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第35回皇后盃全日本女子柔道選手権・全試合詳細 ④準々決勝~決勝

(2021年3月3日)

※ eJudoメルマガ版3月2日掲載記事より転載・編集しています。
第35回皇后盃全日本女子柔道選手権・全試合詳細 ④準々決勝~決勝
日時:2020(令和2)年12月27日
会場:講道館大道場

→全試合結果

<→③三回戦から続く>

■ 準々決勝
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最終盤、桑形萌花が右内股で攻める。

【準々決勝 第1試合】
桑形萌花(近畿・須磨学園夙川高3年)○GS反則[指導3](GS3:31)△中原爽(九州・福岡大3年)
右相四つ。相手の釣り手を抑えて試合を作りたい桑形に、奥を得て組み止めたい中原という構図。体格に勝る中原は組み手の攻防を最小限に奥を叩きながら前に出続け、窮した桑形が不十分な技で展開を切るという形で試合が進む。1分33秒、中原が蹴り崩しながら激しくあおると桑形の首が抜けてしまい、桑形に首抜きの「指導」。以降も中原が組み勝って大枠優位、しかし桑形も良く動いて圧をそらしながら技を出し続け、この手数が評価される形で3分36秒、中原に消極的試合姿勢の「指導」が与えられる。ここで試合はGS延長戦へ。中原の優位は継続、GS22秒には組み手の攻防で場外に出てしまった桑形に場外の「指導2」が与えられる。さらにGS59秒、中原が奥を得ると同時に桑形これを引き手で押し上げるようにして首を抜いてしまう。相手の首抜きを確信した中原そのまま釣り手を持ち続けるが、これは「中原の釣り手が完成する前に桑形がかわした」と判断されたか、中原に片襟の「指導2」宣告。思わぬ形でスコアはタイに戻る。しかし、中原は萎縮することなくこれまでの方針を継続する。GS2分25秒には中原の惜しい右大外刈に映像チェックが入るがノーポイント。続くGS2分43秒には桑形が圧に耐えかね自ら場外に出たように見える決定的な場面が訪れるが、これもスルーされてしまう。ここが勝負の分かれ目。以降、大型選手の中原のスタミナが切れ始める。GS3分31秒、桑形が引き手で相手の釣り手を噛み殺し、釣り手で奥襟を得る万全の形から右内股を放つと、中原は腹這いで畳に落下。ここで中原に消極的試合姿勢の「指導3」が与えられ、決着となった。

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橋本朱未が秋場麻優から小外刈「技有」

【準々決勝 第2試合】
橋本朱未(東京・コマツ)○GS技有・小外刈(GS0:14)△秋場麻優(中国・ALSOK)
橋本が右、秋場が左組みのケンカ四つ。互いに上から持って圧を掛けんとする釣り手の攻防から試合がスタート。これは橋本に軍配が上がり、以降は橋本が上から持って圧を掛け、下から応じた秋場が前にあおり、圧をかわして技を狙う形で試合が進む。1分26秒、秋場が左小外刈から相手をあおって前に引き倒したところで橋本に消極的試合姿勢の「指導」。さらに組み手争いが続いた2分27秒には両者に「取り組まない」咎による「指導」が与えられる。これで橋本は「指導2」となり後がなくなる。秋場は残り1つの「指導」を得ようと組み手の不利を厭わず先に技を出して激しく攻めるが、橋本もギアを一段上げて技を打ち返して抵抗。勝負はそのままGS延長戦に突入する。GS14秒、秋場は内から奥襟を得る良い形を作り、釣り手側に相手を引き出して左内股を狙う。しかし橋本は膝を入れて一旦これを止め、秋場が再度左内股を仕掛けようと腰を切ったタイミングに先んじて右小外刈を仕掛ける。長い脚を目一杯伸ばして軸足を鎌足で引っ掛けると、そのまま一気に浴びせ倒して「技有」。

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冨田若春が児玉ひかるから大内返「一本」

【準々決勝 第3試合】
冨田若春(推薦・コマツ)○大内返(0:48)△児玉ひかる(東京・東海大2年)
冨田が右、児玉が左組みのケンカ四つ。冨田が下から持って間合いを詰め、児玉が上から圧を掛ける形。互いに引き手で袖を得ての攻防から、やや不利となった児玉が引き手を離して両襟の形を作る。このまま互いに足技を飛ばしながら圧を掛け合う展開が続いた48秒、児玉が左大内刈を仕掛けると冨田鋭く反応、技のインパクトに先んじて大内返に切り返す。上体のハンドル操作を効かせて強く捩じると、児玉の体は一瞬宙に浮いた後にドシンと音を立てて背中から畳に落下「一本」。

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稲森奈見が梅木真美から足車「有効」

【準々決勝 第4試合】
稲森奈見(東京・三井住友海上)○優勢[有効・足車]△梅木真美(推薦・ALSOK)
稲森が右、梅木が左組みのケンカ四つ。梅木は常の通り、釣り手で奥を得ての両襟で相手を抱き込む形。対する稲森は不用意に背中を抱くことはせず、釣り手で前襟を突いて応じる。1分間際に梅木が蹴り崩しから得意の「横三角」を狙うが、稲森伏せたまま耐えきる。続く展開では梅木の奥襟に稲森が逆手で後襟を持つ形で応じて右小外掛、ここから捲ろうと試みるが、梅木しっかり伏せて凌ぐ。以降、稲森が梅木の奥襟に脇を差して応じるようになり、ポイントの予感漂うスリリングな攻防が続くこととなる。3分20秒にまたもや梅木が奥、稲森が下から逆手で後襟を掴む形が生まれ、梅木は引きずりながら刃を入れるタイミングを測る。しかし稲森は先んじて攻撃、右小外掛フェイントの右足車一撃。後技に対応せんと一瞬剛体となってしまった梅木はたまらず吹っ飛び、稲森が乗り上げるように捲り投げて「有効」。残り時間を考えれば決定的な得点。ビハインドを負った梅木は飛び掛かって接近戦を挑むが、稲森落ち着いてこれを潰して展開をリセット。残り10秒、梅木が組み際に前襟を掴んだ放った右大内刈に稲森が崩れ伏せる場面があったが、ポイントには至らず。そのまま試合終了となる。稲森がベスト4進出決定。

■ 準決勝
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橋本朱未が桑形萌花から内股「一本」

【準決勝 第1試合】
橋本朱未(東京・コマツ)○内股(2:39)△桑形萌花(近畿・須磨学園夙川高3年)
右相四つ。桑形この試合もまず相手の釣り手を抑えようと試みるが、橋本は余計な組み手の攻防に応じず、リーチを生かして上から釣り手を叩き入れて一方的に自分の形を完成させることを続ける。こうなると、桑形に残される道は手数攻勢から組み立てることのみ。しかし橋本はそれすら許さず、激しく前に煽りながら蹴り崩すことを続け、桑形に技を出す機会すら与えない。1分15秒、桑形に消極的の「指導」。以降も橋本が一方的に組み勝って攻める展開が続く。2分39秒、橋本はまず相手の頭越しに釣り手で後襟を得、続いて体重を掛けていったん前に潰すと、たまらず桑形が上体を起こす動きに合わせて右内股に飛び込む。死に体となっていた桑形は為す術なく、放物線を描いて一回転「一本」。盤石の試合運びと豪快な一発、橋本が文句なしの内容で決勝進出を決めた。

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冨田若春が稲森奈見から払腰「技有」

【準決勝 第2試合】
冨田若春(推薦・コマツ)○GS技有・払腰(GS5:03)△稲森奈見(東京・三井住友海上)
右相四つ。片襟の技を得意とする者同士の戦い。互いが袖の絞り合いから相手の釣り手を切り、片襟の技を狙う形で試合が進む。双方交互に片襟の右大外刈、右大内刈と技を仕掛けるがいずれも不十分で崩すには至らず、手数は出るが大きな動きがないまま時間が進む。展開が止まった2分29秒には双方に「取り組まない」咎による「指導」。以後組み合っての攻防も増え、冨田が奥襟を叩いて相手をあおり倒す場面、また稲森が前襟を持っての右大外刈を狙うなど試合に動きが生まれるが、いずれもポイントの予感はなし。このまま本戦は終了となる。GS延長戦も様相はさほど変わらず、双方が技を出し合い、そして安定を崩さず立ったまま受け切る絵が続く。GS4分50秒、冨田が相手の袖を釣り手から持って手繰り、引き手で一方的に袖口付近を得る十分な形を作る。稲森嫌ってこれを切らんと下がるが、冨田はこの動きに合わせて間合いを詰めて奥襟をも確保、袖と奥を得た万全の形を作り出す。危機を感じた稲森は瞬間引き手を離して相手の背中に回し込み、得意の抱き勝負を挑まんとする。しかし冨田は先んじて反応し右払腰一閃、自ら相手の背中側に回り込もうとしていた稲森は堪らず吹っ飛び「技有」。GS5分3秒、ここで試合は決着となった。

■ 決勝
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同門対決の決勝は厳しい組み手争いが続く

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冨田が右一本背負投を連続、直後橋本に3つ目の「指導」が与えられる。

【決勝】
冨田若春(推薦・コマツ)○GS反則[指導3](GS10:56)△橋本朱未(東京・コマツ)
同門対決は双方右組みの相四つ。互いに相手を良く知るがゆえになかなか形を作れず、持っては切り、切っては持ち直す組み手の攻防が続く。1分過ぎから橋本が引き手で袖口付近を得て一方的に押し込む展開が生まれるが、ここで冨田が出した右手を握ってしまい、1分24秒橋本に手を握った咎による「指導」。ここからは再び五分の組み手争い。3分36秒、双方に消極的試合姿勢による「指導」が与えられたのみで試合は大きく動かず、このまま本戦は終了となる。延長戦に入っても状況は変わらず、試合時間のほとんどが組み手の攻防に費やされる。それでも冨田がGS23秒に片襟の右背負投、GS54秒には組み手の攻防に織り交ぜた右出足払と効果的な技を見せ、やや優位。既に「指導2」で後のない橋本としては1つ技を打ち返して五分に戻したい状況だが、組み手にこだわりすぎてしまい、ここから1分近くを組み手争いに消費してしまう。これを受けたGS2分17秒、主審が試合を止めて両者を開始線に戻し服装を正させる。どうやらここで決着かと思われたが、試合は意外にもそのまま再開。橋本に「指導」が与えられてまったくおかしくないこの状況を考えれば、これはいま一度の「攻め合うように」との警告に他ならず。これを受けた橋本はGS2分55秒に片襟の右払腰を仕掛けるが、冨田は崩れず、立ったままこれを弾き返す。ここからは再び組み手争い。GS4分6秒、主審がまたもや試合を止める。今度こそ両者「指導」で決着かと思われたが、ここでは前段「指導3」での勝利を意識してかやや下がり気味になっていた冨田のみに消極的試合姿勢の「指導」が与えられる。「余力を残したまま、組み手の攻防のみでの『指導3』決着は許さない」と言わんがばかり。GS5分54秒、冨田が意を決して右一本背負投を仕掛けるが、橋本は懐の深さを生かして潰し、横に引き込んで寝技を展開する。冨田一度は捲られたところから伏せるが、橋本はすぐに反対方向に捲り返し、脚が抜けれは横四方固となる形まで辿り着く。橋本にとってはこれ以上ないチャンス、さらに腕を取って腕緘を狙うが、冨田手を伸ばされながらも決定的な形を許さずに耐え切り、GS7分46秒に「待て」。これがこの試合最後の勝負の分かれ目。以降、試合の流れは2分近い寝技のピンチを耐えきった冨田の側に振れる。冨田は足元を蹴り崩し、片襟の右大内刈で攻め込み、片襟の右大外刈で伏せさせ、スタミナの切れた橋本を攻め続ける。GS10分56秒、冨田が右一本背負投を仕掛けたところで主審が試合を止め、ついに橋本に「指導3」。ここで冨田の皇后盃初優勝が決まった。

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