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【レポート】男子7階級レポート/グランドスラム・パリ2021

(2021年10月22日)

※ eJudoメルマガ版10月22日掲載記事より転載・編集しています。
男子7階級レポート/グランドスラム・パリ2021
(60kg級、66kg級、73kg級、81kg級、90kg級、100kg級、100kg超級)
日時:2021年10月16日~17日
会場:アコーホテルズ・アリーナ・ベルシー(フランス・パリ)

→全試合結果

■ 60kg級 古賀玄暉5位に沈む、優勝はGS初出場の23歳アガエフ
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世界選手権を経験している古賀玄暉は優勝候補の一角

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敗者復活戦、マクシム・メルンを相手に裏投「技有」失陥。「セーフ」のゼスチャーでアピールも判定は覆らず。

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3位決定戦、エンフタイワン・スミヤバザルに内股を返されて「技有」失陥。古賀の最終成績は5位だった。

(エントリー18名)

ジュニア選手とU-23あがりの選手が中心、どの国もツアー経験の浅い2番手以降を送り込んだトーナメント。参加者のレベルは常のグランドスラム大会には遠く及ばず、様相まさに日本でいう「秋の新人戦」といったところ。

そんな中で唯一の大物、東京五輪5位のトルニケ・チャカドア(オランダ)が初戦敗退。無名のエンフタイワン・スミヤバザル(モンゴル)が組み手をスイッチして放った左腰車をまともに食って「技有」失陥、これを取り返せず2回戦で早くも畳を去ることになった。

チャカドアと並ぶ優勝候補だった日本代表・古賀玄暉(旭化成)も準々決勝で本戦トーナメントから脱落。1回戦はアユブ・ブリエフ(ロシア)にGS延長戦59秒「横三角」からの崩上四方固「一本」、2回戦はグランプリ・ザグレブで2位入賞と躍進したニューカマーのアンジェロ・パンターノ(イタリア)に粘り強く寝技を展開しての後袈裟固「一本」とまずまず及第の出来だったが、3試合目で無名の23歳バラバイ・アガエフ(アゼルバイジャン)に捕まった。終盤、右への肩車を一度は捌いたものの立ち上がり際に待ちに出てしまい、再度の一発を深く食らって「技有」失陥。そのまま取り返せず優勢負けとなった。

続く敗者復活戦も国内5番手以下に位置付けられるマクシム・メルン(フランス)に組み際の粗い内股を狙われ、真裏に放られて開始40秒裏投「技有」を失う。首から落ちたが背中は着いていないと「セーフ」のゼスチャーを見せるも審判団は取り合わず。それでも、得意の「草刈り」様のエントリーから寝技に引き込み、下からの腕挫十字固「一本」で急場を切り抜けて逆転勝ち。メダル獲得に望みをつなぐ。

しかし迎えた3位決定戦はチャカドア打倒で勢いに乗るエンフタイワン・スミヤバザルを相手に残り7秒、内股透「技有」を失って万事休す。右内股から頭頂を畳に着いて投げ切ろうとしたが股中で透かされ、体側を着かされてしまった。古賀は自らのポイントをアピール、主審が相手の「技有」を宣告すると両手を広げて「なぜだ」と訝しがるが映像チェックを経ても判定は覆らず。そのまま終戦、最終結果は5位となった。

決勝に進んだのはアガエフと、ラマザン・アブドゥラエフ(ロシア)。アガエフは2018年世界ジュニア選手権55kg級2位の実績があるものの、以降のワールドツアー派遣は2019年グランプリ・トビリシただ1回(初戦敗退)のみ。2019年に参加を許された欧州U-23選手権も初戦敗退(※いずれもジョージアのテムル・ノザゼに一本負け)に終わっており、シニアの2トップの陰に隠れて国際大会派遣自体がほとんどなかった完全なダークホース。一方のアブドゥラエフは2019年欧州U-23選手権の王者で既にツアーでも2度銅メダルを獲得してはいるが、これも同国2トップの陰でなかなか大舞台を踏めない3番手。非常に新鮮な顔合わせとなった。

アガエフは2回戦でジョラン・フロリモン(フランス)からGS延長戦肩車「技有」を得てワールドツアー初勝利。続く準々決勝で古賀を破ると、準決勝はチャカドアを破ったエンフタイワン・スミヤバザルをこれもGS延長戦の肩車「技有」で破ってファイナル進出。

アブドゥラエフはエミール・ヤリング(オランダ)を1分15秒腕挫十字固「一本」、準々決勝でリシャール・ヴェルネ(フランス)を隅落と抱分の合技「一本」(GS0:32)、準決勝でエンフタイワン・アリウンボルド(モンゴル)をGS延長戦肩固「一本」という勝ち上がり。準々決勝は「技有」を先行される苦しい戦いだったが、組み合わせに恵まれたこともあり全試合一本勝ちでの決勝進出となった。

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決勝、バラバイ・アガエフが先んじて脚を差し入れての横落で感触を掴む。

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同じ入り、明らかに狙っていた2発目を深く決め切って「一本」。

【決勝】
バラバイ・アガエフ(アゼルバイジャン)○横落(2:16)△ラマザン・アブドゥラエフ(ロシア)

迎えた決勝はアガエフが左、アブドゥラエフが右組みのケンカ四つ。開始30秒、アブドゥラエフの低い右大内刈をアガエフが大内返に捉えてあわやという場面があったが、これは惜しくもノーポイント。以降はアブドゥラエフが左袖釣込腰に右背負投と度々放ち、力関係優位と感じたか滅多に見せない右内股まで仕掛けて攻勢。直後の1分31秒にはアガエフに消極的試合姿勢の「指導」。試合時間2分を超えたところで、アブドゥラエフの右背負投を乗り越えたアガエフが、左小外掛の形で深く足を伸ばして横落を見せる。これは潜り込みの動作が遅れて決まらなかったが、どうやら感触を掴んだ模様。続く展開、再びアブドゥラエフが右背負投を放つとアガエフまたもや外にかわし、その立ち上がり際に合わせて躊躇なく、今度は一段深く横落。タイミングピタリ、中途半端な姿勢で受けたアブドゥラエフはまったく抗えず背中から畳に沈み2分13秒「一本」。アガエフ、事実上のワールドツアーデビュー戦を見事優勝で飾った。決まり技は横落と肩車のみ。得意技ひとつに特化して試合を組み立て、そしてこの技の威力ゆえに勝ち切ったという、ダークホース勝利の典型的なパターンだった。

入賞者と準々決勝以降の結果、日本代表選手全試合の結果は下記。全試合結果は記録ページを参照のこと。

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60kg級メダリスト。左から2位のラマザン・アブドゥラエフ、優勝したバラバイ・アガエフ、3位のエンフタイワン・アリウンボルドとホマン・ヴァラディエ=ピカール。

【入賞者】
1.AGHAYEV, Balabay (AZE)
2.ABDULAEV, Ramazan (RUS)
3.ENKHTAIVAN, Ariunbold. (MGL)
3.VALADIER PICARD, Romain (FRA)
5.KOGA, Genki (JPN)
5.ENKHTAIVAN, Sumiyabazar (MGL)
7.MERLIN, Maxime (FRA)
7.VERGNES, Richard (FRA)

【成績上位者】
優 勝:バラバイ・アガエフ(アゼルバイジャン)
準優勝:ラマザン・アブドゥラエフ(ロシア)
第三位:エンフタイワン・アリウンボルド(モンゴル)、ホマン・ヴァラディエ=ピカール(フランス)

【準々決勝】
エンフタイワン・スミヤバザル(モンゴル)○優勢[技有・釣腰]△マクシム・メルン(フランス)
バラバイ・アガエフ(アゼルバイジャン)○優勢[技有・肩車]△古賀玄暉
エンフタイワン・アリウンボルド(モンゴル)○GS技有・隅落(GS0:14)△ホマン・ヴァラディエ=ピカール(フランス)
ラマザン・アブドゥラエフ(ロシア)○GS合技[隅落・抱分](GS0:32)△リシャール・ヴェルネ(フランス)

【敗者復活戦】
古賀玄暉○腕挫十字固(2:49)△マクシム・メルン(フランス)
ホマン・ヴァラディエ=ピカール(フランス)○GS技有・小内刈(GS1:02)△リシャール・ヴェルネ(フランス)

【準決勝】
バラバイ・アガエフ(アゼルバイジャン)○GS技有・肩車(GS1:18)△エンフタイワン・スミヤバザル(モンゴル)
ラマザン・アブドゥラエフ(ロシア)○GS肩固(GS1:00)△エンフタイワン・アリウンボルド(モンゴル)

【3位決定戦】
エンフタイワン・アリウンボルド(モンゴル)○優勢[技有・内股透]△古賀玄暉
ホマン・ヴァラディエ=ピカール(フランス)○GS反則[指導3](GS2:21)△エンフタイワン・スミヤバザル(モンゴル)

【決勝】
バラバイ・アガエフ(アゼルバイジャン)○横落(2:16)△ラマザン・アブドゥラエフ(ロシア)

【日本代表選手勝ち上がり】

古賀玄暉(旭化成)
成績:5位


【1回戦】
古賀玄暉○GS崩上四方固(GS0:59)△アユブ・ブリエフ(ロシア)

【2回戦】
古賀玄暉○GS後袈裟固(GS1:59)△アンジェロ・パンターノ(イタリア)

【準々決勝】
古賀玄暉△優勢[技有・肩車]○バラバイ・アガエフ(アゼルバイジャン)

【敗者復活戦】
古賀玄暉○腕挫十字固(2:49)△マクシム・メルン(フランス)

【3位決定戦】
古賀玄暉△優勢[技有・内股透]○エンフタイワン・アリウンボルド(モンゴル)

■ 66kg級 19歳田中龍馬が優勝、決勝は鮮やか浮腰「一本」
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第1シードのデニス・ヴィエルは低調。GPザグレブでの復活劇が嘘のようだった。

(エントリー28名)

第1シードのデニス・ヴィエル(モルドバ)は、好調だったグランプリ・ザグレブと打って変わって動き悪し。2回戦は無名のロバン・コハド(フランス)にGS2分26秒右小内刈「技有」を得て勝ち抜けたが、準々決勝はランキング69位のバットグトフ・エルヘムバヤル(モンゴル)を相手にいずれも片襟で「指導」2つを失った末に、GS延長戦7分21秒裏投「一本」で敗退。大内刈、体落と繋いだ緩い連携の終わり際を、思い切り抱えられてしまった。続く敗者復活戦はアドリアン・ニエト=チナッロ(スペイン)の「ヘッドダイブ」(内股で所謂「頭突っ込み」の反則を犯した)で勝ちを拾ったが、ワリード・キア(フランス)との3位決定戦は逆に自分が「ヘッドダイブ」でダイレクト反則負け。今大会は表彰台にすら手が届かなかった。キアは60kg級からの階級変更最初の試合で、見事メダル獲得。

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準決勝、田中龍馬は背負投を跨がれると袖を掴んだ手を離さず、そのまま掬投様に突進。「担いで、押し込む」この日の戦い方が良く表れた攻防だった。

決勝に進んだのは田中龍馬(筑波大2年)と藤阪泰恒(パーク24)の日本代表選手2人。

19歳の田中はこれがワールドツアーのデビュー戦。どころか国際大会の出場経験はカデカデゴリの2018年ヨーロッパカップ・ビェルスコ=ビャワ(ポーランド・カデ国際大会、7位)と、インターハイ優勝者が派遣される親善大会・エクサンプロバンスジュニア国際(3位)のみで、今回が実質上の国際大会デビュー戦と言ってよい。

しかしその戦いぶりは堂々たるもの。背負投と袖釣込腰を連発する得意の戦型で主導権を取り、次々勝ちを重ねた。組み合わせ上の重心は初戦にあったのだが、この1回戦で今季の欧州ジュニア王者マクシム・ゴベル(フランス)から「指導」差2-3で競り勝ち。以降は組み合わせにも恵まれ、2回戦はセフェリン・エドマイエル(ドイツ)から打点の高い右一本背負投「技有」にこの技をフェイントに使った右小内刈「技有」と連取して快勝。準々決勝はアドリアン・ニエト=チナッロ(スペイン)から右袖釣込腰を押し込んでの「技有」に、釣り手一本の右背負投から引き手を拾いなおしての「技有」とポイントを重ねてこれも合技の一本勝ち。準決勝はバットグトフ・エルヘムバヤル(モンゴル)を相手に「指導」2つを先行されたが、GS延長戦16秒に右小内刈を引っ掛けると、崩れた相手に乗り上げて成果を一段拡大、「技有」確保。これで決勝進出を決めた。

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準決勝、藤阪泰恒がワリード・キアから文句なしの右大外刈「一本」

一方の藤阪の出来は抜群。最大の持ち味である巧みな組み手はもちろんのこと、この日は投技が冴えに冴えた。1回戦は60kg級から階級を上げたばかりのブダペスト世界選手権王者ヤゴ・アブラゼ(ロシア)と対戦、開始33秒にアブラゼ得意の左の巻き込みを待ち構え、股中で捌いて隅落「技有」を確保、このポイントで優勢勝ち。2回戦は2019年の世界ジュニア王者ウィリアン・リマ(ブラジル)から大会ベストスロー級の鮮やかな右足車「一本」で快勝。準々決勝はオーランド・カゾラ(フランス)をこれも鮮やかな右足車と右小内刈の合技「一本」で退け、この日2つ目の山場となったワリード・キアとの準決勝は釣り手で片襟を差しての豪快な右大外刈「一本」で勝ち抜け。アブラゼ、リマ、そしてキアと面倒な相手が揃った難しい道のりをすべて投技で突破。出色の勝ち上がりで決勝に進んだ。

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田中と藤阪による決勝戦

【決勝】
田中龍馬○GS浮腰(GS1:14)△藤阪泰恒

全日本選抜体重別選手権決勝の再戦となるカードは田中、藤阪ともに右組みの相四つ。序盤は藤阪の組み手の巧さが際立つ展開。田中はまず引き手から掴みに、これが難しいとわかると的確に作戦を変えて両手を同時に出して組みに掛かるが、いずれも一瞬後には藤阪のみが引き手で袖を掴む一方的な形が出来上がってしまう。田中は片襟の右背負投と右一本背負投で打開を図るが起点の悪さゆえ技を利かせられず、一方の藤阪は片襟の右小内刈に打点の高い左袖釣込腰と着々己の技を積む。右小内刈の蹴り崩しに田中が潰れた2分6秒には消極的との咎で「指導」、同じく片襟の小内刈の蹴り崩しが利いた2分57秒には極端な防御姿勢との判断で2つ目の「指導」が積み重なる。早くも反則累積差は2-0。直後奮起した田中が組み際に片襟の右背負投を放つが両手が離れて空転、あわや偽装攻撃による「指導3」失陥の危機。これはスルーされたが以後も様相大きくは変わららない。引き手で襟を持ちに来る田中に対して幾度か襟を隠して対応していた藤阪に対し、3分34秒これを見とがめられての「指導」1つが追加されたのみで、試合はGS延長戦へ。

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GS延長戦1分14秒、田中の左浮腰が豪快に決まって「一本」

延長戦に入ると田中が引き手で襟を持って前進に次ぐ前進。藤阪は前段の「襟隠し」による反則失陥もあってか体の強い田中の突進を捌きかね、様相が変わり始める。GS37秒には田中の前進を左袖釣込腰の掛け潰れでなんとかいなして「待て」。直後の組み際ツト田中が釣り手で奥襟、引き手で上腕という強気の組み手を試みると藤阪これをあっさり許してしまい、またもや左背負投に掛け潰れて辛くも状況を流す。流れは少しづつ、しかし確実に田中の側へ。

そして田中の前進行動、そして奥襟密着という行動変容による盤面の変化が、続くGS1分4秒からの展開で結実する。田中が組み際に接近すると、藤阪先んじて釣り手の掌で首裏を抑える強気の組み手。しかし田中は待ってましたとばかりに奥襟を叩き返し、引き手で後帯を持つ密着勝負を選択、間を置かずケンケンの右大内刈に打って出る。ここで藤阪は両手を背でクラッチして迎え撃つという選択ミス。大内返を狙って捩じるが既に腰が浮いており中途半端、一方この形が得意の田中は相手の捩じりを利用していったん呼び込み、時計回りに捩じり返して思い切った左浮腰。藤阪の身体がふわりと浮き上がり、ついで激しく畳に落ちて文句なしの「一本」。試合時間はGS1分14秒。田中みごと優勝決定。決まり技の浮腰は展開から決めまで全日本選抜体重別とほぼまったく同じ技、まるでリプレイを見ているかのような一撃だった。

田中はワールドツアー初出場で初優勝、それもグランドスラム・パリ制覇という快挙達成。準決勝までの勝ち上がりは決して完璧ではなかったが、勝負どころを見抜く目、そして大舞台で投げて「一本」を獲り切る爆発力と肝の太さは見事。

一方の藤阪は準決勝までは完璧な出来。アブラゼとキアに勝利、そして「ただ勝つだけでは評価されない」とばかりに投げにこだわる試合ぶりは見事であったが、肝心の勝負どころで詰めを誤った。「指導2」奪取後の出口戦略に難あり。勝負に貪欲だがここ一番の勝負度胸に欠ける、積年の課題がまたも見えてしまった一番であった。

入賞者と準々決勝以降の結果、日本代表選手全試合の結果は下記。全試合結果は記録ページを参照のこと。

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66kg級メダリスト。左から2位の藤阪泰恒、優勝の田中龍馬、3位のワリード・キアとオーランド・カゾラ。

【入賞者】
1.TANAKA, Ryoma (JPN)
2.FUJISAKA, Taikoh (JPN)
3.KHYAR, Walide (FRA)
3.CAZORLA, Orlando (FRA)
5.VIERU, Denis (MDA)
5.BATTOGTOKH, Erkhembayar (MGL)
7.NIETO CHINARRO, Adrian (ESP)
7.BAYANMUNKH, Narmandakh (MGL)

【成績上位者】
優 勝:田中龍馬(筑波大2年)
準優勝:藤阪泰恒(パーク24)
第三位:ワリード・キア(フランス)、オーランド・カゾラ(フランス)

【準々決勝】
バットグトフ・エルヘムバヤル(モンゴル)○GS裏投(GS7:21)△デニス・ヴィエル(モルドバ)
田中龍馬○合技[袖釣込腰・背負投](3:20)△アドリアン・ニエト=チナッロ(スペイン)
藤阪泰恒○合技[足車・小内刈](2:52)△オーランド・カゾラ(フランス)
ワリード・キア(フランス)○優勢[技有・裏投]△バヤンムンフ・ナルマンダフ(モンゴル)

【敗者復活戦】
デニス・ヴィエル(モルドバ)○反則[DH](0:18)△アドリアン・ニエト=チナッロ(スペイン)
※「ヘッドダイブ」による
オーランド・カゾラ(フランス)○大外刈(1:47)△バヤンムンフ・ナルマンダフ(モンゴル)

【準決勝】
田中龍馬○GS技有・小内刈(GS0:20)△バットグトフ・エルヘムバヤル(モンゴル)
藤阪泰恒○大外刈(2:02)△ワリード・キア(フランス)

【3位決定戦】
ワリード・キア(フランス)○GS反則[DH](GS4:40)△デニス・ヴィエル(モルドバ)
※「ヘッドダイブ」による
オーランド・カゾラ(フランス)○GS釣込腰(GS1:12)△バットグトフ・エルヘムバヤル(モンゴル)

【決勝】
田中龍馬○GS浮腰(GS1:14)△藤阪泰恒

【日本代表選手勝ち上がり】

田中龍馬(筑波大2年)
成績:優勝


【1回戦】
田中龍馬○GS反則[指導3](GS2:23)△マクシム・ゴベル(フランス)

【2回戦】
田中龍馬○合技[一本背負投・小内刈](2:03)△セフェリン・エドマイエル(ドイツ)

【準々決勝】
田中龍馬○合技[袖釣込腰・背負投](3:20)△アドリアン・ニエト=チナッロ(スペイン)

【準決勝】
田中龍馬○GS技有・小内刈(GS0:20)△バットグトフ・エルヘムバヤル(モンゴル)

【決勝】
田中龍馬○GS浮腰(GS1:14)△藤阪泰恒

藤阪泰恒(パーク24)
成績:2位


【1回戦】
藤阪泰恒○優勢[技有・隅落]△ヤゴ・アブラゼ(ロシア)

【2回戦】
藤阪泰恒○GS足車(GS2:28)△ウィリアン・リマ(ブラジル)

【準々決勝】
藤阪泰恒○合技[足車・小内刈](2:52)△オーランド・カゾラ(フランス)

【準決勝】
藤阪泰恒○大外刈(2:02)△ワリード・キア(フランス)

【決勝】
藤阪泰恒△GS浮腰(GS1:14)○田中龍馬

■ 73kg級 原田健士がワールドツアー初優勝、橋本壮市は2回戦敗退
(エントリー31名)
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2回戦、デニス・イアルツェフが橋本壮市から右小外掛で2つ目の「技有」

(エントリー31名)

もと世界王者、今年のブダペスト世界選手権でも銅メダルを獲得している橋本壮市(パーク24)が2回戦で陥落。1回戦はアデバヨ=フレデリック・オリンピオ(トーゴ)を大外落と横四方固の合技「一本」で退ける文句なしの試合ぶりであったが、山場の2回戦でデニス・イアルツェフ(ロシア)に完敗。生命線の引き手を警戒されて展開閉塞、49秒には組み手と逆の左内股を突っ込まれ、この奇襲を捌き切れず「技有」失陥。必死に追いかけたもののここで生まれた隙を突かれ、3分32秒支釣込足を切り返されての右小外掛「技有」で万事休す。まさかの予選ラウンド敗退となった。

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準々決勝、原田健士がエフゲニー・プロコプチュクを攻める

決勝に進んだのは原田健士(ALSOK)とテオ・リキン(フランス)。

原田は1回戦でジョアオ・クリソストモ(ポルトガル)と対戦。この試合はやや慎重に過ぎて時間が掛かってしまったが、相手の捨身技の掛け潰れを捉え、「横三角」から横四方固に繋いでGS延長戦1分29秒「一本」で勝利。ブダペスト世界選手権団体戦決勝で対戦かなわなかった(※橋本壮市に交代) ジョアン=ベンジャマン・ガバ(フランス)との2回戦は、GS延長戦1分34秒に右跳巻込で大きく投げ切り「技有」を得て勝ち抜け。準々決勝はエフゲニー・プロコプチュク(ロシア)の左内股を切り返してまず隅落で「技有」確保。3分52秒には一度小外刈を当てると大きく展開、左小外掛様の裏投に繋ぐ実に原田らしい大技で2つ目の「技有」を得てベスト4入り決定。勝負どころの準決勝はフランスの1番手ギヨーム・シェヌを支釣込足で蹴っておいての左浮落「一本」で下し、しっかり決勝まで勝ち進んだ。

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準決勝、テオ・リキンがソモン・マフマドベコフから「技有」。リキンは格上を食いまくって決勝まで辿り着いた。

一方のリキンは完全なダークホース。決して物凄く強いとはいえないフランス73kg級の、それも序列はおそらく4番手以降。年齢は23歳と若いが決してこれまで世代の一番手だったというわけでもなく、年齢別代表すら昨年の欧州U-23選手権が初めて(※予選ラウンド敗退)というニューカマーだ。もちろんワールドツアー参戦も今大会が初。

しかし試合ぶりは堂々たるもの。まずは1回戦でマルティン・ホヤック(スロベニア)を背負投でいったん崩しておいての浮落「技有」で破るという番狂わせを演じ、これで波に乗ると2回戦はスライマン・ハマド(サウジアラビア)から崩袈裟固「一本」の快勝。準々決勝ではなんとデニス・イアルツェフ(ロシア)を大内刈を切り返しての外巻込「技有」、そして内股透「技有」(橋本を倒した逆の左内股である)と2度投げつけるジャイアントキリング。準決勝では強豪ソモン・マフマドベコフ(タジキスタン)をもGS延長戦の浮落「技有」で食って決勝まで勝ち進んだ。

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決勝、リキンがまともに組まないと見た原田は、直接体を捕まえて投げを放ち始める。

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GS延長戦、横四方固「一本」で原田の勝利が決まった。

【決勝】
原田健士○GS横四方固(GS1:07)△テオ・リキン(フランス)

ともに右組みの相四つ。原田引き手で袖、釣り手で奥襟という組み手の完成を目指してそれぞれの手を前襟、上腕、と変えながら迫るが、リキンは原田の手順が軌道に乗るとすぐさまこれを壊すことを繰り返す。自ら切り、片手を交換し、右袖釣込腰で掛け潰れ、常に形を変えながら展開をリセットして原田に作りの間を与えない。1分16秒、リキンが右袖釣込腰で潰れると原田の側に消極的姿勢の「指導」。原田はならば寝技あるべしと、左一本背負投で潰すと左から背に迫り、捲り返して横四方固様に上半身をクラッチ。絡まれた足を引き抜きに掛かるが、右に降りたところでリキンが反転、惜しくも「待て」。原田右内股から右小内刈で攻めるが、リキンの絞り合い、切り合いに付き合っては大局を失うとばかりに、相手の体を直接抱える形に方針を変更。2分44秒には深く抱えての隅返であわやという場面を作る。リキンは変わらず、原田が袖と奥襟を得る良い組み手を作るとすぐさま釣込腰から巻き込んで展開を切ってしまう。これを見た原田再び背中を抱え、いったん相手の右前隅に走って釣り出すと一転左前隅狙いの隅返。良い攻めでリズムを作って、GS延長戦へ試合を繋ぐ。迎えたGS延長戦30秒過ぎ、間を詰めて来る原田の組み手に逃げどころのなくなったリキンが釣り手で腋下を抱え、反時計回りの浮技に打って出る。しかしこの一発勝負は原田の術中。あっさりかわすと眼前の脚を外し、相手の右から右腕を抱えての横四方固。「抑え込み」宣告から15秒が経ったところでリキンが諦めて「参った」。試合時間GS1分7秒、「一本」で原田の優勝が決まった。原田は2019年グランドスラム大阪に続く2度目の出場で、ワールドツアー大会初制覇。講道館杯2連覇の力を証明した大会だった。

豪華カード2連戦となった3位決定戦は、アレクサンドル・ライク(ルーマニア)がソモン・マフマドベコフ(タジキスタン)を隅落「技有」、ヒダヤット・ヘイダロフ(アゼルバイジャン)がギヨーム・シェヌ(フランス)を肩車「一本」で下してそれぞれ銅メダルを確保した。

入賞者と準々決勝以降の結果、日本代表選手全試合の結果は下記。全試合結果は記録ページを参照のこと。

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73kg級メダリスト。左から2位のテオ・リキン、優勝の原田健士、3位のアレクサンドル・ライクとヒダヤット・ヘイダロフ。

【入賞者】
1.HARADA, Kenshi (JPN)
2.RIQUIN, Theo (FRA)
3.RAICU, Alexandru (ROU)
3.HEYDAROV, Hidayat (AZE)
5.MAKHMADBEKOV, Somon (TJK)
5.CHAINE, Guillaume (FRA)
7.PROKOPCHUK, Evgenii (RUS)
7.IARTCEV, Denis (RUS)

【成績上位者】
優 勝:原田健士(ALSOK)
準優勝:テオ・リキン(フランス)
第三位:アレクサンドル・ライク(ルーマニア)、ヒダヤット・ヘイダロフ(アゼルバイジャン)

【準々決勝】
原田健士○合技[隅落・裏投](3:55)△エフゲニー・プロコプチュク(ロシア)
ギヨーム・シェヌ(フランス)○GS技有・大内刈(GS1:55)△アレクサンドル・ライク(ルーマニア)
テオ・リキン(フランス)○合技[外巻込・内股透](3:50)△デニス・イアルツェフ(ロシア)
ソモン・マフマドベコフ(タジキスタン)○優勢[技有・小外刈]△ヒダヤット・ヘイダロフ(アゼルバイジャン)

【敗者復活戦】
アレクサンドル・ライク(ルーマニア)○合技[釣腰・釣込腰](3:10)△エフゲニー・プロコプチュク(ロシア)
ヒダヤット・ヘイダロフ(アゼルバイジャン)○釣込腰(2:43)△デニス・イアルツェフ(ロシア)

【準決勝】
原田健士○浮落(2:48)△ギヨーム・シェヌ(フランス)
テオ・リキン(フランス)○GS技有・浮落(GS1:14)△ソモン・マフマドベコフ(タジキスタン)

【3位決定戦】
アレクサンドル・ライク(ルーマニア)○優勢[技有・隅落]△ソモン・マフマドベコフ(タジキスタン)
ヒダヤット・ヘイダロフ(アゼルバイジャン)○肩車(2:48)△ギヨーム・シェヌ(フランス)

【決勝】
原田健士○GS横四方固(GS1:07)△テオ・リキン(フランス)

【日本代表選手勝ち上がり】

原田健士(ALSOK)
成績:優勝


【1回戦】
原田健士○GS横四方固(GS1:29)△ジョアオ・クリソストモ(ポルトガル)

【2回戦】
原田健士○GS技有・跳巻込(GS1:34)△ジョアン=ベンジャマン・ガバ(フランス)

【準々決勝】
原田健士○合技[隅落・裏投](3:55)△エフゲニー・プロコプチュク(ロシア)

【準決勝】
原田健士○浮落(2:48)△ギヨーム・シェヌ(フランス)

【決勝】
原田健士○GS横四方固(GS1:07)△テオ・リキン(フランス)

橋本壮市(パーク24)
成績:2回戦敗退


【1回戦】
橋本壮市○合技[大外落・横四方固](1:38)△アデバヨ=フレデリック・オリンピオ(トーゴ)

【2回戦】
橋本壮市△合技[内股・小外掛](3:34)○デニス・イアルツェフ(ロシア)

■ 81kg級 佐々木健志圧勝、金銀メダリスト寄せ付けぬ全試合「一本」
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準々決勝、佐々木健志がマティアス・カッスから横四方固「一本」。試合時間は1分弱、今季の世界王者をまったく相手にしなかった。

(エントリー29名)

今大会随一のハイレベル階級を、日本代表・佐々木健志(ALSOK)が席捲。まず1回戦はアノー・アレグバ(フランス)を2分37秒隅落「一本」で料理。アレグバが右釣り手をクロスに入れて後帯を掴むと、佐々木は引き手を背に回して横抱きに対応。前襟を掴んでいた右釣り手を持ち替えて頭を抱えこむと、左小外掛の形で足を差し入れて反時計回りにグイと捩じる。高く抱えた釣り手を捩じり落とし、引き手で「さば折り」。右脚を高く揚げて落差を作るとアレグバ頭から真っ逆さまに畳に落下「一本」。アレグバの体が大きく弾み、次いで畳に埋まる強烈な一撃だった。続く2回戦でアルフォンソ・ウルキサ=ソラナ(スペイン)を1分15秒の袈裟固「一本」であっさり退けると、準々決勝では6月のブダペスト世界選手権金メダリスト、東京五輪でも銅メダルを獲得したマティアス・カッス(ベルギー)とマッチアップ。業界きっての頭脳派でもあるカッスは佐々木を十分警戒していたが、自身も寝技の強者であることと攻撃型の性格が完全に裏目に出た。開始早々己の右背負投から始まった寝勝負に応じてしまったのが運の尽き、佐々木は2度と立たせず、最後は相手の左から横四方固に抱え込んで1分9秒「一本」。寝技の攻防は極めて濃密で見ごたえあり、さすがはカッスというところであったが、佐々木の方がこの分野では一枚も二枚も上手だった。

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準決勝、佐々木がゲレルツヤ・ボロルオチルから内股透「技有」。

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準決勝、タト・グリガラシヴィリが藤原崇太郎を攻める。

続く準決勝は好組み合わせを生かして勝ち上がって来たこの日の「確変枠」ゲレルツヤ・ボロルオチル(モンゴル)を一蹴。片膝を着いた態勢で敢えて相手の左内股を呼び込み、ケンケンを強い、最後に投げ切らんと力を籠めた瞬間身を捩じって透かし、おのが頭の上でブンと回し落として内股透「技有」。そのまま崩上四方固に抑え込み、1分30秒「一本」で決勝進出を決めた。

もう1人のファイナリストはブダペスト世界選手権の銀メダリスト、タト・グリガラシヴィリ(ジョージア)。いかにもこの人らしく、相手のレベルが高くない序盤戦はむしろ戦いぶり不安定。2回戦はバトトルガ・ムレンツェン(モンゴル)を相手に動き決して鋭からず、2分48秒に得たかなり微妙な肩車「技有」で優勢勝ち。準々決勝はほぼ無名の地元選手ティジ・ニャミアン(フランス)に開始15秒引込返「技有」を失う不首尾。右一本背負投で伏せたところに引込返を食らったのだが、回避ではなく肩車様に投げ返そうとしてしまうという完全な油断だった。映像チェックの結果「技有」が下されると「やれやれ」とばかりに肩をすくめて反撃開始、2分4秒には後帯を引っ掴んでの「釣り出し」から叩き落として隅落「技有」確保。2分54秒には相手の引込返をするりとかわし、引き手一本で相手の体を反時計回りに捌いての浮落「技有」。溢れるパワーとあざやかな体捌き。相撲で一発、合気道で一発という体で合技「一本」。これでベスト4入り決定。

と、かように良くも悪くも遊び心ある試合ぶりを見せていたグリガラシヴィリであるが、準決勝で藤原崇太郎(旭化成)を畳に迎えると態度一変。油断なく組み手を進めると「ケンカ四つクロス」のエントリーから両上腕を掴んで圧し、左大内刈で押し下げて右腰車一撃、強引に投げ切って35秒「技有」確保。残る3分半近い殿戦を「指導2」の猶予を存分に使って戦い切り、佐々木の待つ決勝へと駒を進めることとなった。

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決勝、佐々木が両手をまとめて右背負投。

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角度大きく、頭支点で回し切って「技有」

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右内股「技有」で投げ切ってトドメ。

【決勝】
佐々木健志○合技[背負投・内股](1:17)△タト・グリガラシヴィリ(ジョージア)

「佐々木健志ショー」締めの一番は佐々木が右、グリガラシヴィリが左組みのケンカ四つ。グリガラシヴィリが上腕を掴むと佐々木左一本背負投で外し、釣り手一本で前に押し込む。押されたグリガラシヴィリ思わず畳を割り、体を捨てると下から腕を抱えて腕挫十字固を狙う。佐々木取り合わず立ったまま外し「待て」。続く展開、グリガラシヴィリが釣り手で背を抱えると佐々木いったんわずかに外し、両襟を握った手を左襟の位置でまとめての右背負投に打って出る。回転は270度、ほとんど左隅めがけて放った「韓国背負い」風の一撃。グリガラシヴィリ左側から背を掴んで一瞬耐えたが、佐々木は頭支点でグルリと投げ切って35秒「技有」。続く展開、グリガラシヴィリまたも左で背を掴むが、佐々木はまず巴投、立ち上がって右背負投、さらに立ち上がって釣り手を外しながらもう一段前に出る。思わず畳を割ってしまったグリガラシヴィリが前に出返すと、いったんわずかに煽るなり勝負技の右内股一撃。「入る」というより「ぶつける」という形容がふさわしい強烈な技。腰がぶつかる「衝突」のインパクト自体でグリガラシヴィリの体は跳ね上がり、そのまま縦に一回転。これに「技有」が宣告されて試合が終わった。試合時間は僅か1分17秒、あまりの一方的な内容にグリガラシヴィリは尻餅をついた姿勢のまま頭を掻いて嘆息。

日本国内を席捲した佐々木の強さは、カッスとグリガラシヴィリをもってしても止められなかった。佐々木、全試合一本勝ちで見事優勝。最高の形で国際舞台復帰戦を飾ることとなった。

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3位決定戦、藤原がカッスを攻める。

3位決定戦では藤原も奮戦。ブダペスト世界選手権で敗れたカッスに「指導2」まで奪われながら、鮮やかな左体落「技有」で逆転して優勢勝ち。見事銅メダルを獲得した。いまの81kg級でカッスを投げるというのは物凄いこと、佐々木にこれ以上離されるわけにはいかないという意地がありあり。五輪金メダリスト永瀬貴規を輩出した日本の81kg級がこれまでにない好スパイラルに入った、と確信させられる1日だった。

入賞者と準々決勝以降の結果、日本代表選手全試合の結果は下記。全試合結果は記録ページを参照のこと。

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81kg級メダリスト。左から2位のタト・グリガラシヴィリ、優勝の佐々木健志、3位のゲレルツヤ・ボロルオチルと藤原崇太郎。

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佐々木は全試合一本勝ち。「圧勝」という言葉では表現し切れぬ異次元の5試合だった。

【入賞者】
1.SASAKI, Takeshi (JPN)
2.GRIGALASHVILI, Tato (GEO)
3.GERELTUYA, Bolor-Ochir (MGL)
3.FUJIWARA, Sotaro (JPN)
5.GNAMIEN, Tizie (FRA)
5.CASSE, Matthias (BEL)
7.HEIJMAN, Jim (NED)
7.GRAMKOW, Tim (GER)

【成績上位者】
優 勝:佐々木健志(ALSOK)
準優勝:タト・グリガラシヴィリ(ジョージア)
第三位:ゲレルツヤ・ボロルオチル(モンゴル)、藤原崇太郎(旭化成)

【準々決勝】
タト・グリガラシヴィリ(ジョージア)○合技[隅落・浮落](2:56)△ティジ・ニャミアン(フランス)
藤原崇太郎○横四方固(3:27)△ジム・ヘイマン(オランダ)
佐々木健志○横四方固(1:09)△マティアス・カッス(ベルギー)
ゲレルツヤ・ボロルオチル(モンゴル)○優勢[技有・内股]△ティム・グラムコフ(ドイツ)

【敗者復活戦】
ティジ・ニャミアン(フランス)○優勢[技有・背負投]△ジム・ヘイマン(オランダ)
マティアス・カッス(ベルギー)○GS腕挫十字固(GS1:26)△ティム・グラムコフ(ドイツ)

【準決勝】
タト・グリガラシヴィリ(ジョージア)○優勢[技有・釣腰]△藤原崇太郎
佐々木健志○合技[内股透・崩上四方固](1:30)△ゲレルツヤ・ボロルオチル(モンゴル)

【3位決定戦】
ゲレルツヤ・ボロルオチル(モンゴル)○大内刈(1:24)△ティジ・ニャミアン(フランス)
藤原崇太郎○優勢[技有・体落]△マティアス・カッス(ベルギー)

【決勝】
佐々木健志○合技[背負投・内股](1:17)△タト・グリガラシヴィリ(ジョージア)

【日本代表選手勝ち上がり】

佐々木健志(ALSOK)
成績:優勝


【1回戦】
佐々木健志○隅落(2:37)△アノー・アレグバ(フランス)

【2回戦】
佐々木健志○袈裟固(1:15)△アルフォンソ・ウルキサ=ソラナ(スペイン)

【準々決勝】
佐々木健志○横四方固(1:09)△マティアス・カッス(ベルギー)

【準決勝】
佐々木健志○合技[内股透・崩上四方固](1:30)△ゲレルツヤ・ボロルオチル(モンゴル)

【決勝】
佐々木健志○合技[背負投・内股](1:17)△タト・グリガラシヴィリ(ジョージア)

藤原崇太郎(旭化成)
成績:3位


【1回戦】
藤原崇太郎○優勢[技有・大内刈](2:32)△ホセ=マリア・メンディオラ=イスキエタ(スペイン)

【2回戦】
藤原崇太郎○反則[指導3](3:45)△バプティスト・ピエール(フランス)

【準々決勝】
藤原崇太郎○横四方固(3:27)△ジム・ヘイマン(オランダ)

【準決勝】
藤原崇太郎△優勢[技有・釣腰]○タト・グリガラシヴィリ(ジョージア)

【3位決定戦】
藤原崇太郎○優勢[技有・体落]△マティアス・カッス(ベルギー)

■ 90kg級 長澤憲大しっかり優勝、村尾三四郎は課題克服出来ず5位に沈む
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90kg級2回戦、長澤憲大がオーレリアン・ディエスから内股「技有」

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90kg級準々決勝、フセン・ハルモルザエフが村尾三四郎を内股で攻める。

(エントリー24名)

ブタペスト世界選手権5位から再スタートを切った長澤憲大(パーク24)が決勝進出。決勝の相手は準々決勝で村尾三四郎(東海大3年)を下した実力者フセン・ハルモルザエフ(ロシア)。

長澤は初戦を内股「技有」の優勢で勝ち上がると、準々決勝で81kg級から転向したルカ・マイスラゼ(ジョージア)をGS延長戦の「指導3」、準決勝で同じく81kg級から階級を上げて今大会が初戦のアンリ・エグティゼ(ポルトガル)をGS延長戦の隅落「技有」と強敵との連戦をしぶとく勝ち抜いて決勝へ駒を進めた。

一方のハルモルザエフは、準々決勝で村尾を「指導3」で退けると、準決勝では、前戦で第1シードのママダリ・メフディエフ(アゼルバイジャン)を豪快な裏投「一本」で下して勢い十分のアレクシ・マチュー(フランス)を巧みな組み手と奥襟圧力で完封、GS延長戦「指導3」で決勝進出を決めた。

長澤と同時派遣の村尾は5位に沈んだ。初戦でマルク・サバテル=ブラウ(スペイン)にファーストコンタクトの左大内刈を弾き返された攻防の印象が効いたのか、以後の戦いぶりやや慎重に過ぎた感あり。この試合は小外掛と崩上四方固の合技「一本」で勝ち抜けたが、続く準々決勝ではハルモルザエフに組み手争いで先手を取られて「指導」差0-3で完敗。ブダペスト世界選手権と同様、軽い技で手数を積んで来る相手に対して打開策を見出せず、まったく攻めることが出来なかった。一方で敗者復活戦の一本勝ちを経て迎えた3位決定戦では、エクティゼ相手に引き手が死んだ状態で性急に左大内刈に飛び込んでしまい、右小外刈を合わされてまさかの一本負け。慎重さと思い切りのバランスがどこか欠けた一日であった。

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90kg級決勝、長澤憲大がフセン・ハルモルザエフから浮落「技有」

【決勝】
長澤憲大○優勢[技有・浮落]△フセン・ハルモルザエフ(ロシア)

決勝は長澤が左、ハルモルザエフが右組みのケンカ四つ。長澤はハルモルザエフに釣り手で背中を叩かれる展開を警戒し、まずは両袖で様子見。次いで釣り手で前襟を得て片襟の左内股で相手の反応を窺うと、ハルモルザエフは大きく崩れて伏せる。ここまで30秒の展開で長澤は自身の体の力の優位を把握した模様、以降は釣り手で脇を差しての密着勝負に舵を切る。長澤が左内股、さらに右「小内払い」からの「セルフ内股透」と着実に攻めを重ねるも決定的なポイントは入らず、双方に「指導2」が与えられて試合は終盤へ。迎えた本戦残り10秒、ハルモルザエフが「ケンカ四つクロス」から脚を股中に差し入れる「サリハニ状態」で相手を固定に掛かる。長澤はこれを座視せず。片襟を掴むと右脚のロックを外し、外すと同時に腕を抱える体で相手を強く引き落とす。支えの外れたハルモルザエフの体は片足となって不安定、もともと「サリハニ」を安定させるために取っていた右足重心と長澤の時計回りの引き落としの方向が噛み合い、大きく崩れて体側から落ちる。接地後、上体を持ち上げてポイントを回避しようとするが長澤これを許さず胸を合わせて押し込み、無理やりその背を畳に着かせて「技有」。「サリハニ」に対する明確な解法、実に見事な一撃。そのままブザーが鳴って試合が終わり、長澤が3月のグランドスラム・タシケントに続くキャリア4度目のグランドスラム制覇を決めた。

事前に首脳陣から「勝たないと後がない」と伝えられていたという長澤。その重圧の中で勝ち切ったこの優勝は大きい。鈴木桂治監督も「大きく評価したい」とコメント、少なくとも来年2月の欧州シリーズの派遣は確実と思われる。

入賞者と準々決勝以降の結果、日本代表選手全試合の結果は下記。全試合結果は記録ページを参照のこと

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90kg級メダリスト。左から2位のフセン・ハルモルザエフ、優勝の長澤憲大、3位のアンリ・エグティゼとルカ・マイスラゼ。

【入賞者】
1.NAGASAWA, Kenta (JPN)
2.KHALMURZAEV, Khusen (RUS)
3.EGUTIDZE, Anri (POR)
3.MAISURADZE, Luka (GEO)
5.MURAO, Sanshiro (JPN)
5.MATHIEU, Alexis (FRA)
7.DIAO, Abderahmane (SEN)
7.BORCHASHVILI, Wachid (AUT)

【成績上位者】
優 勝:長澤憲大(パーク24)
準優勝:フセン・ハルモルザエフ(ロシア)
第三位:アンリ・エグティゼ(ポルトガル)、ルカ・マイスラゼ(ジョージア)

【準々決勝】
アレクシ・マチュー(フランス)○合技[浮腰・横四方固](2:10)△アブデラフマネ・ディアオ(セネガル)
フセン・ハルモルザエフ(ロシア)○反則[指導3](3:48)△村尾三四郎
アンリ・エグティゼ(ポルトガル)○GS合技[外巻込・小内刈](GS0:25)△ヴァヒド・ボルチャシヴィリ(オーストリア)
長澤憲大○GS反則[指導3](GS1:55)△ルカ・マイスラゼ(ジョージア)

【敗者復活戦】
村尾三四郎○合技[内股・崩上四方固](1:54)△アブデラフマネ・ディアオ(セネガル)
ルカ・マイスラゼ(ジョージア)○優勢[技有・釣腰]△ヴァヒド・ボルチャシヴィリ(オーストリア)

【準決勝】
フセン・ハルモルザエフ(ロシア)○GS反則[指導3](GS2:40)△アレクシ・マチュー(フランス)
長澤憲大○GS隅落(GS0:42)△アンリ・エグティゼ(ポルトガル)

【3位決定戦】
アンリ・エグティゼ(ポルトガル)○小外刈(1:35)△村尾三四郎
ルカ・マイスラゼ(ジョージア)○上四方固(2:42)△アレクシ・マチュー(フランス)

【決勝】
長澤憲大○優勢[技有・浮落]△フセン・ハルモルザエフ(ロシア)

【日本代表選手勝ち上がり】

長澤憲大(パーク24)
成績:優勝


【2回戦】
長澤憲大○優勢[技有・内股]△オーレリアン・ディエス(フランス)

【準々決勝】
長澤憲大○GS反則[指導3](GS1:55)△ルカ・マイスラゼ(ジョージア)

【準決勝】
長澤憲大○GS隅落(GS0:42)△アンリ・エグティゼ(ポルトガル)

【決勝】
長澤憲大○優勢[技有・浮落]△フセン・ハルモルザエフ(ロシア)

村尾三四郎(東海大3年)
成績:5位


【2回戦】
村尾三四郎○合技[小外掛・崩上四方固](2:16)△マルク・サバテル=ブラウ(スペイン)

【準々決勝】
村尾三四郎△反則[指導3](3:48)○フセン・ハルモルザエフ(ロシア)

【敗者復活戦】
村尾三四郎○合技[内股・崩上四方固](1:54)△アブデラフマネ・ディアオ(セネガル)

【3位決定戦】
村尾三四郎△小外刈(1:35)○アンリ・エグティゼ(ポルトガル)

■ 100kg級 アダミアン2連勝、ゴンザレスは100kg級での戦闘力あらためて証明
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100kg級2回戦、飯田健太郎はセドリック・オリヴァに送足払で一本負けを喫した。

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100kg級準々決勝、アスレイ・ゴンザレスがオニセ・サネブリゼから体落「技有」

(エントリー18名)

優勝候補と目された日本代表の飯田健太郎(旭化成)がまさかの初戦敗退。フランスの新2番手セドリック・オリヴァに本戦残り1分までに「指導」差1―2でリードし大枠優位も、不用意に首を抱こうと手を伸ばした組み手を突かれて背中を抱かれ、送足払を食って一本負け。昨年の全日本選手権からの課題である試合半ばでの「緩み」を今大会でも克服出来ず、早々にトーナメントを去ることとなった。

決勝に残ったのは、第1シードのアルマン・アダミアン(ロシア)ともと90kg級世界王者のアスレイ・ゴンザレス(ルーマニア)の二人。

アダミアンは2回戦でアーロン・ファラ(オーストリア)にGS延長戦、抱きつきの大内刈で回し落としての「技有」で勝利。続いて飯田に勝利したオリヴァと準々決勝で対戦、37秒に四指を後襟に入れての右小外掛で「技有」を奪い、その後オリヴァの右手指負傷による棄権をもって準決勝進出決定。準決勝はズラトコ・クムリッチ(クロアチア)を「指導3」で下して順当に決勝の畳へ。「抱く」「捩じる」、アダミアンらしい力強さを存分に発揮しての勝ち上がり。

一方のゴンザレスは90kg級時代と変わらぬ業師ぶりを見せつけた。2回戦はダリオ・クルビエヴァイト=ガルシア(ドイツ)を3分49秒腕挫十字固「一本」、準々決勝はオニセ・サネブリゼ(ジョージア)をGS延長戦1分41秒体落「技有」、勝負どころの準決勝はシメオン・カタリナ(オランダ)をGS延長戦1分50秒背負投「技有」。サネブリゼ戦の右体落は力感のないステップから鋭く入り、大きく投げる出色の技であった。

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100kg級決勝、アルマン・アダミアンがゴンザレスから小外掛「一本」

【決勝】
アルマン・アダミアン(ロシア)○小外掛(1:09)△アスレイ・ゴンザレス(ルーマニア)

アダミアンが左、ゴンザレスが右組みのケンカ四つ。アダミアンがまずは組み際の横落で一発牽制を入れる。この技はあっさりゴンザレスに潰され「待て」。アダミアンはここから引き手で襟、釣り手で背中を叩いて圧を呉れに掛かる。アダミアンのパワーは強烈、動けなくなったゴンザレスに37秒、極端な防御姿勢の咎で「指導」。続く展開、再びアダミアンは引き手で袖、釣り手で背中を確保すると、まず左大内刈を引っ掛けてゴンザレスを固定。そのままいったん腰を切って左足車を見せつつ釣り手の握りを一段深め、勝負技の左小外掛一撃。ここまでガッチリ掴まれ、しかも前後の連携を利かされてはたまらない。完全に剛体となったゴンザレス真裏に吹っ飛び「一本」。試合時間は1分9秒、見事な一本勝ちでアダミアンが優勝を決めた。前回対戦(グランプリ・ザグレブ準決勝、アダミアンが小外掛「一本」で勝利)で手ごたえを掴んでいたか、その進退は自信満々。実力以上に差が開いた、一方的な内容だった。

アダミアンは9月のグランプリ・ザグレブに続き五輪後のワールドツアー2連勝。3位決定戦はカタリナとサネブリゼがいずれも内容ある「一本」で勝利を収め、表彰台を確保した。

入賞者と準々決勝以降の結果、日本代表選手全試合の結果は下記。全試合結果は記録ページを参照のこと。

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100kg級メダリスト。左から2位のアスレイ・ゴンザレス、優勝のアルマン・アダミアン、3位のシメオン・カタリナとオニセ・サネブリゼ。

【入賞者】
1.ADAMIAN, Arman(RUS)
2.GONZALEZ, Asley(ROU)
3.CATHARINA, Simeon(NED)
3.SANEBLIDZE, Onise(GEO)
5.OLIVAR, Cedric(FRA)
5.KUMRIC, Zlatko(CRO)
7.LIMA, Lucas(BRA)
7.DELVERT, Clement(FRA)

【成績上位者】
優 勝:アルマン・アダミアン(ロシア)
準優勝:アスレイ・ゴンザレス(ルーマニア)
第三位:シメオン・カタリナ(オランダ)、オニセ・サネブリゼ(ジョージア)

【準々決勝】
アルマン・アダミアン(ロシア)○棄権(2:25)△セドリック・オリヴァ(フランス)
※負傷による
ズラトコ・クムリッチ(クロアチア)○大内刈(1:15)△ルカス・リマ(ブラジル)
シメオン・カタリナ(オランダ)○合技[隅落・小外掛](3:05)△クレマン・デルヴェー(フランス)
アスレイ・ゴンザレス(ルーマニア)○GS体落(GS1:41)△オニセ・サネブリゼ(ジョージア)

【敗者復活戦】
セドリック・オリヴァ(フランス)○小内刈(0:33)△ルカス・リマ(ブラジル)
オニセ・サネブリゼ(ジョージア)○GS技有・隅落(GS0:36)△クレマン・デルヴェー(フランス)

【準決勝】
アルマン・アダミアン(ロシア)○反則[指導3](3:49)△ズラトコ・クムリッチ(クロアチア)
アスレイ・ゴンザレス(ルーマニア)○GS技有・背負投(GS1:50)△シメオン・カタリナ(オランダ)

【3位決定戦】
シメオン・カタリナ(オランダ)○小外掛(3:01)△セドリック・オリヴァ(フランス)
オニセ・サネブリゼ(ジョージア)○合技[釣込腰・隅落](0:44)△ズラトコ・クムリッチ(クロアチア)

【決勝】
アルマン・アダミアン(ロシア)○小外掛(1:09)△アスレイ・ゴンザレス(ルーマニア)

【日本代表選手勝ち上がり】

飯田健太郎(旭化成)
成績:2回戦敗退


【2回戦】
飯田健太郎△送足払(3:16)○セドリック・オリヴァ(フランス)

■ 100kg超級 タソエフ順当に優勝、大健闘マレが2位入賞果たす
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100kg超級2回戦、小川雄勢はユール・スパイカースの一本背負投に捕まって一本負け。

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100kg超級準々決勝、シリル・マレがクリスティアン・コノヴァルから隅落「技有」

(エントリー32名)

小川雄勢(パーク24)と佐藤和哉(日本製鉄)の日本人2名はともに初戦敗退。極めて厳しい結果に終わった。

小川は今年躍進した新進選手ユール・スパイカース(オランダ)に一本負け。上下にあおられて潰され、押されて場外に出され、最後は一本背負投で担がれるというまさしく完敗だった。佐藤は第1シードのイナル・タソエフ(ロシア)に不用意に仕掛けた前技を捕まえられ、得意の裏投を食って「技有」失陥。その後も決定的な展開を作れぬまま、優勢負けを喫した。

決勝に勝ち上がったのはタソエフと、地元フランスのシリル・マレ。

タソエフは前述の通り佐藤を初戦で破った後、準々決勝でオドフー・ツェツェンツェンゲル(モンゴル)を3分54秒大外刈「一本」、準決勝でウシャンギ・コカウリ(アゼルバイジャン)を2分1秒「指導3」による反則で退け、順当に決勝進出を決めた。

100kg級から階級を上げたマレは初戦でステファン・ヘギー(オーストリア)をGS延長2分59秒「指導3」による反則で下すと、準々決勝は隅落「一本」で勝ち上がり。準決勝ではジョセフ・テヘックとのフランス勢対決をGS延長2分3秒送襟絞「一本」で制し、地元開催のグランドスラムで見事決勝の畳へ上がることとなった。

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3位決定戦、ユール・スパイカースが大外刈「一本」

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準々決勝、ジョセフ・テヘックの見事な裏投「一本」

決勝進出の2人以外に目立った選手としては、ともに3位入賞の前述スパイカースとテヘックの名を挙げておきたい。

スパイカースは3位決定戦でコカウリから大外刈「一本」。このところ衰えが目立つ、かつ「剛体柔道」で崩れると脆いタイプとはいえ、パワーをもって鳴るコカウリを真っ向投げつけるとは大したもの。「この枠」の世代交代を大きく印象づける一撃だった。

テヘックは、コロナ禍のさなかの昨年10月、フランスのクラブ選手権(団体戦)でテディ・リネールに「指導3」で勝利して名を揚げた(かなり微妙な判定ではあったが)選手。これまでワールドツアー10度出場も決勝ラウンド進出はゼロ、9月のグランプリ・ザグレブもいいところないまま初戦敗退であったが、今大会は地元の大声援を得て覚醒。準々決勝でスパイカースを裏投「一本」で破り、3位決定戦では天理大所属のオドフー・ツェツェンツェンゲル(モンゴル)をGS延長戦の小内刈「技有」で下して初のツアー表彰台登攀を果たした。爆発力に欠けるところのあった選手だが、スパイカースを放った裏投には光るものあり。次の戦いを気に掛けておきたい選手。

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100kg超級決勝、マレがイナル・タソエフから巴投「技有」。まさかの先制にベルシーは沸いた。

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タソエフがマレから裏投「技有」

【決勝】
イナル・タソエフ(ロシア)○合技[裏投・横四方固](3:12)△シリル・マレ(フランス)

決勝はともに右組みの相四つ。開始30秒、マレは釣り手で前襟、引き手で袖を得ると、右大外刈でタソエフの右足を下げさせるなり巴投に連絡、両足のコントロールを利かせて「技有」を奪う。まさかのビハインドを負ったタソエフはここから追撃モード。組み手の引き出しをすべて開けて、得意の密着勝負に相手を引きずり込みに掛かる。引き手前襟に釣り手腋裏、釣り手前襟に引き手で腋裏、二本を高い位置で持つ「両襟奥」、引き手で前帯を掴んでの強引な寄せ。ここまでやられては、巧者マレも自分の間合いでは戦えない。迎えた1分30秒、タソエフが引き手で襟、釣り手で上から腋裏を握って密着すると、マレは堪らず右払腰で潰れて展開を切ろうと試みる。タソエフ待ってましたとばかりに裏投に捕まえて「技有」獲得、スコアをタイに戻す。以後も試合の流れは明らかにタソエフ。残り1分、タソエフの密着に耐え切れなくなったマレは右払腰で応戦。タソエフ今度はこれを抱えて潰し、そのまま横四方固に移る。マレは動けず、試合時間3分12秒、合技「一本」で熱戦決着。タソエフの優勝が決まった。

メンバーを考えればタソエフは順当勝ち。僅かなシナリオの狂いで五輪出場こそ逃したが、本来東京大会でメダルを得てもおかしくなかった選手。力をしっかり示した大会だった

マレは大健闘。フランスチームの今大会MVPと言って良いのではないだろうか。既に34歳、100kg級で国内2番手扱いとなり2018年2月のグランドスラム・パリ以降ワールドツアーの表彰台登攀はゼロ。ほぼ「終わった」と目されていたこの選手が1階級上で決勝に進んだばかりか、まさかタソエフから「技有」をリードするとは。グランドスラムの優勝4回のうち3回がパリ大会という、地元大会との相性の良さは生きていた。もともと対大型に適性がある選手でもあり、今後の活躍が非常に楽しみである。

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100kg超級メダリスト。左から2位のシリル・マレ、優勝のイナル・タソエフ、3位のジョセフ・テヘックとユール・スパイカース。

【入賞者】
1.TASOEV, Inal(RUS)
2.MARET, Cyrille(FRA)
3.TERHEC, Joseph(FRA)
3.SPIJKERS, Jur(NED)
5.ODKHUU, Tsetsentsengel(MGL)
5.KOKAURI, Ushangi(AZE)
7.NDIAYE, Mbagnick(SEN)
7.KONOVAL, Christian(USA)

【成績上位者】
優 勝:イナル・タソエフ(ロシア)
準優勝:シリル・マレ(フランス)
第三位:ジョセフ・テヘック(フランス)、ユール・スパイカース(オランダ)

【準々決勝】
イナル・タソエフ(ロシア)○大内刈(3:54)△オドフー・ツェツェンツェンゲル(モンゴル)
ウシャンギ・コカウリ(アゼルバイジャン)○反則[指導3](2:56)△ムバグニク・ンジャイ(セネガル)
ジョセフ・テヘック(フランス)○裏投(2:50)△ユール・スパイカース(オランダ)
シリル・マレ(フランス)○隅落(1:58)△クリスティアン・コノヴァル(アメリカ)

【敗者復活戦】
オドフー・ツェツェンツェンゲル(モンゴル)○GS技有・隅落(GS2:26)△ムバグニク・ンジャイ(セネガル)
ユール・スパイカース(オランダ)○送襟絞(0:51)△クリスティアン・コノヴァル(アメリカ)

【準決勝】
イナル・タソエフ(ロシア)○反則[指導3](2:01)△ウシャンギ・コカウリ(アゼルバイジャン)
シリル・マレ(フランス)○GS送襟絞(GS2:03)△ジョセフ・テヘック(フランス)

【3位決定戦】
ジョセフ・テヘック(フランス)○GS技有・小内刈(GS1:09)△オドフー・ツェツェンツェンゲル(モンゴル)
ユール・スパイカース(オランダ)○大外刈(3:34)△ウシャンギ・コカウリ(アゼルバイジャン)

【決勝】
イナル・タソエフ(ロシア)○合技[裏投・横四方固](3:12)△シリル・マレ(フランス)

【日本代表選手勝ち上がり】

佐藤和哉(日本製鉄)
成績:2回戦敗退


【2回戦】
佐藤和哉△優勢[技有・裏投]○イナル・タソエフ(ロシア)

小川雄勢(パーク24)
成績:2回戦敗退


【2回戦】
小川雄勢△一本背負投(2:26)○ユール・スパイカース(オランダ)

※ eJudoメルマガ版10月22日掲載記事より転載・編集しています。

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