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【プレビュー】V候補新井千鶴の組み手にひときわ注目、63kg級はトライドスが久々の登場/グランドスラム・カザン2021第2日女子プレビュー(63kg級、70kg級)

(2021年5月6日)

※ eJudoメルマガ版5月6日掲載記事より転載・編集しています。
【プレビュー】V候補新井千鶴の組み手にひときわ注目、63kg級はトライドスが久々の登場/グランドスラム・カザン2021第2日女子プレビュー(63kg級、70kg級)
→グランドスラム・カザン2021組み合わせ(公式サイト)

■ 63kg級 久々登場のトライドスに注目
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マルティナ・トライドス(ドイツ)

(エントリー24名)

中堅選手が中心のトーナメント。既に東京五輪の出場を決めている上位勢はほとんど出場しておらず、他の階級と比べると少々寂しい顔ぶれとなっている。第1シードは今年に入ってから出場した4大会全てでメダルを獲得して現在世界ランク5位と好調のアンドレヤ・レスキ(スロベニア)。しかしこの選手は国内にリオデジャネイロ五輪金メダリストのティナ・トルステニャク(スロベニア)がいるため五輪出場の可能性はなし。同じく第2シードのサンネ・フェルメール(オランダ)もユール・フランセン(オランダ)に次ぐ国内2番手の選手であり、この点に本トーナメントの特徴が端的に表れていると言える。

五輪直前の大会としては正直なところ見どころに乏しいのだが、注目ポイントとしてはトップ層から唯一参加しているマルティナ・トライドス(ドイツ)の出来と、ハン・ヒジュとチョ・モッキの2名を揃って派遣している韓国の代表争いを挙げておく。トライドスは三強(クラリス・アグベニュー、田代未来、トルステニャク)に次ぐ位置につけている有力なメダル候補。2019年東京世界選手権でも3位に入賞している。昨年11月のヨーロッパ選手権以来、これが久々の大会出場。仕上り具合が楽しみである。

続いて韓国の代表争いについて。現在の世界ランクはハンが28位でチョが29位とほとんど差がない状況。ハンは現時点で大陸枠(厳密にはオセアニアが全割り当てを使用できないことによって割り当てられた特別枠)での出場権を持つ形となっているが、順位が逆転すれば出場権はそのままチョの手に渡ることになる。ポイント差も僅か40しかなく、今大会の結果でチョが逆転することは十分に可能だ(※ただしこの枠は国や性別に限らず代表権を持たない選手のうち最もポイントの高い選手に与えられるものであり、他階級や6月のブダペスト世界選手権の結果次第ではほかの国に流れる可能性もある)。果たしてどちらが代表権を射止めるのか。組み合わせはハンが初戦でエカテリーナ・ヴァルコワ(ロシア)、チョが2回戦でケトレイン・クアドロス(ブラジル)とそれぞれ序盤戦に山場が組まれており、まずはこの試合に注目だ。なお、ハン、チョともに今大会で上位に入賞すればランキングによる16名の出場枠に入ることも可能な位置につけてもいる。可能であればそこまで勝ち上がり、より五輪出場の可能性を上げておきたい。

【プールA】
第1シード:アンドレヤ・レスキ(スロベニア)
第8シード:ギリ・シャリル(イスラエル)
有力選手:ヘーケ・ファンデンベルフ(オランダ)

【プールB】
第4シード:ケトレイン・クアドロス(ブラジル)
第5シード:ダリア・ダヴィドワ(ロシア)
有力選手:チョ・モッキ(韓国)

【プールC】
第2シード:サンネ・フェルメール(オランダ)
第7シード:アレクシア・カスティルホス(ブラジル)
有力選手:マリア・セントラッキオ(イタリア)、アガタ・オズドバ=ブラフ(ポーランド)

【プールD】
第3シード:マルティナ・トライドス(ドイツ)
第6シード:カタリナ・ヘッカー(オーストラリア)
有力選手:エカテリーナ・ヴァルコワ(ロシア)、ハン・ヒジュ(韓国)

■ 70kg級 注目は新井千鶴の出来、ポイントは前回苦戦の「相四つ」対応
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第1シードはもちろん新井千鶴

(エントリー25名)

世界選手権2連覇者(2017年、2018年)の新井千鶴(三井住友海上)が参加。ほか、昨年2月のグランドスラム・パリ以来久々の登場となるアンナ・ベルンホルム(スウェーデン)、マリア・ポルテラ(ブラジル)らのベテラン上位陣、さらに今年のアジア・オセアニア王者のグルノザ・マトニヤゾワ(ウズベキスタン)など実力者が顔を揃えた。毎回強豪が大量参戦している平時の70kg級と比べるとさすがに一段レベルは下がるものの、十分に見ごたえのあるトーナメント

最大の注目ポイントはもちろん新井の出来。新井は昨年2月のグランドスラム・デュッセルドルフではキャリア最高ともいえる内容で優勝を飾ったが、今年3月のグランドスラム・タシケントでは勝利こそ手にしたものの、格下相手に思わぬ苦戦を強いられることとなった。詳しくは本日配信したこちらの記事をお読みいただきたいが、これは対戦相手の組み手とその相性によるところが大きい。デュッセルドルフ大会では対戦相手が全てケンカ四つの右組みだったのに対して、アンタルヤ大会ではほとんどの相手が相四つの左組みだったのだ。新井は相四つの相手に対して組み手技術の作り込みが甘く、これが意外な苦戦を呼び込んでしまっていた。よって今大会の観察ポイントは下記の2つ、まずはケンカ四つの相手に対してデュッセルドルフ大会のような圧勝が出来るかどうか、そして相四つの相手に対してこの2か月どのような修正を見せるかだ。組み合わせは初戦(2回戦)でケンカ四つのキム・ソンヨン(韓国)、続く準々決勝で相四つのマトニヤゾワ、以降は(トーナメントが順当に進めば)準決勝では相四つのベルンホルム、決勝ではケンカ四つのジョヴァンナ・スコッチマッロ(ドイツ)、あるいは同じくケンカ四つのポルテラと対戦する可能性が高い。カギになるのはもちろん苦手の相四つ。おもに新井が引き手で深い位置を持てているか、引き手をしっかり落とせているかに注目して観戦したい。対戦相手のレベルだけで考えるなら、新井であれば余裕を持って優勝できるはず。もし苦戦することがあってもまずは優勝という結果を得、金メダル候補1番手の番付を確保したまま本番の五輪に臨みたい。

ほか、注目選手としてはノーシードではあるもののマディーナ・タイマゾワ(ロシア)の名前を挙げておきたい。この選手は21歳のロシア期待の若手。今年1月のワールドマスターズで2位を獲得するなど現在4大会続けて表彰台に上がっており、実力と勢いを兼ね備えている。組み合わせでは新井と準決勝で対戦する可能性のあるプールBに置かれており、シード選手のベルンホルムが久々の出場で調子が読み難いことを考慮するなら、こちらが勝ち上がってくる可能性も十分に考えられる。組み手は新井とはケンカ四つ(右組み)。初戦から実力者エリザヴェト・テルツィドゥ(ギリシャ)との対戦が組まれており、まずはこの試合をチェックしたい。

【プールA】
第1シード:新井千鶴(三井住友海上)
第8シード:グルノザ・マトニヤゾワ(ウズベキスタン)
有力選手:キム・ソンヨン(韓国)、アリーチェ・ベッランディ(イタリア)

【プールB】
第4シード:アンナ・ベルンホルム(スウェーデン)
第5シード:ミリアム・ブートケライト(ドイツ)
有力選手:ゲルチャク ・サビナ(ハンガリー)、マディーナ・タイマゾワ(ロシア)、エリザヴェト・テルツィドゥ(ギリシャ)

【プールC】
第2シード:ジョヴァンナ・スコッチマッロ(ドイツ)
第7シード:アッスマ・ニアン(モロッコ)
有力選手:アイ・ツノダ=ロウスタント(スペイン)、タイシア・キリエワ(ロシア)

【プールD】
第3シード:マリア・ポルテラ(ブラジル)
第6シード:バルバラ・マティッチ(クロアチア)
有力選手:アンカ・ポガクニク(スロベニア)、ヒルデ・ヤヘル(オランダ)

※ eJudoメルマガ版5月6日掲載記事より転載・編集しています。

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