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【プレビュー】渡名喜とブクリの再戦は決勝、五輪に向け勢いつけたい阿部詩/グランドスラム・カザン2021第1日女子プレビュー(48kg級、52kg級、57kg級)

(2021年5月5日)

※ eJudoメルマガ版5月5日掲載記事より転載・編集しています。
渡名喜とブクリの再戦は決勝、五輪に向け勢いつけたい阿部詩
グランドスラム・カザン2021第1日女子プレビュー(48kg級、52kg級、57kg級)
→グランドスラム・カザン2021組み合わせ(公式サイト)

■ 48kg級 注目は決勝、渡名喜-ブクリの対決再び
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今期2戦目に挑む渡名喜風南

(エントリー29名)

2017年ブダペスト世界選手権王者の渡名喜風南(パーク24)と、昨年ヨーロッパ王者に輝いたシリーヌ・ブクリ(フランス)の大物2人が参戦。ほか、カン・ユジョン(韓国)とイリーナ・ドルゴワ(ロシア)の世界大会メダルクラスの実力者2名が出場しており、トーナメントのレベルは高い。

渡名喜とブクリは、ともに直近の対戦で絶対王者ダリア・ビロディド(ウクライナ)に勝利している、東京五輪の金メダル候補。唯一の直接対決である2020年グランドスラム・デュッセルドルフではブクリが隅返「技有」の優勢で勝利しており、渡名喜としてはここでリベンジして嫌なイメージを払拭しておきたいところ。それぞれ第1、第2シードに配されている両者の対戦は決勝。まず間違いなくぶつかることになるとはずだ(ただし、ブクリの側が戦略的撤退を選ぶ可能性が高いと思われる)。

渡名喜は左小外刈を軸とした手堅い柔道が持ち味だが、自身課題に挙げている「受け」に関しては体の力に頼って正面から相手の技を受けてしまうことが多い。ブクリはこの体の力という点で恐らく階級ナンバーワンのものを持っており(ビロディドとクラスニキを正面から力勝負で投げ飛ばすほど)、渡名喜苦杯の因はこの力勝負の土俵で勝負してしまったことにある。仮に対決が実現したとすれば、渡名喜の本来のモードである厳しい組み手と足技を軸に戦うことができるかどうかが勝負の分かれ目になるだろう。言うまでもなくこれは対ビロディド、対クラスニキでも重要なポイントであり、どこまで渡名喜がこの戦い方を徹底できるかは今大会を通した重要な観察ポイントでもある。

なお、渡名喜はなかなかにタフな組み合わせを引いており、初戦(2回戦)から今年のヨーロッパU23王者の変則浮技師メラニー・ヴュー(フランス)の挑戦を受けることになる。さらに準々決勝ではグランドスラム・トビリシ2位、グランドスラム・アンタルヤ優勝とここのところ勢いに乗っているフランチェスカ・ミラニ(イタリア)と対戦予定。いずれもそもそもの地力の差があるため遅れを取ることはないと思われるが、ともに上位陣とは少々毛色が違うタイプの実力者。注意が必要だ。初戦、かつ変則柔道のヴューとの試合は、普段以上に丁寧に試合に入るべきだろう。もちろん序盤戦の最注目カードの1つだ。

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フランスの新鋭シリーヌ・ブクリ

【プールA】
第1シード:渡名喜風南(パーク24)
第8シード:フランチェスカ・ミラニ(イタリア)
有力選手:メラニー・ヴュー(フランス)、アナスタシア・パヴレンコ(ロシア)

【プールB】
第4シード:ラウラ・マルティネス=アベレンダ(スペイン)
第5シード:シラ・リショニー(イスラエル)
有力選手:アンネ=ソフィー・ユラ(ベルギー)、モニカ・ウングレアヌ(ルーマニア)、ナタリア・ブリギダ(ブラジル)

【プールC】
第2シード:シリーヌ・ブクリ(フランス)
第7シード:カタリナ・メンツ(ドイツ)
有力選手:イレーナ・フブロワ(ロシア)

【プールD】
第3シード:イリーナ・ドルゴワ(ロシア)
第6シード:ミリツァ・ニコリッチ(セルビア)
有力選手:カン・ユジョン(韓国)、ガブリエラ・チバナ(ブラジル)、フランチェスカ・ジョルダ(イタリア)

■ 52kg級 阿部詩の勝ちぶりが唯一最大の見どころ、山場はキトゥとの準々決勝
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第1シードは阿部詩

(エントリー23名)

現役世界王者の阿部詩(日本体育大3年)が参戦。第1シードに配されたこの阿部の勝ちぶりが唯一最大の見どころだ。対戦相手を見るかぎり、阿部とメダルを争うクラスの選手はおらず、平均値の出来でも優勝自体はまず確実。本番の東京五輪に繋がる良い勝ち方が出来るかどうかがポイントだ。

阿部は3月のグランドスラム・タシケントにも出場して危なげなく優勝を飾っているが、久々の実戦であったことや、決勝が対戦相手のラグワスレン・ソソルバラム(モンゴル)の棄権による不戦勝ちであったことから、不完全燃焼の感が残っていた。本人も「思うような出来ではなかった」とこの点を強調。今大会はこれを踏まえた、本番前最後の実戦機会である。オーバービュー記事に書かせて頂いた通り、あらたな武器として磨いている背負技や足技が出せるかどうかなど注目ポイントは多いのだが、とにもかくにも、五輪に向けて勢いのある勝ち方をすることが肝要。持ち味である豪快な「一本」連発に期待したい。

組み合わせ上最初の山場は準々決勝。パワーファイターのアンドレア・キトゥ(ルーマニア)か、ヨーロッパジュニア選手権3連覇の若手ファイザ・モクダ(フランス)が勝ち上がってくるはずだ。キトゥは業師であるとともに、相手の関節を極めかねない技を仕掛ける「壊し屋」属性も纏う怖い選手。対戦となれは勝敗はもちろん、強引な技での負傷にも注意が必要、相手にスイッチが入る前に勝利してしまいたい。モクダが勝ち上がってきた場合は早い時間の勝利で格の違いを見せつけ、シニア本格参戦前にしっかり楔を打っておくべし。

【プールA】
第1シード:阿部詩(日本体育大3年)
第8シード:アンドレア・キトゥ(ルーマニア)
有力選手:ファイザ・モクダ(フランス)

【プールB】
第4シード:アナ・ペレス=ボックス(スペイン)
第5シード:エヴェリン・チョップ(スイス)
有力選手:ジョアナ・ラモス(ポルトガル)

【プールC】
第2シード:シャーリン・ファンスニック(ベルギー)
第7シード:ファビアン・コッヒャー(スイス)
有力選手:アレシア・クズネツォワ(ロシア)

【プールD】
第3シード:アストリード・ネト(フランス)
第6シード:ジェフェン・プリモ(イスラエル)
有力選手:グルタシュ・ママダリエワ(アゼルバイジャン)

■ 57kg級 第1シードはネルソン=レヴィー、みどころ散らばる混戦トーナメント
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ティムナ・ネルソン=レヴィー(イスラエル)

(エントリー26名)

世界王者の参戦という明確な見どころがあったこれまでの2階級とは打って変わり、絶対の軸になるような選手の出場はなし。トップ層の出場も限定的であり、第1シードにはランキング8位のティムナ・ネルソン=レヴィー(イスラエル)が座った。中堅選手を中心とした混戦トーナメントである。

強豪国の代表争いのような目立ったトピックもなく、話題性という面では地味。とはいえ、前述のネルソン=レヴィーに地元ロシアのダリア・メジェツカイア(ロシア)、キム・チス(韓国)、マリツァ・ペリシッチ(セルビア)など選手の粒は揃っており、上位戦は相応に見応えのある戦いが見られるはずだ。注目はこれらの選手の激突が始まる準々決勝以降。優勝争いというよりも、各試合そのものを楽しみたい大会だ。

【プールA】
第1シード:ティムナ・ネルソン=レヴィー(イスラエル)
第8シード:マリツァ・ペリシッチ(セルビア)
有力選手:ゲターヌ・デベフト(フランス)、アナスタシア・コンキナ(ロシア)

【プールB】
第4シード:ダリア・メジェツカイア(ロシア)
第5シード:キム・チス(韓国)
有力選手:セヴァラ・ニシャンバエワ(カザフスタン)、アメリー・シュトル(ドイツ)

【プールC】
第2シード:テレザ・シュトル(ドイツ)
第7シード:イヴェリナ・イリエワ(ブルガリア)
有力選手:ジェシカ・ペレイラ(ブラジル)、アンナ・クチェラ(ポーランド)

【プールD】
第3シード:エレーヌ・ルスヴォ(フランス)
第6シード:ミリアム・ローパー(パナマ)
有力選手:ザブリナ・フィルツモザー(オーストリア)、ロレダナ・オフイ(ルーマニア)、ユリア・カザリナ(ロシア)

※ eJudoメルマガ版5月5日掲載記事より転載・編集しています。

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