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第35回皇后盃全日本女子柔道選手権・全試合詳細 ③三回戦

(2021年3月2日)

※ eJudoメルマガ版3月1日掲載記事より転載・編集しています。
第35回皇后盃全日本女子柔道選手権・全試合詳細 ③三回戦
日時:2020(令和2)年12月27日
会場:講道館大道場

→全試合結果

<→②二回戦から続く>

■ 三回戦
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桑形萌花は釣り手を絞らせたまま巻き込み様の技で試合を作る。

【3回戦 第1試合】
桑形萌花(近畿・須磨学園夙川高3年)○GS反則[指導3](GS5:48)△鶴岡来雪(東京・コマツ)
右相四つ。鶴岡は先に引き手で相手の袖を確保、折り込むように相手の体に押し付けながら担ぎ技を仕掛けるチャンスを窺う。しかし桑形はこの釣り手を抑えられる不利に過剰反応せず、落ち着いて自らも相手の引き手を得、やや距離を取ったまま横にずれて五分の形を作り出す。この状態での袖の絞り合いが続き、1分8秒、両者に「取り組まない」咎による「指導」。以降も構図は大枠相似、体格に勝る桑形が釣り手を肩越しに差し入れて圧を掛ける、あるいは技を打つ場面が時折現れるが大勢に変化はなく、あっという間に本戦が終了。GS延長戦でもこの状況は続き、GS3分7秒に桑形が釣り手を絞らせたまま巻き込み様の右内股を放ったところで鶴岡に消極的試合姿勢の「指導2」が追加される。後のなくなった鶴岡は組み際に飛びついての右大内刈や片襟の右大外落を仕掛けて状況の打開を測るが、桑形は冷静に“絞らせたまま釣り手を肩越しに差し入れる”形を最後まで徹底、大きな破綻ないままGS5分48秒に両者に取り組まないことによる「指導」が与えられ、鶴岡の「指導3」による反則負けで試合は終戦となった。

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中原爽が髙山莉加から大外返「一本」

【3回戦 第2試合】
中原爽(九州・福岡大3年)○大外返(2:02)△髙山莉加(東京・三井住友海上)
右相四つ。「はじめ」が掛かるなり髙山勢い良く飛び出し引き手で袖を確保、左袖釣込腰で懐深く潜り込んで中原の体を抜き落とす。このまま引き手を離さず、潰れた相手を引き起こして「腕緘返し」。中原堪らず転がるも勢いのまま腹這いで逃れて32秒「待て」。髙山は続く展開でも組み合うなり巴投で引き込み、寝技を狙う。「待て」が掛かった55秒、中原に消極的試合姿勢による「指導」。以降も髙山が担ぎ、引き込んでは寝技で攻める展開が続き、試合は完全に髙山のペースとなる。中原はなかなか攻めのきっかけが掴めないが、本戦が折り返し地点に差し掛かった2分間際、髙山が釣り手を噛み殺されたまま右大外刈を仕掛けるミスを犯す。体格に勝る中原はこの機を見逃さず、釣り手を巻き込み様に差し入れ大外返一閃、思い切り畳に叩きつけ2分2秒「一本」。

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秋場麻優が梅津志悠から横四方固「一本」

【3回戦 第3試合】
秋場麻優(中国・ALSOK)○横四方固(4:09)△梅津志悠(東京・三井住友海上)
秋場が左、梅津が右組みのケンカ四つ。秋場が上、梅津が下から釣り手を持って引き手を争う形で試合が進行。秋場が肘を上から落として圧が掛かる形を作り、足を飛ばしながらじわりと前に出続ける。1分3秒、梅津のみに片手の咎による「指導」。以降もこの構図のまま試合は最終盤まで進む。本戦終了間際の残り13秒、釣り手を殺され続けて焦れた梅津が背中を抱き、場外際で隅返に打って出る。しかし秋場は釣り手を突いて十分距離を取っており、仰向けに倒れる形になった梅津にそのまま被さり横四方固で抑え込む。完全に上体を固められた梅津はほとんど動けず20秒が経過、4分9秒「一本」。

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橋本朱未が厳しい組み手で大辻瑛美を封じる

【3回戦 第4試合】
橋本朱未(東京・コマツ)○GS反則[指導3](GS2:25)△大辻瑛美(関東・自衛隊体育学校)
右相四つ。大辻はこれまでの試合と同様に左右の手を持ち替えながら相手の釣り手を徹底封殺。橋本の釣り手の袖を体側に折り込み、あるいは掴んだまま引きずって、揺さぶりを呉れながら片襟の技を狙う。しかし橋本は揺るがない。淡々と手順を進め、相手の技の戻り際を狙って奥襟を得、万全の形を作り出す。堪らず大辻が膝を着いた2分4秒、大辻に「極端な防御姿勢」による「指導」。試合は橋本のペース。しかしここから大辻は本領を発揮。組み際の技で手数を積み、2分50秒、3分41秒と立て続けに消極的の「指導」を引き出す。橋本が「指導2」となりスコア上後がなくなったこのタイミングで本戦が終了、試合はGS延長戦へ。延長戦も大辻が組み際の技で手数を積むが、GS1分11秒に怒気を発した橋本が手順を飛ばして奥襟を叩きながらの右大外刈。大辻が大きく崩れて伏せたこの一撃をきっかけに状況が変わる。これまで鷹揚だった橋本の組み手が厳しくなり、不十分な形からでも奥を叩き、煽って、蹴り崩してと体格差を利して大辻を徹底的に封じ続ける。リーチの長い橋本にこれをやられてはさすがの大辻も抗しかねる。GS1分56秒、GS2分25秒と立て続けに消極的の「指導」を失い、「指導3」の反則負け。橋本が戦術的な幅の広さを見せて勝利を決めた。

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冨田若春が玉置桃から大外巻込「有効」

【3回戦 第5試合】
冨田若春(推薦・コマツ)○GS有効・大外巻込(GS2:30)△玉置桃(推薦・三井住友海上)
右相四つ。釣り手を絞ってくるであろう玉置に対し、冨田は左構えでまず引き手を得んとする姿勢。玉置はスピードを生かして接近と離脱を繰り返し、この流れの中で釣り手を先に抑えようと試みる。玉置は片手の左袖釣込腰を空転させ、右小内巻込に繋ぐ好連携。これで冨田を伏せさせて場内を沸かすが、やはり体格差のために押し込まれる場面が増え始め、1分32秒には「取り組まない」、2分34秒に場外で「指導」2つを失ってしまう。しかし、冨田の慎重な試合運びもあり、双方ともに決定的な場面がないまま試合はGS延長戦にもつれ込む。延長戦に入ると冨田がやや攻めのペースをアップ。GS1分0秒には得意の片襟右大内刈で玉置に尻餅をつかせる惜しい場面を作り、さらにGS1分48秒には奥を叩きながらの右大内刈で玉置を畳に這わせる。いよいよ場が煮えてきた印象。GS2分30秒、互いに袖をしぼりあった状態から冨田が相手に袖を絞らせたまま大外巻込。ほとんど大車と言っていい高い位置に足が掛かり、そのまま乗り上げ投げて「技有」。冨田は順当にベスト8入り、大健闘の玉置はここで終戦となった。

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児玉ひかるが佐藤果から出足払「有効」

【3回戦 第6試合】
児玉ひかる(東京・東海大2年)○優勢[有効・出足払]△佐藤果(関東・淑徳大3年)
児玉が左、佐藤が右組みのケンカ四つ。児玉は下から釣り手を掴んで両襟で相手を固定、足技で蹴り崩しながら前に出る。これを受けた佐藤は右払腰に右内股と仕掛けて圧を剥がそうとするが、児玉は動ぜず、距離を保ったままじっくり機を窺い続ける。1分42秒、佐藤が場外際で右内股を仕掛けると、児玉は引き手を切ってを防御、相手の戻り際に左出足払を合わせて「有効」を得る。これで試合の大勢は決した印象。以降も児玉は釣り手を下から突いてじっくりと試合を進め、左大内刈で相手を伏せさせた3分16秒に消極的試合姿勢の「指導」を追加して危なげなく試合を終える。

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稲森奈見が寺田宇多菜から大内刈「有効」

【3回戦 第7試合】
稲森奈見(東京・三井住友海上)○優勢[技有・小外掛]△寺田宇多菜(関東・桐蔭横浜大4年)
稲森が右、寺田が左組みのケンカ四つ。寺田が下、稲森が上から釣り手を持っての引き手争いから試合が始まる。49秒、稲森は釣り手を振って煽り崩しながら引き手で襟を確保、ここから右大内刈を放つ。やや腰を切って内股気味となったこの技で相手を捻りながら乗り上げ、「有効」奪取。続く展開、ビハインドを負った寺田はまず両襟で稲森の釣り手を抑え、そこから奥を叩いて勝負に出る。しかし稲森はこれを読んでおり、巻き替え際を右小外掛に切り返して「技有」追加。以降は追う立場の寺田が密着勝負で一発を狙い、稲森が釣り手を突いてそれを防ぐという形で試合が進む。残り30秒に寺田が釣り手で背中深くを得て稲森が抱き返すスリリングな攻防が生まれるが、これは両者もつれたまま場外に出て「待て」。最終盤は稲森が組み手厳しく、寺田にスクランブルのきっかけを与えぬまま試合を終える。

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梅木真美が奥襟を掴んで髙橋瑠璃を圧する

【3回戦 第8試合】
梅木真美(推薦・ALSOK)○GS反則[指導3](GS1:14)△髙橋瑠璃(関東・山梨学院大2年)
左相四つ。梅木は引き手で前襟を得、釣り手で奥を叩く形から組み手をスタート。対する髙橋が相手の釣り手を噛み殺しての横変形で応じるという構図で試合が進む。梅木は立っては左小外刈、左大外刈、寝ては「横三角」と積極的に攻めるが、防御重視の髙橋から具体的なポイントは奪えない。しかし、一方的に攻め続けたことで2分19秒、3分40秒と髙橋に消極的の「指導」2つが与えられる。最後はGS1分14秒、梅木が引き手で前襟を突いて耐える髙橋を引きずり倒したところで、髙橋に3つ目の消極的「指導」が与えられ決着となった。世界ジュニア王者の高橋は今大会一貫して横変形の防御技術に気を遣い過ぎた印象、攻撃面では見るべきものが薄かった。

<→④準々決勝~決勝へ続く>

※ eJudoメルマガ版3月1日掲載記事より転載・編集しています。

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