【eJudo’s EYE】いちばん面白かったのはこの階級!ファン視点で送る「各階級採点表」/ブダペスト世界柔道選手権2021

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文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

100kg級2連覇のジョルジ・フォンセカがTVカメラに向かって大ジャンプ!

初の試み。より「ファン」に寄った視点から大会の様相をお伝えすべく、独断と偏見に基づくブダペスト世界選手権2021「各階級採点表」をお送りする。予想を超えてかなり面白い大会であり、もっかのワールドツアーの豊かさが堪能出来た大会(階級による凹凸はかなりあるが)だったのだが、レポート記事や「評」だけはどうしてもこういう「楽しさ」が伝えづらい。2019年東京世界選手権の会場解説はこういう枷を外した「お祭り感」を前面に出して楽しくやらせていただいたのだが、ああいうファン感覚での、もっと楽しさとか、ドラマとしての完成度とか、階級間のレべル差とか、集まった選手の格とか魅力とか、そういうごたごたしたものを表現できるような「遊び」がないかと考えた結果、こういう形で試みることにした。きっかけは、4日目の81kg級があまりに豊かだったこと。これをどう伝えようと思いつつ決勝を見ながら「階級自体の点数をつければいいんじゃない?」とふと思い立ち、90kg級、100kg級とそこから充実階級が続いたことで、一度やってみるかと形にしてみた。あくまで「遊び」であるが、もし宜しければご一読いただきたい。好評なら、次回以降も試みる所存。

男子60kg級 5.0

決勝カードはアブラゼとキルギズバエフ。なんとか世界選手権の格を保ったというところ。

①ヤゴ・アブラゼ(ロシア) ②グスマン・キルギズバエフ(カザフスタン)
③カラマット・フセイノフ(アゼルバイジャン)、フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)

トップ選手の出場少ない中でV候補筆頭の永山竜樹が早々に脱落。ファン心理的にこうなるとメンバーからしてアブラゼ優勝以外のシナリオはちょっと受け入れがたいよなあ、という中でなんとかそのアブラゼが優勝してくれて大会の格を保った格好。決勝で相手役を務めたキルギズバエフとともに難しい大会をよくぞ勝ち上がってくれた、というのが率直なところ。日本勢2人の早期敗退によって逆に世界選手権らしい特別感は醸し出していたが、一線級少ない面子的にも試合内容の粗さからも唯一無二の世界一王座決定戦というよりは「ワールドツアー」の続きという匂いが濃かった。あまり高い点はあげられないかな?というのが正直な感想。とはいえ、アブラゼ自身は得意の腰を深く入れる外巻込に「加藤返し」とかなり魅せてくれたし(その後代表はロベルト・ムシュヴィドバゼに決定、率直に五輪で見てみたい男だった)、来るぞ来るぞと2年間マークしながらなかなか爆発しなかったフセイノフのついに来た確変3位入賞、全員本気の世界大会ではまったくダメだったワールドツアー安定水平飛行の鬼・ガリーゴスの世界選手権5大会目にして初のメダル(入賞すらこれが初めて)獲得など「やりおったのう」とウンウンうなずけるドラマ多し。サイドストーリーではあるが、ワリード・キアの準決勝、9分41秒掛けて「指導3」で勝ったと思ったら取り消し、直後キルギズバエフに投げられて全てを失うという結末(ちなみに展開的にはキルギズバエフの勝ちで良しの試合である)も、キアのキャラと相まって最高だった。もしこれが逆の結果だったらなんとキアが決勝進出であったわけで、そう考えると「なんとか形になった」この階級の最大のハイライトはこの試合だったかもしれない。キアはこのまま3位決定戦も落として表彰台なし。負けたら地獄の準決勝、このあたりは十分世界選手権ぽかったと言える。

男子66kg級 5.5

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