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【レポート】ウルフ盤石の金メダル、フォンセカ3度目の確変は起こらず/東京オリンピック柔道競技男子100kg級レポート

(2021年9月1日)

※ eJudoメルマガ版8月7日掲載記事より転載・編集しています。
ウルフ盤石の金メダル、フォンセカ3度目の確変は起こらず
東京オリンピック柔道競技男子100kg級レポート
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■ 準決勝まで
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準々決勝、ヴァルラム・リパルテリアニがシャディー・エルナハスから隅落「技有」

ベスト4に名を連ねたのは、ヴァルラム・リパルテリアニ(ジョージア)、ウルフアロン、ジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)、チョ・グハン(韓国)。この4人の勝ち上がりを紹介することでトーナメントの様相を辿っていきたい。

リパルテルアニは第1シード、最激戦区となったプールAの勝者。初戦(2回戦)はラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)から2分42秒の間に3つの「指導」を奪う快勝。これでベスト8入りを果たして、下側ブロックの潰し合いを待つ。下側の2回戦ではゼリム・コツォイエフ(アゼルバイジャン)とシャディー・エルナハス(カナダ)が激突。これがメダルマッチと言われても遜色ない旬の選手同士の一番は、なんとエルナハスが大腰「技有」に大内刈「技有」と奪う一方的な内容で圧勝、リパルテリアニへの挑戦権を得る。迎えた準々決勝の大一番はリパルテリアニが2分1秒隅落「技有」、3分57秒に谷落「一本」と連取して貫禄を見せつけ、順当にベスト4入りを決めた。

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2回戦、ウルフアロンがムハマドカリム・フラモフから横分「一本」。異常な飛び方だった。

第5シードで大会をスタートしたウルフは素晴らしい出来。2回戦でムハマドカリム・フラモフ(ウズベキスタン)を大会ベストスロー級の横分「一本」に仕留めると、シード選手同士の対決となった準々決勝は組み手の巧者ペテル・パルチク(イスラエル)をまさにその組み手で完封。両組みのパルチクの種々様々な仕掛けを大枠受け入れながら、しかしやり取りの中で常に主導権を得続ける。手の詰まったパルチクが左にスイッチして奥襟を叩きに掛かると的確に見極め、ここに合わせて左大内刈。低く、まっすぐ浴びせ倒して3分21秒「技有」確保。以降はやりとりに応じず、完勝でベスト4へと駒を進めることとなった。

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準々決勝、ジョルジ・フォンセカがニイアズ・イリアソフから袖釣込腰「技有」

6月のブダペスト世界選手権で素晴らしいパフォーマンス、堂々世界選手権2連覇を達成したばかりのフォンセカは3度目の「確変」を感じさせるような良い出来。初戦(2回戦)は面倒なトマ・ニキフォロフ(ベルギー)を開始僅か17秒の背負投「一本」で一蹴。続いてこのプールの最注目対決であるニイアズ・イリアソフ(ロシア)との準々決勝を3分55秒、袖釣込腰「技有」で乗り越えてベスト4入り決定。最後まで勝ち残ってやるぞとばかりに勝利後のダンスは封印。気合い満々、集中力抜群の勝ち上がり。

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準々決勝、チョ・グハンがカール=リヒャード・フレイから浮落「技有」

このところ不調だった2018年バクー世界選手権の王者チョは、しっかりこの本番に合わせて来ていた。2回戦は6月のブダペスト世界選手権で決勝進出を果たしたばかりのアレクサンダー・クコリ(セルビア)を2度一本背負投で投げて2分37秒合技「一本」の快勝。準々決勝は前戦で第3シードのマイケル・コレル(オランダ)をGS延長戦26秒の背負投「技有」で下すアップセットを演じたカール=リヒャード・フレイ(ドイツ)をGS延長戦1分31秒の浮落「技有」で破ってベスト4入り。最難関になると目されたコレルとの対決ないまま、きっちり上位対戦へと駒を進めて来た。

■ 準決勝
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準決勝、ウルフがリパルテリアニの組み付きを待ち構えて左大内刈「技有」

準決勝第1試合はウルフが完勝。ケンカ四つのリパルテリアニは組み手の上手いウルフに付き合い過ぎては面倒と序盤から密着戦法を採るが、ウルフは敢えて釣り手一本の技を積み、引き手争いにステージを戻して間合いを取りながらじっくり機会を待つ。ウルフが好調時に採るこの耐久戦法を見て、このまま後半勝負に持ち込まれることを嫌ったリパルテリアニは2分40秒に「両襟奥」の密着で勝負に出る。しかしウルフ完全に読んでおり、奥を叩かれた瞬間呼び込んで左大内刈。自ら間合いを詰めていたリパルテリアニ逃げるスペースがなく、体側から激しく畳に落ちて「技有」。ビハインドを負ったリパルテリアニ激しく追うがウルフは取り合わず、残り18秒に偽装攻撃の「指導」を失ったのみで試合をまとめる。ウルフ、隙のない試合ぶりで決勝進出決定。この時点でメダルを確定させる。

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指に異常をきたしたフォンセカに対し、チョはあくまで慎重に組み手を管理して機を窺う。

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残り時間僅か、チョが独特の「揺すり」から左一本背負投を決めて「技有」

第2試合はフォンセカ、チョともに右組みの相四つ。互いに引き手で襟を得てはチョが右背負投、フォンセカが右大外刈に右背負投と打ち合うが、37秒に「待て」が掛かるとフォンセカの様子がおかしい。腕を伸ばし、右手で左の甲を幾度も叩き、親指を捩じり、次いで左右の指を順に畳に押し付ける。どうやら手が攣った模様。試合が再開されてもフォンセカ指を曲げ伸ばし、苦悶の表情で掌を叩く。もはやトラブルは明らか、これでは得意の「持ちながらの担ぎ技」は打てない。ギアを上げられないフォンセカに対し、しかしチョはあくまで慎重。手先を弾き返し、引き手で襟を持ち、相手に持たれると丁寧に切り離して、一発勝負の機会を与えないままじっくりチャンスを探る。フォンセカは「待て」が掛かると指が利かないのか上手く柔道衣を入れられず、変わらず苦しい状況。そして残り30秒を切ったところでこれまでなかった「釣り手一本」の形を作ったチョが揺さぶりに出る。体は上下、釣り手を前後に細かく揺する独特の牽制。「いくぞ」とばかりに相手の目を見たまま時間にして10秒、回数にして10度ほどこれを繰り返すとこの動きに混ぜ込んでついに本命の左一本背負投に打って出る。低く潜り込んだ一撃、予期したフォンセカ一歩外側に出て回避を試みるが袖先を首に挟んだチョの抱き込みが深く、引きずり込まれて体側から落下「技有」。残り時間はこの時点で僅か16秒。フォンセカ必死の形相で迫るが、両袖を掴まれたチョは敢えて潰れ、押し込まれるとそのまま場外に出る割り切った進退。残り8秒に偽装攻撃の「指導」、残り2秒に場外の「指導2」が与えられたが大勢には影響なし。終了ブザーが鳴り響き、チョの「技有」優勢による勝利が決まった。瞬間、メダル獲得が確定したチョは手を合わせて正座、拳で畳を幾度も叩いて歓喜の表情。フォンセカは「だめだ」と手を上げ、ブザーがなると畳に頽れてこちらも正座し、無念一杯の表情。両世界王者による対戦は意外な形でチョの勝利となった。

■ 決勝
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決勝、ウルフは敢えて浅い技で手数を積んでチョのスタミナを削り続ける。

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勝機来ると見るや大胆な組み手から左大内刈一撃「一本」

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ウルフ見事金メダル獲得。

迎えた決勝も世界王者対決。ウルフが左、チョが右組みのケンカ四つ。これまでチョを苦手にしてきたウルフは明らかに後半勝負を企図。釣り手を上から持って蓋をし、チョ得意の左一本背負投を封じたまま浅い左内股に右への肩車と片手の技で技数を積む抑えた進退。展開を急ぐことも遅れを取ることもなく、着かず離れずチョの様子を観察し続ける。チョは様々仕掛けを試みるがウルフはペースを乱すこと一切なし。試合序盤に両者に取り組まない咎による「指導」が与えられたが、ともに片手から技を散発するのみであっという間に本戦4分が終わり、試合はGS延長戦へ。

ウルフはやはり釣り手一本を上から被せてチョを封殺。形上引き手を持っても順方向の深い技は仕掛けず、浅い内股を作りにしての肩車を仕掛け、決してチョにペースを渡さず、しかしリスクのある仕掛けは一切行わない。もともと組み手はウルフが上。いかに粘戦の権化であるチョも、ここまで割り切って試合を進められてはたまらない。GS49秒にチョに消極的姿勢の「指導2」、直後のGS1分30秒にウルフに襟隠しの「指導2」とスコア上は一進一退の接戦だが、時間の経過とともにチョの気力体力が削られ、ウルフの優位が増していく。GS延長戦5分を過ぎるとこれまで抑えて来たウルフがいよいよ相手の消耗を確信したか、いきなり引き手で上腕を掴む強気の組み手にシフト。そしてGS延長戦5分35秒、後のないチョが自ら引き手を得ようとするとウルフ先に動いて引き手を深く掴み、釣り手で脇を差しながら左大内刈。もはや抗う力の残っていないチョは背中から畳に墜落「一本」。ウルフ、完璧な試合運びで金メダル獲得を決めた。髙藤や阿部、大野や永瀬と同様「絶対に失敗しない」方法を突き詰めた、ウルフの個性に則った完璧なアウトプットだった。

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3位決定戦、フォンセカはこれまでの袖釣込腰狙いから一転、袖を離して浮腰「技有」

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イリアソフが隅落「技有」、これで銅メダル獲得を決めた。

3位決定戦第1試合はフォンセカがエルナハスに浮腰「技有」で勝利。絶好調時のような組み際の高速攻撃こそ見られなかったが、時間を置いてある程度体は回復した模様。敢えて展開のペースを上げ過ぎずじっくり組み手を進め、組み負けても丁寧に直しては袖釣込腰を打ち込み続ける。疲労が早く、2分22秒にこの動作から首抜きの「指導」1つを貰ってしまったが、残り40秒、奥襟を叩かれたところから脇を差し、引き手の牽引を利かせて右の浮腰。これまでの袖釣込腰狙いからツト変えたこの技に虚を突かれたか、予想より早いインパクトの襲来にエルハナスずるりと崩れて体側から落下「技有」。フォンセカ、以降はエルナハスの追撃に付き合わず、偽装攻撃の「指導」1つを敢えて受け入れてなんとか終戦。しっかり銅メダルを確保した。大の字になってしばし感慨にふけったフォンセカ、金メダルを狙っていたゆえか畳上でのダンスはなかったが、国旗を背に負い、フラッシュインタビューが終わるとスタッフとともに一踊り。「らしさ」を見せてくれた。

第2試合はイリアソフがリパルテリアニに勝利。厳しい組み手と的確な足技でリパルテリアニ得意の巻き込み技を十分な形で撃たせず、両者疲労して乱戦模様となった残り33秒に「技有」確保。思い切って勝負に出たリパルテリアニの谷落に素早く反応、振り返っての隅落で浴びせ返した。リパルテリアニ必死に前に出るがもはや力が残っておらず、イリアソフが捨身技で流し続けて勝利を決めた。

成績上位者、ウルフのコメントと全試合の戦評は下記。

■ 成績上位者
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100kg級メダリスト。左から2位のチョ・グハン、優勝のウルフアロン、3位のジョルジ・フォンセカとニイアズ・イリアソフ。

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金メダルを手にしたウルフアロン。

(エントリー25名)

【入賞者】
1.WOLF, Aaron (JPN)
2.CHO, Guham (KOR)
3.FONSECA, Jorge (POR)
3.ILIASOV, Niiaz (ROC)
5.ELNAHAS, Shady (CAN)
5.LIPARTELIANI, Varlam (GEO)
7.PALTCHIK, Peter (ISR)
7.FREY, Karl-Richard (GER)

【成績上位者】
優 勝:ウルフアロン(日本)
準優勝:チョ・グハン(韓国)
第三位:ジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)、ニイアズ・イリアソフ(ロシア)

ウルフアロン選手のコメント(フラッシュインタビュー)
「(―今日の試合を振り返って)僕の持ち味は泥臭い柔道。最後まで貫けたことが良かった。自分自身を信じてやった。(―最後まで投げて勝ちました)。試合に勝てればいいと、どういう結果でも勝てればと思っていました。その結果です。その結果がこういう柔道になった。(―小さい頃から馴染みのある会場だと思います)子供のころからたくさんの試合をここでやってきて、目標にしていた東京五輪での優勝、感慨深いです。家族や応援してくれた人に感謝したいです。(―体の調子は?)膝が悪いところもあったけどリハビリしていたので。自分を信じてやりました。(―100kg級の金メダルについて)井上先生がとってから16年金メダルがない階級だったので、僕自身が取り返すという思いで戦いました。まだ優勝の実感はないですが、最高です。」


【準々決勝】
ヴァルラム・リパルテリアニ(ジョージア)○合技[隅落・谷落](3:57)△シャディー・エルナハス(カナダ)
ウルフアロン○優勢[技有・大内刈]△ペテル・パルチク(イスラエル)
ジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)○GS技有・袖釣込腰(GS3:55)△ニイアズ・イリアソフ(ロシア)
チョ・グハン(韓国)○GS技有・浮落(GS1:31)△カール=リヒャード・フレイ(ドイツ)

【敗者復活戦】
シャディー・エルナハス(カナダ)○GS大内刈(GS0:45)△ペテル・パルチク(イスラエル)
ニイアズ・イリアソフ(ロシア)○優勢[技有・支釣込足]△カール=リヒャード・フレイ(ドイツ)

【準決勝】
ウルフアロン○優勢[技有・大内刈]△ヴァルラム・リパルテリアニ(ジョージア)
チョ・グハン(韓国)○優勢[技有・一本背負投]△ジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)

【3位決定戦】
ジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)○優勢[技有・浮腰]△シャディー・エルナハス(カナダ)
ニイアズ・イリアソフ(ロシア)○優勢[技有・隅落]△ヴァルラム・リパルテリアニ(ジョージア)

【決勝】
ウルフアロン○GS大内刈(GS5:35)△チョ・グハン(韓国)

【日本代表選手勝ち上がり】

ウルフアロン(了徳寺大職)
成績:優勝


【2回戦】
ウルフアロン○浮技(1:23)△ムハマドカリム・フラモフ(ウズベキスタン)

【準々決勝】
ウルフアロン○優勢[技有・大内刈]△ペテル・パルチク(イスラエル)

【準決勝】
ウルフアロン○優勢[技有・大内刈]△ヴァルラム・リパルテリアニ(ジョージア)

【決勝】
ウルフアロン○GS大内刈(GS5:35)△チョ・グハン(韓国)

■ 日本代表選手全試合戦評
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ウルフの横分「一本」

【2回戦】

ウルフアロン○横分(1:23)△ムハマドカリム・フラモフ(ウズベキスタン)

ウルフが左、フラモフが右組みのケンカ四つ。フラモフいきなり背中を叩くが、ウルフ脇を差して応じ、出し投げ様の片手の左内股で伏せさせる。以降もフラモフが背中深くを持ち、ウルフが脇を差し返しての攻防が続く。44秒にはフラモフの隅返にウルフが被さって抑え込みに近い形が生まれるが、これは認められず「待て」となる。続く攻防でもフラモフは釣り手で深くを抱き、ウルフこれに脇を差して応じる。ウルフが引き手を求めると嫌がったフラモフ腰を引いて下がる。ウルフこのチャンスを見逃さず一気に体を捨て、横分の大技。懐に潜り込まれたフラモフ放物線を描いて勢い良く畳に埋まり、1分23秒「一本」。異常な飛び方。ウルフは経過、決めとも万全の内容で初戦を突破。

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組み手でペテル・パルチクを完封、大内刈「技有」で勝ち抜け。

【準々決勝】

ウルフアロン○優勢[技有・大内刈]△ペテル・パルチク(イスラエル)

ウルフが左、パルチクが両組み。パルチクは右に組み、ケンカ四つで試合を進める。リーチの長さを生かして背中を抱き、あるいは前襟を持って突いてと様々な間合いで組み手の攻防を挑むが、このフィールドではウルフが上手。やり取りのなかで巧みに奥襟を掴み、逆に主導権を握り続ける。1分18秒、両者に片手の「指導」。以降も勝負の中心は組み手。2分7秒にはウルフが組み手の左右の持ち替えから二本を持った十分な形を作り、左内股で畳に這わせる。続く2分29秒にもケンケンの左大内刈で追い込み、場外際で伏せて優位は加速。3分21秒、ウルフの奥襟に脇を差して応じたパルチクが組み手を左にスイッチして奥を叩きに掛かると、ウルフこのタイミングを逃さず左大内刈。正面から低く刈り、浴びせ倒して「技有」を得る。そのまま相手を立たせず寝技を進め、腕緘を狙ったままの形でタイムアップを迎える。ウルフ、組み手の巧者を組み手で完封。完勝で準決勝へと駒を進める。

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リパルテリアニから大内刈「技有」

【準決勝】


ウルフアロン○優勢[技有・大内刈]△ヴァルラム・リパルテリアニ(ジョージア)

ウルフが左、リパルテリアニが右組みのケンカ四つ。リパルテリアニは組み手の攻防に付き合っては不利と判断、徹底した密着戦法を選択。ウルフは釣り手のみの浅い左内股や肩車を放って対抗し、引き手争いを最前線に大きな動きのないまま試合は終盤まで進む。2分40秒、釣り手で背中深くを得たリパルテリアニが引き手で奥を叩きながら一気に密着して勝負に出るが、これはウルフ完全に読んでおり、反対に呼び込んで左大内刈。自ら作った抱き合う形のためにリパルテリアニ逃れる隙間がなく、体側からドサリと畳に落ちて「技有」。ビハインドを負ったリパルテリアニは必死に接近戦を挑むが、ウルフ徹底して前襟を突き、危ない場面では自ら掛け潰れて一切これに応じない。結果、残り18秒に偽装攻撃の「指導」を失うのみで試合をまとめる。ウルフ、難敵リパルテリアニを破って決勝進出決定。

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勝負を決めた大内刈「一本」

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完璧な4試合だった。ウルフ、見事金メダル獲得。

【決勝】

ウルフアロン○GS大内刈(GS5:35)△チョ・グハン(韓国)

ウルフが左、チョが右組みのケンカ四つ。ウルフは釣り手を上から持って蓋をし、最も警戒すべき技である左一本背負投を封じる。双方相手の出方を窺いながらの引き手争いが続き、39秒、両者に片手の「指導」。以降も試合の軸は組み手の攻防。ウルフ徹底して釣り手を上から抑え、無理に引き手を取りにはいかずに抑えた進退を徹底する。ウルフが左内股に左大内刈、肩車、一方のチョが左一本背負投とそれぞれ技は見せるが散発。決定的な場面は生まれず、大枠としてはウルフの優位で試合はGS延長戦へと突入する。

延長戦になってもウルフは抑えた戦いぶり。釣り手を上から持つことを徹底し、相手のリズムに付き合わず、誘われても安易に前に出ることなくじっくりと試合を進める。無尽蔵のスタミナを持つウルフにこれをやられては粘戦の権化であるチョも為す術なし。GS49秒にチョに消極的姿勢の「指導2」、直後のGS1分30秒にウルフに襟隠しの「指導2」とスコア上は一進一退の接戦だが、時間の経過とともにチョの気力体力が削られ、ウルフの優位が増していく。GS5分頃からはこれまで抑えていたウルフが相手の衰弱を確信、圧を掛けながら引き手を求め、前に出るようになる。GS4分57秒、チョの偽装攻撃まがいの左背負投の後に主審から柔道衣を正すように指示があったが、ここでの「指導」は与えられずスルー。しかし続く展開ではウルフが激しく攻めて場外まで追い出し、いよいよあと一つ展開を詰めばチョに3つ目の「指導」が与えられるであろうところまで状況が煮詰まる。GS5分35秒、後のないチョが自ら引き手から得ようとすると、ウルフ反対に先んじて引き手から掴み、釣り手で脇を差しながら左大内刈。一気に刈り倒して「一本」を得る。ウルフ、完璧な試合運びで金メダルを獲得。

※ eJudoメルマガ版8月7日掲載記事より転載・編集しています。

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