)△アナスタシア・ポリカルボワ(ロシア)

【準決勝】
アストリード・ネト(フランス)○GS反則[指導3](GS1:13)△ビシュレルト・ホルロードイ(モンゴル)
ジェフェン・プリモ(イスラエル)○GS大内刈(GS0:09)△マシャ・バルハウス(ドイツ)

【3位決定戦】
マシャ・バルハウス(ドイツ)○GS技有・小外刈(GS0:59)△アレシア・クズネツォワ(ロシア)
ビシュレルト・ホルロードイ(モンゴル)○GS腕挫十字固(GS4:04)△クロエ・デヴィクト(フランス)

【決勝】
ジェフェン・プリモ(イスラエル)○GS技有・隅落(GS2:02)△アストリード・ネト(フランス)

【日本代表選手勝ち上がり】

武田亮子(コマツ)
成績:2回戦敗退


【2回戦】
武田亮子△反則[指導3](2:33)○アストリード・ネト(フランス)

■ 57kg級 舟久保遥香がワールドツアー初優勝
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1回戦を戦う舟久保遥香

(エントリー19名)

第1シードのエテリ・リパルテリアニ(ジョージア)を筆頭に有力選手が多く参加した、今大会屈指の激戦階級。決勝には日本代表の舟久保遥香(三井住友海上)とダークホースの21歳・カロリーヌ・フリッツェ(ドイツ)が勝ち上がった。

舟久保は持ち味である寝技、足技、そしてしぶとさを存分に発揮しての勝ち上がり。2回戦から登場すると、ヴェラ・ゼマノワ(チェコ)に右小内刈と「腕緘返し」からの縦四方固の合技「一本」(2:36)で勝利。続く準々決勝でも、グランプリ・ザグレブを制したばかりで勢いに乗るプリシラ・ネト(フランス)を相手に、一方的に「指導2」を積んだ末に「腹包み」からの「舟久保固め」で一本勝ち(3:10)を収める。続く準決勝の相手は前戦で優勝候補のエテリ・リパルテリアニ(ジョージア)を左内股「技有」で下した地元フランスの新星・ファイザ・モクダ(フランス)。この試合は先に「指導2」を負う苦しい展開となったが、組み際に奥を叩いての右大内刈で「技有」を奪取。そのまま縦四方固で抑え込み、合技「一本」(3:35)で決勝へと勝ち上がった。

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準決勝、カロリーヌ・フリッツェがカヤ・カイゼルから腕挫十字固「一本」

一方のフリッツェは1回戦でカルラ・ウバサルト=マスカロ(スペイン)を豪快な左釣腰「一本」(0:07)で「秒殺」。これで勢いに乗ると、以降は2回戦で第3シードのジェシカ・ペレイラ(ブラジル)にGS延長戦での裏投「技有」(GS4:37)、準々決勝でマーサ・ファワ(フランス)に左出足払「一本」(2:35)と3試合続けて投げを決めてベスト4入り。準決勝では第2シードで東京五輪でも5位を獲得しているカヤ・カイゼル(スロベニア)を、腕挫十字固「一本」(2:06)で下して決勝の畳へと辿り着いた。

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決勝、舟久保がフリッツェを相手に寝技を展開

【決勝】
舟久保遥香○腕緘(0:52)△カロリーヌ・フリッツェ(ドイツ)

舟久保が右、フリッツェが左組みのケンカ四つ。舟久保は組み手の過程を最小限に抑え、ファーストタッチで釣り手を内、引き手で袖口付近を持つ良い形を完成する。ここから右小外刈に右体落と技を繋ぐが、場外際での強引な左体落で引き手を切られてしまい「待て」となる。続く展開、舟久保今度は引き手で相手の釣り手を手繰って釣り手で奥襟を確保。圧を掛けながら引きずり回して右小内刈で伏せさせると、「腹包み」から得意の寝技を展開する。いわゆる「秋本返し」の形から腹側の手を離して膝を持ち、立技の帯取返の形で相手を捲り、敢えて足を絡ませて固定。そこから相手の腕を取り、足を抜きながら腕緘で捻じりあげる。エントリーから決着まで僅か20秒の早業。フリッツェは何も出来ず、48秒に「参った」を表明。舟久保、オール一本勝ちでワールドツアー大会初優勝を決めた。

この日の舟久保はほぼ完璧に近い出来。しぶとい組み手、足技、寝技とそれぞれを進化させてバリエーションを増やすることはもちろん、この3つのパーツをシームレスに繋ぎ、連動させることでその効果を一段も二段も引き上げていた。組み手との連携の利いた足技、そして得意の「舟久保固め」をあくまで選択肢の1つに押し込め、状況に応じた技術で獲り切った寝技に、進化の意志は端的。国内序列3番手の位置は変わらずも、明らかに選手として一段階段を上がった様子。今後の活躍が非常に楽しみだ。

2位のフリッツェもグランプリ・ザグレブの3位に続く2大会連続のメダル獲得。パワーを生かした豪快な投げ技は非凡なセンスを感じさせた。

練れた組み手と立技に寝技と何でもできる全方位性をテコにリパルテリアニを破ったモクダ(最終成績は5位)も良かった。フリッツェは21歳、モクダは20歳。楽しみな若手の活躍が目立ったトーナメントであった。

入賞者と準々決勝以降の結果、日本代表選手全試合の結果は下記。全試合結果は"記録ページを参照のこと。

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57kg級メダリスト。左から2位のカロリーヌ・フリッツェ、優勝の舟久保遥香、3位のエテリ・リパルテリアニとミナ・リベール。

【入賞者】
1.FUNAKUBO, Haruka (JPN)
2.FRITZE, Caroline (GER)
3.LIPARTELIANI, Eteri (GEO)
3.LIBEER, Mina (BEL)
5.KAJZER, Kaja (SLO)
5.MOKDAR, Faiza (FRA)
7.GNETO, Priscilla (FRA)
7.FAWAZ, Martha (FRA)

【成績上位者】
優 勝:舟久保遥香(三井住友海上)
準優勝:カロリーヌ・フリッツェ(ドイツ)
第三位:エテリ・リパルテリアニ(ジョージア)、ミナ・リベール(ベルギー)

【準々決勝】
ファイザ・モクダ(フランス)○優勢[技有・内股]△エテリ・リパルテリアニ(ジョージア)
舟久保遥香○崩上四方固(3:30)△プリシラ・ネト(フランス)
カヤ・カイゼル(スロベニア)○GS反則[指導3](GS5:33)△ミナ・リベール(ベルギー)
カロリーヌ・フリッツェ(ドイツ)○左出足払(2:35)△マーサ・ファワ(フランス)

【敗者復活戦】
エテリ・リパルテリアニ(ジョージア)○裏投(2:22)△プリシラ・ネト(フランス)
ミナ・リベール(ベルギー)○隅落(3:53)△マーサ・ファワ(フランス)

【準決勝】
舟久保遥香○合技[大内刈・縦四方固](3:35)△ファイザ・モクダ(フランス)
カロリーヌ・フリッツェ(ドイツ)○腕挫十字固(2:06)△カヤ・カイゼル(スロベニア)

【3位決定戦】
エテリ・リパルテリアニ(ジョージア)○不戦△カヤ・カイゼル(スロベニア)
ミナ・リベール(ベルギー)○GS技有・大内刈(GS2:45)△ファイザ・モクダ(フランス)

【決勝】
舟久保遥香○腕緘(0:52)△カロリーヌ・フリッツェ(ドイツ)

■ 63kg級 階級変更のティモが優勝
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準決勝、バルバラ・ティモがアンジェリカ・シマンスカを外巻込で攻める

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準決勝、ルーシー・レンシャルがマノン・デケテから腕挫三角固「一本」

(エントリー24名)

東京世界選手権70kg級2位のバルバラ・ティモ(ポルトガル)と、第2シードのルーシー・レンシャル(イギリス)が決勝へと進出した。

この大会から階級を下げて参加のティモは1回戦でインバル・シェメシュ(イスラエル)を27秒、左一本背負投2発による合技「一本」で一蹴。2回戦で第4シードのボルド・ガンハイチ(モンゴル)を3分33秒、先手攻撃の徹底による「指導3」の反則で下すと、準々決勝ではクリスティーナ・カバナ=ペレス(スペイン)を1分19秒に左内巻込と左小外掛の合技「一本」で撃破。準決勝のアンジェリカ・シマンスカ(ポーランド)戦では再び2回戦と同様の先手攻撃戦法でGS延長戦に入ってから一方的に「指導」3つを押し付け、GS2分55秒に相手の反則で決勝進出を決めた。

一方のレンシャルは2回戦でナディア・バジンスキー(ドイツ)に「指導3」の反則(GS1:30)、準々決勝でレナタ・ザコワ(チェコ)に指導3の反則(GS2:08)と、序盤の2試合をともに持ち前の体の強さとしぶとさを生かした「指導」の累積で勝利してベスト4入り。続く準決勝は地元選手のマノン・デケテ(フランス)に右大外刈「技有」を先行される苦しい展開となったが、得意の寝勝負に持ち込むと腕挫三角固を極めて逆転の「一本」(2:56)。珍しい決まり技で一段勢いづいた感あり、みごと決勝の畳へと勝ち上がった。

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決勝、ティモがレンシャルから一本背負投様に上体を固めた左大内刈で「技有」

【決勝】

バルバラ・ティモ(ポルトガル)○GS技有・大内刈(GS0:24)△ルーシー・レンシャル(イギリス

ティモが右、レンシャルが左組みのケンカ四つ。ティモはこの試合も先手攻撃でリズムを作りに掛かる。するとレンシャルもこれに釣られるように先手志向を強め、試合は組み際にティモの担ぎ技とレンシャルの左袖釣込腰がぶつかり続ける展開となる。序盤は地力に勝るレンシャルがやや優位、2分29秒にティモに消極的姿勢の「指導」。以降も大枠の構図は変わらず、3分15秒にはレンシャルが「腕緘返し」から崩上四方固で抑え込み掛ける場面も生まれる。しかしこれは上体の拘束が不十分で決め切れず、試合はレンシャルの「指導1」リードのままGS延長戦へ持ち込まれる。

延長戦の開始直後の攻防、ティモは組み際の一瞬の膠着から急加速。左一本背負投の形に相手の腕を抱えながら、組み手とは逆の左大内刈に飛び込む。この奇襲にレンシャル腰が砕けてガクリと崩れ、ティモがそのまま押し込むと体側から落ちて「技有」となる。試合時間はGS延長戦24秒、これでティモの優勝が決まった。

ティモは63kg級初参戦にして初優勝。トップ選手の参加はほぼなかったとはいえ、階級を上げる以上に調整の難しい下の階級への変更でいきなり結果を残してみせた。上位陣が加わる今後の大会でも結果を出し続けられるのか、30歳のベテラン・ティモの活躍に注目である。

入賞者と準々決勝以降の結果、日本代表選手全試合の結果は下記。全試合結果は"記録ページを参照のこと。

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63kg級メダリスト。左から2位のルーシー・レンシャル、優勝のバルバラ・ティモ、3位のマノン・デケテとアンジェリカ・シマンスカ。

【入賞者】
1.TIMO, Barbara (POR)
2.RENSHALL, Lucy (GBR)
3.DEKETER, Manon (FRA)
3.SZYMANSKA, Angelika (POL)
5.COBAN, Sappho (GER)
5.VALKOVA, Ekaterina (RUS)
7.CABANA PEREZ, Cristina (ESP)
7.ZACHOVA, Renata (CZE)

【成績上位者】】
優 勝:バルバラ・ティモ(ポルトガル)
準優勝:ルーシー・レンシャル(イギリス)
第三位:マノン・デケテ(フランス)、アンジェリカ・シマンスカ(ポーランド)

【準々決勝】
アンジェリカ・シマンスカ(ポーランド)○腕挫十字固(0:13)△サッフォ・コバン(ドイツ)
バルバラ・ティモ(ポルトガル)○合技[内巻込・小外掛](1:19)△クリスティーナ・カバナ=ペレス(スペイン)
ルーシー・レンシャル(イギリス)○GS反則[指導3](GS2:08)△レナタ・ザコワ(チェコ)
マノン・デケテ(フランス)○肩車(3:16)△エカテリーナ・ヴァルコワ(ロシア)

【敗者復活戦】
サッフォ・コバン(ドイツ)○大外返(3:56)△クリスティーナ・カバナ=ペレス(スペイン)
エカテリーナ・ヴァルコワ(ロシア)○GS反則[指導3](GS0:16)△レナタ・ザコワ(チェコ)

【準決勝】
バルバラ・ティモ(ポルトガル)○GS反則[指導3](GS2:55)△アンジェリカ・シマンスカ(ポーランド)
ルーシー・レンシャル(イギリス)○腕挫三角固(2:56)△マノン・デケテ(フランス)

【3位決定戦】
マノン・デケテ(フランス)○裸絞(0:56)△サッフォ・コバン(ドイツ)
アンジェリカ・シマンスカ(ポーランド)○GS技有・小内刈(GS4:17)△エカテリーナ・ヴァルコワ(ロシア)

【決勝】
バルバラ・ティモ(ポルトガル)○GS技有・大内刈(GS0:24)△ルーシー・レンシャル(イギリス

■ 70kg級 新添左季が圧勝V、世界選手権ファイナリスト2人を相手にせず
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準々決勝、新添左季が大野陽子から小外刈「技有」

(エントリー13名)

決勝に勝ち上がったのは新添左季(自衛隊体育学校)と、6月のブダペスト世界選手権王者のバルバラ・マティッチ(クロアチア)。

新添は1回戦でルーシー・ジャロ(フランス)を畳に迎えると、開始27秒まず左内股「技有」を確保。さらに1分30秒にはまず右足の背で相手の左足を内から払い、次いで相手の反応に合わせて左足で払う、いわゆる「フォンセカ」に類する払釣込足の巧技で「技有」を追加。充実の合技「一本」で初戦を突破する。

続く準々決勝の相手はブダペスト世界選手権2位の大野陽子(コマツ)。二人のこれまでの戦いを考えれば長時間試合は必至と予想されたが、この試合は1分9秒、左小外刈で「技有」を先行。釣り手側に呼び込む動きから一度左大外刈を見せ、ここから変化して押し込んだ力強い一撃であった。このまま頭側に回り込んで崩上四方固で抑え込み、僅か1分28秒の合技「一本」。

準決勝でもエレン・サンタナ(ブラジル)から1分8秒に燕返「技有」、2分7秒に左大外刈「一本」と連取して圧勝。一本勝ちを3つ並べて、みごと決勝の畳に勝ち上がった。

一方のマティッチは準々決勝からの登場。ここでツェレンデュラム・エンフチメグ(モンゴル)を開始8秒の左大内刈と2付33秒の横四方固の合技「一本」で下すと、続く準決勝ではケリー・ピーターセン=ポラード(イギリス)を「一本」級の豪快な左内股「技有」による優勢勝ちで退けて決勝へと辿り着いた。

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決勝、新添がバルバラ・マティッチを小外刈で大きく崩す。このまま抑え込みに繋いで勝利を決めた。

【決勝】
新添左季○横四方固(2:40)△バルバラ・マティッチ(クロアチア)

新添が左、マティッチが両組み。マティッチは右、左と構えを変えながら組み手を争い、この対応に新添が苦慮する間にその釣り手を絞り、左相四つで組み勝った形を作る。しかし、地力は新添が上。正面から勝負するのは分が悪いと感じたか、自ら低い右一本背負投に掛け潰れて展開を切る。続く攻防もマティッチが優位。まず左で袖を得て新添を振り回し、瞬時に左組みにスイッチしての左大外刈で伏せさせる。新添は慣れない両組み相手に戦いにくそうな様子。しかし、続く展開では両手同時に持つことで先に形を作り、57秒に膝裏への左小外刈で惜しい場面を作る。以降は再びマティッチが組み手で優位に立つ時間が続くが、新添は過剰に反応せず、組み負けながらもじりじり前に出ながら機を窺う。2分2秒、マティッチの左大内刈の戻り際に新添が左小外刈。膝裏に引っ掛けて追い込み潰すと、そのまま右で相手の脇を掬って胸を合わせ、横四方固で抑え込む。新添の左は襟を握ったまま相手の首を跨いでおり、絞めと抑えを利かされたマティッチは微動だに出来ない。そのまま20秒が経過。ブザーとともに「一本」が宣告され、2分40秒、新添の優勝が決まった。

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準決勝、新添左季がエレン・サンタナから大外刈「一本」

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3位決定戦を戦う大野陽子

この日の新添は結果、内容ともに見事の一言。まだ組み手に甘い部分は見られたものの、もともと得意であった左内股や左大外刈などの大技のほかに、これと連動させた足技が冴えていた。ともに好内容だった4月の全日本選抜体重別選手権と6月のブダペスト世界選手権の団体戦と比べても明らかに一段進化しており、この点も高評価。なにより大野、マティッチとの直接対決を制した事実は大きい。これからパリ五輪までの3年間、国内、そして世界のこの階級が新添を中心に争われることを予感させるに十分な内容だった。

大野は前述のとおり、初戦となった準々決勝で新添に敗れて本戦から脱落。以降はまず敗者復活戦でケイティ=ジェミマ・イェーツ=ブラウン(イギリス)から2分54秒、崩上四方固「一本」で勝利。続く3位決定戦はランキング33位のケリー・ピーターセン=ポラード(イギリス)とまさかの長時間試合も、GS延長戦の3分13秒、左内股「技有」を得て表彰台を確保した。最低限の結果は残した格好だが、勝利した試合を含め、やはり今現在眼の前で起きていることのみに集中してしまう試合構成力の低さが課題。いま一度の奮起と成長に期待したい。

入賞者と準々決勝以降の結果、日本代表選手全試合の結果は下記。全試合結果は"記録ページを参照のこと。

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70kg級メダリスト。左から2位のバルバラ・マティッチ、優勝の新添左季、3位のヒルデ・ヤヘルと大野陽子。

【入賞者】
1.NIIZOE, Saki (JPN)
2.MATIC, Barbara (CRO)
3.JAGER, Hilde (NED)
3.ONO, Yoko (JPN)
5.SANTANA, Ellen (BRA)
5.PETERSEN POLLARD, Kelly (GBR)
7.TSERENDULAM, Enkhchimeg (MGL)
7.YEATS-BROWN, Katie-Jemima (GBR)

【成績上位者】
優 勝:新添左季(自衛隊体育学校)
準優勝:バルバラ・マティッチ(クロアチア)
第三位:大野陽子(コマツ)、ヒルデ・ヤヘル(オランダ)

【準々決勝】
バルバラ・マティッチ(クロアチア)○合技[大内刈・横四方固](2:34)△ツェレンデュラム・エンフチメグ(モンゴル)
ケリー・ピーターセン=ポラード(イギリス)○片手絞(2:30)△ヒルデ・ヤヘル(オランダ)
新添左季○合技[小外刈・崩上四方固](1:28)△大野陽子
エレン・サンタナ(ブラジル)○優勢[技有・大内刈]△ケイティ=ジェミマ・イェーツ=ブラウン(イギリス)

【敗者復活戦】
ヒルデ・ヤヘル(オランダ)○反則[指導3](2:29)△ツェレンデュラム・エンフチメグ(モンゴル)
大野陽子○崩上四方固(2:54)△ケイティ=ジェミマ・イェーツ=ブラウン(イギリス)

【準決勝】
バルバラ・マティッチ(クロアチア)○優勢[技有・内股]△ケリー・ピーターセン=ポラード(イギリス)
新添左季○大外刈(2:08)△エレン・サンタナ(ブラジル)

【3位決定戦】
ヒルデ・ヤヘル(オランダ)○合技[小内刈・袈裟固](4:00)△エレン・サンタナ(ブラジル)
大野陽子○GS技有・内股(GS3:13)△ケリー・ピーターセン=ポラード(イギリス)

【決勝】
新添左季○横四方固(2:40)△バルバラ・マティッチ(クロアチア)

【日本代表選手勝ち上がり】

新添左季(自衛隊体育学校)
成績:優勝


【1回戦】
新添左季○合技[内股・払釣込足](1:32)△ルーシー・ジャロ(フランス)

【準々決勝】
新添左季○合技[小外刈・崩上四方固](1:28)△大野陽子

【準決勝】
新添左季○大外刈(2:08)△エレン・サンタナ(ブラジル)

【決勝】
新添左季○横四方固(2:40)△バルバラ・マティッチ(クロアチア)

大野陽子(コマツ)
成績:3位


【準々決勝】
大野陽子△合技[小外刈・崩上四方固](1:28)○新添左季

【敗者復活戦】
大野陽子○崩上四方固(2:54)△ケイティ=ジェミマ・イェーツ=ブラウン(イングランド)

【3位決定戦】
大野陽子○GS技有・内股(GS3:13)△ケリー・ピーターセン=ポラード(イングランド)

■ 78kg級 バビンツェワが決勝で髙山莉加破る、泉真生はまさかの初戦敗退
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準決勝、髙山莉加がカレン・スティーフェンソンから一本背負投「技有」

(エントリー16名)

決勝進出者は2018年バクー世界選手権3位のアレクサンドラ・バビンツェワ(ロシア)と髙山莉加(三井住友海上)。

バビンツェワは第4シード。バットバヤル・エルデネトオド(モンゴル)を24秒の左大内刈「一本」に仕留めて初戦を突破すると、最初の山場となった準々決勝ではインバル・ラニル(イスラエル)と対戦。開始17秒に裏投「技有」を先行されるも、1分31秒に腕挫十字固「一本」で逆転勝ちを収めてベスト4に勝ち上がる。勝負どころの準決勝では第1シードのルイーズ・マルツァーン(ドイツ)を1分9秒、相手の右釣腰を被り潰しての横四方固「一本」で破り、3試合連続の一本勝ちで決勝へと辿り着いた。

一方の髙山は尻上がりに調子を上げての勝ち上がり。1回戦こそカルラ・プロダン(クロアチア)に終盤の右内股「技有」での優勢勝ちといまひとつ乗れない様子であったが、続く準々決勝ではサマ=アワ・カマハ(フランス)を「腕緘返し」からの縦四方固で抑え込み、1分15秒「一本」。準決勝ではカレン・スティーフェンソン(オランダ)を僅か34秒、左一本背負投と崩上四方固の合技「一本」に仕留めて決勝進出を果たした。

髙山とともに出場した日本代表の泉真生(コマツ)はまさかの初戦敗退。ナタリー・パウエル(イギリス)を相手に30秒、右小外刈「技有」を先行したが、1分17秒に深く入りすぎた右内股を裏投に切り替えされて一本負け。予選ラウンドで姿を消すこととなった。

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決勝、アレクサンドラ・バビンツェワが髙山から小外掛「一本」

【決勝】
アレクサンドラ・バビンツェワ(ロシア)○小外掛(2:48)△髙山莉加

バビンツェワが左、髙山が右組みのケンカ四つ。長身でリーチに勝るバビンツェワは釣り手で背中深くを抱かんとする。これを髙山が嫌い、持っては離れての組み手の攻防が続く。59秒には密着を嫌った髙山が右外巻込で伏せ、展開が切れて「待て」。以降も大枠の構図は変わらず、背中を抱いて密着したいバビンツェワに、前襟を突いて距離を取りたい髙山という形で試合が進む。髙山は右大内刈に巴投と技を出すが、相手の懐の深さに吸収されて威力を発揮し切れない、一方バビンツェワの側も髙山の速い動きをなかなか捉えることが出来ず、試合は膠着。ともに決定打のないまま試合時間の半分が経過することとなる。両者が組み合わずに睨み合いとまった2分8秒、双方に取り組まないとして「指導」。ここから寝技の攻防を挟んでの2分40秒、双方が引き手を得ての攻防からバビンツェワが奥襟を得ると、髙山は下から脇下を掬ってしまう対応ミス。これぞバビンツェワが欲しかった「密着」。髙山すぐさま反応、釣り手で前襟の低い位置を突いて距離を取ろうとするも、腕ごと抱き込まれる形となってしまって固定はさらに強まる。バビンツェワは釣り手の握りを後帯まで進め、引き手で脇を掬いながら左小外掛。ここまで作られては髙山抗えず、背中から畳に埋まって2分46秒「一本」。髙山は完敗。東京五輪前から階級の一線で戦い続けたバビンツェワが意地を見せた一番だった。

結果だけ見れば髙山が2位に泉が初戦敗退と明暗が分かれた形だが、敗れた相手は髙山がバビンツェワ、泉がパウエルといずれも日本代表クラスならば決して遅れを取ってはいけないレベルの相手。総体で言えばこの階級は間違いなく「負け」。3番手、4番手の同時派遣を行ったこの階級だが、極めて厳しい現実を突きつけられることとなった。

入賞者と準々決勝以降の結果、日本代表選手全試合の結果は下記。全試合結果は"記録ページを参照のこと。

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78kg級メダリスト。左から2位の髙山莉加、優勝のアレクサンドラ・バビンツェワ、3位のインバル・ラニルとルイーズ・マルツァーン。

【入賞者】
1.BABINTSEVA, Aleksandra (RUS)
2.TAKAYAMA, Rika (JPN)
3.LANIR, Inbar (ISR)
3.MALZAHN, Luise (GER)
5.STEVENSON, Karen (NED)
5.BOEHM, Alina (GER)
7.POWELL, Natalie (GBR)
7.CAMARA, Sama Hawa (FRA)

【成績上位者】
優 勝:アレクサンドラ・バビンツェワ(ロシア)
準優勝:髙山莉加(三井住友海上)
第三位:インバル・ラニル(イスラエル)、ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)

【準々決勝】
ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)○合技[腰車・袈裟固](3:15)△ナタリー・パウエル(イギリス)
アレクサンドラ・バビンツェワ(ロシア)○腕挫十字固(1:31)△インバル・ラニル(イスラエル)
髙山莉加○縦四方固(1:15)△サマ=アワ・カマハ(フランス)
カレン・スティーフェンソン(オランダ)○GS技有・外巻込(GS1:45)△アリナ・ブーン(ドイツ)

【敗者復活戦】
インバル・ラニル(イスラエル)○隅落(0:28)△ナタリー・パウエル(イギリス)
アリナ・ブーン(ドイツ)○GS技有・大内刈(GS0:35)△サマ=アワ・カマハ(フランス)

【準決勝】
アレクサンドラ・バビンツェワ(ロシア)○崩袈裟固(1:09)△ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)
髙山莉加○合技[一本背負投・崩上四方固](0:34)△カレン・スティーフェンソン(オランダ)

【3位決定戦】
インバル・ラニル(イスラエル)○送襟絞(0:23)△カレン・スティーフェンソン(オランダ)
ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)○優勢[技有・一本背負投]△アリナ・ブーン(ドイツ)

【決勝】
アレクサンドラ・バビンツェワ(ロシア)○小外掛(2:48)△髙山莉加

【日本代表選手勝ち上がり】

髙山莉加(三井住友海上)
成績:2位


【1回戦】
髙山莉加○優勢[技有・内股]△カルラ・プロダン(クロアチア)

【準々決勝】
髙山莉加○縦四方固(1:15)△サマ=アワ・カマハ(フランス)

【準決勝】
髙山莉加○合技[一本背負投・崩上四方固](0:34)△カレン・スティーフェンソン(オランダ)

【決勝】
髙山莉加△小外掛(2:48)○アレクサンドラ・バビンツェワ(ロシア)

泉真生(コマツ)
成績:1回戦敗退


【1回戦】
泉真生△裏投(1:20)○ナタリー・パウエル(イングランド)

■ 78kg超級 ヘルシュコが2度目のワールドツアー優勝、残る表彰台3枠はフランス勢が占める
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準々決勝、レア・フォンテーヌがアン=ファトゥメタ・ムバイロを攻める

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準々決勝、ラズ・ヘルシュコがエッソハナム=ノエリン・コロを崩袈裟固で抑え込む

(エントリー9名)

レア・フォンテーヌ(フランス)とラズ・ヘルシュコ(イスラエル)が決勝へと勝ち上がった。

フォンテーヌは準々決勝から登場すると、同国の先輩・アン=ファトゥメタ・ムバイロ(フランス)からGS1分16秒に「指導3」の反則を得て勝利。準決勝では第1シードのホシェリ・ヌネス(ポルトガル)の先手巻き込み戦法で「指導2」を先行される苦しい戦いとなるが、2分7秒に相手の左外巻込を隅落で返した際に相手が右膝を負傷。その後試合が続行されるも、2分37秒にヌネスが棄権を表明し、決勝進出が決まった。

第2シードのヘルシュコも登場は準々決勝から。初戦はエッソハナム=ノエリン・コロ(トーゴ)を左袖釣込腰「技有」から崩袈裟固で抑え込んで、57秒合技「一本」で一蹴。続く準決勝では優勝候補のジュリア・トロフア(フランス)を畳に迎える。この試合はともに攻め手を欠き、両者に1分34秒に消極的姿勢、2分10秒に取り組まない咎で「指導」が2つまで累積。しかしここからヘルシュコがギアを上げて担ぎ技を連発、3分40秒に消極的姿勢で3つ目の「指導」を奪い、相手の反則負けで決勝勝ち上がりを決めた。

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決勝、ラズ・ヘルシュコがレア・フォンテーヌを小内刈で崩す。幾度かポイント級の投げがあった。

【決勝】
ラズ・ヘルシュコ(イスラエル)○GS反則[指導3](GS0:35)△レア・フォンテーヌ(フランス)

ヘルシュコ、フォンテーヌともに右組みの相四つ。試合の主導権は一貫してヘルシュコが握り、小回りの良さを生かして担ぎ技を連発、巨体のフォンテーヌを揺さぶり続ける。一方のフォンテーヌはあくまで立ったまま相手の技を受けてカウンターを狙うが、相手のスピードを捕らえ切れず後手に回ることとなり、1分27秒、2分10秒と消極的試合姿勢の「指導」を立て続けに貰ってしまう。ここで後のなくなったフォンテーヌが組み付きながらの右大外刈で攻めるようになり、試合が動き始める。3分24秒には左一本背負投が抜けたヘルシュコに偽装攻撃の「指導」。さらに直後の3分44秒、フォンテーヌの思い切りの良い右払腰にヘルシュコ一瞬浮いて腹這いで落下。試合の流れがフォンテーヌの側に傾きかける。しかし続く展開、ヘルシュコが前技フェイントの左「一本小内」に飛び込むと、フォンテーヌの巨体が大きく崩れてドサリと後方に倒れる。かろうじて身を翻して伏せたが、流れは再びヘルシュコの側へ。以降は大きな動きないまま本戦の4分間が終わる。

延長戦開始直後の攻防、ヘルシュコ再び前技フェイントからの左小内刈。深く足を絡めて刈り倒すが、今度はフォンテーヌの柔道衣がはだけてしまい決めきれず。しかし、続く展開、ここで試合を決めんとヘルシュコが組み際の左「一本大外」。フォンテーヌ今度も柔道衣をはだけさせながらかろうじて腹這いで伏せるが、ここでフォンテーヌに消極的姿勢の「指導3」が与えられて決着となった。

ヘルシュコは4月のグランドスラム・アンタルヤに続くワールドツアー2勝目。「動ける担ぎ技系」の良さを存分に発揮して、準決勝、決勝と地元選手相手の難しい試合を戦い切った。一方、決勝で敗れたフォンテーヌも相性の悪いこの型の選手に対して意外な引き出しの多さと気持ちの強さを見せて善戦。ワールドツアー初のメダルも手に入れ、存在感を示した1日だった。

3位にはムバイロとのフランス勢対決を3分45秒の「指導3」の反則で制したトロフアと、前戦で負傷したヌネスの棄権による不戦勝ちで勝利したコラリー・ハイメ(フランス)が入賞。2位から3位をフランス勢が占めることとなった。

入賞者と準々決勝以降の結果、日本代表選手全試合の結果は下記。全試合結果は"記録ページを参照のこと。

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78kg超級メダリスト。左から2位のレア・フォンテーヌ、優勝のラズ・ヘルシュコ、3位のジュリア・トロフアとコラリー・ハイメ。

【入賞者】
1.HERSHKO, Raz (ISR)
2.FONTAINE, Lea (FRA)
3.TOLOFUA, Julia (FRA)
3.HAYME, Coralie (FRA)
5.M BAIRO, Anne Fatoumata (FRA)
5.NUNES, Rochele (POR)
7.AMARSAIKHAN, Adiyasuren (MGL)
7.KORO, Essohanam Noeline (TOG)

【準々決勝】
ホシェリ・ヌネス(ポルトガル)○合技[外巻込・外巻込](3:10)△アマルサイハン・アディヤスレン(モンゴル)
レア・フォンテーヌ(フランス)○GS反則[指導3](GS1:56)△アン=ファトゥメタ・ムバイロ(フランス)
ラズ・ヘルシュコ(イスラエル)○合技[袖釣込腰・崩上四方固](0:57)△エッソハナム=ノエリン・コロ(トーゴ)
ジュリア・トロフア(フランス)○優勢[技有・大外刈]△コラリー・ハイメ(フランス)

【敗者復活戦】
アン=ファトゥメタ・ムバイロ(フランス)○合技[大外巻込・後袈裟固](3:31)△アマルサイハン・アディヤスレン(モンゴル)
コラリー・ハイメ(フランス)○合技[体落・横四方固](0:29)△エッソハナム=ノエリン・コロ(トーゴ)

【準決勝】
レア・フォンテーヌ(フランス)○棄権(2:38)△ホシェリ・ヌネス(ポルトガル)
※負傷による
ラズ・ヘルシュコ(イスラエル)○反則[指導3](3:41)△ジュリア・トロフア(フランス)

【3位決定戦】
ジュリア・トロフア(フランス)○反則[指導3](3:45)△アン=ファトゥメタ・ムバイロ(フランス)
コラリー・ハイメ(フランス)○不戦△ホシェリ・ヌネス(ポルトガル)

【決勝】
ラズ・ヘルシュコ(イスラエル)○GS反則[指導3](GS0:35)△レア・フォンテーヌ(フランス)

※ eJudoメルマガ版10月20日掲載記事より転載・編集しています。

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