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【レポート】新井心彩が力強い柔道で優勝、埼玉栄が軽量2階級を制覇/第43回全国高等学校柔道選手権女子52kg級レポート

(2021年3月29日)

※ eJudoメルマガ版3月27日掲載記事より転載・編集しています。
【レポート】新井心彩が力強い柔道で優勝、埼玉栄が軽量2階級を制覇/第43回全国高等学校柔道選手権女子52kg級レポート
取材・文:eJudo編集部

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2回戦、塩原未々が後藤未結から小内刈「技有」

【決勝まで】

優勝候補と目されていた塩原未々(長野県・松商学園高)と新井心彩(埼玉県・埼玉栄高)が順当に決勝進出を果たした。

塩原は2回戦からの登場。初戦で川上梨奈(滋賀県・比叡山高)を左一本背負投で頭から叩き落としてのブリッジ「一本」(2:08)で下すと、3回戦では後藤未結(北海道・札幌日大高)から右小内刈(低く刈り足を差し入れる通称「小内差し」)「技有」を得て優勢勝ち。準々決勝では濵岡あかり(千葉県・八千代高)と「指導2」を取り合ってGS延長戦までもつれ込むが、担ぎ技を中心に攻め続けて「指導3」の反則(GS1:42)で競り勝ちベスト4に駒を進める。準決勝では落合倖(広島県・沼田高)から開始直後に左「一本大外」で「技有」を奪い、以後は終始優勢に試合を進め、このポイントを守りきって優勢勝ち。危なげない試合運びで決勝の畳へと勝ち上がる。

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準々決勝、新井心彩が中西津希から谷落「一本」

一方の新井は1回戦から大苦戦。山田夢羅(熊本県・熊本西高)を相手に1分46秒に左体落「技有」を失ってしまう苦しいスタート。ここから猛攻で「指導」2つを引き出し、残り4秒に「指導3」反則(2:56)を得て、逆転勝ち。辛勝であった。しかしこれでギアが入ったか以降は流れに乗り、2回戦で岡元優樹(福岡県・敬愛高)を左釣腰「技有」から崩上四方固で抑え込んでの合技「一本」(2:35)、3回戦で関口凜(群馬県・前橋育英高)を崩袈裟固「一本」(1:10)、準々決勝で中西津希(岐阜県・中京高)を谷落「一本」(0:25)と3試合続けての一本勝ち。続く準決勝では3回戦で優勝候補の一角に挙げられていた宮井杏(大阪府・東大阪大敬愛高)をGS僅差(GS4:25)で破って勝ち上がってきた山下葵生(兵庫県・武庫川女子大附高)を得意の左釣腰「技有」の優勢で下して決勝進出を決めた。

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新井が塩原から小外刈「技有」

【決勝】

新井心彩○谷落(1:44)△塩原未々

新井が左、塩原が右組みのケンカ四つ。比較的長身でパワフルな腰技が持ち味の新井と、足技を中心に技術的なバランスの良い塩原という顔合わせ。

新井はまず引き手で前襟を得るとすかさず釣り手で奥を叩いて優位を完成、これを嫌った塩原が腰を差し入れたところに左出足払を合わせて畳に伏せさせる。新井は続く攻防でも同様の手順で釣り手が奥の両襟の形を作り、腰の差し合いから塩原が右大内刈を狙ったタイミングに先んじて膝裏に左小外刈を放つ。大内返を食ったような格好になった塩原は大きく崩れて背中から畳に落ち、28秒「技有」。新井がリードを得る。

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新井が塩原から谷落「一本」

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新井の谷落「一本」(別角度)

早くもビハインドを追う状況になった塩原だが、焦ることはなく冷静。これまでと組み立てを変えて釣り手で相手の釣り手を絞る両袖の形を作り、右袖釣込腰、低い右大内刈と技を繋ぐ。しかし、新井も持たれている釣り手を切るなり相手の背中深くに叩き入れて左釣込腰を打ち返し、まったく譲らない。新井続いて強引な左釣込腰を仕掛け、あくまでも投げを狙い続ける。ここまでで1分30秒が経過。

続く展開、状況的に後のない塩原は引き手を得るなり釣り手で脇を差し、乾坤一擲の右大腰で勝負に出る。しかし密着勝負は新井の土俵。新井は釣り手で相手の後襟を逆手に抑えて重しにすると、自らの左足を支点に一気に後ろに引き落とす。一瞬の拮抗の後、塩原の体が勢い良く背中から畳に落ち、1分44秒、谷落「一本」。新井が持ち味のパワフルな柔道でトーナメントの頂点に立った。埼玉栄高は48kg級の池田に続き、軽量2階級を制覇。

新井は、どちらかというと相手の技を凌ぐスタイルの選手が多い52kg級にあって珍しい、腰技を中心とした力強い柔道が持ち味の選手。まだ1年生で体力、技術ともに伸び盛り、今後が非常に楽しみだ。是非この柔道を崩すことなく、さらに磨きをかけてもらいたい。一方2位の塩原は先に「技有」を失ってしまい、相手の土俵で勝負せざるを得なくなってしまったことが痛かった。こちらも気持ちの強さを全面に押し出したファイタースタイル、足技主体ながら力強い柔道を行う好選手。今後のさらなる成長に期待したい。

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優勝した新井心彩

【入賞者】
(エントリー47名)
優 勝:新井心彩(埼玉県・埼玉栄高)
準優勝:塩原未々(長野県・松商学園高)
第三位:落合倖(広島県・沼田高)、山下葵生(兵庫県・武庫川女子大附高)
第五位:前田遥(岡山県・創志学園高)、濵岡あかり(千葉県・八千代高)、菅沼りさ(静岡県・沼津高)、中西津希(岐阜県・中京高)

新井心彩選手のコメント
「やっぱり「技有」とかで勝つよりも「一本」で勝ったほうが気持ち良い。久しぶりの大きな大会で緊張していたのですが、絶対に勝ってやろうという気持ちで戦いました。(自分の持ち味は)大腰とか腰車とか、腰に乗せていく技が得意なことです。(決勝の谷落は)前技を狙っていたので、良い裏技ができたと思います。最初の試合の入りは結構良くなくて、試合をやっていく内に徐々に良い動きができて良かったです。出稽古とかもできていなくて、自分がどのくらい成長しているのかわからなかったのですが、今日の試合で自分が思っていたよりも成長できていたと感じました。ここで優勝して終わりではなくて、次の大会にどんどん繋げていけるように頑張りたいです。」

【準々決勝】
落合倖○合技[小外刈・横四方固](2:10)△前田遥
塩原未々○GS反則[指導3](GS1:42)△濵岡あかり
山下葵生○大車(0:32)△菅沼りさ
新井心彩○谷落(0:25)△中西津希

【準決勝】
塩原未々○優勢[技有・大外刈]△落合倖
新井心彩○優勢[技有・釣込腰]△山下葵生

【決勝】
新井心彩○谷落(1:44)△塩原未々

※ eJudoメルマガ版3月27日掲載記事より転載・編集しています。

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