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【即日レポート】第52回全国中学校柔道大会男子個人戦8階級レポート

(2021年8月26日)

※ eJudoメルマガ版8月26日掲載記事より転載・編集しています。
【即日レポート】第52回全国中学校柔道大会男子個人戦8階級レポート
日時:2021(令和3)年8月25日
会場:ALSOKぐんま総合スポーツセンター ぐんまアリーナ(前橋市)

→男子全試合結果

■ 50kg級 「負けることがイヤな性格」坂口睦紀、みごと中学日本一達成
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50kg級準々決勝、谷吹希が落合栄斗から左小内刈「技有

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準決勝、坂口睦紀が吉永颯空から左払巻込「技有」

【準決勝まで】

2年生で四国ブロック大会を制した谷吹希(愛媛県・川之江北中)と近畿ブロックの王者坂口睦紀(兵庫県・兵庫中)が決勝に勝ち上がった。

谷は2回戦から登場すると朝倉 勇亜(群馬県・草津中)に「技有」で優勢勝ち。続く3回戦は瀬戸上泰将(鹿児島県・坊津学園中)との総試合時間7分に及ぶ消耗戦を相手の反則(GS4分5秒)で制してベスト8入りを決める。以降は準々決勝で落合栄斗(宮崎県・日章学園中)、準決勝で廣瀬正昊(佐賀県・有田中)をいずれも「技有」の優勢で下して決勝へと辿り着いた。

坂口も2回戦からのスタート。まず佐橋樹哉(千葉県・葛飾中)から2分5秒の間に3つの「指導」を奪って初戦を突破する。続く3回戦で窄頭龍ノ介(長崎県・岐宿中)を合技「一本」(3:00)で下すと、準々決勝では古賀智貴(福岡県・大牟田中)から本戦で2つの「指導」を得て僅差の勢勝ち。準決勝では吉永颯空(熊本県・鏡中)を相手に開始早々の左払巻込で「技有」をリードし、以降も形成優位のまま試合を進め、このポイントを守りきって優勢勝ち。みごと決勝進出を果たした。

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決勝、坂口が左小内刈。素早く左大内刈に連絡して「技有」。

【決勝】

坂口睦紀(兵庫県・兵庫中)〇優勢[技有・大内刈]△谷吹希(愛媛県・川之江北中)

坂口、谷ともに左組みの相四つ。試合が始まると両者横変形にずれて組み合う。10秒、坂口が刈り足を深く絡めて左「小内掛け」。足の掛かりが甘くなると見るや瞬間左大内刈に変化して浴びせ、「技有」を得る。素晴らしい反射神経と判断力。さらに押し込んで崩袈裟固で抑え込むも、これは乗りすぎており谷が「鉄砲返し」で返す。そのまま被さって逆に抑え込みを狙うが、ここは坂口が逃れて「待て」となる。ここからは再び横変形にずれての攻防。1分17秒には坂口が左背負投で伏せさせ、谷に消極的姿勢の「指導」が与えられる。主導権は一貫して坂口の側。谷も左外巻込を仕掛けるなどして追い上げを図るが、坂口も片襟を差して打点の高い左背負投を放つなど全く譲らない。このま構図のままま3分間が終わり、優勢勝ちで坂口の優勝が決まった。

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50kg級優勝の坂口睦紀

【入賞者】
優 勝:坂口睦紀(兵庫・兵庫中)
準優勝:谷吹希(愛媛・川之江北中)
第三位:廣瀬正昊(佐賀・有田中)、吉永颯空(熊本・鏡中)
第五位:落合栄斗(宮崎・日章学園中)、河野将大(大分・安岐中)、古賀智貴(福岡・大牟田中)、菊地哲平(群馬・藪塚本町中)

坂口睦紀選手のコメント
「めっちゃうれしいです(笑)。きょうは組み手を徹底出来たことは一番良かった。地元の新聞に『優勝する』と言って来てしまったので、優勝出来てすこしホッとしています(笑)。自分は負けるのがとてもイヤな性格。これからも柔道に限らず、どんなことであっても負けない気持ちで頑張りたい。得意技は足技、特に小内刈です。」

【準々決勝】
谷吹希(愛媛・川之江北中)○優勢[技有]△落合栄斗(宮崎・日章学園中)
廣瀬正昊(佐賀・有田中)○裏投(0:53)△河野将大(大分・安岐中)
坂口睦紀(兵庫・兵庫中)○優勢[僅差]△古賀智貴(福岡・大牟田中)
吉永颯空(熊本・鏡中)○GS袈裟固(GS3:27)△菊地哲平(群馬・藪塚本町中)

【準決勝】
谷吹希(愛媛・川之江北中)○優勢[技有]△廣瀬正昊(佐賀・有田中)
坂口睦紀(兵庫・兵庫中)○優勢[技有]△吉永颯空(熊本・鏡中)

【決勝】
坂口睦紀(兵庫・兵庫中)○優勢[技有・大内刈]△谷吹希(愛媛・川之江北中)

■ 55kg級 吉村悠之介が優勝、決勝は速い判断効いた袖釣込腰「一本」
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55kg級準決勝、吉村悠之介が石本智也から小内巻込「技有」

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準々決勝、畝本泰聖が中丸理輝から横四方固「一本」

【準決勝まで】

【準決勝まで】

決勝に進出したのは吉村悠之介(大分・長洲中)と畝本泰聖(広島・西条中)の3年生2人。

吉村は九州ブロック大会の王者。この日はまず2回戦で岩下幸誠(群馬・みずき中)を2分23秒合技「一本」で下す好スタートを切る。3回戦は藤田健吾(山形・高畠中)にGS延長戦37秒2つ目の「指導」を得たの僅差優勢勝ちという辛勝だったが、準々決勝は大柿遼馬(神奈川・東海大相模中)に開始19秒大内刈「一本」という快勝。これで波に乗ると、石本智也(和歌山・箕島中)からGS延長戦14秒小内巻込「一本」で勝利を得、みごと全国大会でも決勝の畳に立つこととなった。

畝本は中国ブロック大会を全試合一本勝ちで制している強者。こちらは2回戦で五反田祥平(鹿児島・川辺中)を2分4秒合技「一本」、3回戦で白石朝陽(愛媛・拓南中)を「技有」優勢で下してベスト8入り。準々決勝は中丸理輝(宮崎・五十市中)から横四方固「技有」を奪って優勢勝ち、準決勝は長屋進(静岡・浜松神久呂中)を2分34秒合技「一本」で下して決勝に勝ち上がることとなった。制している強者。こちらは2回戦で五反田祥平(鹿児島・川辺中)を2分4秒合技「一本」、3回戦で白石朝陽(愛媛・拓南中)を「技有」優勢で下してベスト8入り。準々決勝は中丸理輝(宮崎・五十市中)から横四方固「技有」を奪って優勢勝ち、準決勝は長屋進(静岡・浜松神久呂中)を2分34秒合技「一本」で下して決勝に勝ち上がることとなった。

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決勝、吉村のスピード豊かな袖釣込腰が「一本」

【決勝】

吉村悠之介(大分・長洲中)○袖釣込腰(1:01)△畝本泰聖(広島・西条中)

ともに右組みの相四つ。先に引き手で袖を得た畝本が内股で先制攻撃、以降は互いに相手の釣り手を絞り落とした両袖の攻防となる。25秒、双方に袖を絞って防御したとの判断による「指導」。しかし以降もともに先んじて引き手を得ることを譲らず、かつ釣り手を絞り合い、組み手は両袖に終着する。吉村が右袖釣込腰を見せるが互いにこれは本意ではないのか、いったん離れてリセット。続く1分1秒、吉村組み際ひときわスピード豊かに右袖釣込腰。相手が左に外すと見たか躊躇なく逆方向への抜け落しを企図し、動きを止めずに自ら縦回転。畝本初動の回転の速さと背中の押し付けに耐えられず吹っ飛び「一本」。着地姿勢のチェックのためか映像確認が入ったが判定は変わらず。吉村、素晴らしい技で全国中学大会制覇達成。

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55kg級優勝の吉村悠之介

【入賞者】
優 勝:吉村悠之介(大分・長洲中)
準優勝:畝本泰聖(広島・西条中)
第三位:石本智也(和歌山・箕島中)、長屋進(静岡・浜松神久呂中)
第五位:大山魁莉(香川・豊中中)、大柿遼馬(神奈川・東海大相模中)、遠藤雷士(千葉・前原中)、中丸理輝(宮崎・五十市中)

吉村悠之介選手のコメント
「準々決勝で苦戦して長い時間を戦ってしまったのですが、準決勝でしっかり勝てて流れに乗れました。(決勝は)序盤なかなか組めず難しさを感じましたが、まず技を掛けることでリズムを作りながらどう形を作るか考えていこうと思っていました。結果として『一本』 、中学最後の試合を良い形で締められて良かったです。柔道は5歳から、お父さんの知り合いが柔道の先生をやっているということで、安心院柔道クラブで始めました。高校でも日本一になって、将来は世界の大会でも活躍できるようになりたいです。まだまだ技を鍛えたい。まずは最初から全力で掛けられるように、パワーを上積みしたいと思っています」

【準々決勝】
石本智也(和歌山・箕島中)○GS僅差(GS2:02)△大山魁莉(香川・豊中中)
吉村悠之介(大分・長洲中)○大内刈(0:19)△大柿遼馬(神奈川・東海大相模中)
長屋進(静岡・浜松神久呂中)○大外刈(0:12)△遠藤雷士(千葉・前原中)
畝本泰聖(広島・西条中)○優勢[技有]△中丸理輝(宮崎・五十市中)

【準決勝】
吉村悠之介(大分・長洲中)○小内巻込(3:14)△石本智也(和歌山・箕島中)
畝本泰聖(広島・西条中)○合技(2:34)△長屋進(静岡・浜松神久呂中)

【決勝】
吉村悠之介(大分・長洲中)○袖釣込腰(1:01)△畝本泰聖(広島・西条中)

■ 60kg級 山本風来が圧勝、立って、寝て「一本」を連発
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60kg級準決勝、古賀学が石脇悠二朗から隅返「技有」

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準々決勝、山本風来が樋口劉輝から腰車「技有」

【準決勝まで】

九州ブロックの覇者・古賀学(佐賀県・芦刈中)と東海ブロック大会を制した山本風来(愛知県・大成中)の3年生2人が決勝に進んだ。

古賀は初戦(2回戦)で栄海成(兵庫県・天王寺川中)を僅か23秒の背負投「一本」で下す好立ち上がり。続く3回戦の宇田陽紀(茨城県・水海道西中)との試合は「指導2」を得ての僅差優勢勝ちだったが、準々決勝では大平哲見(埼玉県・芝東中)を片手絞「一本」(0:49)で破る快勝でベスト4入りを決める。準決勝では石脇悠二朗(岐阜県・岐北中)との接戦を試合終盤に得た隅返「技有」の優勢で制し、決勝へと勝ち上がった。

一方の山本は4戦して3試合を、早い時間の一本勝ちで終わらせるという良い勝ち上がり。2回戦で細川夕綺(千葉県・葛飾中)を開始直後、僅か20秒の送襟絞「一本」で下して大会をスタートすると、3回戦でも熊田愛留(宮城県・名取第一中)を1分2秒背負投「一本」に仕留める。難しい試合となった樋口劉輝(群馬・塚沢中)との準々決勝は、一度得た「技有」が取り消しになるも集中力を切らさず、GS延長戦で右腰車「技有」(GS1:21)を奪って勝ち上がりを決める。準決勝の澤永一豊(大分県・長洲中)では再び39秒大内刈「一本」の“秒殺”で試合を終え、勢いに乗って決勝に臨む。

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決勝、山本風来が古賀学から片手絞「一本」

【決勝】

山本風来(愛知県・大成中)〇片手絞(2:05)△古賀学(佐賀県・芦刈中)

山本が右、古賀が左組みのケンカ四つ。18秒に古賀が巴投を仕掛けるが、山本は余裕を持ってこれを受け止める。続く展開の30秒、山本が一気に相手の背後を取って裏投に打ってds瑠。ポイント級の一撃だったが、古賀は片肘を突いてこれを回避する。ここからは古賀が左内股に巴投と技を積み、これが評価される格好で1分8秒、山本に消極的姿勢の「指導」。しかし奮起した山本は的確に加速、「始め」のコールと同時に突進。背中を叩いて引き落とすと、1分23秒には古賀に偽装攻撃の「指導」。さらに直後の1分37秒には古賀の左内股を鋭い右小外刈で切り返し、あわやポイントという場面を作り出す。一方、1分45秒には古賀も左方向への肩車で深く潜り込む、惜しい投げを見せる。両者が積極的に攻め合うなかで迎えた2分間際、山本が古賀の伏せ際をとらえて「ボーアンドアローチョーク」。回転しながら絞め上げて2分5秒「参った」を引き出す。山本、見事な一本勝ちでみごと初の日本一を決めた。

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60kg級優勝の山本風来

【入賞者】
優 勝:山本風来(愛知・大成中)
準優勝:古賀学(佐賀・芦刈中)
第三位:石脇悠二朗(岐阜・岐北中)、澤永一豊(大分・長洲中)
第五位:石原幸弥(山形・立川中)、大平哲見(埼玉・川口芝東中)、樋口劉輝(群馬・塚沢中)、平松侍(福岡・足立中)

山本風来選手のコメント
「ずっと緊張していました。ずっとこの大会の優勝を目標にしてきたので、良かったです。準々決勝の樋口選手との試合が山場でした。自分は試合では普段よりも体が動かないタイプ。アップからここを意識して調整したことが生きたと思います。 (―自分の良さはどんなところ?)組んだ後に早く動いて相手を揺さぶることです。得意技は背負投。阿部一二三選手のような背負投と、髙藤選手のような冷静な判断力を身に着けたい。高校でもインターハイに優勝して、日本代表を目指します。」

【準々決勝】
石脇悠二朗(岐阜・岐北中)○一本背負投(2:40)△石原幸弥(山形・立川中)
古賀学(佐賀・芦刈中)○片手絞(0:49)△大平哲見(埼玉・川口芝東中)
山本風来(愛知・大成中)○GS技有(GS1:21)△樋口劉輝(群馬・塚沢中)
澤永一豊(大分・長洲中)○払腰(0:43)△平松侍(福岡・足立中)

【準決勝】
古賀学(佐賀・芦刈中)○優勢[技有]△石脇悠二朗(岐阜・岐北中)
山本風来(愛知・大成中)○大内刈(0:39)△澤永一豊(大分・長洲中)

【決勝】
山本風来(愛知・大成中)○片手絞(2:05)△古賀学(佐賀・芦刈中)

■ 66kg級 2年生三ツ石恵翔が優勝、決勝は粘りの柔道で不利跳ね返す
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準決勝、相澤燎が堀暁登に一本勝ち。相澤はここまで全試合「一本」、ほとんど相手に柔道をさせず。

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準々決勝、三ツ石恵翔が吉岡良磨から袖釣込腰「一本」

【準決勝まで】

決勝に進んだのは相澤燎(愛知・大成中)と三ツ石恵翔(神奈川・東海大相模中)の2人。

東海ブロック大会王者の相澤はここまで全試合一本勝ち、圧倒的な内容での勝ち上がり。まず2回戦は伊藤旬(岩手・宮古一中)を開始46秒の合技「一本」で下し、3回戦は僅か12秒、吉村洸星(千葉・船橋旭中)を背負投「一本」に沈める。準々決勝は北信越ブロックの覇者・野中海心(石川・北辰中)をこれも1分30秒合技「一本」と圧倒し、準決勝は堀暁登(長崎・喜々津中)を僅か35秒の大内刈「一本」で寄せ付けず。相手が立って試合をしている時間がほとんどない、抜群の強さを見せて決勝に進んだ。

2年生ながら関東ブロック大会を制している三ツ石はまず2回戦で土合紫真(福井・福井明倫中)を開始28秒の内股「一本」に仕留める好スタート。3回戦は伊藤朔也(三重・亀山中部中)から「指導」2つを一方的に奪って優勢勝ち、準々決勝は九州ブロック王者の吉岡良磨(熊本・城南中)を2分38秒左袖釣込腰「一本」に下す快勝。準決勝は青木義朗(長野・丘中)を開始35秒左小外刈「一本」で下してみごと決勝進出を果たすこととなった。

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決勝、相澤は引き手を素早く、一方的に掴み続けて優位に立つ。

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残り12秒、相澤の左大内刈が一時「技有」も映像チェックを経てポイントは取り消し。三ツ石一命をとりとめる。

【決勝】

三ツ石恵翔(神奈川・東海大相模中)○GS内股透(GS3:27)△相澤燎(愛知・大成中)

相澤が右、三ツ石が左組みのケンカ四つ。相澤まず引き手から掴みに掛かる。釣り手は相澤が上、三ツ石が下という形が続くが、この引き手による袖の確保の早さがとにかく効き、状況は一貫して相澤が有利。相澤は小外掛、1分過ぎにはこの引き手の確保から釣り手で後帯を掴んで右釣腰一撃。三ツ石ことごとくかわし、釣腰は弾いて防いで釣り手一本の攻防に立ち戻るが、なかなか自分の技が出せない。両袖の攻防となって膠着した1分39秒には双方に「指導」。形勢不利の三ツ石にはコーチから「(引き手の袖を)持ち返していい」とのアドバイスが飛ぶ。相澤は引き手で袖を一方的に、素早く得ては右内股に右小内刈と放って快走。三ツ石は小外刈を打ち返すのがやっと。2分36秒には相澤がひときわ威力ある右内股、三ツ石は潰れて「待て」。残り12秒、相澤が組み付きながら右大内刈。まず前技のフェイントで足をねじ入れて捕まえ、次いで捩じりを呉れる。三ツ石返しを狙って反時計回りに捩じるがそのまま大きく浮き、勢いよく畳に落ちて「技有」。相澤がこれまで積み重ねた優位の結実と思われたが、ここで映像チェックが入る。相澤は引き手を持てておらず、返しを狙った三ツ石が持っていた袖で体を繋げて制動していたのだが、危機を感じた三ツ石がこの引き手を離して逆側に反転するとコントロールを失ってしまった。三ツ石の接地は尻餅と左肘、次いで時計回りに反転して左肘を上げ、右手のみを着いて伏せている。肉眼の印象からすると意外だが、これは取り消し。試合はこのままGS延長戦に入る。

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三ツ石右内股も相澤の内股返が襲い来る。しかし、これも反転して逃れてノーポイント。

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最後は三ツ石の勝利。起死回生の内股透「技有」

GS延長戦も相澤が優位。実質的な勝利取り消しにも気を落とすことなく、まずは小内刈、背負投、大内刈と連続攻撃。さらに後帯を掴んでの右体落と決着を狙って大技を繰り出す。三ツ石体落を見せ、相手の後帯体落は肩車に切り返すが不利は否めず。GS1分8秒に放った右内股も早い反応を見せた相澤の内股返に切り返され、大きく浮いてしまい「待て」。

しかし三ツ石はあきらめない。相澤は隅返、左への肩車、右内股と次々危険な技を放つが、これに袖釣込腰、体落、小外刈と効き切らぬながらも粘り強く技を打ち返して展開上は並走。GS3分が近づくところで相澤作用足を突っ込んでおいての右内股を放つが、さすがに消耗したか作りも掛けもディティールが甘くなってきた印象。そしてGS3分25秒、三ツ石が小外掛を放つと、これに崩された相澤やや焦ったか、打ち返さねばとばかりに身を起こして右内股。しかし技の威力とは裏腹に、やはり作りが甘くなっている。三ツ石素晴らしい反応でこれを体側で透かし、体を浴びせて内股透「技有」。相澤、2年生にして全国中学校大会制覇なる。

圧倒的不利にあり、一度は「技有」を失いながらも必死で技を打ち返し続けて展開を留保、ワンチャンスを生かした三ツ石の粘りは見事。

一方試合を一方的に支配、一時は「技有」で勝利をほぼ確定させながら敗れた相澤は柔道の良さもさることながらその引き上げも見事。悔しさは想像に余りあるが、「これが勝負」とばかりに敗戦を受け入れて淡々と立ち上がり、しっかり「礼」を済ませて畳を去る姿は立派だった。

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2年生にして優勝を果たした三ツ石恵翔。

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準決勝、三ツ石が青木義朗から小外刈「一本」

【入賞者】
優 勝:三ツ石恵翔(神奈川・東海大相模中)
準優勝:相澤燎(愛知・大成中)
第三位:堀暁登(長崎・喜々津中)、青木義朗(長野・丘中)
第五位:野中海心(石川・北辰中)、菅野駿(愛媛・松山南第二中)、松本峻(福島・安積中)、吉岡良磨(熊本・城南中)

三ツ石恵翔選手のコメント
「対戦相手が全員一学年上で、楽な試合はなかった。その中で勝ち切れて、結構、すごくうれしいです。(―先輩の木原慧登選手と同じ2年生優勝)尊敬している選手が木原先輩と服部辰成先輩なので、本当にうれしいです。来年は2連覇を目指します。(―試合を振り返って)初戦から、少しだけ、いつもより調子がいいなと感じていました。決勝は最初から攻められ続けてずっと我慢、残り10秒で投げられてもう心が折れかけましたが、なぜか頑張れました。(―頑張れた理由は?)なんでしょう。優勝したい、負けられないという気持ちだと思います。(―待て、のたびのベンチからのアドバイスがとても的確と感じました。何かこれが効いたというものはありますか)自分は釣り手が動いているときが良いのですが、よく、『常に釣り手を振れ』と言って頂いています。」

【準々決勝】
相澤燎(愛知・大成中)○合技(1:30)△野中海心(石川・北辰中)
堀暁登(長崎・喜々津中)○内股(0:40)△菅野駿(愛媛・松山南第二中)
青木義朗(長野・丘中)○優勢[僅差]△松本峻(福島・安積中)
三ツ石恵翔(神奈川・東海大相模中)○袖釣込腰(2:38)△吉岡良磨(熊本・城南中)

【準決勝】
相澤燎(愛知・大成中)○大内刈(0:35)△堀暁登(長崎・喜々津中)
三ツ石恵翔(神奈川・東海大相模中)○小外刈(0:35)△青木義朗(長野・丘中)

【決勝】
三ツ石恵翔(神奈川・東海大相模中)○GS技有・内股透(GS3:27)△相澤燎(愛知・大成中)

■ 73kg級 ナコスティン王未土が優勝、決勝は強者秋吉航輔を完封
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73kg級準決勝、ナコスティン王未土が堀陽登から浮落「技有」

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準決勝、秋吉航輔が大霜光を出足払で大きく崩す

【準決勝まで】

ナコスティン王未土(神奈川県・東海大相模中)と、九州ブロック大会を圧勝で制した秋吉航輔(福岡県・大刀洗中)が決勝に勝ち上がった。

ナコスティンは1回戦で近藤嶺太(山口県・末武中)を1分16秒の合技「一本」で下すと、勝負どころとなった2回戦では森本総司(静岡県・東海大翔洋中)にGS延長戦54秒「技有」を得て勝利。続く3回戦では津本隼冴(和歌山県・西和中)を合技「一本」(2:51)で破り、準々決勝では佐々木?峨(宮城・若柳中)からGS延長戦1分48秒左内股から連絡しての釣込腰「技有」で勝利してベスト4入りを決める。準決勝では堀陽登(長崎県・喜々津中)を1分30秒合技「一本」で退け、決勝の畳に辿り着くことなった。

一方の秋吉は4戦して一本勝ち3つに相手の反則1つというほぼ完璧な内容での勝ち上がり。183センチの長身を生かした、実に魅力的な柔道を披露。初戦(2回戦)で大野翔平(栃木県・國學院栃木中)に1分16秒の内股「一本」で勝利すると、3回戦でも福田憂星(山形県・山形第六中)を開始22秒の内股「一本」で一蹴。山場となった準々決勝もここまで抜群の内容で勝ち上がってきた荒川琉正(東京都・足立学園中)の膕をガッチリ捉え、深く腰を突っ込んでの左大外刈「一本」(1:59)で破ってベスト4入りを決める。準決勝は技によるポイントこそなかったものの、大霜光(大阪府・上宮学園中)を一方的に攻め続け、GS延長戦1分12秒「指導3」の反則で下して決勝へと勝ち上がった。

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決勝、ナコスティン王未土が変則の左一本背負投で攻め続ける

【決勝】

ナコスティン王未土(神奈川県・東海大相模中)〇反則[指導3](2:51)△秋吉航輔(福岡県・大刀洗中)

ナコスティン、秋吉ともに左組みの相四つ。ナコスティンは引き手の絞りを利かせて相手の釣り手を徹底封殺。相手の体に押し付けながらの前進と、大外刈様に足を掛けながら打点高く固定する変則の左一本背負投で展開を握り続ける。このナコスティンの戦法の前に秋吉はほとんどなにもできないまま押し込まれる流れが続き、57秒に消極的姿勢、1分14秒に場外とあっという間に「指導2」が積み上がる。準決勝までの素晴らしい出来を見る限り、秋吉ここまでの劣勢は少々意外。終盤には秋吉が奥襟を得、場外際で縺れ合いながら左大内刈を仕掛ける場面があったものの、反撃らしい反撃はこれのみ。最後は2分57秒、秋吉に消極的姿勢の「指導3」が宣告されて決着となった。ナコスティン、強者秋吉にほとんど何もさせずに勝利。全中王者の称号を手に入れた。

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73kg級優勝のナコスティン王未土

【入賞者】
優 勝:ナコスティン王未土(神奈川・東海大相模中)
準優勝:秋吉航輔(福岡・大刀洗中)
第三位:堀陽登(長崎・喜々津中)、大霜光(大阪・上宮学園中)
第五位:佐々木?峨(宮城・若柳中)、片山謙心(青森・中里中)、荒川琉正(東京・足立学園中)、谷脇杜和(高知・仁淀中)

ナコスティン王未土選手のコメント
「お父さんがイラン出身、お母さんが日本人です。お父さんがもともと空手をやっていて、小さいころに道場に連れて行ってくれた。その道場(座間市の吉原道場)が柔道もやっていて、自分はこちらのほうが好きになった。初日から投げることが出来て物凄く楽しくて、それで今でも続けています。団体戦では自分がポイントゲッターの役目でしたが、守ってしまって悔しい結果でした。今日はその悔しさを少し晴らせて、良かったです。接近戦が好きで、大内刈が得意技です。目標はまず高校1年生から団体でメンバーに入ること。夢はオリンピックの金メダルです。」

【準々決勝】
ナコスティン王未土(神奈川・東海大相模中)○GS技有(GS1:48)△佐々木?峨(宮城・若柳中)
堀陽登(長崎・喜々津中)○後袈裟固(3:08)△片山謙心(青森・中里中)
秋吉航輔(福岡・大刀洗中)○大外刈(1:59)△荒川琉正(東京・足立学園中)
大霜光(大阪・上宮学園中)○袈裟固(2:21)△谷脇杜和(高知・仁淀中)

【準決勝】
ナコスティン王未土(神奈川・東海大相模中)○合技(1:30)△堀陽登(長崎・喜々津中)
秋吉航輔(福岡・大刀洗中)○GS反則[指導3](GS1:12)△大霜光(大阪・上宮学園中)

【決勝】
ナコスティン王未土(神奈川・東海大相模中)○反則[指導3](2:51)△秋吉航輔(福岡・大刀洗中)

■ 81kg級 竹吉瑞樹が優勝、団体と併せて全中二冠を達成
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81kg級準々決勝、竹吉瑞樹が坪井馨から肘抜きの右背負投「技有」

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決勝の畳に臨む川合遼。

【準決勝まで】

決勝に進んだのは竹吉瑞樹(東京・国士舘中)と川合遼(静岡・静岡学園中)。関東ブロックと東海ブロックの王者が顔を合わせることとなった。

団体戦でもポイントゲッターとしてチームの優勝を牽引した竹吉は安定感ある勝ち上がり。2回戦は猪ヶ倉大地(宮崎・日章学園中)から引込返「技有」、そのまま上四方固に抑え込んで僅か35秒の合技「一本」で下すロケットスタート。3回戦は宮前陽夕向(和歌山・箕島中)を背負投「技有」の優勢で下し、準々決勝は坪井馨(福岡・北九州城南中)を肘抜きの右背負投で「一本」。これは「技有」に訂正されたがそのまま手堅く試合を進め、優勢勝ちでベスト4入り決定。準決勝は田村侑己(千葉・東海大浦安中)をGS延長戦1分32秒、体落「一本」で下して順当に決勝まで勝ち上がった。

川合は2年生にして東海ブロックを制した大物。この日は2回戦で芝山大空(栃木・国分寺中)を2分19秒「指導3」の反則で退け、3回戦は佐々木啓志(香川・三木中)から「指導」2つを奪った末に「技有」優勢で勝利。準々決勝は松本龍樹(長崎・長崎日大中)を3分0秒合技「一本」に仕留めてベスト4入り決定。準決勝は鈴木岳精(北海道・豊富中)に左内股「技有」を先行されたが、ここで底力を発揮。1分28秒逆転の内股透「一本」を決めてみごと決勝に駒を進めることとなった。

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決勝、竹吉が完璧な横四方固「一本」

【決勝】
竹吉瑞樹(東京・国士舘中)○横四方固(1:17)△川合遼(静岡・静岡学園中)

竹吉が右、川合は左組みのケンカ四つ。竹吉釣り手で前襟を掴んで小外刈で先制攻撃、その後は互いに引き手を求める形で組み手争いとなる。これを縫って竹吉が右体落(※引き手確認)、川合素早くかわして肩車に切り返すが、竹吉は段重ねで反応。これを潰すと淀みない動きで後帯を掴み、相手の腕を腹側に送り込み、引込返の形で縦にひっくり返す。川合慌てて脚を絡むが、竹吉落ち着いて引き抜くと横四方固。相手の腕を体の外側に追い出し、頭側の足を枕に近い形で張って戻りをブロックするという横四方固のもっとも強い形の1つ。川合一瞬暴れるが竹吉が首の抱えを一段深くするともはや動けず。追い出された左、外側の右と両腕がバンザイする形になって力をまったく効かせることが出来ない。そのまま20秒が過ぎ「一本」。竹吉決勝も快勝、初の全国制覇なる。2年生の川合は竹吉の手堅い試合ぶりの前に、力を出させて貰えなかった。

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81kg級優勝の竹吉瑞樹

【入賞者】
優 勝:竹吉瑞樹(東京・国士舘中)
準優勝:川合遼(静岡・静岡学園中)
第三位:田村侑己(千葉・東海大浦安中)、鈴木岳精(北海道・豊富中)
第五位:吉岡稟太朗(滋賀・粟津中)、坪井馨(福岡・北九州城南中)、松本龍樹(長崎・長崎日大中)、玉城大和(沖縄・南風原中)

竹吉瑞樹選手のコメント
「とにかく初戦が大事、最初から全力で行きました。合技「一本」で勝って、波に乗れました。調子は良くなかったですが、自信だけはありました。(―自信の理由は)とにかく練習をしたから。春のライバル校との練習試合でまったく勝てず、先生から『夏の全中まで必死でやりなさい。それ以外にない』と声を掛けられて、もうとにかく練習をしてきた。これだけやれば勝てると思えました。得意技は背負投。ここが自分の柔道人生のスタート。高校、大学でも日本一になって、世界で活躍する選手になりたい。」

【準々決勝】
田村侑己(千葉・東海大浦安中)○GS内股(GS2:54)△吉岡稟太朗(滋賀・粟津中)
竹吉瑞樹(東京・国士舘中)○優勢[技有]△坪井馨(福岡・北九州城南中)
川合遼(静岡・静岡学園中)○合技(3:00)△松本龍樹(長崎・長崎日大中)
鈴木岳精(北海道・豊富中)○GS技有(GS0:34)△玉城大和(沖縄・南風原中)

【準決勝】
竹吉瑞樹(東京・国士舘中)○GS体落(GS1:32)△田村侑己(千葉・東海大浦安中)
川合遼(静岡・静岡学園中)○内股透(1:28)△鈴木岳精(北海道・豊富中)

【決勝】
竹吉瑞樹(東京・国士舘中)○横四方固(1:17)△川合遼(静岡・静岡学園中)

■ 90kg級 鏑木克優が優勝、前評判通りの強さで他を寄せ付けず
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90kg級準決勝、柴田陽が山本虎太郎から移腰「技有」

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90kg級3回戦、鏑木克優が中田瑛徠から体落「技有」

【準決勝まで】

柴田陽(神奈川県・金目中)と、関東ブロック大会の覇者・鏑木克優(東京都・足立学園中)が決勝へと勝ち上がった。

柴田は5試合中4試合を一本勝ち、その内3試合を1分以内に終わらせるという素晴らしい内容での勝ち上がり。ノーシードからのスタートだったが、まず1回戦で桑原蒼空(和歌山県・箕島中)を僅か21秒の送足払「一本」で秒殺。以降も2回戦で寺下仁悠(石川県・高尾台中)を54秒崩袈裟固「一本」、3回戦でも保川璃恩(徳島県・阿波中)を57秒合技「一本」と早い時間の「一本」を重ねてベスト8に勝ち上がる。準々決勝は伊藤志竜(秋田県・山王中)に粘られて一本勝ちこそ逃したが、終盤に相手の左釣腰を捲っての隅落「技有」を得て優勢勝ち。続く準決勝では山本虎太郎(佐賀県・有田中)を豪快な移腰「技有」から崩袈裟固で抑え込み、2分28秒に合技「一本」。圧倒的な強さで決勝まで勝ち上がる。

対する鏑木も4試合中3試合が一本勝ち。初戦(2回戦)は小屋畑悠介(岩手県・久慈中)を最初の手合わせで伏せさせるなり寝技を展開して39秒横四方固「一本」で一蹴。3回戦も中田瑛徠(愛媛県・三間中)を体落「技有」から横四方固に抑え込み、1分6秒合技「一本」で下してベスト8入りを決める。準々決勝はケンカ四つの木下陽太(福岡県・大刀洗中)を相手にやや攻めあぐねたものの、「指導2」を得ての僅差優勢で勝利。続く準決勝では野坂英矢(福井県・明倫中)に右大内刈で追い込んだところに右外巻込を合わされて「技有」をリードされるが、ここで的確に方針を変更。「大内刈で追って合わせられたので、同じことを繰り返さないように前の技で攻めた」(本人談)と前技中心で戦い始める。「横三角」から抑え込んだいわゆる「シバロック」は腕の拘束が十分でないと見られたか「抑え込み」の宣告を引き出せなかったが、「待て」を貰うとここからさらに加速。まず背負投「技有」、そして2分31秒背負落「一本」と連取。逆転勝ちで決勝進出を決めた。

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決勝、鏑木が大外刈で攻める

【決勝】

鏑木克優(東京都・足立学園中)〇GS僅差(GS1:50)△柴田陽(神奈川県・金目中)

鏑木と柴田ともに右組みの相四つ。攻防の中心は組み手、そして最前線は鏑木の釣り手。巡まず11秒、鏑木が奥襟を得る動作に合わせて柴田が右袖釣込腰。鏑木大きく崩れ、腹這いで畳に伏せる。以降も組み合いたい鏑木に、相手の組み手が完成するとすぐさま担ぎ技の先手攻撃を仕掛ける柴田という形で試合が進む。鏑木が釣り手を得ると柴田は閂の形に引き手で抱き込み、低く構えて圧を掛けながら担ぎ技のチャンスを待つ。1分12秒、両者に「取り組まない」咎で「指導」が与えられるが以降も構図は変わらず。勝負はGS延長戦へ。

延長戦に入っても大枠の様相は本戦と変わらず。ただし鏑木が優位のまま組んで攻防する時間が長くなる。これに伴って鏑木の技数も増加、右大外刈に右背負投と威力ある技を積んで徐々に攻勢が明確となる。GS1分過ぎには掛け潰れた柴田を引き起こして右大内刈を狙う場面も生まれる。そして鏑木が右体落で柴田を伏せさせたGS1分50秒、柴田に消極的試合姿勢よる「指導2」が与えられ、スコアに差がついたこの時点で試合は決着となった。鏑木、周囲の徹底マークを跳ね返して見事タイトルを獲得。柴田は決勝ではこれまでの豪快な柔道が鳴りを潜め、先手攻撃を軸に据えた組み立て。相手の柔道をここまで変える、鏑木の強さが際立つ一番だった。

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90kg級優勝の鏑木克優

【入賞者】
優 勝:鏑木克優(東京・足立学園中)
準優勝:柴田陽(神奈川・金目中)
第三位:山本虎太郎(佐賀・有田中)、野坂英矢(福井・福井明倫中)
第五位:伊藤志竜(秋田・山王中)、石井克明(静岡・静岡学園中)、小川皓太郎(千葉・習志野第四中)、木下陽太(福岡・大刀洗中)

鏑木克優選手のコメント
「この大会を目標にしてきたので優勝できて嬉しいです。決勝はギリギリの戦いでしたが、最後まで気持ちを切らさず戦えました。得意技は大内刈です。(-準決勝はポイント取られてから組み立てを変えた?)大内刈で追っていって合わせられたので、同じことを繰り返さないように前の技で攻めました。(自分の良さは)体力、スタミナです。技が切れないので。目指す柔道は圧倒する、『一本』を取る柔道です。高校に入ってもインターハイで優勝したいです。」

【準々決勝】
柴田陽(神奈川・金目中)○優勢[技有]△伊藤志竜(秋田・山王中)
山本虎太郎(佐賀・有田中)○GS僅差(GS1:42)△石井克明(静岡・静岡学園中)
野坂英矢(福井・福井明倫中)○袖車絞(2:48)△小川皓太郎(千葉・習志野第四中)
鏑木克優(東京・足立学園中)○優勢[僅差]△木下陽太(福岡・大刀洗中)

【準決勝】
柴田陽(神奈川・金目中)○合技(2:28)△山本虎太郎(佐賀・有田中)
鏑木克優(東京・足立学園中)○背負落(2:31)△野坂英矢(福井・福井明倫中)

【決勝】
鏑木克優(東京・足立学園中)○GS僅差(GS1:50)△柴田陽(神奈川・金目中)

■ 90kg超級 最激戦階級の勝者は平野匠啓、伸びやかな柔道で頂点極める
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90kg超級3回戦、瀬川賢豪が川島勇之介から小外掛「一本」

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準々決勝、山本由聖が饒平名和貴を僅か23秒の払腰「一本」で一蹴

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注目の準決勝は壮絶な撃ち合い。瀬川が山本を右払腰「一本」に仕留めた。

【準決勝まで】

トーナメント上半分、A-Bブロックに団体戦で火花を散らした強豪たちが集中した。中心となるのは団体戦決勝で全試合一本勝ち同士のエース対決を演じた瀬川賢豪(奈良・天理中)と山本由聖(東京・国士舘中)。

瀬川は2回戦で今井丈太郎(徳島・阿波中)を開始24秒の大外刈「一本」で一蹴。3回戦は川島勇之介(宮崎・宮崎東中)を素晴らしいタイミングの小外掛で叩き落とし50秒「一本」。準々決勝は、2回戦で井上雅也(岐阜・岐北中)を下している実力者齋藤翔惺(福島・三春中)を39秒大内刈「一本」で問題にせず。3試合いずれも1分掛からず、順調にベスト4進出決定。

山本は強豪と3連戦、しかしこちらも当たり前のように全試合一本勝ち。2回戦は中谷雅夢(兵庫・小野中)を伏せさせると背中について大きく持ち上げて無理やり隙間を確保、ここに体を滑り込ませてのローリングから抑え込んで僅か49秒盤石の横四方固「一本」。3回戦は九州ブロックの王者空閑大輝(福岡・大刀洗中)をこれも41秒合技「一本」で下し、準々決勝は饒平名和貴(埼玉・埼玉栄中)を23秒右払腰「一本」であっさりクリア。格の違いを見せつけ、瀬川の待つ準決勝への畳に辿り着く。

この試合は右相四つ、ともにケレン味一切なく投げを狙い合う大熱戦。釣り手を高く持ち、体をずらしておのが釣り手をなくして距離を詰めては大外刈を中心に大技を撃ち合う。大外刈には大外返、内股には内股透、支釣込足には隅落、払腰には「めくり」と投げ合い、返し合い、いつどちらの勝利で試合が終わってもおかしくないスリリングな攻防が連続する。相手の釣り手を潰す動作は最小限、試合が始まってすぐに「これはどちらが勝っても必ず『一本』で決まる」と確信出来、そしてその通りに展開する、大会ベストバウトだった。結果は団体戦とは勝者が入れ替わり、2分13秒瀬川の右払腰「一本」で決着。全試合一本勝ちで決勝進出を決めた。

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準決勝。平野匠啓は両襟を高く持って頭を下げさせ、井手英閏を相手に一方的な試合を展開。

逆側からのファイナリストは、関東ブロック大会決勝で山本を「技有」優勢で破っている平野匠啓(神奈川・茅ケ崎第一中)。2回戦は安田丈二(滋賀・虎姫学園中)を52秒横四方固「一本」、3回戦も森田羚我(佐賀・有田中)を2分4秒横四方固「一本」準々決勝は中祖俊輔(広島・崇徳中)を2分37秒大内返「一本」に仕留め、3戦連続の一本勝ちでベスト4入り決定。

準決勝は井手英閏(愛知・大成中)とマッチアップ。前戦でも6分近い長時間試合を徹底した先手攻撃による「指導3」で勝利している井出の低い担ぎ技と、なかなか「指導」が出ない判定傾向に手を焼いて時間こそ掛かったが、長身を生かした「両襟奥」の組み手と得意の左内股で一方的に試合を支配。頭を下げさせ、崩し、引きずり、立って勝負してくれるとみればすかさず内股に投げに掛かり、GS延長戦49秒までに3つの「指導」を押し付けて圧勝。「一本」3つの「指導3」1つ、こちらも他をまったく寄せ付けず、決勝へと勝ち上がることとなった。

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決勝。瀬川右大外刈も、長い柔らかい平野を捕まえきれない。

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平野は得意の両襟から左内股を連発、瀬川を度々大きく崩す

【決勝】

平野匠啓(神奈川・茅ケ崎第一中)○GS谷落(GS1:00)△瀬川賢豪(奈良・天理中)

瀬川が右、平野が左組みのケンカ四つ。瀬川釣り手で前襟を掴み、手首を立てて間合いを詰めると右内股。しかし長身の平野またいで潰し、大過なし。平野得意の「両襟奥」で圧し、瀬川の頭が下がると位置をずらして得意の左内股。瀬川ケンケンで場外に逃れるが危うさのある受け方。ベンチからは「足を上げて受けないように」とのアドバイスはが飛ぶ。瀬川は体の長い相手を固定しようと両襟を掴み、右大外刈、右大内刈と放つがいずれも平野懐の深さを利して柔らかく受け切り、自らは「両襟奥」で場外際まで持ち込むと左内股を連発。頭を下げられた瀬川はこの技を効かされ、たたらを踏んで場外に逃れることが続く。

残り時間僅か。瀬川両襟から引き手を袖に持ち替えての右大外刈、さらににじり寄るような右内股と見せるが、平野いずれも受け切っては淡々と、これが仕事とばかりに伸びやかな左内股に変換。1つの「指導」もない攻め合いのまま、試合はGS延長戦ともつれ込む。

なかなか平野の体の芯を捕まえられない瀬川、一計を案じて釣込腰型に腕をまとめ、腰を入れるようにして大外刈。的確な企図だったがステップまでは変えられず、片足を上げたところで拘束が緩んでしまい、技を効かせられない。平野は柔らかく捌くとまたもや「両襟奥」で瀬川の頭を下げに掛かる。GS52秒、瀬川思い切って右大外刈もまたもや平野しっかり捌いて潰し「待て」。瀬川は急にスタミナが落ち、立ち上がると息が荒い。

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瀬川の大外刈を一歩引いてかわした平野、素晴らしいタイミングで谷落で迎え撃ち「一本」

消耗した瀬川、己を鼓舞するがごとく激しく前に出て右大外刈に踏み込む。が、集中が切れたか明らかに作りが甘く、足がついていかない。瞬間外側に一歩ずれて相手を呼び込んだ平野が谷落。出足払のタイミングで、しかも深く膝を入れたこの一撃の威力は抜群。瀬川の巨体が完全に宙に浮き、激しく畳に落ちて「一本」。平野、中学王座獲得。己の特徴をよく理解したその戦法と技術、そしてどんな状況にも動ぜずこれを貫く図太さ。見事であった。地元の小川道場で稽古を積む茅ヶ崎第一中は、女子の小出穂香と併せて、全国中学大会最重量級男女同時制覇となった。

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90kg超級優勝の平野匠啓

【入賞者】
優 勝:平野匠啓(神奈川・茅ケ崎第一中)
準優勝:瀬川賢豪(奈良・天理中)
第三位:山本由聖(東京・国士舘中)、井手英閏(愛知・大成中)
第五位:齋藤翔惺(福島・三春中)、饒平名和貴(埼玉・埼玉栄中)、中濵洋希(千葉・鎌ケ谷第三中)、中祖俊輔(広島・崇徳中)

平野匠啓選手のコメント
「優勝は素直に嬉しいです。たくさん練習してきたので、自信はありました。(―前日に同門の選手が優勝。気合いが入ったのでは)プレッシャーはなかったです。どんどん技を掛ける、自分の柔道をするだけだと思っていました。(―183センチの長身を良く生かした柔道だと思いました。このために考えていることは?)そうですね。…特にないと思います。(―「両襟奥」で頭を下げさせるのは?)それは自分で考えました。自分は内股が得意なので、相手の頭が下がった状態であれば足の長さが生きるので。(―将来の目標は)オリンピックで金メダルを獲ることです。技、体力、まだまだやるべきことはたくさんあると思います。(―尊敬する選手、柔道家は?)小川直也先生です。(―どんなところが尊敬できますか?)強いところです!」

【準々決勝】
瀬川賢豪(奈良・天理中)○大内刈(0:39)△齋藤翔惺(福島・三春中)
山本由聖(東京・国士舘中)○払腰(0:23)△饒平名和貴(埼玉・埼玉栄中)
井手英閏(愛知・大成中)○GS反則[指導3](GS2:53)△中濵洋希(千葉・鎌ケ谷第三中)
平野匠啓(神奈川・茅ケ崎第一中)○大内返(2:37)△中祖俊輔(広島・崇徳中)

【準決勝】
瀬川賢豪(奈良・天理中)○払腰(2:13)△山本由聖(東京・国士舘中)
平野匠啓(神奈川・茅ケ崎第一中)○GS反則[指導3](GS0:49)△井手英閏(愛知・大成中)

【決勝】
平野匠啓(神奈川・茅ケ崎第一中)○GS谷落(GS1:00)△瀬川賢豪(奈良・天理中)

※ eJudoメルマガ版8月26日掲載記事より転載・編集しています。

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