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【直前プレビュー】V候補筆頭は素根、決勝でオルティス―ディッコの勝者を待ち受ける/ 東京オリンピック柔道競技女子78kg超級

(2021年7月30日)

※ eJudoメルマガ版7月26日掲載記事より転載・編集しています。
【直前プレビュー】V候補筆頭は素根、決勝でオルティス―ディッコの勝者を待ち受ける
東京オリンピック柔道競技女子78kg超級直前展望
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エントリーは27名。「概況解説・シード予想」で示した予想からの、シード選手配置の変更はなし。この階級は勝ち上がり候補の有力選手が全員シード権を得ているため、概ね事前予想どおりにトーナメントが進行すると予想される。ベスト8の顔ぶれからシード選手が欠けるとすれば、プールAのニヘル・シェイフ=ルーフー(チュニジア)がシウ・シヤン(中国)、プールCのマリーナ・スルツカヤ(ベラルーシ)がテッシー・サフェルコウルス(オランダ)に変わるくらいだろう。

日本代表の素根の初戦(2回戦)の相手は恐らくラズ・ヘルシュコ(イスラエル)。今年に入って成績を残している選手だが、そもそもの地力に大きな差があり敗れる要素はない。以降に関しては「概況解説・シード予想」の予想のとおり準々決勝でカイラ・サイート(トルコ)、準決勝でイリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)、決勝でイダリス・オルティス(キューバ)とホマーヌ・ディッコ(フランス)の勝者と対戦するはずである。いずれも強敵ながら力では素根が一枚上手。誤りなく状況を見極め的確に戦術選択ができれば勝利できるはずだ。素根らしい気持ちの強さとクレバーさを前面に押し出した戦いぶりに期待したい。

有力選手の配置、各プールの勝ち上がり展望は下記。各選手の特徴については「選手名鑑」を、組み合わせは公式サイトで山組を確認のこと。

■ プールA
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イダリス・オルティス

第1シード:イダリス・オルティス(キューバ)
第8シード:ニヘル・シェイフ=ルーフー(チュニジア)
有力選手:ホシェリ・ヌネス(ポルトガル)メリッサ・モヒカ(プエルトリコ)サラ・アドリントン(イギリス)ヤスミン・グラボフスキ(ドイツ)シウ・シヤン(中国)

オルティスの勝ち上がりが確定的。戦略、実力で明らかに頭一つ抜けている。準々決勝の相手はシェイフ=ルーフーかシウになると思われるが、いずれが上がってきても敵ではないはずだ。プール内の見どころとしてはむしろ下の山2回戦のシェイフ=ルーフーvsシウが面白い。実績的にはシェイフ=ルーフーの方が大きく上回っているが、今年4月のグランドスラム・アンタルヤではシウが2度投げて勝利している。この対戦を受けて戦術派のシェイフ=ルーフーがどのような戦略を持ち込むのか、注目である。

■ プールB
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ホマーヌ・ディッコ

第4シード:マリア=スエレン・アルセマン(ブラジル)
第5シード:ホマーヌ・ディッコ(フランス)
有力選手:アナマリ・ヴェレンシェク(スロベニア)サンドラ・ヤブロンスキーテ(リトアニア)イヴァナ・マラニッチ(クロアチア)

ディッコの山。注目は同じく階級きっての本格派・マリア=スエレン・アルセマン(ブラジル)との準々決勝だ。以外なことにこれまで両者は今回が初顔合わせとなる。組み手はディッコが右、アルセマンが左のケンカ四つ。ゆえにどちらか力強さに勝る側が一方的に組み勝っての勝負になるはず。最近の両者の試合からはディッコの勝ち上がりでまず間違いないと思われるが、正面からの力比べでは階級随一のアルセマンをどのように粉砕するのか。その戦いぶりに注目だ。

■ プールC
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イリーナ・キンゼルスカ

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テッシー・サフェルコウルス

第2シード:イリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)
第7シード:マリーナ・スルツカヤ(ベラルーシ)
有力選手:ラリサ・ツェリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)ハン・ミジン(韓国)テッシー・サフェルコウルス(オランダ)

キンゼルスカの山。2回戦で同じく両組みの巻き込み師・ラリサ・ツェリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)を迎えるが、ここはサイズ差がそのまま反映される形でキンゼルスカが勝ち上がるはずだ。一方下側の山は混戦。シード選手のスルツカヤが勝ち抜けの第一候補だが、ハン・ミジン(韓国)、サフェルコウルス(オランダ)も遜色ない実力を持っている。そもそも絶対値が高いのはサフェルコウルス。ただしこの選手は昨年2月に右膝に大怪我を負い1年以上の長期離脱、今大会が復帰戦とその調子が読めない。仮に1回戦でハンに勝利するようならそのままスルツカヤを食ってベスト8に勝ち上がる可能性もあるだろう。よって、準々決勝はキンゼルスカvsスルツカヤ、あるいはサフェルコウルスとなる。この場合下側からどちらが上がってきても、密着しての巻き込み一発を狙うキンゼルスカと動き回りながら担ぎ技で手数を積む対戦相手という構図になるはず。最近のキンゼルスカがスタミナや機動力をある程度上げていることから、ここはキンゼルスカの勝利と予想したい。ファンとしてはサフェルコウルスに勝ち上がってもらい、いくつもの名勝負を生み出したキンゼルスカとのライバル対決を見たいところだ。

■ プールD
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カイラ・サイート

第3シード:素根輝(パーク24)
第6シード:カイラ・サイート(トルコ)
有力選手:ラズ・ヘルシュコ(イスラエル)ホーテンス=ヴァネッサ・ムバラ=アタンガナ(カメルーン)エリザヴェータ・カラニナ(ウクライナ)

素根の山。反対の側からはサイートの勝ち上がりが確定的だ。ただしこちら側には「アフリカの新浮技女王」ことホーテンス=ヴァネッサ・ムバラ=アタンガナ(カメルーン)や、身長2メートルのエリザヴェータ・カラニナ(ウクライナ)などキャラの立った好選手が揃っている。組み合わせでは1回戦でムバラ=アタンガナ、2回戦でカラニナがサイートに挑むことになり、この2試合には勝敗は別として注目したい。なお、ムバラ=アタンガナは実力でもサイートに迫るものを持っており、得意の捨身技一発が決まれば番狂わせの可能性ありだ。準々決勝の素根vsサイートに関しては、相性的に素根が一方的に優位。サイートの基本スタイルは圧殺しての返し技だが、素根とは圧殺がしにくいケンカ四つ。さらに組み手の技術でも素根が勝っている。特に苦戦することなく素根が勝ち上がるはずだ。

■ 準決勝―決勝
「概況解説・シード予想」で語った通り。

素根は過去身体的記号の扱いを誤って2度投げられているキンゼルスカにしっかり勝って、決勝に進む。オルティスーディッコは読みがたいが、前回対戦を考える限りディッコの勝ち上がりを推しておくべきかと思われる。

そうなれば、初対戦ながら素根有利と読む。前回対戦はあまりにも前で、参考にならない(素根が左体落と崩袈裟固で「技有」2つを奪った末に、横四方固で一本勝ちしている)が、素根優位のはず。良くも悪くもケレン味のないディッコの柔道で、そもそも地力が上の素根を倒すことはかなりのハードル。地力の差が伝わりにくいケンカ四つとはいえ、素根はケンカ四つは得意。技術、というケンカ四つのメインフィールドでも上昇の梯子を掛けられるのは素根の側のはずだ。

怖いのはやはりオルティス。素根の優位は変わらないが、何をやってくるのかわからない、どこに連れていかれるのかわからないこの人と、五輪決勝というすさまじく高い磁場で戦うことはやはりかなりのハードル。「指導」で先行し、オルティスが罠を張れるエリアをどんどん狭めていくことが、最終的な勝利に繋がるはずだ。

※ eJudoメルマガ版7月26日掲載記事より転載・編集しています。

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