PAGE TOP ↑
eJudo

【ニュース】男子代表新監督に鈴木桂治氏、「井上時代」路線の継承を表明/強化委員長・男女両監督コメント要旨

(2021年9月28日)

※ eJudoメルマガ版9月25日掲載記事より転載・編集しています。
男子代表新監督に鈴木桂治氏、「井上時代」路線の継承を表明
強化委員長・男女両監督コメント要旨
eJudo Photo
報道陣の求めに応じて手を重ねる。左から増地監督、金野強化委員長、鈴木新監督。

全日本柔道連盟は28日に行われた理事会で、パリ五輪を戦う日本代表監督を選任。男子は、任期満了に伴って退任する井上康生監督の後任に、鈴木桂治氏を決めた。鈴木氏は直後の会見で、大きな変更や改革をする考えはない。今まで培ってきたものを深掘りしたい」と、コーチとして務めた「井上時代」路線の継承を表明。パリ五輪の目標に全7階級の金メダル獲得を掲げ、中でも「最大の目標」と最重量級制覇に強い意欲を見せた。

強化委員長は金野潤氏が留任、女子監督は東京五輪で金メダル4個の戦果を残した増地克之氏が引き続き務める。

金野強化委員長と、鈴木・増地両監督のコメントおよび質疑応答の要旨は下記。

■ 金野潤強化委員長のコメント
eJudo Photo

「(―あらためて両監督の選任理由を)鈴木監督はリオ五輪でも重量級担当コーチとして羽賀竜之介選手と原沢久喜選手にメダルをもたらし、東京でもウルフアロン選手が金メダルを獲得。コーチングの手腕を買いました。増地監督は今回コロナ禍という非常に厳しい状況の中で歴史的な功績を挙げられた。コーチ、スタッフに気を遣ってマネジメントでも非常に手腕を発揮されました。次はパリ五輪。フランスという、日本の女子にとってはもっとも大きなライバルの本拠地で戦うことになる。ある意味東京は忘れて、パリに向けて頑張ってもらいたい。(―パリの金メダル獲得数の目標は?)全階級で金メダルを目指すという考えは東京と変わりません。JOCにもメディアの方々にも『本当はいくつ?』といつも聞き返されてしまうんですが、今回もそう答えます。全階級金メダルです。(―強化計画のポイントは?) たくさんあるが2点。まずコロナ禍以降海外渡航が少ない。これからもおそらく楽にはならない。そこにいかに、そしてフェアに選手たちを送っていくのかが課題。トップだけ送り続けると3番手4番手にチャンスがなくなる。派遣にあたっては色々な事情があるが、なんとかそこを解決して、機会を分散させながら、フェアに、多数の選手に経験値を積ませて戦わせたい。もう1つは、この2年間ジュニア・カデの強化がほとんど出来ていない。そこに非常に懸念を持っています。パリ後も考えてここにウエイトを置いていきたい。(―金メダル7個は他競技からすると異常に高い目標設定、その思いは?) 一番は、選手たちが全て金メダルを目指しているということ。我々は選手たちのために、思いをかなえるための存在。選手が望んでいる以上我々も妥協することなくそこを目指していきたい。(―若手の強化方針について)シニアに来れば若手もベテランも同じ土俵。1,2番手と3番手以降は力的に差があるが、特に1年目はなるべくチャンスを平等に与えていきながら、そして結果を見ながら、少しづつ絞り込んでいきたい。今回は3年しかなく絞り込みを早くせねばならない事情はあるが、なるべく横一線でチャンスを与えていきたい。(―年内の海外派遣はあるか?また、講道館杯を踏まえての海外派遣という例年の形は取られるか?)年内の派遣は考えています。両監督とよく話し合いながら選考しています。講道館杯が1月で予定がタイトだが、この大会の結果を反映して2月以降の欧州シリーズに派遣する形も十分ありえる。ただあくまで階級の状況による。ただし、優勝者イコール海外遠征というわけではないが、勝った者には出来るだけインセンティブを与えていきたいと思っている。(―GS東京も中止になり早期内定はなくなった。代表選考のスケジュールは?)ある程度の青写真はあるが、スケジュールの変更が続いているのでまだ決まり切っていない。各方面との調整もあり、強化サイドだけでは決められないところもある。選手にとってベストな方法をなんとか考えていきたい」

■ 鈴木桂治・男子代表監督のコメント
eJudo Photo

「監督として大きな変更や改革をするつもりはなく、自分もコーチを務めさせて頂いた井上監督体制の下で築いてきたもの、9年間を継続することを考えていきたい。パリまであと3年。大きな変更をすることよりも、いままで培ってきたものをさらに深堀りしていくこと、日本柔道を継承することを大事にしたい。(―継承する中で特に大事にしていくこと、鈴木色は?) 9年間で大きく変化したのはコンディショニング。体づくりや栄養面の意識付けを徹底して行った。ここを深堀りしていきたい。例えば睡眠であったり、体を休める時間。睡眠をとっても実は休めておらず疲れが取れない選手がいると、他競技でもよく耳にする。重量級にはいびきのあるものや睡眠時無呼吸症候群が疑われるものもいる。自分で出来るコンディショニング、内面的な疲れをとることを積極的にやっていってもらいたい。井上体制の大きなテーマだった「自立」が大事。コロナ禍でまだまだ海外・国内でも試合に様々な制限がある。他人の力を借りずに自分で向かっていける強さを養いたい。(―パリ五輪の具体的な目標は?)井上監督と同じく個人で7つ、そして団体戦の金メダル。(―最重量級の強化について)重量級担当コーチとして命を受けたのは2012年。当時の強化委員長の斉藤仁先生からも、必ず最重量級で金メダルを獲るという気持ちでやって欲しいと言われました。コーチとして臨んだリオ・東京では果たせませんでしたが、監督になっても最重量級の金メダルは最大の目標と思っています。現在のトップの原沢選手や影浦選手、若手では斉藤立選手や中野寛太選手らの有望株、彼らを、世界で戦えるだけでなく勝てる選手を目指して鍛えていきたい。(―「すべての階級で金メダルを取る」宣言、他競技と比べると極めて異例。その思いはどこに?)金野委員長がお話下さったことと被りますが、まず選手の意志がそこにあること、そして日本柔道の意志がそうであること、この2つに尽きます。選手がそうしたいのであれば、私は、例えば、お前は無理だとかその器ではないとかは絶対言わない。夢を実現するために何をすべきか一緒に考える、そういう時間を共有してきたい。(―これまではどんなチームで、これからどう色をつけていく?)やはり「自立」。コーチとして原沢選手やウルフ選手をずっと見続けてきましたが、自立出来ていることが大きいなと感じました。試合直前や合宿中はずっと一緒にいて作戦を練っていますが、いざ所属に帰ったときに、やるべきこと、当たり前のことが普通に出来る、自分で出来ることが嬉しかった。もっと手を焼きたかったという寂しさもありますが(笑)。こんなに代表として自覚が出たのだなと。原沢選手、ウルフ選手、影浦選手には特にそう思いました。体のケア、練習計画、やるべきことを自分で出来る選手がやはり土壇場では強い。色々な角度から自立を促していきたい。(―前任の井上さんから託された言葉などは?)特にないです。すみません(笑)。今後も引き続き相談をさせていただいて力を貸してもらう関係になると思います。(コーチの人選は?)シニアのコーチは技術は勿論、選手目線で試合や稽古を見て意見を述べられること、そしてコーチとしての目線でしっかり話せることが条件です。ただ寄り添うのではなく、時には厳しいことも言える、そして選手と問題を共有できる、そういった先生方に力添えを頂きたい。ジュニア・カデは教育的観点も大事。柔道に対しての技術だけではなく精神的な指導。柔道家としてしっかり育てることが出来る多様な目線をもった先生に、日本柔道の代表にふさわしいチームを、ともに作っていってもらいたい。(―今後の強化計画のポイントは?)シニアに関しては本番で確実にシード権を得ること。海外派遣が厳しい状況ですが、たくさんの選手にチャンスを与えることともにしっかり絞り込みをして、最終的にシード権を取っていくというのが各階級共通の課題です。カデ、ジュニアに関してはしっかり強化を図っていかないとパリ以降が非常に厳しい。平等な選考をしながら、海外の派遣、国内の合宿、そして次のステップとしっかり強化していきたい。(―パリに向け、具体的にどんな戦い方を考えるか?) まず、型に嵌めることは考えていない。個を出すのが良いと思う。こちらとしては貪欲に強化も指導も進めていくが、現場ではいかに個々がその技術、能力を使い切れるか。日本代表ですから技術は間違いなく持っている。それをどう出しきれるかが大事だと思います。コンディショニング、メンタルヘルス。そういった内面的な強化を重視してやっていきたい。」

■ 増地克之・女子代表監督のコメント
eJudo Photo

「個人戦では4個の金メダルを獲得することが出来ましたが、全選手が勝つことは出来ず、選手も私も悔しい思いをしました。また団体戦ではフランスに敗れて準優勝、いまでもあの悔しさが脳裏に焼き付いています。3年後のパリ五輪、今度はアウェイでの戦いとなります。女子はライバル・フランスとの厳しい戦いが待っている。覚悟を持って、さらに進化させて、パリで皆さんに良い報告が出来るように頑張りたい。(強化計画を立てるにあたってのポイントは?) 5年前、若手の台頭を掲げてスタートしました。結果、阿部選手、素根選手、当時はまだ名前が挙がっていなかったものが成果を挙げることが出来た。ただ今回のパリまでは3年しかない。もちろん若手を鍛えていくのも大事だが、まずは心となるのはおそらく今年の五輪代表・世界代表選手権代表。彼女たちを中心に、プラスアルファで若手を鍛えていく。選手層を厚くしていく、まず平等に色々な選手にチャンスを与えていく、そしてポイントを稼いでいくことが目標。IJFのカレンダーを見ると、来年はほとんどすべてが『グランドスラム』。高いポイントが獲得出来る大会がばかりです。いかにその大会に多くの選手を送り込めるかが大事だと思っています。(―コーチ人事は?) 選手とともに3年間一緒に学んで課題を解決していくという人材が必要だと思う。男性・女性という区別をなくして適材適所で、選手にチャレンジする環境を与えられる人材を担当につけていきたい。(―フランス代表をどう分析しているか?) 7階級すべてで金メダルを獲る力があると思っている。どの階級も選手層が厚い。ただ、団体戦で敗れた一番の要因はアグベニューの強さだった。63kg級のアグベニューをいかに倒すかを最大の目標に掲げて戦いたい。先日の国際大会でもフランス勢は非常に結果を残した。東京五輪では個人戦の金メダル1個に終わっており、相当な覚悟を持って臨んでくるはず。しっかり対策を練って臨みたい。(―パリに向け、具体的にどんな戦い方を考えるか?)あまり幅は大きくないと聞いているが、まずは五輪後のルール変更がどう行われるのかを見極めて考える必要がある。ただ、東京五輪で女子の結果に大きく影響したのはやはり寝技。この点はパリに向けても大きく変わることはないと思っている。これをベースに、枝葉をつけて進化していきたい。」

※ eJudoメルマガ版9月25日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る