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【直前プレビュー】田代未来のアグベニュー超えなるか?削った先の「出口」に期待/ 東京オリンピック柔道競技女子63kg級

(2021年7月25日)

※ eJudoメルマガ版7月25日掲載記事より転載・編集しています。
【直前プレビュー】田代未来のアグベニュー超えなるか?削った先の「出口」に期待
東京オリンピック柔道競技女子63kg級直前展望
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日本代表は田代未来

(エントリー31名)

エントリーは31名。「概況解説・シード予想」で示した予想からの、シード選手配置の変更はなし。常の世界大会と同じく「三強」は全員山が分かれ、準決勝でまず田代未来(コマツ)とティナ・トルステニャク(スロベニア)が戦い、その勝者を絶対王者のクラリス・アグベニュー(フランス)が決勝で待ち受けることになる。この3名以外に優勝争いに加われる力を持つ選手はおらず、この準決勝以降の組み合わせは確定的。残る表彰台の1枠を巡る争いも「概況解説・シード予想」で述べたとおりの様相であり、ここで改めて語ることはほとんどない。

有力選手の配置、各プールの勝ち上がり展望は下記。各選手の特徴については「選手名鑑」を、組み合わせは公式サイトで山組を確認のこと。

■ プールA
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絶対王者クラリス・アグベニュー

第1シード:クラリス・アグベニュー(フランス)
第8シード:ユール・フランセン(オランダ)
有力選手:アニャ・オブラドヴィッチ(セルビア)カタリナ・ヘッカー(オーストラリア)ギリ・シャリル(イスラエル)

アグベニューの勝ち上がりが確定的。直下の相手とも力の差が大きくベスト8までは無風だ。一方下側の山からは順当であればユール・フランセン(オランダ)が勝ち上がるはずだが、1回戦の相手には6月のブダペスト世界選手権で3位を獲得して勢いに乗る新星、21歳のアニャ・オブラドヴィッチ(セルビア)が置かれている。ここを勝利した選手がそのままベスト8に進むはずだ。とはいえ、どちらもアグベニューとの間には相当な力の差がある。アグベニューがほとんど苦戦することなくベスト4に勝ち上がる可能性が高いだろう。

■ プールB
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混戦区はキャサリン・ブーシェミン=ピナードの勝ち上がりが濃厚

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ヤン・ジュインシュア

第4シード:キャサリン・ブーシェミン=ピナード(カナダ)
第5シード:ケトレイン・クアドロス(ブラジル)
有力選手:マグダレナ・クルサコワ(オーストリア)ヤン・ジュインシア(中国)ボルド・ガンハイチ(モンゴル)

唯一「三強」が不在の山。ここを勝ち上がった場合には仮に準決勝で破れても3位決定戦で「三強」を引く可能性は限りなく低く、銅メダルが現実的な位置まで近づくことになる。最近の成績からすればシード選手のキャサリン・ブーシェミン=ピナード(カナダ)とケトレイン・クアドロス(ブラジル)が勝ち上がる可能性が高いが、ブーシェミン=ピナードの直下にはマグダレナ・クルサコワ(オーストリア)とヤン・ジュインシア(中国)が置かれており、力的にはこちらの2名も前述のシード選手2名とそれほど変わらないものを持っている。特にブーシェミン=ピナードは過去1勝2敗で2連敗中とクルサコワを苦手としており、こちらが勝ち上がってきた場合には敗れる可能性も十分にある。ただし純粋な実力ではヤンがクルサコワを上回っており、さらに最近は非常に好調。このことを考慮すれば、2回戦に勝ち上がってくるのはヤンと考えておくべきだろう。そしてそれならば反対にブーシェミン=ピナードの勝ち上がりが濃厚。両者は今年3月のグランドスラム・トビリシで対戦しているが、ヤン唯一の武器である「腹包み」にブーシェミン=ピナードは対応できており、最終的には肩車「一本」で勝利している。よって準々決勝はブーシェミン=ピナードvsクアドロス。両者は同じパンナム地域ながら過去に2度しか戦っておらず、戦績は1勝1敗。それも2014年と2018年のことでほとんど当てにならない。とはいえ、両者のスタイルは似ており、どちらも粘戦ベースの潜り技、捨身技系。このことからここは地力とスタミナに勝るブーシェミン=ピナードが勝ち上がると予想したい。

■ プールC
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ティナ・トルステニャク

第2シード:ティナ・トルステニャク(スロベニア)
第7シード:マイリン・デルトロ=カルバハル(キューバ)
有力選手:ハン・ヒジュ(韓国)、キヨミ・ワタナベ(フィリピン)、アンリケリス・バリオス(ベネズエラ)ダリア・ダヴィドワ(ロシア)

トルステニャクの山。自身の側には相手になるような選手がおらずベスト8入りがほぼ確実。一方下側の山はマイリン・デルトロ=カルバハル(キューバ)、アンリケリス・バリオス(ベネズエラ)、ダリア・ダヴィドワ(ロシア)と階級上位のパワーファイターが詰め込まれた激戦区となっている。ロシアチームが低調であることや、直近の対戦でバリオスが2名に勝利していることを補助線とすれば、ここはバリオスの勝ち上がりが濃厚。とはいえ、トルステニャクとの間には大きな差があり、ここも順当にトルステニャクがベスト4に勝ち上がると予想する。

■ プールD
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田代未来

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対面のシード選手はマルティナ・トライドス

第3シード:田代未来(コマツ)
第6シード:マルティナ・トライドス(ドイツ)
有力選手:ルーシー・レンシャル(イギリス)アガタ・オズドバ=ブラフ(ポーランド)オズバス ・ソフィ(ハンガリー)マリア・セントラッキオ(イタリア)

田代の山。1回戦がルーシー・レンシャル(イギリス)、2回戦がアガタ・オズドバ=ブラフ(ポーランド)、準々決勝がマルティナ・トライドス(ドイツ)とシード選手のなかでは極めて厳しい配置となった。しかし、田代の力はすでにアグベニューに限りなく迫るレベル、この陣容ならばそれ程苦にせず勝ち上がれるはずだ。できれば良い内容の勝利を重ねて、上位戦に向けて弾みをつけたいところ。なお下側の山のトライドスの直下には若手有望株のオズバス・ソフィ(ハンガリー)が置かれており、こちらも注目度の高いカードとなっている。トライドスは今年に入ってからはあまり良いパフォーマンスを見せておらず明らかな不調。流石にまだ力の差はあるが、ここで敗れる可能性もなくはない。

■ 準決勝~決勝
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田代は相手に横を向かせ、パワーを受けぬまま体力を削っていきたい。問題は「出口」。

本文でも触れたとおり、ここから先は「概況解説・シード予想」の予想とまったくかわらない。決勝カードがアグベニューvs田代となることは確定的であり、あとはそこにどのような戦略を持ち込むかだけだ。熱いライバル対決、アグベニューの力を受けぬまま、その体力を削り続ける。ここまでは出来ている。出口戦略をどう定めるかがみものだ。田代の最高の舞台での再びのアグベニュー越えに期待したい。

※ eJudoメルマガ版7月25日掲載記事より転載・編集しています。

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