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【プレビュー】五輪モード見せ始めた73kg級バジーレ、81kg級ムキに注目/グランドスラム・カザン2021第2日男子プレビュー(73kg級、81kg級)

(2021年5月6日)

※ eJudoメルマガ版5月6日掲載記事より転載・編集しています。
五輪モード見せ始めた73kg級バジーレ、81kg級ムキに注目
グランドスラム・カザン2021第2日男子プレビュー(73kg級、81kg級)
→グランドスラム・カザン2021組み合わせ(公式サイト)

■ 73kg級 バジーレの仕上がり、五輪出場崖っぷちのカラペティアンの戦いぶりに注目
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ファビオ・バジーレ(イタリア)

(エントリー44名)

中堅選手が中心のトーナメント。アン・チャンリン(韓国)やルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)ら世界大会メダル常連のトップ層の参加はなく、トミー・マシアス(スウェーデン)、ファビオ・バジーレ(イタリア)、デニス・イアルツェフ(ロシア)らトップ層にぎりぎり手が届くかどうか、という中堅層上位レベルの選手が多く顔を揃えた。第1シードはトハル・ブトブル(イスラエル)、この選手を始めとした8名のシード選手がそのまま上位戦勝ち上がりの候補。ここにフェルディナンド・カラペティアン(アルメニア)らシードから漏れた実力者が絡み、優勝が争われることになる。

おおむねワールドツアーでおなじみのメンバーでトーナメントが構成されており、注目すべき新進選手の影も薄い。観戦する側からすると緊張感やや薄い、既視感の強い大会。その中で敢えてピックアップするならば、バジーレとカラペティアンの名前を挙げておきたい。

バジーレは派手な言動と強烈なキャラクターで日本でも人気の高い、「イタリアの伊達男」。ここ一番での爆発力は凄まじいものがあり、4月のグランドスラム・アンタルヤでも強烈な投げを次々決めて優勝を攫っている。どちらかというと平均値の高さで勝負する選手が多い今回の参加者のなかにあって、五輪本番で実力差を飛び越えて結果を残す可能性が最も高いのはこの人。先月のヨーロッパ選手権は連戦の疲れからかあまり良い出来ではなかったが、五輪前のワールドツアー最終戦である今回どのような戦いを見せるのかに注目だ。

続いてカラペティアン。この選手は2018年のヨーロッパ王者。階級随一のパワー派としておなじみだが、意外なことに東京五輪の出場権を持っていない。世界ランクによる出場枠に入るためにはあと約1000ポイントの上積みが必要であり、そのための機会はもう今大会と来月のブダペスト世界選手権(現時点ではまだ未エントリー)のみ。なんとしてもここで結果を出す必要があり、相当な覚悟で臨んでくるはずだ。組み合わせは3回戦でジャンサイ・スマグロフ(カザフスタン)、準決勝でソモン・マフマドベコフ(タジキスタン)と相当に過酷なものとなっているが、実力的には十分に勝ち上がりの可能性あり。この追い詰められた状況でどのような試合を見せるのか見届けたい。

【プールA】
第1シード:トハル・ブトブル(イスラエル)
第8シード:ギヨーム・シェヌ(フランス)
有力選手:ヴァジム・ショーカ(ベラルーシ)、ルカ・カパナゼ(ジョージア)

【プールB】
第4シード:ソモン・マフマドベコフ(タジキスタン)
第5シード:ジャンサイ・スマグロフ(カザフスタン)
有力選手:アンソニー・ツィング(ドイツ)、マフマドベク・マフマドベコフ(ロシア)、ジョヴァンニ・エスポージト(イタリア)、フェルディナンド・カラペティアン(アルメニア)

【プールC】
第2シード:トミー・マシアス(スウェーデン)
第7シード:ヴィクトル・スクヴォルトフ(アラブ首長国連邦)
有力選手:アルテム・ホムラ(ウクライナ)、ベンジャマン・アクシス(フランス)

【プールD】
第3シード:ファビオ・バジーレ(イタリア)
第6シード:デニス・イアルツェフ(ロシア)
有力選手:ゲオルギオス・アゾイディス(ギリシャ)、ヌグザリ・タタラシヴィリ(ジョージア)、マルティン・ホヤック(スロベニア)、アレクサンドル・ライク(ルーマニア)、エドゥアルド・バルボサ(ブラジル)

■ 81kg級 現役世界王者のムキが参戦、大混戦ロシアの代表争いに注目
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サギ・ムキ(イスラエル)

(エントリー37名)

第1シードに配された現役世界王者のサギ・ムキ(イスラエル)を筆頭に、リオデジャネイロ五輪金メダリストのハサン・ハルモルザエフ(ロシア)、ドミニク・レッセル(ドイツ)ら名のある強豪が大勢参加。常であれば五輪本番直前期の大会は手の内を隠すために出場を控える選手が多いのだが、コロナ禍で実戦を積めていない選手が多いという事情もあり、この時期としてはまことに珍しい、豪華かつ見どころの多いトーナメントが組まれた。特にプールAはほぼ全員が有力選手と言っても過言ではない贅沢さ。捨て試合など1試合たりともはない。

注目ポイントの第1はムキの出来。実績からすればもちろん優勝候補一番手。ただし世界王座を獲得後まだ一度も良いパフォーマンスを見せておらず、このままでは東京五輪でも優勝候補としては推しづらい状況にある。さすがに五輪本番では水準以上のコンディションに仕上げてくるものと予想されるが、現状どの程度の力があるのか、どこまで調子を上げてきているのかを確認しておきたい。観察のポイントは柔道スタイル。ムキ本来の戦い方は組み際や両袖から左右に技を仕掛けるというもの。しかし世界王者になってからは密着勝負など柔道の幅を広げており、ゆえに生まれた隙を突かれて敗れることが増えていた。しかし先月のヨーロッパ選手権では一転本来の組み際・両袖にスタイルを戻しており、どうやら五輪に向けて「試す」段階から「勝負」にモードに切り替えた模様。調整が順調であればこの傾向は強まっているはず。この点に注目して観戦したい。

第2の注目ポイントは地元ロシアの五輪代表争い。ロシアの81kg級はアラン・フベトソフ(ロシア)が世界ランク13位、これに続く形でアスラン・ラッピナゴフ(ロシア)が14位、ハルモルザエフが15位と世界ランク的にはほぼ横一線の大混戦となっている。実績ではハルモルザエフが抜けているものの、最近は3大会連続で序盤戦で敗れるなどかなり調子を落としており、もはやリオ五輪金メダリストのアドバンテージは失われている状況だ。今大会にはこの3名が同時投入。今後の大会スケジュールやロシアの他の階級の派遣傾向に鑑みれば、今大会の結果で代表を決めるものと考えてまず間違いない。果たして誰がその権利を得るのか。注目だ。

最後の注目ポイントとしてフランスと韓国の五輪出場権獲得なるかを挙げておきたい。実はこの2カ国はまだ81kg級で誰も出場枠を獲得できておらず、このままでは五輪に空白階級が生まれてしまうことになる。強豪国のメンツを保つためにもこれはなんとしても避けたいところ。両国ともに国内1番手と2番手を派遣しており、ここは気に掛けておきたい。

【プールA】
第1シード:サギ・ムキ(イスラエル)
第8シード:ロビン・パチェック(スウェーデン)
有力選手:ギヨション・ボボエフ(ウズベキスタン)、ウラジミール・ゾロエフ(キルギスタン)、アレクサンダー・ヴィーチェルツァク(ドイツ)、イ・ムンジン(韓国)、ディダル・ハムザ(カザフスタン)ウングヴァリ ・アッティラ(ハンガリー)

【プールB】
第4シード:アスラン・ラッピナゴフ(ロシア)
第5シード:ハサン・ハルモルザエフ(ロシア)
有力選手:アルファ=ウマ・ジャロ(フランス)、ゼベダ・レフヴィアシヴィリ(セルビア)、ムラド・ファティエフ(アゼルバイジャン)

【プールC】
第2シード:ドミニク・レッセル(ドイツ)
第7シード:エドゥアルド=ユウジ・サントス(ブラジル)
有力選手:イ・スンホ(韓国)、アントニオ・エスポージト(イタリア)、ナシフ・エリアス(レバノン)

【プールD】
第3シード:アラン・フベトソフ(ロシア)
第6シード:サミ・シュシ(ベルギー)
有力選手:ヒダヤット・ヘイダロフ(アゼルバイジャン)、ウラジミール・アハルカツィ(ジョージア)、アブデルラフマン・モハメド(エジプト)

※ eJudoメルマガ版5月6日掲載記事より転載・編集しています。

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