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【レポート】髙藤直寿我慢の柔道で念願の金メダル獲得、スメトフとこの日の確変枠ムヘイゼが銅メダル得る/東京オリンピック柔道競技男子60kg級レポート

(2021年7月25日)

※ eJudoメルマガ版7月25日掲載記事より転載・編集しています。
【レポート】髙藤直寿我慢の柔道で念願の金メダル獲得、スメトフとこの日の確変枠ムヘイゼが銅メダル得る
東京オリンピック柔道競技男子60kg級レポート
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トルニケ・チャカドアがロベルト・ムシュヴィドバゼから内股「一本」

第1シードのロベルト・ムシュヴィドバゼ(ロシア)が初戦で陥落。初戦でダシュダワー・アマルツヴシン(モンゴル)を破って意気上がるトルニケ・チャカドア(オランダ)に終盤内股「技有」を食ってあえなく終戦となった。五輪2大会連続金メダル獲得、「五輪60kg級のロシア」の伝統は続かず。ハイコンディションどころか動きは重く息は切れ、到底勝ち上がりなど想像出来ない内容だった。

全員ハイコンディションが当たり前の五輪、わけても上昇幅が大きい60kg級にあって、今回はこの現象が「ついていけない強豪が次々陥落」という形で顕在化した。ムシュヴィドバゼとダシュダワーに続き、シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)も初戦でアルテム・レシュク(ウクライナ)に食われて敗退。一方でジャイアントキリングを果たしたチャカドアやレシュキルカ・ムヘイゼ(フランス)ら第2、第3グループ選手、そしてしっかりコンディションを作って来た髙藤直寿、イェルドス・スメトフ(カザフスタン)、ヤン・ユンウェイ(台湾)らが躍動するトーナメントとなった。

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2回戦を快勝した髙藤。

日本の髙藤直寿(パーク24)は決勝進出。2回戦でヨーレ・フェルストラーテン(ベルギー)を内股「一本」で退けると、最大の勝負どころと目された準々決勝は返し技の名手ルフミ・チフヴィミアニ(ジョージア)の誘いに決して乗らず、組み手と足技、そして一発の恐怖を晒し続けてプレッシャーを掛ける。最後はGS延長戦3分37秒、既に「指導2」を失い、体力が切れ、もはや一発勝負しかなくなったチフヴィミアニが「抱き勝負」。この際ベアハグの反則を犯して「指導3」で終戦となった。僥倖に頼るのではなく、自ら試合を動かし状況を作り続ける詰め将棋に徹し続けたまさに完勝、大一番を乗り越えた髙藤は両手を挙げてガッツポーズ。

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最後は「ナオスペ」で「技有」

準決勝、積年のライバルである2015年アスタナ世界選手権の覇者・スメトフとの一番はこの日のベストバウト。立って、寝てと互いが譲らず、体の奥底からすべてを絞り出すような死闘は実に11分2秒に及ぶ。最後はスメトフの膝車を髙藤が弾き返す、かつて自ら開発した「ナオスペ」(隅落)で「技有」を奪って勝利決定。2人の世界王者が、無観客の日本武道館の真ん中で、ただ目の前の敵を倒すためだけに死力を尽くしたこの一番はまことに、美しかった。

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準決勝、ヤン・ユンウェイがルカ・ムヘイゼを抑え込む。

決勝の相手はヤン。この日は2回戦で引き込み技ファイターのヤニスラフ・ゲルチェフ(ブルガリア)の寝勝負に応じてGS延長戦1分29秒横四方固「一本」、準々決勝はこの日の確変者チャカドアを崩上四方固「一本」に仕留め、準決勝はこれもこの日大躍進のムヘイゼをGS延長戦5分22秒という大消耗戦の末に崩袈裟固「一本」。弊サイトが「概況解説・シード順予想」で提示した見立ての通り、見事ファイナルまで勝ち残った。

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しぶとく足技で攻める髙藤

決勝も髙藤は若いヤンにスピード勝負を仕掛けず、着々と状況を作り続ける。しかし前2試合だけで18分以上を戦っている髙藤にはもう体力が残っていない。それでも無理押しをせず、辛抱強く「勝ちにこだわる」作戦を採る髙藤はここで引き手で袖、釣り手で上腕の二本持つ良い形を作ると、左足を細かく動かして牽制を仕掛ける。ヤン思わずこれに乗ってしまい、髙藤の企図通りに試合は膠着。結果主審が試合を止め、ヤンのみに「指導3」を与えて試合終了。試合時間はGS延長戦3分50秒、髙藤の金メダルが決まった。

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畳を去る髙藤は「自然にそうなった」と正座して一礼。

既に「早出し評」で書かせて頂いた通り、髙藤の戦い方は出色。溢れる才能と身体能力を誇り世界王座に就きながら、これを集大成と位置付けたリオ五輪ではV逸。以降は強さの追求はもちろん、「どんなことが起こっても絶対に勝つこと」を目指してあらゆる努力を惜しまなかった。派手は投げはなかったが、絶対の強さがなければそもそも志向することすら許されない「渋い」(本人談)勝ち方、そして絶対に負ける要素のない勝ち方。髙藤のこの5年間が凝集されたような1日だった。

3位にはイェルドス・スメトフ(カザフスタン)とルカ・ムヘイゼ(フランス)が入賞。スメトフは3位決定戦でチャカドアを隅落「技有」で破り、リオ五輪(銀メダル)に続くメダル獲得。ムヘイゼはこの日「置いて行かれた」側のキム・ウォンジンをから3つの「指導」を得てフィニッシュ。驚きの銅メダル獲得となった。

入賞者と髙藤選手のコメント要旨、日本代表選手全試合の戦評、全試合の結果は下記。

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60kg級メダリスト

【入賞者】
1.TAKATO, Naohisa (JPN)
2.YANG, Yung Wei (TPE)
3.SMETOV, Yeldos (KAZ)
3.MKHEIDZE, Luka (FRA)
5.TSJAKADOEA, Tornike (NED)
5.KIM, Won Jin (KOR)
7.LESIUK, Artem (UKR)
7.CHKHVIMIANI, Lukhumi (GEO)

【成績上位者】
優 勝:髙藤直寿(日本)
準優勝:ヤン・ユンウェイ(台湾)
第三位:イェルドス・スメトフ(カザフスタン)、ルカ・ムヘイゼ(フランス)

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念願の金メダルを獲得した髙藤直寿

髙藤直寿選手のコメント
「本当に現実とは思えないです。金メダルは、とにかく重い。(-4試合を戦って見て勝因は)気合いですね。気合いがあればどこまでも戦えるなと。(-プレッシャーは?)正直に言うと、畳に立つ前、まったく緊張しませんでした。そのくらい練習をしまくって来ましたので。あとは手順を間違えずにやれればいいな、とそれだけ考えていました。ただ、あまりにも準備し過ぎて、相手を知り過ぎたことで硬くなってしまい、相手のストロングポイントもわかり過ぎているので逆に攻められなくなってしまったことが反省点。『渋い試合をしたな』と思っています。TVで見ている人はよくわからないと思います(笑)。この5年間で、ああなりました。攻めて勝つことも頭をよぎりましたが、相手の弱い部分を突くことを考えました。最後は計算通り。体力を消耗して投げることは出来ないだろう、でも最後は相手も手詰まり、両者『指導』でいいと割り切っていました。(―2020年から強くなった?)準々決勝、準決勝と死闘だった。1年前の自分ではあれは出来ないと思います。(―この5年で変わったことは?)一番変わったのは気持ち。勝負に掛ける執念。練習の量を増やすことでみにつけました。リオまでのほうが豪快で面白い柔道をしていたと正直思う己ですが、5年間、勝ちに徹する柔道を追求しました。これにプラス、気持ちで、金メダルが届いたと思います(-無観客の試合、感情的に盛り上がり切れないということは?)まったくなかったです。無観客で、この広い日本武道館のど真ん中に、相手と2人だけ、息の音が聞こえるくらい。それが良かった。シーンとした中で2人だけで死力を尽くして戦って、終わると称え合う。凄くいい経験になりました。」

■ 日本代表選手全試合戦評
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初戦を戦う髙藤

【2回戦】

髙藤直寿○内股(3:46)△ヨーレ・フェルストラーテン(ベルギー)

髙藤が左、フェルストラーテンが右組みのケンカ四つ。髙藤は巧みな肘のコントロールで相手の釣り手を外し続け、ほとんどまともに組ませず。56秒、煽られて伏せたフェルストラーテンに偽装攻撃の「指導」。1分20秒には髙藤が肩車を仕掛けるもこれは脇に抜ける。2分5秒、フェルストラーテンが髙藤の釣り手を落とそうと下がりながら上から圧を掛けると、髙藤それに合わせて鋭い左出足払。フェルストラーテン大きく崩れて体側から畳に落ち、直後の2分11秒、フェルストラーテンに消極的姿勢の咎で「指導2」。後のないフェルストラーテンは間合いを詰めて勝負しようと前に出てくるが、髙藤落ち着いて距離を管理。3分6秒には左内股で放り一度は「技有」が宣告されるも、すぐに取り消されてしまう。しかし続く展開、髙藤は釣り手から持つと左足を「サリハニ」様に小外刈の位置に当てながら間合いを調整し、引き手を持つなり得意の左小内刈。これでフェルストラーテンに腰を引かせると、相手の右大内刈を躱し、返す刀で左内股に飛び込む。追い込みながら相手の膝を跳ね上げるとフェルストラーテンの体が吹き飛び「一本」。試合時間3分46秒、髙藤「一本」で初戦を突破。

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最大の山場を切り抜けた髙藤は思わず両手を挙げる。

【準々決勝】

髙藤直寿○GS反則[指導3](GS3:37)△ルフミ・チフヴィミアニ(ジョージア)

山場の一番は髙藤が左、チフヴィミアニは両組み。距離を取りながら足技を起点に攻めたい髙藤に、間合いを詰めてプレッシャーを掛け、返し技一発を狙うチフヴィミアニという構図。まずは1分間際、相手の伏せ際に髙藤が腕を取り、「加藤返し」から裏固で抑え込む。これはすぐに逃げられてしまい、しかしそのまましつこく腕緘を狙うも極めきれず「待て」。直後の展開、チフヴィミアニは声を出して気合いを入れると、有無を言わさぬ勢いで間合いを詰め始める。これを嫌った髙藤は低い左一本背負投で伏せるが、これぞチフヴィミアニの思う壺。待ってましたとばかりに引き起こし、抱分崩れの隅返で放る。ひやりとさせられる場面だったが、映像確認の結果寝姿勢とされたか技の効果は認められず、髙藤は命拾い。ここからは再び組み手と間合いのを巡る攻防が続き、3分3秒、伏せ際に髙藤の腕緘を嫌って足を掴んだチフヴィミアニに「指導」が与えられる。本戦終了間際の10秒、髙藤が組み手争いに混ぜ込み、逆(右)の小内刈でたたらを踏ませたところで4分間が終わり、勝負はGS延長戦へ。

GS35秒、横変形にずれての攻防からチフヴィミアニが支釣込足を仕掛けると、髙藤すかさず隅落で被さり返して得意の「ナオスペ」を狙う。チフヴィミアニ大きく崩れて勝負ありかと思われたが、驚異的なバランス感覚でほぼ側転、最後は腹這いで逃れる。ここからは再び組み手の攻防。延長戦突入以降はチフヴィミアニの圧力がいくらか減じ、髙藤の組み手の巧さが生き始めた印象。引き手の探り合いが長引き、GS1分24秒、両者に消極的姿勢の「指導」。チフヴィミアニはこれで「指導2」となり、後がなくなる。直後の攻防でチフヴィミアニは当然ながら加速、後帯を得て密着すると左大内刈を仕掛ける。しかし髙藤これは時計回りに振って潰し、危機を回避。以降は歯ぎしりするような、間合いの取り合い。GS2分37秒、髙藤が左小内刈で追い込むとチフヴィミアニ左肘が極まってしまった様子で痛がる素振りを見せるが、これは掛け方としては問題なく、スルーされて試合が再開される。いよいよチフヴィミアニの体力が切れてきた模様。続く展開でも髙藤が袖と前襟を得た十分の形を作り、これを嫌ったチフヴィミアニが自ら右体落で掛け潰れて展開をリセットする。ここまででGS3分が経過。じわじわ流れは髙藤へ。髙藤、続く攻防でも良い形を作り左体落を仕掛ける。チフヴィミアニこれをジャンプして避けると、自らも「出し投げ」式の右体落を打ち返し、これで一度両者の体が離れる。チフヴィミアニが両手で腰の低い位置に抱きつき密着を完成。髙藤左一本背負投でリセットしようとするが叶わず、そのままサバ折りに浴びせられかける。非常に危うい場面。しかし、敢えて支釣込足を打って左に振ることで体を残し、辛うじて腹這いで着地する。この時点で時間はGS3分37秒。ここで映像チェックが行われ、この攻防の起点となった抱きつきがベアハグと判断されてチフヴィミアニに「指導3」が与えられる。熱戦決着。髙藤、大一番を乗り越え準決勝へと駒を進める。

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歯ぎしりするような攻め合いが続いた。

【準決勝】

髙藤直寿○GS技有・隅落(GS7:02)△イェルドス・スメトフ(カザフスタン)
髙藤が左、スメトフが右組みのケンカ四つ。袖の絞り合いから試合が始まり、22秒に早くも両者に極端な防御姿勢の「指導」が与えられる。さらに続く展開、髙藤が釣り手を内から得て引き手を求めるもスメトフこれを嫌ってまったく応じず、52秒にはスメトフに片手の咎による「指導2」が追加される。少々意図の読み難い、あまりに不用意な「指導」失陥。次の攻防でも髙藤は袖と釣り手を得て相手を抱き込む万全の形を完成。スメトフの右内股を躱して左小内刈で攻める。しかし、スメトフ瞬間的に釣り手を袖口に握り返して右袖釣込腰に飛び込む。髙藤顔面から畳に叩きつけられるも腹這いで失点は回避。スメトフ被さって絞技を狙うが、髙藤これも凌ぎきる。この際髙藤は口を切ってしまった模様、口元から血がにじむ。3分13秒、髙藤が再び良い形を作るとスメトフが先んじて右体落。しかし髙藤これを反応良く捌いて反対に振り返し、あと一歩でポイントという惜しい投げに変換。そのまま腕を取り、得意の「加藤返し」から反応した相手に被さって横四方固で抑え込む。しかしこれは拘束が甘くスメトフすぐに逃れて「解けた」。さらに形を変えて裏固で抑え込むも再び逃してしまい、直後に同じ形に固めた3度目の抑え込みも形が不十分ですぐに逃してしまう。髙藤のしぶとさ、スメトフの粘りとまことに見ごたえあり。この攻防を終えた時点で残り時間は11秒。そのまま試合はGS延長戦へ。

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死闘は髙藤の勝利に終わった。

スメトフが出血していたため止血して延長戦が開始。髙藤やや組み立てを変えて外から相手の腕を抱いての隅返。しかしこれはスメトフ崩れながらも防ぐ。続く展開、スメトフが奥襟を得る形が生まれると、髙藤は右の「やぐら投げ」から左小外掛に繋いで勝負に出る。しかしこれは流石に強引過ぎ、反対に振り返されて大きく崩れ、辛うじて畳に伏せる。以降は組み手争いを縫ってお互いに技を出し合う形。スメトフは得意の右方向の横落も見せるが、髙藤は落ち着いてこれを捌き続ける。スメトフが右の浮技を仕掛けたGS2分18秒、髙藤に消極的姿勢の「指導2」が与えられ、ここで反則ポイントが並ぶ。GS3分58秒、髙藤が両袖を得て打点高い右袖釣込腰。しかしスメトフまだ体の力を残しており、足を掛けてこれを潰し、脇を掬って捲りにかかる。髙藤は反対方向に飛んで回避する、一進一退の実に激しい攻防。直後の展開では髙藤が組み際に左大外刈を仕掛けるが、スメトフ足を外して被さり、「ボーアンドアローチョーク」で絞め上げる。髙藤危うい形も襟を首には掛けさせずに耐え「待て」。全力で絞め上げていたスメトフは以降激しく消耗する。GS5分12秒にはスメトフの低い左体落を髙藤が弾き返して寝勝負。「加藤返し」で何度も捲りかけるが、スメトフ紙一重で凌ぎきる。GS7分間際、髙藤が袖と襟を得るとスメトフは釣り手で横帯を持ち対抗、最後の力を振り絞り左方向への支釣込足で勝負をかける。しかしすでに力なく、髙藤が得意の「ナオスペ」に切り替えして隅落「技有」。GS7分2秒、死闘決着。髙藤は立ち上がれないスメトフを抱え起こして抱擁。両者の健闘を讃えて会場から大きな拍手が送られる。髙藤、タフな試合を制して決勝進出。

【決勝】

髙藤直寿○GS反則[指導3](GS3:50)△ヤン・ユンウェイ(台湾)
髙藤が左、ヤンが右組みのケンカ四つ。髙藤が釣り手を内から持つ優位な形で引き手を求め、ヤンが釣り手のみの右内股で手数を積みつつ展開を切るという形で試合が中盤まで進む。2分過ぎごろから髙藤が釣り手を外から持つ形に変え、これをきっかけにまたもや釣り手のみを持っての膠着が生まれる。2分23秒、両者に片手の「指導」。髙藤再び釣り手を外から持ち、2分57秒肩車で脇に抜けて相手を伏せさせる。さらに相手の右小外刈に燕返を併せて伏せさせた3分33秒、ヤンのみに消極的試合姿勢の「指導2」が追加される。このまま試合はGS延長戦へ。

GS20秒、まずは髙藤が組み際の肩車。しかしこれは仕掛けが浅く潰れてしまう。ここからは髙藤が隅返、ヤンが釣り手のみの右内股とそれぞれ技を出し合うも、いずれも効なし。双方組み手と足技で積極的に試合を動かしに掛かるも、なかなか決定的なチャンスは生まれない。GS2分、ヤンが釣り手で背中深くを抱き、引き手で釣り手側の袖を持つ「ケンカ四つクロス」の右内股で髙藤を潰して得意の「横三角」からの寝技を狙う。しかし、ここは脇に足が入らず「待て」。前2戦で18分を戦っている髙藤いよいよスタミナ的にきつくなってきた様子。ヤンは続く展開でも同様の形で髙藤を伏せさせ、攻勢をアピールする。以降も体力に余力のあるヤンは右内股、左一本背負投と技を積み、髙藤にとってはやや苦しい時間帯。しかし続く攻防、髙藤は釣り手で上腕、引き手で袖の形を作り相手を抱き込むことに成功。この形から左足を細かく動かして牽制すると、ヤンこれに付き合ってしまい膠着を許してしまう。明らかに髙藤が誘った意図的な膠着。GS3分40秒、主審が試合を止めてヤンのみに極端な防御姿勢の「指導3」を宣告。少々厳しい判定にも思えたが、自らのスタミナの枯渇を予感し、自身の投げの脅威が生きている間にそれを晒して相手を牽制、罠に嵌めた髙藤の戦略勝ち。髙藤、悲願の金メダル獲得となった。

■ 全試合結果
【1回戦】
トルニケ・チャカドア(オランダ)○GS技有・小外掛(GS2:32)△ダシュダワー・アマルツヴシン(モンゴル)
ヤニスラフ・ゲルチェフ(ブルガリア)○GS反則[指導3](GS0:38)△レニン・プレシアド(エクアドル)
アルテム・レシュク(ウクライナ)○合技[払巻込・後袈裟固](1:04)△ホセ・ラモス(グアテマラ)
ヨーレ・フェルストラーテン(ベルギー)○GS技有・内股(GS4:02)△モリッツ・プラフキー(ドイツ)
カラマット・フセイノフ(アゼルバイジャン)○優勢[技有・袖釣込腰]△アシュリー・マッケンジー(イギリス)
ミフラジ・アックス(トルコ)○腕挫十字固(1:05)△ンガワン・ナムゲル(ブータン)
エリック・タカバタケ(ブラジル)○合技[肩車・隅落](3:17)△シティサーン・スックパサイ(ラオス)

【2回戦】
トルニケ・チャカドア(オランダ)○優勢[技有・内股]△ロベルト・ムシュヴィドバゼ(ロシア)
ヤン・ユンウェイ(台湾)○GS横四方固(GS1:29)△ヤニスラフ・ゲルチェフ(ブルガリア)
ルカ・ムヘイゼ(フランス)○GS技有・肩車(GS1:19)△フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)
アルテム・レシュク(ウクライナ)○GS技有・巴投(GS1:58)△シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)
髙藤直寿○内股(3:46)△ヨーレ・フェルストラーテン(ベルギー)
ルフミ・チフヴィミアニ(ジョージア)○合技[背負投・肩固](3:07)△カラマット・フセイノフ(アゼルバイジャン)
イェルドス・スメトフ(カザフスタン)○合技[浮落・横四方固](1:04)△ミフラジ・アックス(トルコ)
キム・ウォンジン(韓国)○GS大外刈(GS3:41)△エリック・タカバタケ(ブラジル)

【準々決勝】
ヤン・ユンウェイ(台湾)○崩上四方固(3:02)△トルニケ・チャカドア(オランダ)
ルカ・ムヘイゼ(フランス)○合技[背負投・小外刈](2:10)△アルテム・レシュク(ウクライナ)
髙藤直寿○GS反則[指導3](GS3:37)△ルフミ・チフヴィミアニ(ジョージア)
イェルドス・スメトフ(カザフスタン)○合技[横落・小外刈](1:32)△キム・ウォンジン(韓国)

【敗者復活戦】
トルニケ・チャカドア(オランダ)○内股(0:58)△アルテム・レシュク(ウクライナ)
キム・ウォンジン(韓国)○GS背負投(GS4:00)△ルフミ・チフヴィミアニ(ジョージア)

【準決勝】
ヤン・ユンウェイ(台湾)○GS崩上四方固(GS5:22)△ルカ・ムヘイゼ(フランス)
髙藤直寿○GS技有・隅落(GS7:02)△イェルドス・スメトフ(カザフスタン)

【3位決定戦】
イェルドス・スメトフ(カザフスタン)○GS技有・隅落(GS0:47)△トルニケ・チャカドア(オランダ)
ルカ・ムヘイゼ(フランス)○GS反則[指導3](GS3:15)△キム・ウォンジン(韓国)

【決勝】
髙藤直寿○GS反則[指導3](GS3:50)△ヤン・ユンウェイ(台湾)

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