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【直前プレビュー】準決勝までは展望抱きやすいウルフの組み合わせ、決勝の難関乗り越え金メダル目指す/東京オリンピック柔道競技男子100kg級

(2021年7月28日)

※ eJudoメルマガ版7月26日掲載記事より転載・編集しています。
準決勝までは展望抱きやすいウルフの組み合わせ、決勝の難関乗り越え金メダル目指す
東京オリンピック柔道競技男子100kg級直前展望
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日本代表はウルフアロン

(エントリー25名)

エントリーは25名。「概況解説・シード予想」で示した予想からの、シード選手配置の変更はなし。第1グループでシードから漏れたゼリム・コツォイエフ(アゼルバイジャン)はプールAのシャディー・エルナハス(カナダ)と2回戦で当たる位置に配された。それ以外の有力選手は概ねバランス良くトーナメントの各所に散らばっており、全体としてはバランスの良い山組みとなっている。上位戦及び優勝争いの予想については「概況解説・シード予想」からほぼ変わらないので、下記の各プール評と併せてそちらをお読みいただきたい。

日本代表のウルフアロン(了徳寺大職)は直下にベンジャミン・フレッチャー(アイルランド)とモハマドカリム・フラモフ(ウズベキスタン)が置かれ、この勝者と2回戦で対戦することになる。ここは恐らくフラモフが勝ち上がってくると思われるが、この選手には過去2勝0敗と一方的に勝ち越しており、今年4月のアジア・オセアニア選手権でも左内股「一本」で勝利したばかり。ベスト8までの勝ち上がりはまず確実だろう。続く準々決勝の相手は順当ならばペテル・パルチク(イスラエル)が勝ち上がってくるはず。実力的にはウルフ優位ながら、この選手は両組で技の左右が利き、受けも強く試合運びも上手い。過去に1度だけ対戦した2019年グランドスラム・パリでは先に左背負投「技有」を先行されての逆転勝ちだった。あくまで勝利するのはウルフと予想するが、組み際の担ぎ技に注意しながらスタミナを生かして後半に勝負したい。準決勝の相手はプールAにコツォイエフが入ったことで少々読み難くなったが、ヴァルラム・リパルテリアニ(ジョージア)、エルナハス、コツォイエフのいずれかになることは間違いない。いずれも組み合って柔道をする選手。相性的には決して戦いにくいではないはずだ。決勝に関しては「概況解説・シード予想」のとおり絶好調のフォンセカ、あるいは過去に敗れた相手のいずれかが上がってくる可能性が高い。いずれも厳しい戦いになるはずだが、ウルフが決勝まで勝ち上がれるコンディションならば十分に優勝が狙えるはずだ。

有力選手の配置、各プールの勝ち上がり展望は下記。各選手の特徴については「選手名鑑」を、組み合わせは公式サイトで山組を確認のこと。

■ プールA
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ヴァルラム・リパルテリアニ。「死のブロック」勝ち上がり候補の一番手。

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ノーシードからゼリム・コツォイエフがこの山に飛び込んで来た。

第1シード:ヴァルラム・リパルテリアニ(ジョージア)
第8シード:シャディー・エルナハス(カナダ)
有力選手:シャー=フセイン・シャー(パキスタン)ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)イワン・レマレンコ(UAE)ゼリム・コツォイエフ(アゼルバイジャン)アレクサンドル・イディー(フランス)

強豪密集の激戦区。まず1回戦でコツォイエフとアレクサンドル・イディー(フランス)が戦い、2回戦でリパルテリアニvsラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)、エルナハスvsコツォイエフの対戦が組まれることになる。後者は若手の好選手同士がぶつかる序盤戦屈指の好カード。対戦成績は1勝1敗ながら直近の戦いである今年1月のワールドマスターズ・ドーハでは浮技「一本」でコツォイエフが勝利している。最近のコツォイエフの充実ぶりからすればこちらが勝ち上がる可能性が高いだろう。上側の山からはリパルテリアニの勝ち上がりが濃厚なため、準々決勝はリパルテリアニvsコツォイエフと予想する。両者はワールドマスターズ・ドーハで1度だけ対戦しており、その際はリパルテリアニが右一本背負投「技有」で勝利している。ただしこれは奇襲が成功した結果であり、試合全体としては拮抗していた。今回も接戦になる可能性大だ。予想としては序列どおりのリパルテリアニ勝利を推したい。

■ プールB
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ペテル・パルチク

第4シード:ペテル・パルチク(イスラエル)
第5シード:ウルフアロン(了徳寺大職)
有力選手:ラグワスレン・オトゴンバータル(モンゴル)グリゴリ・ミナスキン(エストニア)ベンジャミン・フレッチャー(アイルランド)ムハマドカリム・フラモフ(ウズベキスタン)

ウルフの山。勝敗予想は本文で行っているため省略するが、上側の山2回戦で恐らく組まれるパルチクvsラグワスレン・オトゴンバータル(モンゴル)は好カード。

■ プールC
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愛されキャラ属性ナンバーワン、世界王者ジョルジ・フォンセカ。

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ニイアズ・イリアソフ

第2シード:ジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)
第7シード:ニイアズ・イリアソフ(ロシア)
有力選手:トマ・ニキフォロフ(ベルギー)ラファエル・ブザカリニ(ブラジル)サーイエニッチ ・ミクロス(ハンガリー)イェフゲニース・ボロダフコ(ラトビア)

世界選手権2連覇中のジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)の山。この選手についての詳細は「概況解説・シード予想」「選手名鑑」を参照いただきたい。組み合わせはかなり厳しいものとなっており、初戦(2回戦)でトマ・ニキフォロフ(ベルギー)、準々決勝でニイアズ・イリアソフ(ロシア)と対戦予定。フォンセカの場合はコインの表と裏のように調子、もう少し言えば集中力がどの程度高まっているかでパフォーマンスが大きく変わる。常の出来であれば初戦でニキフォロフに敗れる可能性もあるが、仮に6月のブダペスト世界選手権のような異様な仕上がり具合ならば「一本」連発でのベスト4進出も可能なはず。まずは初戦、その出来に注目だ。なお、フォンセカの調子が普通程度ならば、ここからはイリアソフが勝ち上がると予想したい。

■ プールD
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マイケル・コレル

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チョ・グハン

第3シード:マイケル・コレル(オランダ)
第6シード:チョ・グハン(韓国)
有力選手:カール=リヒャード・フレイ(ドイツ)ミキタ・スヴィリド(ベラルーシ)アレクサンダー・クコリ(セルビア)

マイケル・コレル(オランダ)、チョ・グハン(韓国)と階級を代表する担ぎ技系2名がシードを張る山。それぞれ2回戦で当たる位置にコレルはカール=リヒャード・フレイ(ドイツ)、チョはアレクサンダー・クコリ(セルビア)と山場が設定されているが、いずれも相性、実力的にそこまで苦戦することはないはずだ。よって準々決勝はコレルvsチョと予想する。両者の対戦成績は2勝2敗。直近では2019年東京世界選手権でコレルが勝利している。最近の両者の戦いぶりを見る限りでは好調で手札も着々と増やしているコレルに対して、チョはいまひとつ動きにキレがない。ここは順当にコレルの勝ち上がりと予想したい。

■ 準決勝―決勝
上側の山の準決勝、もっとも可能性の高いカードはリパルテリアニvsウルフ。既に書かせて頂いた通り、これがエルナハス、あるいはコツォイエフであっても基本的には組んで勝負するタイプの選手で、ウルフにとって相性的に戦いにくい相手とは思われない。ウルフの決勝進出はかなり可能性が高い。

下側の山の準決勝に関しては、プールCからフォンセカが勝ち上がった場合にはフォンセカ、イリアソフが勝ち上がった場合にはコレルが決勝に勝ち上がると予想したい。ただしこれはイリアソフの最近の冴えない戦いぶりから補助線を引いての予想。仮にイリアソフが出世期のような怪力柔道でプールCを勝ち上がった場合には、そのままイリアソフの勝利の可能性が高い。

決勝に関しては、これも冒頭書かせて頂いた通り、ウルフにとっては「確変を起こしたフォンセカ」あるいは「ハイコンディションにある、かつ過去敗れている相手」(コレル、イリアソフ、チョ)と戦わねばならないということで、準決勝までとは一転かなり難しい戦いになるはず。ウルフの健闘に期待したい。

※ eJudoメルマガ版7月26日掲載記事より転載・編集しています。

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