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第35回皇后盃全日本女子柔道選手権・全試合詳細 ②二回戦

(2021年3月1日)

※ eJudoメルマガ版3月1日掲載記事より転載・編集しています。
第35回皇后盃全日本女子柔道選手権・全試合詳細 ②二回戦
日時:2020(令和2)年12月27日
会場:講道館大道場

→全試合結果

<→①一回戦から続く>

■ 二回戦
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桑形萌花が厳しい組み手と早い技出しで朝比奈沙羅を封じる。

【2回戦 第1試合】
桑形萌花(近畿・須磨学園夙川高3年)○GS反則[指導3](GS4:34)△朝比奈沙羅(推薦・ビッグツリー)
右相四つ。朝比奈の釣り手が焦点の試合。これを絞り落として組み際に片襟の技を狙う桑形と、奥を叩いて相手の動きを止めたい朝比奈という構図。序盤は朝比奈が体格差を利して桑形の技を悉く立ったまま弾き返し、41秒には得意の右支釣込足から「腰絞め」を狙うなど優位に立つ。しかし中盤に差し掛かると桑形のスピードを捉え切れず後手に回る展開が目立ち始め、試合は膠着。2分3秒には両者に消極的の「指導」が与えられる。以降は時間の経過とともに桑形が一方的に片襟の担ぎ技を仕掛ける場面が増え、本戦の残り17秒には朝比奈に消極的試合姿勢の「指導2」が加えられる。試合はそのままGS延長戦へ。延長戦でも桑形の優位は継続。それでもGS1分20秒には朝比奈がついに奥襟を得て右大外刈で攻め込み、GS1分44秒、桑形に消極的の「指導2」。しかし朝比奈の反撃はこれで終わり。以降は桑形が一方的に技を出し続ける状況が続き、GS4分34秒に桑形が片襟の左背負投を仕掛けるとこれまで全ての技を立ったまま弾き返していた朝比奈がついに相手に折り重なるように前に倒れ込む。ここで朝比奈に消極的試合姿勢の「指導3」が与えられて決着。高校生桑形は最重量級の世界王者を破る大金星。優勝候補の朝比奈はまさかの初戦敗退となった。

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鶴岡来雪が浜未悠から背負投「技有」

【2回戦 第2試合】
鶴岡来雪(東京・コマツ)○GS技有・背負投(GS2:00)△浜未悠(東海・百五銀行)
鶴岡が右、浜が左組みのケンカ四つ。鶴岡は釣り手を下から突くと、相手の引き手側に回り込む動作から巧みに肘を振って圧を剥がしながら懐に侵入、鋭い右背負投を連発して一方的に攻め続ける。1分22秒にはやや慎重になり過ぎて片手の「指導」を失うが、以降は右背負投を軸に左一本背負投や巴投を織り交ぜながら再び攻め続け、2分23秒と3分23秒に浜から消極的の「指導」を引き出す。浜は鶴岡の巧みな釣り手操作の前に自分の形を作ることができず防戦一方。対する鶴岡はあくまでも投げて試合を決めんと懐深く侵入してはポイント級の技を連発する。GS2分0秒、鶴岡が釣り手の肘を畳む動作で相手を煽りながら懐に侵入、次いで低く右背負投に潜り込むとこれまで紙一重で凌いでいた浜がついに陥落。ごろりと背中から転がり落ちて「技有」。

【2回戦 第3試合】
中原爽(九州・福岡大3年)○不戦△井上あかり(東京・JR東日本)

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髙山莉加が粂田晴乃の腕を捉えて、腕挫十字固に移行。

【2回戦 第4試合】
髙山莉加(東京・三井住友海上)○腕挫十字固(0:32)△粂田晴乃(関東・筑波大4年)
髙山が右、粂田が左組みのケンカ四つ。双方釣り手を内から持たんとする組み手の攻防から試合がスタート。これは粂田が競り勝ち、釣り手で奥襟を得た両襟の形を作る。しかし高山落ち着いて釣り手を内からこじ入れて前襟を得ると、間髪をいれずに21秒巴投に潜り込む。粂田は脱力して被さりこれを凌ぐが、高山そのまま相手の右腕を取って腕挫十字固。相手の動きに合わせて乗り上げるように捲り極めると、32秒に粂田が「参った」。

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秋場麻優が朝飛七海から裏投「技有」

【2回戦 第5試合】
秋場麻優(中国・ALSOK)○GS技有・裏投(GS0:13)△朝飛七海(関東・桐蔭横浜大3年)
左相四つ。朝飛は最重量級の強者秋場に対しても臆することなくあくまで身上の真っ向勝負、引き手で前襟を持つなり自ら奥襟を叩いて接近戦を挑む。ファーストコンタクトは朝飛が釣り手で抱き込んだところに秋場が裏投を合わせ、両者が弾けるように畳に伏せて「待て」。これで大枠の構図が決まった感あり、以降も朝飛が強気に奥を叩き、秋場が引き手で距離を取りながらカウンターを狙う形で試合が進行する。積極的に攻める朝飛が大枠優位も、2分53秒に両者に片手の「指導」が与えられたのみでスコアは動かず、試合はGS延長戦へ。延長戦開始直後の攻防、再び朝飛が奥を叩いて左大内刈を仕掛けると、待ち構えた秋場が引き手を相手の背中深くまで送り込みガッチリとホールド、裏投で豪快に引っこ抜きGS13秒「技有」。秋場が3回戦進出を決めた。

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梅津志悠が能智亜衣美から内股「技有」

【2回戦 第6試合】
梅津志悠(東京・三井住友海上)○優勢[技有・内股]△能智亜衣美(関東・了德寺大職)
梅津が右、能智が左組みのケンカ四つ。能智は階級が上の梅津に対して敢えて釣り手を上から抑える形で組み手を展開。得意の左小外刈を軸に試合の主導権を握り、1分53秒には相手が釣り手を持ち替えるタイミングに左小外刈を合わせて「有効」を得る。ここまでは完全に能智のペース。しかし続く展開、リードを許した梅津がギアを上げて前に出ると能智やや守勢に回ってしまい後退、梅津このチャンスを逃さずに右出足払、さらに返す刀で作用足をそのまま股中に差し入れ右体落へと繋ぐ。上体の作りは不十分であったが腿で腿を押し上げる形でインパクトが加わり、能智崩れ落ちるように畳に転がって2分28秒「技有」。試合の主導権は完全に入れ替わり、以後梅津は釣り手で距離を取ったままクロージングを図り、能智はこれを崩せないまま反対に3分8秒に自らの襟を隠したとして「指導」を失う。試合はそのまま終了となった。

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橋本朱未が池絵梨菜から上四方固「一本」

【2回戦 第7試合】
橋本朱未(東京・コマツ)○上四方固(4:01)△池絵梨菜(近畿・ミキハウス)
橋本が右、池が左組みのケンカ四つ。釣り手を下から突いて距離を取りながら担ぎ技を狙う池に、両襟で相手を寄せて固定したい橋本という構図で試合が進む。池は度々左背負投で深い位置まで侵入するが、橋本は大きく崩れながらも膝を着くに留めて凌ぎ続ける。2分0秒には橋本が左内股で池を大きく崩して展開をリセット、さらに続く組み手の攻防では反対に池の側に取り組まないことによる「指導」が与えられてしまう。試合時間は2分24秒、池としてはほとんど一方的に攻めながらもビハインドを負うという嫌な展開。3分24秒、池が左背負投を仕掛けると橋本これをかわして谷落を狙う。両者弾けるように離れて伏せるが、橋本すかさず上から被さり横方向に引き込み捲ると、上四方固で抑え込む。4分1秒に20秒を告げるブザーが鳴り「一本」。

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大辻瑛美が黒坂麻樹から大外落「有効」

【2回戦 第8試合】
大辻瑛美(関東・自衛隊体育学校)○優勢[有効・大外落]△黒坂麻樹(北信越・金沢学院大大学院1年)
右相四つ。大辻はこの試合も相手の袖を絞りながら組み際に片襟の技を仕掛けるヒットアンドアウェイ戦法を徹底。状況に合わせて左右の手を自在に使い分け、黒坂の釣り手を封じ続ける。55秒には釣り手で相手の釣り手を抑えたところから、これを切ろうと時計回りに下がる相手を追いつつ「釣り手で袖、引き手で襟」を持つ変則の片襟を完成。まず浅い右小内刈で相手の動きを止め、間髪入れずに片襟の右大外落に飛び込んで「有効」を得る。以降も大辻は同じ作りからの片襟技で攻め続けて試合を支配。2分16秒に黒坂に消極的の「指導」、2分44秒に大辻に相手の袖口を握ったことによる「指導」が与えられたが以降スコアは動かず、大辻の3回戦進出が決まった。

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冨田若春が吉岡優里を片襟の大内刈で叩き落として「有効」。

【2回戦 第9試合】
冨田若春(推薦・コマツ)○崩上四方固(1:44)△吉岡優里(北海道・旭川刑務所)
右相四つ。冨田は労せず引き手で袖を確保、吉岡が嫌って腰を切ると釣り手をクロスグリップに叩き入れ、引きずり潰してファーストコンタクトを終える。以降も一方的に持って攻め続け、支釣込足で伏せさせた1分8秒には吉岡に消極的の「指導」。続く展開、吉岡は横にずれて相手の釣り手を噛み殺そうとまず釣り手から持つが、これは悪手。冨田は引き手で袖、釣り手で片襟の最も得意な形を難なく作り上げ、片襟の右大外刈から刈り足を戻さず右大内刈に連絡。崩れて腹這いに伏せた吉岡を捲って1分20秒「有効」を得ると、そのまま崩上四方固で抑え込む。1分44秒、「一本」。

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角田夏実と玉置桃のアジア大会王者対決。厳しい組み手の駆け引きが続く。

【2回戦 第10試合】
玉置桃(推薦・三井住友海上)○GS反則[指導3](GS3:58)△角田夏実(推薦・了德寺大職)
玉置が右、角田が左組みのケンカ四つ。まずは32秒、先に釣り手を得た角田が引き手を持ちながらの左小内刈で先制攻撃。玉置を大きく崩し、伏せさせる。しかし後が続かず場が落ち着いてしまい、組み手の攻防が続いた1分12秒、両者に「取り組まない」咎による「指導」。以降は一貫して玉置のペース。組み際に片手からの担ぎ技を連発して主導権を握り、二本持って巴投を仕掛けたい角田に望む形を作らせない。3分47秒、角田に消極的試合姿勢による「指導2」が追加され、試合はGS延長戦へ。延長戦でも大枠の構図は変わらず、玉置が優勢。GS1分50秒には両袖から角田がこの試合初めての巴投を仕掛けるが間合いが遠く、十分に警戒していた玉置は立ったままこれをかわす。なかなか両手で組むことができない角田はリーチを生かした遠間からの足技で対抗するも決定打を欠き、試合がやや膠着したGS3分58秒、両者に消極的の「指導」が与えられて決着。玉置が軽量級モードで角田を完封、3回戦へと駒を進めた。

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児玉ひかるが崩袈裟固「一本」

【2回戦 第11試合】
児玉ひかる(東京・東海大2年)○崩袈裟固(2:00)△櫻井未稀(四国・新田高3年)
児玉が左、櫻井が右組みのケンカ四つ。体格に勝る児玉は釣り手を上から持ち、両襟で圧を掛けながら試合を進める。49秒には左大内刈で櫻井を大きく崩すが、これは腹這いでポイントにならず。1分30秒過ぎ、児玉は相手を場外際に追い詰めると、これを嫌って釣り手側に逃れようとした櫻井の動作をそのまま呼び込む作りに変換、左大外刈で捻り倒して1分19秒「有効」。投げ終わった段階で既に崩袈裟固の形が完成しており、2分0秒「一本」。

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佐藤果が福嶋千夏から大外刈「技有」

【2回戦 第12試合】
佐藤果(関東・淑徳大3年)○GS技有・大外刈(GS1:23)△福嶋千夏(九州・福岡県警察)
右相四つ。引き手で相手の釣り手を絞りながら組み際に片襟の技を狙う福嶋に、袖を絞られながらも圧を掛けて前進、クロスグリップの技を仕掛けながら機を探る佐藤という構図。福嶋が大枠意図通りに組み手を進めるが、体格差を生かして強引に前に出続ける佐藤の前に押し込まれる展開が続いてしまい、1分31秒に片襟、3分8秒に極端な防御姿勢で「指導2」までを失ってしまう。後のなくなった福嶋はこれ以降敢えて奥襟を掴み、横変形の位置にずれる形に戦法を変更。試合はそのままGS延長戦へともつれ込む。延長戦も本戦終盤と同様の試合展開。しかし時間経過とともに福嶋にやや手詰まり感が漂い始める。GS1分23秒、佐藤は引き手と前襟を得るとまず右内股、次いで同じ作りから前技フェイントの右大外刈に打って出る。十分な形ではなかったが、前技を想定して受けてしまった福嶋は初動の段階で腰が砕けてしまっており、佐藤がそのまま乗り上げるとグシャリと潰れて「技有」。

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稲森奈見が吉峰芙母絵を横四方固に抑え込む。

【2回戦 第13試合】
稲森奈見(東京・三井住友海上)○GS横四方固(GS2:34)△吉峰芙母絵(近畿・近畿大2年)
稲盛が右、吉峰が左組みのケンカ四つ。稲森が組み勝ってじっくりと技を狙い、その都度吉峰が体を捨てての左払腰で展開をリセットするという形で試合が進む。吉峰の技にポイントの予感は薄いものの思い切りの良さが奏功、稲森は度々折り重なる形で潰れてしまう。吉峰がこの作戦を徹底するため、稲森はほとんどの場面で組み勝っていながら全く自身の技に辿り着くことができない。2分12秒に稲森に消極的試合姿勢の「指導」が与えられて勝負はGS延長戦へ。延長戦でもこの構図は変わらず、組み勝っているはずの稲森だが形としては防戦一方。GS1分19秒には消極的試合姿勢で2つ目の「指導」を失い、ついに後がなくなってしまう。しかし、ここでようやくギアチェンジ。続く展開では足を飛ばしながら場外際まで追い込むと、これまで同様左払腰で伏せようとした吉峰を一度抱き止めて位置関係を調整。その上で潰して寝技を展開、「腰絞め」を狙いつつ脚で左腕を挟んで時計回りに捲り、横四方固で抑え込む。左腕をロックされた吉峰はもはや抵抗叶わずGS2分34秒「一本」。

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寺田宇多菜が鈴木伊織から内股「技有」

【2回戦 第14試合】
寺田宇多菜(関東・桐蔭横浜大4年)○GS技有・内股(GS3:55)△鈴木伊織(中国・日本エースサポート)
寺田が左、鈴木が右組みのケンカ四つ。両袖を絞った形から得意の右袖釣込腰を狙う鈴木と、奥襟と袖を得た形で間合いを詰めての一発を期する寺田という構図。欲しい形が噛み合わないためにどちらもなかなか十分になれず、寺田が釣り手を得ると鈴木が掛け潰れてリセット、鈴木の強引な担ぎ技は寺田が体の強さで弾き返すという形で試合が進む。2分7秒に鈴木に襟を隠したことによる「指導」が与えられたのみで本戦は終了、勝負はGS延長戦へ。大枠の構図は変わらずも、体の力と組み手の巧さで勝る寺田が二本を得て攻める展開が増える。GS3分55秒、寺田が引き手で袖、釣り手で襟の高い位置を持つ十分な形を作ると、嫌った鈴木が両袖の右大内刈、次いで右袖釣込腰と低い技を繋いで展開を切りにかかる。しかし寺田は二本持ったままこれを受けきり、伏せようとする鈴木を引きずり起こして左内股に飛び込む。立ち上がった直後の鈴木は腰を引いており体勢不十分、堪らず吹っ飛び「技有」。

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髙橋瑠璃と井上舞子の一番。相四つ横変形での攻防が続く。

【2回戦 第15試合】
髙橋瑠璃(関東・山梨学院大2年)○GS反則[指導3](GS5:13)△井上舞子(東京・警視庁)
左相四つ。井上は右構えから引き手で襟を突いて組み手を展開。対する髙橋は先に釣り手から持って横にずれ、相手の釣り手を噛み殺す形を徹底する。この形から横にずれ合う横変形が続いあた結果、試合は膠着。決定打がないまま足を飛ばし合う状況が続き、1分48秒に両者に消極的試合姿勢の「指導」が与えられたのみで本戦は終了。試合はGS延長戦に突入する。延長戦でもこの構図は継続。GS35秒には再び両者に消極的試合姿勢の「指導2」が与えられる。スコア上後がなくなってしまったが、しかし以降も状況は変わらない。GS5分13秒、髙橋が左大内刈で井上を伏せさせたところで井上に消極的の「指導3」が与えられ、試合は決着となった。

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78kg級の梅木真美、52kg級の志々目愛。ふたりの世界王者による豪華対決。

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梅木が「横三角」から抑え込みを狙う。

【2回戦 第16試合】
梅木真美(推薦・ALSOK)○横四方固(3:33)△志々目愛(推薦・了德寺大職)
注目の世界王者対決は左相四つ。体格で劣る志々目は左右に動きながら足を飛ばし、梅木の釣り手を抑えにかかる。これに対して梅木はまず引き手で襟を得て橋頭堡を確保、釣り手を絞らせたままクロスグリップに差し入れ、頭をくぐらせて「両襟奥」の形での固定を目指す。志々目は動き・反応ともに冴えており梅木になかなか十分な形を作らせないが、一度持たれてしまうと剥がすことは難しく、引き落とされて「横三角」で攻められてしまう。2分32秒には志々目に片襟の「指導」。続く展開、梅木が再び肩越しから相手の頭をくぐらせる形で奥襟を得ると、志々目思い切って奥襟を叩き返して左大内刈に飛び込む。相手の懐深くまで入り込む良い技だったが、梅木の体の力の前に抱き返されて潰されてしまい万事休す。梅木は立ったまま相手の脇に足を差し入れ「横三角」。今度は捲り切って横四方固で抑え込み、3分33秒「一本」。

<→③三回戦に続く>

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