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【プレビュー】最注目は57kg級、世界王者出口クリスタの戦いぶり/グランドスラム・トビリシ2021男女全階級オーバービュー

(2021年3月26日)

※ eJudoメルマガ版3月25日掲載記事より転載・編集しています。
【プレビュー】最注目は57kg級、世界王者出口クリスタの戦いぶり
グランドスラム・トビリシ2021男女全階級オーバービュー
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2019年東京世界選手権57kg級の金メダリスト出口クリスタ(カナダ)。これが1年1ヶ月ぶりの実戦である。

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地元Vを目指す81kg級タト・グリガラシヴィリ(ジョージア)

文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

グランドスラム・トビリシ大会がきょう26日、現地のニュー・スポーツ・パレスで開幕する。時差は5時間、決勝ラウンドの開始は日本時間の22時である。

IJFはこの7週間で4つのグランドスラム大会を計画しており、今大会はその3つめ。今月初旬のタシケント大会からまだ2週間、さらに来週にはアンタルヤ大会が控えているという強行スケジュールのさなかの開催である。さすがにこうなると、1つの大会に極端に選手が集中することは減る。フランスが直前でチーム全員の出場を取りやめた(※チーム内に新型コロナウイルスの陽性者が出たとのこと)こともあり、今大会も陣容は薄め。1階級4人の出場枠を持つ地元ジョージアも1軍を全員送り出すわけではなく、階級によってトーナメントもレベルにかなり差がある印象だ。国で言うとカナダがかなり厚く選手を送っており、全体の傾向としてはジョージアで一線級が出場する階級、あるいはカナダにメダルクラスの強豪がいる階級のレベルが上がるという格好になっている。

大会全体を通しての最注目選手は57kg級の出口クリスタ(カナダ)。ワールドツアー再開後これが初めての国際大会、2020年2月のグランドスラム・パリ(優勝)以来の実戦である。ジェシカ・クリムカイトとの五輪代表争い云々を超えて、いま果たしてどのくらいの仕上りを見せてくれるのか、出口の柔道それ自体を楽しみたい大会。既に再開後の「顔見世」を済ませている芳田司やサハ=レオニー・シジク(フランス)と伍するだけの、いやそれ以上の、「やっぱり出口強い!」とファンを唸らせてくれるようなハイパフォーマンスを期待したい。

男子では、81kg級でもっか無敵を誇る地元ジョージアのエース、タト・グリガラシヴィリが最注目選手。この階級には珍しくトーナメントの陣容も薄め、この選手の「強さ」を堪能できる大会になるはずだ。

各階級のひとこと展望は下記。

■ 60kg級 軸はルトフィラエフ、推しはノザゼ
(エントリー33名)

第1シードのシャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)が優勝争いの軸。1月のワールドマスターズは7位、先日のタシケント大会ではなんと初戦敗退といずれも不首尾に終わっており、このあたりで結果が欲しいところ。第2シードはトルニケ・チャカドア(オランダ)だが、推しておきたいのは第3シードのテムル・ノザゼ(ジョージア)。テルアビブ大会では2位、タシケント大会でも5位と好調。五輪代表入りこそ現実的ではないが、地元ということもあり、良い試合を見せる可能性は十分。テルアビブ大会で3位入賞のラマザン・アブドゥラエフ、10月の欧州U-23選手権を制したコンスタンティン・シメオニディスのロシアの若手2人も注目。ロシアの60kg級は若手がかなりの充実を見せており、この2人はその旗手である。

■ 66kg級 注目は復調気配のヴィエル
(エントリー35名)
第1シードはヴァジャ・マルグヴェラシヴィリ(ジョージア)。隣の山であるプールBにデニス・ヴィエル(モルドバ)が配されており、この2人の準決勝がトーナメントの山場ということになる。観戦の軸にはヴィエルを据えることをお勧めしたい。柔らかさと強さを兼ね備え、細身ながら投げの豪快さが売りの好選手。2019年後半から調子を崩して今季もまだ結果を残しきれていないが、試合内容を見る限り復調基調に乗りつつある模様。
ロシアがここに来て、33歳のミハイル・プルヤエフを投入する意外な策。後継者にメダルを狙えるレベルの選手を育成できなかった、66kg級の苦しい台所事情を露呈することとなっている。同時派遣のヤクブ・シャミロフと併せて、出来を気に掛けておきたい。

■ 73kg級 注目トピック多し、地元シャヴダトゥアシヴィリら好選手が実力拮抗
(エントリー45名)

この選手だけを見ていれば完結、というまでの尖ったトピックはないが、かなりみどころのある階級である。優勝候補は第4シードの地元ラシャ・シャヴダトゥアシヴィリ(ジョージア)に、代表争いの渦中にあるツェンドオチル・ツォグトバータルとガンバータル・オドバヤルのモンゴル勢2人、それにアキル・ジャコヴァ(コソボ)と、フェルディナンド・カラペティアン(アルメニア)。いずれも骨の太い戦い方をする実力派が揃った。ダークホース候補もなかなか面白く、まずはテルアビブ大会で驚きの優勝を飾った大石公平氏の愛弟子アレクサンドル・ライク(ルーマニア)、そして今大会がワールドツアーデビュー戦となる欧州U-23選手権2位のマフマドベク・マフマドベコフ(ロシア)。

プールBはシャヴダトゥアシヴィリへの挑戦権を、このライクとデニス・イアルツェフ(ロシア)が争う。マクマドベコフはプールD、勝ち上がればヴィクトル・スクヴォトフ(UAE)とツェンドオチルへの挑戦が叶う。最激戦区はジャコヴァとガンバータル、さらにカラペティアンが同居するプールC。
プールAでは第1シードのアルチュール・マルジェリドン(カナダ)とアントワーヌ・ブシャー(カナダ)の同国対決があるのだが、トピックとしても優勝争いという観点でも優先順位は低い。そのくらい、他のブロックが熱いトーナメントだ。

■ 81kg級 グリガラシヴィリの強さに注目、ヴァロア=フォルティエは再出発期す
(エントリー43名)

73kg級とは対照的に見どころがわかりやすい階級。注目は地元ジョージアの一番手タト・グリガラシヴィリ(ジョージア)の勝ちぶり、そして第2シードを張るアントワーヌ・ヴァロア=フォルティエ(カナダ)の戦いぶり。グリガラシヴィリは昨年2月から負けなしの全勝、地元でファンにその強さを見せつけたいところ。この選手の強さを堪能する、というのが観戦上最大の軸になるはずだ。ヴァロア=フォルティエは10月のグランドスラム・ブダペストでは2位ながら素晴らしい出来であったが、優勝候補として臨んだ1月のワールドマスターズでは驚きの初戦敗退。絶好調だった2019年のようなパフォーマンスを五輪に持ち込むべく、ここで早めに立ち直っておきたいところ。失敗を引っ張る時間はないはずで、実はどうしても負けられない大会である。

この階級としては珍しく、トーナメントの密度は薄め。グリガラシヴィリの強さを存分に楽しめる1日になるのではないだろうか。

■ 90kg級 連戦で生まれたエアポケット、優勝候補はボボノフ
(エントリー39名)

常日頃の過酷なトーナメントを見慣れた目からすると、「崩壊」と言って良いくらい急激にレベルが下がった。地元のスターであるラシャ・ベカウリとベカ・グヴィニアシヴィリの2トップも出場せず、第2シードにワールドランキング17位のラファエル・マセド(ブラジル)が配される状況。
優勝候補は第1シードのダヴラト・ボボノフ(ウズベキスタン)、対抗馬は第3シードのマーカス・ニーマン(スウェーデン)の実績と実力ある2人。加えて第4シードに入っているイスラム・ボズバエフ(カザフスタン)、最近内容が良いガンツルガ・アルタンバガナ(モンゴル)を気に掛けておきたいところ。

■ 100kg級 ニキフォロフの完全復活なるか? 注目株は超長身ツロボエフ
(エントリー37名)
優勝候補は第1シードに座る世界王者ジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)と、第2シードのシャディー・エルナハス(カナダ)。加えて第5シードに入ったトマ・ニキフォロフ(ベルギー)。
フォンセカの直下には地元ジョージアの若手、19歳のイリア・スラマニゼが配された。欧州ジュニア選手権2連覇中のこの選手と地元で、それも早い段階で戦うのはかなり面倒。フォンセカがかつてパワー派に事故を起こしやすい選手であったことにも鑑み、まずこの3回戦(2試合目)を序盤戦最大の注目カードと規定して良いだろう。

ニキフォロフは今大会この階級の最注目選手。度重なる怪我を乗り越え、2週間前のタシケント大会では4年ぶりのワールドツアー制覇を成し遂げた。ここで再び表彰台に上がれば完全復活と言ってよいはず。五輪に向けて100kg級メダル争いの勢力図が書き変わる可能性大いにあり。

ダークホースには、タシケント大会でともに3位入賞のムザファルベク・ツロボエフ(ウズベキスタン)とバットフヤグ・ゴンチグスレン(モンゴル)の大型選手2人を挙げたい。ツロボエフは同大会2回戦で高木海帆を2回投げつけた、あの超長身選手である。この大会では柔道のびやかな原石状態のまま、ラファエル・ブザカリニ(ブラジル)ら名のある選手を内股で吹っ飛ばし続けていた。ツロボエフは選手の薄いプールD、バットフヤグはエルナハスがシードを張るプールCに配され、組み合わせを見る限りともに再度メダル争いに絡む可能性も十分と見る。

その高木(カイハン・オズチチェク=タカギ、オーストラリア)は第4シードのカズベク・ザンキシエフ(ロシア)と初戦でマッチアップ。組み勝ちを前提とする高木の柔道にはもっとも相性が悪いパワー派である。これまでの戦いを見る限り、今回も相当厳しい試合が待っていそうだ。

■ 100kg超級 地元ザアリシヴィリの勝ちぶりに注目
(エントリー21名)
レベルは高くない。第1シードは33歳のラファエル・シウバ(ブラジル)。もちろん実績・実力ともに揃った強豪であるが、柔道のタイプ的にも、このところの出来に鑑みても、この選手が「顔」を張らねばならないトーナメントは寂しいと言わざるを得ない。こちら側の山(プールA、プールB)はわけても強豪の影が薄く、みどころが薄い。

一方逆側の山には第2シードのゲラ・ザアリシヴィリ(ジョージア)に、ウシャンギ・コカウリ(アゼルバイジャン)、ウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)と名のある選手が3人顔を揃えた。見どころは地元選手ザアリシヴィリの出来。出世期だった2019年に比べてこのところ戦いぶりが小粒になって来ていた印象だが、1月のグランドスラム・テルアビブではしっかり優勝。停滞を抜け出して、一段階段を登るタイミングが訪れつつある。五輪代表はグラム・ツシシヴィリで決まりと思われるが、今年は世界選手権という大イベントが控えており、今回は優勝必須の大会と言えるだろう。コカウリとデューレンバヤルはこのところ名前に見合った活躍が出来ておらず、まずはしっかり準々決勝の直接対決まで勝ち上がることが課題。最近の両者の不出来から考えれば、アリシェル・ユスポフ(ウズベキスタン)がベスト4に勝ち上がる可能性すらあると見る。テルアビブ大会は7位、タシケント大会は初戦敗退だが、たたずまいに怪物感あり。2019年グランドスラム大阪では日本の香川大吾を裏投「一本」に沈めて3位入賞の実績がある。初戦からダニエル・アレストファレル(オーストリア)、続いてデューレンバヤル、コカウリと組み合わせはきついが、注目しておいて良いかもしれない。

■ 48kg級 久々「上昇期」迎えたムンフバットに期待
(エントリー28名)

優勝候補はムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)、対抗馬はフリア・フィゲロア(スペイン)とカタリナ・コスタ(ポルトガル)。それぞれAシード扱いで、山はしっかり分かれた。コスタがミリツァ・ニコリッチ(セルビア)と準々決勝でマッチアップするという変数はあるが、ムンフバットを軸に、これら欧州の有力選手が挑みかかるという大枠の構図は変わらない。

ムンフバットはタシケント大会では素晴らしいパフォーマンスで優勝、「モラエイ」に、角田夏実を一撃で屠ったサンボ式谷落と持ち技も増えており、久々大幅な実力上昇期が訪れているという印象。髪型も変えて(ドラスティックな変化である)、実は女子軽量級では今季随一の存在感を放っている。五輪に向けてどこまでこの「上昇期」が続くのか、ここに注目してみておきたい大会。

ムンフバットの山には売り出し中の20歳アンドレア・ストヤディノフ(セルビア)が配されている。テルアビブ大会、タシケント大会と連続で3位入賞。タシケントではまさにムンフバットに敗れているが(腕挫三角固「一本」)、今回もメダル争いに絡んでくるのは間違いない。気に掛けておきたい。

■ 52kg級 頭脳派ジュッフリダと肉体派ジャイルス、好対照の2人がV候補
(エントリー37名)

32名エントリーも注目選手は2人に絞られる。第1シードのオデット・ジュッフリダ(イタリア)と第3シードのチェルシー・ジャイルス(イギリス)だ。

足業師ジュッフリダは明らかに五輪モード、イタリア選手の例に漏れずそれ以外は眼中にない調整を行っているという印象。タシケント大会は阿部詩のエントリーを見るやすかさず出場を取り消しており、本番に向けてやる気満々である。たとえこの大会を落としたとしても、繰り出す技、身のこなし、すべてに「布石」があるとみて戦いぶりを見守りたい。

ジャイルスはテルアビブ大会を制した24歳のニューカマー。奥を叩いてケレン味なく二本持ち、強い体幹をぶつけるように跳ね技で投げまくり、さらに寝技もソツなくこなすというイギリス女子の新スタンダードの典型である。上位が硬直化しつつある52kg級世界で、阿部・ケルメンディ・ブシャー・ジュッフリダらの一角を崩す変数になり得るか、これから数か月の戦いはわけても注目。能力的には、少なくともこれらAクラスの「次」に常駐するだけの力を既に蓄えていると見る。

■ 57kg級 世界王者出口クリスタの出来に注目
(エントリー34名)

冒頭書いた通り、出口クリスタ(カナダ)の戦いぶりが最大のみどころ。昨年2月のグランドスラム・パリ以来の実戦である。この長い中断期間に何を上積みして、どう勝ち上がっていくのか。すべての試合から目が離せない。配置はもちろん第1シード、同プール内に敵はおらず、優勝も既定路線。本人の「出来」それ自体が課題だ。

隣のプールBが面白い。Aシード選手はダリア・メジェツカイア(ロシア)で、Bシードに世界ジュニアの覇者エテリ・リパルテリアニ(ジョージア)が配された。なかなかシニアで結果を残せなかったリパルテリアニだが、テルアビブ大会では持ち味を発揮して3位に入賞。女子ながら背中を抱き、腰をぶつけて持ち上げる「グルジア式」のパワーファイトが、短躯のこれもパワー派メジェツカイアに通用するか(過去1戦1敗)非常に楽しみ。ぜひ勝ち抜いて、世界王者出口に挑戦してもらいたい。

V候補としては出口が抜けており、メジェツカイアと第2シードのノラ・ジャコヴァ(コソボ)が後を追う形。

■ 63kg級 スーパートップの参加はなし、初V狙うバリオスと急成長のリヴェシーに期待
(エントリー36名)

3強(クラリス・アグベニュー、田代未来、ティナ・トルステニャク)が誰も参加せず、第1シードはランキング10位のキャサリン・ブーシェミン=ピナード(カナダ)。3強(田代不出場の場合は鍋倉那美に置き換わる)が飛び抜けた力を持つ一方で、中堅クラスが力的にも柔道のタイプ的にも映えない均衡を続けるこの階級にあっては、このトーナメント構成は一般的な見どころ的には「崩壊」と評されても仕方のないところ。

その中で注目選手を挙げるとすれば、まずタシケント大会で3位入賞、東海大で力を磨くアンリケリス・バリオス(ベネズエラ)。今大会は第2シードに配されており、面子的にもワールドツアー初優勝の大チャンスである。柔道のタイプ的には、52kg級のジャイルス同様、イギリスの新スタンダードを体現せんとするエイミー・リヴェシーが非常に面白い。以前は稀にベスト8に絡むくらいでさほど目立ってはいなかったが、明らかに強くなっている。タシケント大会では3位入賞。「掛けて、倒れる」「圧を掛けて、待つ」タイプが多いこの階級にあって、ガッチリ組んで体幹をぶつけ、跳ね、刈り、掛けるこの本格派スタイルで上位に割って入ることが出来るか。
シニアの壁に当たっている形になっているが、世界ジュニア王者オズバス・ソフィー(ハンガリー)の活躍にも期待したい。

■ 70kg級 力拮抗した混戦、マトニヤゾワが今大会も光放つか
(エントリー31名)

超ビッグネームがいない一方で、おなじみの選手ばかりが顔を揃えたというトーナメント。中堅どころの陣容が異様に厚い。階級特性的にも力と力がぶつかる、かなり骨太の試合がうち続くことになるのではないかと考えられる。優勝候補は第1シードのミヘイラ・ポレレス(オーストリア)、期待はこれも東海大で腕を磨くエルビスマル・ロドリゲス(ベネズエラ)ということになるが、ひときわ推しておきたいのはタシケント大会で釣腰、跳巻込と強烈な投技を連発、3位入賞したグルノザ・マトニヤゾワ(ウズベキスタン)。あのパフォーマンスが続けられるようであれば、それこそ「ビッグネーム」たちと伍するところまで伸びてくる可能性がある。このマトニワゾワもそうだったが、ゲルチャク・サビナ(ハンガリー)らタシケントで王者新井千鶴相手に善戦した中堅たちがどこまでやれるか、ここにも注目しておきたい。ほか、ワールドマスターズで力強い「一本」を連発して2位入賞を果たしたマディーナ・タイマゾワ(ロシア)、ベテランのマリア・ポルテラ(ブラジル)が上位候補。

■ 78kg級 グラフが国際大会に復帰
(エントリー21名)
新型コロナウイルス陽性反応者の発生を受けてドイツチームが急遽参加を取りやめ。第1シードで優勝候補筆頭格のアナ=マリア・ヴァグナーと第4シードのルイーズ・マルツァーンが試合に出場しない見込みとなり、エントリー選手もこの時点で19名まで減ってしまった。

注目選手はまずなんといってもベルナデッテ・グラフ(オーストリア)。国際大会再開後はこれが初登場。本調子であれば五輪のメダル争いに絡んできておかしくない強豪、ケレン味なく腰をぶつける、あの強気の戦いぶりが見られるか、そしてどこまで力を発揮出来るか注目。躍進中の長身選手ロリアナ・クカ(コソボ)が第2シード配置、この選手は今が伸び盛り、観察を怠ってはならない時期。中国からはチェン・フェイとマー・ジェンジャオが久々の顔見世、欧州中心に組み立てられてきたここ2年の序列に再構成を迫るような戦いに期待したい。

■ 78kg超級 V候補はオルティス、気になるワン・ヤンの戦線復帰
(エントリー25名)

キューバチームに陽性者発生との情報があるが、いまのところイダリス・オルティスのエントリーは継続。オルティスが第1シード、マリア=スエレン・アルセマン(ブラジル)が第2シードを張るという、久々、かつおなじみの形でトーナメントが組みあがった。

アルセマンとベアトリス・ソウザ(ブラジル)が準決勝で対戦濃厚。このブラジルの代表争いに注目と言いたいところだが、この構図における両者の対戦は毎度「グダグダ」。心躍るような試合は到底期待し難い。パフォーマンスの出来不出来あり過ぎる選手ではあり、そもそも出場自体があるかどうかが不透明ではあるが、やはりオルティスの出来が最大の見どころということになるだろう。

ひとつ、オルティスの直下に配されたワン・ヤン(中国)の出来を気にしておきたい。かつて中国の東京五輪世代のエース候補とされ、素根輝のライバルとしてクローズアップされていた選手だが、伸び切らず国際大会代表グループからも脱落。これが2019年ワールドマスターズ・青島(初戦でオルティスに敗退)以来の国際大会参加である。中国は1月から代表チームの指導体制を一新したとの情報があり、ワンの派遣にもなんらか目算があるはず。五輪出場枠狙いの「員数合わせ」なのか、復活気配ありとみてのエントリーなのか、試合を見ればその意図がはっきりわかるはずだ。

※ eJudoメルマガ版3月25日掲載記事より転載・編集しています。

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