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令和2年全日本柔道選手権感想戦「令和最初の『全日本』を振り返る」④準々決勝~決勝

(2021年2月27日)

※ eJudoメルマガ版2月27日掲載記事より転載・編集しています。
令和2年全日本柔道選手権感想戦「令和最初の『全日本』を振り返る」④準々決勝~決勝
3回戦から続く>
→全試合結果
参加者:朝飛大(朝飛道場館長)、上水研一朗(東海大学男子柔道部監督)、西森大(NHK松山拠点放送局・報道番組プロデューサー)
司会:古田英毅(eJudo編集長)

※座談会は1月6日にオンラインで実施されました

■ 準々決勝
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GS延長戦、釣り手を制して優位に立つ石内裕貴がタイミングよく出足払。小林悠輔は身を翻してなんとかポイントを回避。

【準々決勝 第1試合】
石内裕貴(九州・旭化成)○GS反則[指導3](GS2:36)△小林悠輔(東京・旭化成)
石内が右、小林が左組みのケンカ四つ。石内が上から、小林が下から釣り手を持っての引き手争いが続く。釣り手は一貫して石内有利、小林は低い位置でしか襟を握れない。石内は腰を切りながら強気に前に出、引き手を求め続ける。1分には足車の作用足が股中に当たる形での右内股、いったん受けた小林は左内股の形でなんとか引き手を切って態勢を整える。しかし続く引き手争いのさなか、嫌った小林が引き手を切って体を開くと石内は瞬間釣り手の肘を畳んで引き落としに出、力をまともに受けた小林は四つん這い。これを受けた1分21秒小林のみに片手の「指導」。組み手争いで不利が続く小林は一転抱き勝負に飛び込むも、石内はあっさり離れて動ぜず。石内の釣り手操作は自在。伸ばし、寄せ、肘を入れて畳み、と細かく小林を揺さぶり続け、小林は低い位置での釣り手操作に甘んじる形が続く。小林両襟を持つが石内が応じて引き手で袖を持つと嫌って切り離し、直後の2分16秒双方に片手の「指導」。石内組んでは寄せ、小林は出足払で対抗もやはり釣り手を上げられず苦しい進退が続く。3分に小林が右一本背負投も、石内はこれぞチャンスとばかりに引き手で袖を確保。小林慌てて片手の左袖釣込腰で思い切り離れて潰れる。石内が握り続けてついてきてくれた恰好で偽装攻撃にはならなかったが、やはりなかなか状況が打開出来ない。このまま本戦が終了、試合はGS延長戦へ。延長も組み手争いは石内が優位、小林下から体を当てていくが、肝心の組み手が芯を食えず、釣り手も引き手も手先が滑る印象。掴みどころが定まらない。GS37秒、小林が大内刈から一瞬両手を離したところに石内がタイミング良く右出足払。小林大きく崩れるもなんとか反転、石内は肘を引き寄せて捲り返そうとするがポイントには至らず「待て」。GS1分21秒、小林が右へ「韓国背負い」に飛び込むも不発。以降も石内が釣り手を上から潰し、石内が下から体でかちあげるように対抗する形で攻防が続く。一貫して石内優位のまま時間が流れ、GS2分36秒、双方に片手の咎で「指導」。小林が失った「指導」はこれで3つとなり、ついに勝敗が決した。


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ケンカ四つの釣り手争い、主導権は一貫して石内。小林の釣り手は低い位置に留まる。

古田 準々決勝のオープニングゲームは石内裕貴選手対小林悠輔選手。石内選手がGS延長戦の「指導3」で勝利しました。最後は両者に片手の「指導」が与えられての決着でした。

西森 小林選手が3回戦の熊代選手との試合で少々疲れていましたよね。さらに石内選手は釣り手の動きがすごく良くてアグレッシブ、組み手巧者の小林選手に対しても優位に試合を進めていた印象です。

古田 最初に小林選手だけに「指導」が与えられて、これがこの後どう影響するのか、と思っていたらば、その後の「指導」は2回とも両者へのもの。結果としては1つ目の反則裁定が非常に大きく響きました。

上水 手の内を知っている同士の戦いでしたね。そして小林選手の方が消耗が激しかったというのも否めないと思います。試合数としても、ここまで五十嵐選手、中野選手、熊代選手と計3試合を戦って来ていますよね。一方の石内選手は山本選手、藤原選手と、2試合。この1試合ぶんの消耗の差というのは非常に大きかったかなと思います。あとは石内選手が小林選手のうるさい組み手を完封していましたよね。さすがの小林選手もこうなると攻め手がなかったというか、最初に貰ってしまった「指導1」を取り返すだけのものがなかなか作れなかったということだと思います。

古田 石内選手は「指導」1つのアドバンテージを十分呑み込んで戦ったということですかね。

上水 はい。賢い戦いをしたと思います。

古田 ありがとうございます。朝飛先生はいかがでしょうか。

朝飛 全く一緒で、さきほど古田さんが仰ったことが最大の要因だと思います。最初に「指導1」のリードを貰ったことによって、石内選手が手堅く試合を運んだ。その後両者への反則で「指導1」対「指導2」になりましたよね。そうなってからは釣り手の攻防が、さらに石内選手有利に傾きました。石内選手が上から持って肘を振る。そうすると小林選手は手を離して上から持ち直そうとするんですけど、「指導2」を貰っている状況だと手を離すのが怖くなってくるので、余計に石内選手の釣り手が効いているように見えるんですよね。決して気持ちが切れたというわけではないと思うのですが、2つ目の「指導」以降は小林選手の左手の動きが悪くなっているように見えてしました。石内選手が「指導」1つの差を上手く利用したなと思います。最初の反則の大切さがわかった試合でしたね。

西森 石内選手は釣り手を「出し投げ」みたいに使うのが上手いんですよね。これで相手を崩すのもそうだし、そのまま引き手を取ったらすぐに足車の形になるんですよね。ケンカ四つで相手を前に出すのが上手いですね。

古田 足車で狙うべき、相手の遠い足が出てくる形ですね。

西森 そうです。

朝飛 手首を立てたまま前に振るんですよね。肘を無理矢理に入れるという感じではなく。

古田 あの動きに名前が欲しいですよね。私は長いこと「出し投げ崩し」と書いていますけど。…朝飛先生の、「指導2」になったことで小林選手の組み手の手段がかなり封じられてしまったとの指摘、納得です。小林選手が繰り出す組み手のバリエーションがどんどんなくなっていったというのは現場で見ていた肌感覚に合います。…手の内を知っている者同士の試合にあっては、最初の「指導」が非常に大きく働いた、それが端的に表れたのは釣り手の攻防だった、そして前の試合で11分戦っている小林選手の消耗が非常に大きかった、という皆さんの見立てでした。

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GS延長戦、羽賀龍之介が後藤龍真を反時計回りに捩じり、浮落「一本」

【準々決勝 第2試合】
羽賀龍之介(推薦・旭化成)○GS浮落(GS3:43)△後藤龍真(東京・東海大4年)
東海大の先輩後輩対決は両者左組みの相四つ。後藤が足を飛ばしながら前へ出、二本持った羽賀をその形のまま場外に押し出すところから試合がスタート。勢いのある後藤は釣り手を上げて左出足払、羽賀は釣り手を肩越しに入れながら左大内刈を見せるが後藤はこのクロス組み手に合わせて低く胴を抱いて突進、たたらを踏んだ羽賀は場外に出ながら内股で流れを切る。序盤戦は後藤の健闘が光る印象。1分過ぎから羽賀が態勢を立て直し、横変形から肘を上げて左内股から左小内刈の素早い連携。しかし後藤はこれに出足払を合わせて崩し、あくまで退かず。羽賀は一足の左内股、さらに奥襟をがっぷり得るが、場外を気にして回り込んだところに後藤が支釣込足を鋭く合わせて「待て」。ここで主審が試合を止め、2分5秒消極的との咎で両者に「指導」を宣告。両選手ともに攻め合い始めた間合いだけにやや唐突な印象の判定。続く展開は羽賀がまず引き手で襟を抑えるところから組み手を開始、大枠優位に試合を引っ張るが後藤はフリーになった釣り手を上手く使って横にずれて対抗。羽賀が釣り手を内側から回して奥襟を狙うと瞬間首をずらして懐に入り込み、左大内刈を見せる。終盤はがっぷり組み合っての攻防。いったん奥襟を得た羽賀がこれをクロスに入れると、後藤はまたもや前に詰めて抱きつき、あくまで陣地を下げない。試合はこのままGS延長戦へともつれ込む。後藤は足を飛ばしながら前へ。組み手の主導権は一貫して羽賀の側にあるが、後藤は粘る。場外に押し出されながらも鋭い支釣込足を放ち、さらに羽賀の内股を読んで一瞬早く前に詰めてその力を無力化、あくまで畳に踏みとどまってチャンスを狙う。しかしGS1分8秒、羽賀が奥襟を得て前に出るとたまらず畳を割って場外の「指導2」失陥。勝利まで「指導」あと1つと迫った羽賀はここで加速。後藤が繰り出す膝車、大内刈、内股の連続技をしっかり止めると左小内刈で蹴り崩し、背の低くなった後藤に上から圧力。後藤がたまらず膝を着くと、腹のあたりに膝を押し当ててにじり寄り、屈させたまま場外まで押し出す。続く展開は必死で前に出る後藤を引き落とし潰して「待て」、続いて支釣込足で蹴り潰して「待て」、さらに完璧な組み手から引きずり潰して「待て」。これで連続4回羽賀の技で後藤が潰れたことになるが、不可解にも主審は動かず静観。どころか、続く展開でも理解しかねる判定。組み負けた後藤が頭を下げたまま目を瞑る勢いで突進、これを羽賀が組み勝ったまま横に捌きながらはたき込んで潰したところ、意外にも羽賀の側に場外の「指導2」を宣告する。この時点で試合時間はGS2分5秒。息を吹き返した後藤は足を飛ばしながら前へ。しかし奥襟を叩いた羽賀はいったん左に腰を切って時計回りに揺すると、右で腋を差し、左で奥襟を掴んで反時計回りの浮落。右内股の形でいったん蹴り上げ、後藤が片足になると左の抱き込みを深めながらグイと捩じり投げる。後藤畳に埋まって文句なしの「一本」。ここに勝敗ようやく決した。


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後藤は先輩羽賀を相手に健闘。写真はクロス組み手に対して胴を抱き、先んじて間合いを詰める。

古田 羽賀龍之介選手対後藤龍真選手の試合、GS3分43秒に羽賀選手が浮落「一本」で勝利しました。これは上水先生には最後にお話し頂くことにして、まずは西森さんからお願いします。

西森 そうですね。羽賀選手の「指導3」狙いの時間帯が長かったのですが、なかなか反則を取ってくれないので最後は意を決して投げに行きました。技は、いわゆる「藤田スペシャル」でしたね。しかし、後藤選手は西山選手と戦って勝って、さらに羽賀選手とこれだけの接戦を繰り広げたわけです。同階級のレジェンドというか、大先輩とこれだけ戦ってやり切ったというのは良い経験だったと思いますね。そういう意味で100kg級の「系譜を繋ぐ」2試合だったと思います。

古田 系譜を繋ぐ直接対決、いいですね。内容としても「指導2」対「指導2」まで競りましたし、確かにこの後の後藤選手を後世から照射するときに、非常に大きい全日本だったということになるのかも知れません。朝飛先生いかがでしょうか。

朝飛 先程上水先生が少し仰っていましたが、影浦選手との試合が終わった後ということで、羽賀のメンタルの緩みをかなり心配していました。後藤選手の力がついているというのもわかっていましたし、特に私は後藤選手の「足払い」の上手さを気にしていました。内股の入り際とかにパーンと合う機会があるのではないかと心配していたんですね。しかしやはり今回の羽賀は我慢が出来ていたというか、そういう部分もしっかりとわかって試合を組み立てたのだなと思いました。

古田 最後の最後は両足を着けての投げでしたからね。片足になるような、「足払い」をまともに食うようなリスクのない技だという見方も出来ます。

朝飛 はい。最後は意を決して投げに行ったわけですが、あれでも、無理をしていない技だと思います。

古田 では最後に上水先生お願いします。

上水 私はもっと後藤が呑まれると思っていたんです。ですから、試合があそこまでもつれるというのは正直意外でした。ただ、朝飛先生が仰った通り、羽賀は影浦に勝ってホッとすることもなく、後藤に対しても冷静に勝ちに徹していましたね。手堅く「指導3」で勝てればそれで良いというのもあったでしょうし、最後は「指導」が並んだので投げに行ったという形ですね。少々意外だったのは、決着が着いた後に羽賀が控室で少しホッとした顔をしていたことですね。影浦との試合よりも、むしろこの時のほうがホッとしている顔でした。羽賀も意外と後藤のことを認めていたのだな、と思いましたし、それだけ後藤が力をつけていたのかなという印象を持ちました。実際に、羽賀が相四つで組み勝ったときに、普段の練習であれば内股で持っていかれたような場面でも、後藤が受けられていたんですよね。今回は羽賀の左技を受け切っていた。そういったところで、意外と「後藤、結構やるな」と感じたのかもしれませんね。後藤の方もこれまでだいぶ羽賀に面倒を見てもらっていますから(笑)、思うところがあったのでしょう。とはいえ、羽賀にとっては、自分を良く知る相手が続く組み合わせで、この試合も1つの関門でした。それをしっかり、それも最後は投げるという勝ち方でクリアしましたから、大したものです。キーワードは「我慢」ですね。我慢して勝ちに徹する。今回はそれが際立っていました。苦しいところはあったと思うのですけど、それでも勝ち切ったところが彼の恐ろしさだなと思いますね。

古田 安易に勝ちに行かずに、状況が整うまでリスクなく待ったという形ですね。

上水 そうです。

古田 ありがとうございます。あとは後藤選手。この1年間学生カテゴリは試合がありませんでしたけど、本来であれば後藤選手は序列を大きく上げた年になったはずだと思います。最後の最後の全日本で後藤選手がその、失われた1年間に見合うだけの成績を残したのではないかと思いました。

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佐々木健志が王子谷剛志から左一本背負投「技有」。

【準々決勝 第3試合】
佐々木健志(東京・ALSOK)○優勢[技有・一本背負投]△王子谷剛志(東京・旭化成)
身長172センチ体重81キロの佐々木、同187センチ145キロの王子谷ともに右組みの相四つ。試合が始まるなりの組み際、ゆったり右を差しだした佐々木襟を得るなり急加速して左小内巻込一撃。腕を抱えたまま相手もろとも縦回転で転がし「技有」、開始からわずか8秒の早業。「待て」が掛かったところで技の効果は「有効」に訂正されたが、佐々木の勢いは止まらない。戸惑う王子谷をよそにまず両襟を掴み、王子谷が上から釣り手を降らせるとこれをかわして釣り手一本を掴んだままいったん体を開く。そのまま打点高く、思い切った左一本背負投。高く担ぎ、走りながら崩して体側から投げ落とす豪快極まりない一撃は見事決まって40秒「技有」。王子谷はなす術なし、再開後佐々木が両襟を掴むと思わず後ろ重心の構えとなって戸惑いが見て取れる。佐々木は釣り手一本の左一本背負投、さらに寝技に引き込んでローリング、次いで組み際の右一本背負投から思い切った巴投と暴れまくる。王子谷奥襟を叩くが佐々木は巴投で外し、すぐさま立ち上がって左一本背負投。これは走り切れずに潰れたが直後の2分59秒には王子谷に消極的との咎で「指導」。残り時間1分を切っても詰め切れない王子谷は苦戦。王子谷が釣り手を奥襟に振らせると佐々木はかわすなり左一本背負投。しかしここで王子谷は引かずに潰し、釣り手で後帯をがっちり得る。ようやく訪れたチャンスであったが、しかし佐々木すぐさま正対して引き込んで大過なし。残り30秒、さきほどの展開に手ごたえを得た王子谷は引き手を深く掴み、釣り手をクロスに後帯を掴んで引込返。軽量級泣かせの固定の効いた技、前戦で石原隆佑を投げている王子谷得意の捨身技であったが、佐々木はあっさり捌いて逆に寝技を展開。背中を取り、ローリングを仕掛けてあわやこのまま回すのではと思われたところで「待て」。この時残り時間は僅か1秒。試合はそのまま終了となり、佐々木のベスト4入りが決まった。


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佐々木の初弾は左小内巻込「有効」。試合が始まるなりの強烈な一撃であっという間にペースを掴んだ。

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体重145キロの王子谷を立って担ぐ佐々木。一瞬王子谷の両足が宙に持ち上がる。

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立て続けに2発食らった王子谷は思わず後ろ重心。持ち前の前進圧力が鳴りを潜める。

古田 そして王子谷剛志選手対佐々木健志選手の試合です。これも今大会のハイライトですね。朝飛先生からお願いします。

朝飛 まずさっき言った「狂気」ではないですけど、ファーストコンタクトでいきなり小内巻込に入りましたよね。

古田 記録は判定が出た後の開始9秒ですけど、実際には5秒くらいで投げていますよね。物凄い幕開けでした。

朝飛 もうなんというか怖さがないのだなと思いましたね。一本背負投で投げたのも前半、すぐに投げに行っていますよね。

古田 開始40秒くらいです。

朝飛 そのあとの技も、全部「一本」を取りに行っていますよね。佐々木選手は、自分が初出場で81kg級の選手、一方相手の王子谷選手は重量級の選手で優勝経験者、そういう構図が頭の中にまったくないですよね。もう自分の柔道をして勝つというだけ。本当にこの選手は怖いなと思った一瞬でした。私の中で羽賀との対戦が見え始めたというのもあるかもしれないのですが、今日の佐々木選手は怖い、これは1つ2つ先の展開まで見ておかなければいけないなと思いました。

古田 怖い。わかります。底が抜けている深淵というか、果てのない深さのものをふと覗いてしまったような恐怖を感じました。では、上水先生いかがでしょう。

上水 私、1発目の小内巻込は、前の試合が終わって階段を降りてくる最中で、リアルタイムでは見られなかったんですよ。一本背負投に関しては自信を持って入っているなと感じました。これが勢いだなと。王子谷は、小内巻込で出鼻を挫かれて、さらに一本背負投で投げられて、もう前に出られなくなってしまったんですよね。完全に及び腰になってしまった。本来佐々木選手にとって一番嫌なのは王子谷が胸を合わせてガツガツ来ることのはずですが、それをこの2発で完全に封じてしまった。佐々木選手の勢いの凄まじさですよね。朝飛先生が仰ったように、その後も守らず取りに行くことで、ある種王子谷が何もできない状況になって、言い方は悪いですがサンドバッグ状態になってしまったんですよね。行くときにはこちらも行くよという形で王子谷が過剰反応してしまって、これで逆に手も足も出なかったというイメージでした。王子谷自身が、的を絞れなくなってしまった。それだけ佐々木選手が試合全体を呑み込んでいた。ここの時点を以て、箱根駅伝で言う「山の神」ではないですが、古田さんの言葉で言うところの「全日本男」誕生じゃないですかね。

古田 ありがとうございます。旨みたっぷりの解説でした。それでは最後に西森さんお願いします。

西森 とにかく先制パンチ2つですよね。小内巻込と一本背負投。何より緩急が素晴らしくて、王子谷選手の動きに応じてゆったりと組み合うと思った瞬間にパーンと中に入って、またすぐさま起き上がって次に備える。あとはやっぱり、上水先生ご指摘のようにこの先制パンチ2つで王子谷選手が自分の柔道を見失ってしまったことですよね。これまでの佐々木選手のイメージは所謂「自爆」も多かったですし、得意の横車に代表されるように後の先の技、相手の技を受けての技が多かったのですが、今回は、とにかく先手を取って自分のペースで攻めることが、この試合までは完璧にできていました。そこが今年の佐々木選手の一番大きな変化なのかなという気がしました。そして、日本人が持っている柔道のイメージというのはこういうものだと思うのですよね。大きい男を牛若丸のように手玉に取るという。そういう意味でも痛快な試合でした。

古田 全日本選手権が変わろうとしている年に、全日本選手権は本当に面白いんだよ、と思わせてくれる選手が出てきてくれた、と捉えられるかもしれませんね。そして、西森さんが仰ったモードの変化は面白いですね。先手必勝。きちんと、小さい選手が大きい選手と戦う柔道をしていたということになるわけですね。ありがとうございます。本当に面白い試合でした。

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太田彪雅(右)と田中源大による第4試合。太田が巧みな組み手を見せる。

【準々決勝 第4試合】
太田彪雅(東京・旭化成)○GS反則[指導3](GS1:01)△田中源大(近畿・日本製鉄)
太田が右、田中が左組みのケンカ四つ。太田が下から、田中が上から釣り手を持っての引き手争いから試合がスタート。田中得意の足技から引き手を持つが、太田はすぐさま切り離して巧みな釣り手操作。肘を上げて相手を突き、手首の位置を上げ、優位を作ると今度は前に出て引き手を求める。田中が浅く左体落を放ったところで試合が止まり、1分16秒双方に消極的との咎で「指導」。太田引き手を求めてなおも前進、このあたりから引き手で袖の外側を一方的に得る場面が増え始める。残り2分を過ぎたところからはさらに加速、一瞬で引き手を得ると釣り手巧みに体を寄せながら右内股、さらに右大内刈、右内股と技がまとまり始める。押され気味の田中一計を案じていきなり奥襟を叩かんとするも、太田あっさり外して攻防継続。その後は釣り手の優位をテコに先に引き手を得て前ににじり寄る太田、不十分ながらも足を打ち返す田中という構図で試合が進み、3分27秒、主審試合を止めて田中のみに片手の咎による「指導」を宣告。残り時間僅か、田中が肩車を見せるも太田は動ぜず試合はGS延長戦へ。組み手争いは釣り手、引き手とも太田が優位を確保。田中片手の技で凌ぐが太田は淡々と前進を続け、引き手を求め、そして得続ける。GS1分1秒には主審が試合を止めて田中に片手の咎で3つ目の「指導」。ここで太田の準決勝進出が決まった。


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田中の攻撃に対し、太田は膝を低く落として対応。これが田中得意の出足払を封じ、ひいては体落までを封じたという見立てが語られた。

古田 ここまで絶好調の田中選手を太田選手が封じて、GS延長戦「指導3」で勝った試合です。西森さんいかがでしょうか。

西森 田中選手は典型的な重量級なんですけど、太田選手はそこに組み手と戦術の上手さが加わって、より新しいタイプの重量級という感じですよね。ここに面白さを感じました。田中選手にも勢いがありましたのでどうなるかと思った一番ですが、ある意味完全に封じられた形でした。田中選手の良さが、太田選手の巧さに封じられてしまった印象です。特に引き手をパッと取ってしまう、あの巧さは印象的でした。

古田 ありがとうございます。では朝飛先生お願いします。

朝飛 太田選手。すべての場面で言える事ですが相手が内股を出して来たら透かすとか返すとか、「足払い」が上手いと、膝を落として受けるように見えます。ですので、相手が内股や足技が上手い人であっても技を食わないのではないかと見えました。こういう受け方をしていると、田中選手の出足払が怖くないのではないかと思います。引き手の取り方や上からの圧の掛け方が上手いのも勿論ですが、それ以上にこの受け方ですね。非常に安定していたように見えました。

古田 腰や足を抜いたりしての変化ではなく、膝を落として受けていたのがポイントと。

朝飛 そうです。

古田 ありがとうございます。では、最後にまとめで上水先生お願いします。

上水 はい。太田は田中選手とは、講道館杯など過去に何度か対戦があります。ですから、田中選手を投げるのは困難だというのは十分頭に入っていたと思うんです。となるとやっぱり戦術としては、いかにして田中選手に先に「指導」を与えていくかということになる。それを十分頭に入れた戦い方だったなと思います。朝飛先生が的確に仰っていたように、ケンカ四つの「足払い」を食わない立ち位置を必ず確保して、そして自分が引き手を取って先に攻撃を仕掛けていくということですね。田中選手は出足払が効かないと体落との連動ができなくなるので、結局は両方を封じ込めるような形になるんです。それで、引き手を先に取る。そうすると田中選手はそれを嫌がるので審判から見ると、取り組んでいないという「反則」がそちらに行く。現代のルールをよく理解した戦い方に徹したなと思います。全日本というのは後になればなるほどきついですから、その部分も想定した戦い方をしましたね。組み合ってからの勝負では田中君は強いですから、無茶攻めをしないで、田中選手という相手の特性を頭に入れて、省エネではないですけど、効率よく勝つことに舵を切った戦い方だったと思います。核になったのは「足払い」を食わない立ち位置と受け方。そこには十分注意を払っていたのではないかなと思います。そして、この試合に関しては、私は何も言っていないです。彼が自分の中で組み立てた作戦だと思います。

古田 実に面白いです。田中選手の生命線は組んでの強さと、出足払と体落の連動。朝飛先生と上水先生のお話ですと、「受け方」自体で生命線であるその2つをともに殺すことになっていたと。見た目以上に思考量の投下された試合であったことがよくわかりました。

■ 準決勝
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羽賀龍之介が石内裕貴から腕挫十字固「一本」

【準決勝 第1試合】
羽賀龍之介(推薦・旭化成)○腕挫十字固(2:37)△石内裕貴(九州・旭化成)
石内が右、羽賀が左組みのケンカ四つ。羽賀が上から釣り手を持っての引き手争いで試合がスタート。下から持つ形を強いられた石内は釣り手の手首を上げようとするが、羽賀はその拳の上に顎を載せて巧みに封じる。45秒双方に片手の咎による「指導」。続く展開、石内は上から釣り手を持つが、羽賀すぐさまその上に釣り手を載せ返して肘を入れ、結果再び石内は下から持っての対応を強いられることとなる。石内片手の右小内刈で対抗、引き手を得ると釣り手をこじ上げようとするが、羽賀はそのタイミングに合わせて左内股を放って自身のチャンスに変換。続いて石内組み際に出足払を打ちこむも羽賀は動ぜず、再び釣り手で優位を作っては引き手を求め続ける。互いに体を相手に預けての押し合いを経て石内が両襟を持つと、羽賀がすぐさま左内股を放って展開が切れる。主審はここで試合を止め、2分8秒消極的との咎で石内に2つめの「指導」。これを受けた釣り手の主導権争いのさなか、奮起した石内は下から持った釣り手を突き上げながら片手の右内股を仕掛ける。しかし羽賀は外側に体を捌き、伸びた石内の釣り手を跨いで挟むなり素早く腕挫十字固。崩れて膝を着いていた石内、体を伸ばされて腹ばいとなると観念して「参った」。跨いでから極まるまでがまさに一瞬、唐突に試合が終わったという印象の「一本」であった。


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羽賀が上から、石内が下から釣り手を持っての掛け引き。羽賀がここでまず優位を得た。

古田 準決勝第1試合、羽賀龍之介選手対石内裕貴選手の試合です。羽賀選手が腕挫十字固「一本」で勝利しました。さきほどの試合に続いて、上水先生からお願いします。

上水 これは羽賀に一日の長があったというか、巧かったですね。石内選手の組み手を逆に封じ込めた。ケンカ四つの羽賀の釣り手の使い方のポイントは顎なんです。顎がいつも相手の釣り手の嫌なところを抑えているんですね。上から持っても相手の手に顎を乗せて抑えてしまう、相手としては釣り手を動かそうとしても顎が乗っているので労力が掛かる、力を消費してしまう。そして、そのとき羽賀はある意味休んでいるんですよね。このやり方のお手本みたいな試合だったと思いました。そして石内選手が持ち替えたらそこをパパっと動かして「大内・小内」に行ったりして、内股に繋げようとする。最後ももつれ際に石内選手の釣り手が伸び切って潰れたところに腕挫十字固ですよね。石内選手が釣り手を上げることだけに集中したところ、そして腕が伸び切ったところに理想的な取り方をしたわけですね。あれを「狙っていた」とまでは言いませんが、必然的にそうなる展開だったかなと思います。そこに関しては影浦、後藤と相四つとの試合を終えた後で、少し羽賀の得意なケンカ四つだということもあって、相手が良く見えていたなというような戦い方でした。先を見据えていたというか、自身も「風が吹いている」ことを完全に意識しているのだろうと感じましたね。

古田 ありがとうございます。では次に西森さんお願いします。

西森 釣り手の使い方の上手い選手同士の対決だったのですが、まさに羽賀選手に一日の長があったと感じました。石内選手は上からも持てるのですけど、羽賀選手相手に上からだと好き勝手にされてしまうので、下から持ちに行くんですよね。そうなったときに、上水先生が仰ったように羽賀選手は体重を乗せて潰すのが凄く上手い。腕から顎や胸辺りまでを一体化させて体重を乗せて、クッと、自分の力をあまり使わないまま相手の釣り手を殺してしまう。ケンカ四つでのその体重の載せ方、体の使い方が抜群に上手いなと思いました。そうすると、石内選手がその釣り手をなんとか動かして上げようとして、そのことだけで目いっぱいになってしまっているという、そういう試合でしたね。本当に力ではなくて老練な技術というか、「お休みタイム」みたいな時間帯がありました。羽賀選手があれだけ何試合もやって余力を残せるというのは、こういう、相手を殺しながら休んでいる時間があるからだろうなと思いました。

古田 己の労力に比して相手に大きなダメージを与えている時間がかなりあるということですね。なるほど。朝飛先生お願いします。

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羽賀は冷静、跨ぎながら余裕を持って腕を持ち替えた。

朝飛 私は前の試合まで石内選手の釣り手の上手さを見ていて、羽賀がどこまで抑えられるのか少々心配もあったのですが、試合が始まったら意外に余裕があるというか、あれ?と思いました。こんなに釣り手を支配できるのだなと。ただ、先に石内選手の方に「指導」が1つ入ったことは大きかったと思います。だからこそ石内選手も無理してああいう風に(内股に)入ってきたのだろうなと思いました。そして、あの後も映像で何度か関節を取る瞬間を見返しているんですけど、羽賀はきちんと見た上で跨いでいるんですよね。ここで落ちて、ここに手があるということで、跨いでいるときに手も持ち替えている。凄く余裕があったのだなと。全体を通して相手が良く見えていたのだなとわかりました。

古田 ありがとうございます。ここまで上水先生が何度も「風が吹く」という言葉をおっしゃられていますが、私達もここまで見て羽賀選手と佐々木選手を比べ、羽賀選手のほうが長い時間の試合をしているということにハンデを感じていました。その中でこの大事な準決勝が短い時間で終わったことには、「風」を感じましたよね。これは「あるかもしれない」、「来ているな」と感じた試合でした。

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太田彪雅が左袖釣込腰、引きずり込まれた佐々木は頭から畳に突き刺さる。

【準決勝 第2試合】
太田彪雅(東京・旭化成)○崩上四方固(0:49)△佐々木健志(東京・ALSOK)
ともに右組みの相四つ。手先の組み手争い一合を経ていったん両者が離れ、再度体を寄せての持ち合い。ここからパッと佐々木が離れると、一方的に引き手で袖を握っているのは太田。佐々木これを切ろうとするが太田はその動きに合わせて前に出、素早く釣り手で奥襟を確保。佐々木この釣り手は絞り落として切り離したものの、どうしても引き手が切れない。太田は釣り手を今度は前襟に入れて腰を切りながら前進。佐々木は引き手を切ろうと内、外と振るがやはり太田の手は離れない。そして佐々木が再び内へと戻そうとした瞬間、この動きに合わせて太田が左袖釣込腰に沈み込む。いったん膝を着き、大きく伸ばして決めにかかると初動で深く引きずり込まれた佐々木は頭から畳に落下。天倒を支点に一回転、膝から落ちてポイントは回避したもののこの際どうやら首を負傷した様子。太田が両袖を掴んだまま体を入れて捲り返すと佐々木は無抵抗のまま仰向け。崩上四方固の形となり、「抑え込み」宣告から5秒が経過したところで「参った」。「一本」で太田の決勝進出が決まった。僅か49秒という意外な早期決着であった。


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首を負傷したか佐々木は無抵抗、太田の崩上四方固を受け入れ「参った」。

古田 続いて準決勝第2試合、太田彪雅選手対佐々木健志選手です。太田選手が49秒の崩上四方固「一本」。意外にも、1分掛からず試合が終わりました。先程勝負は残酷だという話も出ましたが、非常に、全日本の厳しさを感じた試合です。上水先生からいかがでしょうか。

上水 私は佐々木選手の勢いを非常に警戒していたのですけど、太田がそれ以上に自信を持っている感じだったですね。佐々木選手の強い部分と弱い部分、それがよく見えていた。思っていたよりも落ち着いていましたし、相手の動きがよく見えていました。やはり一度、(全日本学生)優勝大会の代表戦で戦って勝利しているという経験が大きかった。これが初対戦だったらちょっとわからなかったなと思います。1回組んでいる経験があったことも大きかったですし、また、あのときは異常な状況の代表戦、団体戦の日本一を決める大一番で、しかも筑波大が追い上げている展開で、向こうのほうが明らかに勢いがあった。太田にはそれを乗り越えて勝ったという自信があったと思います。あの袖釣込腰も図っていたものだと思います。オーソドックスに内股や大外刈に行くのかなと思っていたのですけど、敢えてあの技で仕留めに行ったというのは、ある程度最初から自信があって、企んで掛けたのでしょうね。

朝飛 あの優勝大会の代表戦のときもそうだったのですが、相四つで太田選手が引き手を取ると、佐々木選手が切れない、そして動きが止まるということを、もうわかっていたかのような試合の進め方でした。バチッと動きを止めて、それでも取りに来るところを袖釣込腰に入って、その瞬間にはもう佐々木選手の体が乗っかっていますからね。どちらのほうが軽い選手なのか、もうわからないくらいの綺麗な入り方をしていました。ここを押さえれば絶対に大丈夫だという自信のある入り方、掛け方だったと思います。

古田 ありがとうございます。それでは西森さんいかがでしょうか。

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太田の引き手の確保は早く、把持は強い。佐々木はどうしてもこれが切れず、進退の軸を失ってしまった。

西森 お二人と同じなんですが、太田選手は佐々木選手に対して自信があって、一方で佐々木選手は太田選手に対して迷いがありましたよね。それまでの試合では先手を取ってすぐに攻めていたのが、ちょっとどうしようかなと迷って組み手争いに入ってしまって、結果として本来自分がやるべきことをやられてしまった。まさにその学生優勝大会決勝代表戦、修羅場での1回の対戦で丸裸にされてしまったところが、この試合での分が悪さに繋がっていると思いました。また、太田選手が引き手で袖を取るのが上手いんですよね。これは今大会一貫している。誰とやってもパッと引き手を取ってしまう、これは重量級の中でも卓越した技術だと思います。やはり普段の練習から意識してやっているのでしょうか?

上水 彼には引き手を持たせる日と持たせない日というのを設けているんですよね。

古田 そういえば、以前仰っていましたね。

上水 太田は引き手の握りが強烈なので、この武器に頼り過ぎる練習をしてしまう時があるんです。第一に、その引き手が持てないときにどこを持つか、そのレパートリーを増やすことを考えさせました。そして引き手を持てなくても握る力自体を生かして攻められる、その自信があれば、実際に引き手を持った時の強さが倍化する。これは原沢選手対策でやらせたこともあるのですが、まずそういう状態を目指しました。次に、以前は引き手を握っても、必要以上に押していたんですね。距離を取るため、相手に持たせないための引き手の使い方をしていたんです。これをむしろ、文字通り「引く」引き手に変えました。「押し手」ではなく、あくまで「引き手」。そうすると、以前は押したときにどうしても切られていたのが、引くようになって握りの強さという特徴がより生きるようになったんですね。簡単に切られなくなった。そこから今度は技自体のレパートリーを増やしました。先ほど話に出た体落を覚えたり、器用さを生かして逆の袖釣込腰を覚えたり。しっかり引き手を引いて握れるようになったことで、今度は器用さという長所も生きるようになったんです。そして、この引き手を引いて持ち続けるという特徴が、佐々木選手との試合では相性的に噛み合ったというのもあります。佐々木選手は釣り手が動かなくなると、彼の一番の良さが消える。軸がなくなってしまうのですね。今回はその相性が、まっすぐ出てしまったのかなと思います。

古田 「引き手を引くから切られない」、これが佐々木選手の長所を消してしまう関係にあったと。面白いです。ありがとうございます。それにしてもこの相性の絡み合い、バックグラウンドの因縁、そしてこれが生み出す周囲、そしてその後の戦いへの影響。これぞ勝負の綾。まさに全日本と言わざるを得ません。

■ 決勝
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羽賀龍之介と太田彪雅の決勝戦。東海大の先輩後輩、ともに旭化成に所属する2人の対戦となった。

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GS延長戦2分、羽賀の左内股が決まって「一本」

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投げた勢いで一回転して起き上がった羽賀、「一本」の声を聞いて会心の笑み。

【決勝】
羽賀龍之介(推薦・旭化成)○GS内股(GS2:00)△太田彪雅(東京・旭化成)
羽賀が左、太田が右組みのケンカ四つ。羽賀が両手で組みつき出足払、太田も出足払で応じるというオープニング。双方躊躇なく釣り手を持ち、羽賀は上から、太田が下から持っての引き手争いとなる。釣り手の争いは上から持つ羽賀が一貫して有利。羽賀は片手の左内股、太田は突き返しながら出足払で機を伺う。太田両手で巧みに手繰って釣り手で襟を得るが、羽賀はすぐさま上から肘を入れ、ほぼすべての駆け引きを自身の優位に変換。この釣り手の優位をベースに引き手を求め続ける。やや窮した太田は引き手で手首を握るという少々強引な打開を見せるが、これが審判の死角。羽賀が切ったところで、主審は羽賀の側に片手の咎で「指導」を宣告。状況からすると少々納得しかねる判断。これを受けた羽賀は奮起、引き手で袖を外側から得てまず左内股。これが切られると直後釣り手で手首を立ててまず片手の左内股、続いて左内股のフェイント、この動きを利用して一方的に組み手二本を確保する。組み負けた太田はたまらず前屈、羽賀が引き落とすとそのまま四つん這いに潰れる。30秒近い一方的優位の末の前屈潰れということで、当然太田の側に「指導」かと思われたが主審意外にもこれは静観。前段の「指導」を考えれば判定に一貫性なし、準々決勝以降の判定の混乱がここにも引き継がれてしまっている印象。命拾いした太田は状況を踏まえて両襟の右内股ですぐさま試合を作り直し、不利をリセット。しかし羽賀は動揺なく前進、太田が釣り手を上から持つとすぐさま上から載せ返し、グイと圧を掛け続ける。羽賀は片手の左内股から左小内刈で攻め、展開に変化をつけんとこれまでと組み立てを変えてツイと引き手から持ちにかかる。これは出端に太田が浅く右体落を合わせ、羽賀が膝を着いて攻防が切れる。続いて羽賀が2発内股を見せたところで本戦が終了、試合はGS延長戦へ。太田釣り手を上から持つがまたしても羽賀すぐ上から載せ返す。太田引き手で手首を握るも、羽賀は冷静に内股・小内刈・内股と技を3つ継いで剥がし、前へ出ながら圧力。太田は引き手での手首掴み、支釣込足による蹴り崩し、機を見ての釣り手の持ち返しと様々手立てを打つが、羽賀はいずれもすぐさま対応して優位を確保。たとえ釣り手が握れずとも相手の腕の上に載せて絡ませ、重みを掛けて太田の釣り手に自由を与えない。GS1分40秒、展開を変えんと太田が過程を飛ばして上から奥襟を叩く。羽賀が回り込んで奥襟で応じると背中を抱いて密着、釣り手の四指を後襟に入れる形で腰に着く。羽賀は抱かせたまま腰を切って左内股のフェイント。反応した太田が一歩寄せると左内股を放つ。これは引き手が切れて技が流れたが、羽賀動きを止めずに引き手を持ちなおし、さらに左内股をもう一発。これに太田が右小外掛で反応するといったん技を止めて足を降ろし、ここでついに本命、3度目の左内股を放つ。太田は足を上げて耐えるが、羽賀がケンケンの一歩目で軸足を深く入れると大崩れ。二歩目で太田のつま先が伸び切り、羽賀は体を捨ててもろとも1回転。両者バウンドする勢いで畳に落ちたこの一撃は文句なしの「一本」。背中から埋められた太田は天井を向いたままガックリ、羽賀は身を翻して背中で「一本」の声を聞くと、立ち上がりざまに蹲踞の姿勢となって会心の笑み。令和2年大会の全日本選手権者は羽賀龍之介と決まった。


古田 それでは決勝戦、羽賀龍之介選手対太田彪雅選手の試合です。羽賀選手がGS延長戦の内股「一本」で勝利しました。ちなみに上水先生はこういうときは試合前には声をおかけになるんですか?

上水 どちらにも声をかけます。今回は「欲のある方が勝つ」と伝えました。

古田 今回、ということは毎年変えるわけですね。

上水 変えます。今大会は、影浦や羽賀、太田、王子谷に関しては共通して「欲」でしたね。「欲」が「風」を呼ぶと。ですので、この決勝の前にもやはり「欲」だと。太田には「チャンスが何回もあると思うなよ」と。羽賀にはやっぱり最後は欲だ、「欲がないと全日本は獲れないよ」といま一度声を掛けました。あとはもう2人の戦いがどうなるかな、組み手はやっぱり羽賀が上だな、ワンチャンス太田が仕留められるかな、と、そういう風に見守っていました。

古田 ありがとうございます。さて、羽賀選手が両手で組みに行くところから試合が始まりました。それではここは西森さんからお聞きしていこうと思います。

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この試合もケンカ四つ。釣り手争いはやはり羽賀が一貫して有利。

西森 ほかの選手に対して圧倒的な組み手の強さを見せていた太田選手がやっぱり羽賀選手に対してはそこまで優位に立てないんですよね。もちろん太田選手も強いので羽賀選手に対しても一方的にやられることはないんですけど、優位が作れない。そこがやっぱりまず大きいなと思っていました。ただ一方で、この決勝はどっちが勝ってもおかしくないなとも思って見ていました。羽賀選手の疲れもあるでしょうし、あれだけ勢いのあった佐々木選手を一発で仕留めた太田選手に上水先生の言う「風」が吹いているという感じもありましたので。そのなかで最後の場面、先に仕掛けたのは羽賀選手なんですよね。内股を仕掛けて、太田選手が掛けざるを得なくて小外掛に行ったところをもう一発跳ね上げた。本当に、こういう場面で最後に体を突き動かすものは、上水先生が仰る「欲」なんでしょうね。これだけの大トーナメントを勝ち上がってきた最後の最後で、ああいう形で差が出るのだなというのをあらためて思いました。この大会の最後にふさわしいフィナーレだったなと思います。

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羽賀が左内股を仕掛けると、技をいったん止めて作用足を降ろす。太田は内股が来た瞬間釣り手を「捲り」あるいは小外掛仕様の後襟四指に持ち替えてしまっている。

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羽賀が軸足の位置を変える。後襟を掴んだまま中途半端な距離に立たされた太田はここからそのまま右小外掛に出る。

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「効く位置」で待ち構えた羽賀が左内股で跳ね上げる。

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ケンケンの2歩目で太田のつま先が畳から離れ、「一本」。

朝飛 質問があります。私は太田選手が小外掛を掛けたことがなかなか解せないんです。試合全体の流れを見ても、どうしてあそこで小外掛に行ったのか、なかなか答えを見つけることが出来ないでいるんです。「指導」も羽賀の方に1つありましたし、太田選手の足を見ると内股を掛けられることを想定して透かす準備をしていた。その前に内股に羽賀が入ったときに耐えましたけど組み手がちょっと悪い状態になっていて、そこで、敢えて腰を曲げながら外側に小外掛に行った。羽賀にも聞いていないのでわからないのですが、なぜあの場面で「指導1」をリードしていたのに、そして直前に透かす意識も見せていたのに、まして場外に出やすい位置にいたのになぜ小外掛に来たのか。あの場面、羽賀は跳ね上げやすい足の位置で待ち構えているような状態だったわけですが、どなたか答えを教えていただけると嬉しいです。

古田 ここは上水先生にお聞きするべきでしょうか。

上水 はい。羽賀と太田もよく練習をしているので、羽賀は(内股に)持っていけるポジションというのをよく把握しています。で、羽賀は最初の内股を掛けた後に釣り手が抜けているんですよね。あれは、私は誘いだと思っていました。「釣り手が抜けているから、お前がいま小外掛に行けば捲れるよ」という。太田の釣り手は逆手で後襟を引き落とす形になっていましたから、もうそこから行くとしたら「小外」しかないんですね。そして太田が小外掛に行こうとした時点で羽賀は内股の体勢が出来上がっていて、そして、技の途中で一回止まっているんですよね。そうなると太田は捲る体勢が出来る前に止められていることになる。あとは惰性で前に倒れていくところにもう一回跳ね上げられた。この状況を見ると、私は、太田は羽賀に誘われたと思っています。

朝飛 ということは、太田選手は小外掛で捲れるのではないか、と思って行ったわけですね。

上水 私はそう思います。そういう駆け引きだったのではないかと思います。

朝飛 なるほど。それくらい羽賀の釣り手が柔らかくプレッシャーのない状態だったということですね。

古田 太田選手としては右小外掛に食いついて、左内股を掛けさせて、捲ろうと思ったと。

上水 太田は多分潰すことをメインに考えていたと思います。捲れればそれで良しで、敢えて内股を掛けさせて潰しに掛かった。場外が近い位置でもありましたし。それで、たとえば羽賀がそのままスポンと内股に来てくれれば、そのまま潰していた、もしくは捲れていたはずです。しかし、羽賀は誘っていた分余裕があるので、自分の内股を途中で1回止めたんですよね。

朝飛 途中で入れ替えましたね。腰の位置、足の位置、全部入れ替えている。

上水 仰るとおりです。あれが朝飛流と言いますか、あそこで一度自分の技を止められるのが羽賀の上手さですね。普通内股というのは目いっぱい掛けます。リネールが影浦にしたように、目いっぱいで掛けてしまうから、どうしても捲られやすい状況が出来てしまう。でも羽賀は余裕を持って上げていて、そこから技を止めてもう一回、もう一段階足の位置を変えられるんです。相手としては最初の内股に合わせて捲る準備をしているので、そこで角度を変えられたらもう直すのは難しい。足の長さ的にも、どうしても持っていかれてしまいますよね。羽賀は太田に撒き餌をして、太田の受けが軽くなることを誘った。太田は場外が近いということもあってこれに乗って、内股が来たら潰す、あるいは捲るつもりで小外掛を仕掛けた。しかし待ち構えて合わせに行った内股を1度止められたがゆえにそのまま体勢を立て直せず、続けてやってきた本命の内股に持っていかれたということだと思います。

朝飛 お話をお聞きするのがもう、楽しくてしょうがないです。

一同 (笑)。

上水 あれが羽賀の恐ろしさだと思います。彼はいくつも餌を撒いているわけですが、ひょっとすると「指導」を取られたことすら撒き餌だったのではないか、とすら考えてしまうくらいの読みの深さですね。太田を自身有利と思い込ませて勝負に来る焦りを誘うというか、そういう心理を見越して試合を組み立てていたのではないかと思います。

西森 まず、内股で足を上げたところで止めるという発想がないですもんね。

上水 ないです(笑)。普通は、ないですよ。

西森 確かにあれは捲りに行きたくなりますし、行ってしまうともう戻れないですものね。ああやって足を上げられてしまうと。

上水 そうなんです。あの一発目の内股をそのまま掛け切ってくれていれば太田は潰すなり捲るなりの体勢になるはずなんですけど、止められているから、上げてしまった足を戻せない。太田としてみれば、自分が誘って捲ろうとしているわけですからね。誘い誘われる、という攻防で羽賀が一枚上だったということですね。

古田 恐ろしい駆け引きですね。

上水 本当に恐ろしいですよ。

古田 朝飛先生の、フィニッシュに関する質問で既に相当旨味が出ていますが、せっかく新旧の師匠がいらっしゃいますので、もう少し決勝についてお話を聞きたいと思います。先に上水先生、お願いします。

上水 そうですね。正直なところ、どちらかに肩入れするというのも心苦しいところもありましたので、純粋に羽賀と太田の試合を楽しみたいとは思って見てはいました。まずは、最後に羽賀があの一瞬に見せた執念、絶対に全日本を獲るんだ、年齢的にもう何度もチャンスはないんだというあの思いの強さが勝負を分けたというのは間違いありません。また技術力の生きやすいケンカ四つであったことも大きかった。これは円熟味を増してきた羽賀の土俵だなと思いました。そして、太田も随分上手くなったのですが、その上達には、羽賀の影響が極めて大きかった。ゆえにその関門を超えられなかったという格好ですね。

古田 そうお聞きすると、プランニングの上手さでこれまでの試合を勝って来た太田選手にとっては、この試合はまったく前提条件の違う試合なんだなと肚落ちします。

上水 実際問題として、太田の側には羽賀を倒すだけの技術的な方策がなかなか立てられなかったと思います。ある意味、羽賀がすべての面で上だった、それが結果として表れた決勝ではなかったかなと思います。

古田 ありがとうございます。それでは最後に羽賀選手の少年時代の師匠である朝飛先生にお聞きしたいと思います。

朝飛 決勝戦から脱線しても良いですか?

古田 どうぞどうぞ!むしろそういうところを聞きたいです。

朝飛 上水先生に羽賀のことを一杯言っていただいたんですけど、何より一番嬉しかったのは、後藤選手との試合でも影浦選手の試合でも、そして今の太田選手の決勝も、上水先生に「羽賀が鍛えてくれたんだ」という言葉を頂けたことですね。今、代表で出ていたり、あるいはこれから代表になっていく選手のことを羽賀がこうやって導いてくれたんだ、と上水先生に言って頂けたことが何よりです。もちろん優勝という結果も嬉しいのですが、それ以上に、羽賀が東海大で、仲間と一緒に同じ道を歩んでいることが聞けたことが本当に嬉しい。きょうは本当に良い時間を過ごさせて頂きました。

古田 朝飛先生、ありがとうございました。…それにしても本当に良い全日本でした。本当に色々なことが起こった、魅力的な1日でしたが、羽賀龍之介選手の優勝という結末は多くのファンが納得できる、良い全日本だったと思ってもらえる終わり方であったと思います。「評」にも書かせて頂いたのですが、令和2年の全日本選手権の優勝者として、羽賀選手は嵌り役だったなと思います。皆さんに全試合を振り返って頂き、その思いを新たにした時間でもありました。では、最後に一言ずつ総評といいますか、この座談会を終えての言葉を頂いて締めたいと思います。まず、西森さんからお願いします。

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閉会式。ベスト8以上の選手が表彰を受けた。(佐々木健志は負傷治療のため参加せず)

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歴史の節目、令和2年大会の覇者は羽賀龍之介となった。

西森 そうですね。こうやって話してみてあらためて、本当に面白い大会だったとの思いを新たにしました。コロナの影響でやむを得ずこの時期の開催になったわけですけど、これを奇貨として柔軟にこれからの全日本選手権のあり方を考えて欲しい、というのが大会を終えての一番の感想でした。時期もそうですし、参加する選手の選び方も変わった。歴史を紐解けばかつて予選だけではなく「指定選手」のようなやり方を採っていた時期もあるわけですし、そこはその時々で一番良いやり方を模索していくべきではないかと思います。きちんとそこを考えることで、全日本選手権はさらに魅力的になるし、大会自体の価値をさらに高めることが出来ると確信しました。また、これもコロナのおかげと言ってしまうのは少々気が引けるのですが、Youtubeを利用したライブ中継も行われて、情報発信が出来る体制が一気に進みました。この大会の価値を世界中に発信出来るようになったわけです。本当に色々なものが整ってきた全日本選手権だったと思います。関係者には是非前向きに検討して頂きたいなと思います。

古田 ありがとうございます。では次に上水先生お願いします。

上水 はい。まずコロナ禍による中断期間を経て講道館杯が行われ、そしてこの全日本選手権が開かれた。この先柔道が前に進んでいくために、この大会が行われたこと自体が非常に大きな一歩だったと思います。今の社会状況で大会を開くことには当然リスクがあるわけですが、その中でこういう大会が出来たと実績を積むことで、我々は色々な工夫が出来ると社会に示すことが出来た。これは大きいと思います。次に、西森さんが仰ったように「災い転じて福となった」ことが結構あるんですね。普通の日常の中だと見えない、当たり前だと思っていることが、異常な世界が訪れると工夫せざるを得なくなって、結果としてはむしろそちらの方が良かったということですよね。この、適応する力、対応する力をあらためて学ばせて頂いた大会だったと思いました。そして、優勝した羽賀の「準備力」の高さに戦慄した大会でもありました。「試合で勝つ」には戦略眼と準備力が必要なのだなと、あらためて感じました。東海大は12月になっても決して道場が順調に使えたわけではなくて、ラグビー部等々の影響で10日ほど施設が使えませんでした。しかし羽賀は大事な時期に道場が使えなくても動揺せずに、柔軟にメニューを考えてやるべきことをやっていました。その決断力と適応能力の早さ、舌を巻きます。そして長期休養明けで練習と試合の違いに戸惑う選手が圧倒的に多い中で、これだけの相手との試合を我慢しながら、しっかり勝ち切った。凄い選手だとあらためて感じました。…羽賀と問答するときは私も緊張するんですよ。下手なことは言えないですから。そして太田はもう少しでした。今回の試合は本当に良かったと思いますから、自信を持って、影浦も含めて、今後羽賀を倒すというところに目標を置いて頑張ってもらえればと思います。重量級の底上げは日本柔道の鍵ですから、彼らには当然そこはきちんと受け止めて考えてもらわなければいけないと思います。ここはやはり古田さんや西森さんの叱咤。激励ではなくてもう、叱咤ですね。この部分ではぜひお力をお借りしたいと思っています。

古田 ありがとうございました。それでは最後に朝飛先生お願いします。

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座談会は5時間半の長きに及んだ。それでも語り尽くせない、素晴らしい全日本選手権だった。

朝飛 このお二人の後に話すことなど、もはやありません。来年も羽賀を優勝候補に挙げないでいただければまた奮起すると思いますから、それをお願いしたいということがまずひとつ(笑)。あとは、お二人が大会の日程やメンバー、準備についてお話くださいましたが、今回出られなかったウルフ選手、長澤選手、それから海老沼選手、小川選手に思いを馳せずにはいられません。今回は残念でしたが、来年はぜひ全員この大会に復帰してもらいたいと思います。海老沼選手は軽量級で30歳を超えていて、優勝した羽賀も29歳。32歳で初出場の選手もいて、加藤選手は35歳。やることもモチベーションも、年齢もさまざま。色々な選手が、さまざまなモチベーションを持って、この全日本を目指して欲しい。そうして来年も全日本が一層豊かな、大きな大会になってくれればと思います。

古田 ありがとうございます。朝飛先生がいま、さまざまなモチベーションを持って大この会を目指して欲しいと仰いましたが、まさに、出場を目指す資格のない私でも、なんというか、会場からそのまま道場に行って稽古をしたくなる全日本でした。

一同 頷く。

古田 柔道がしたい、力を目一杯出すような稽古がしたい、そういう根源的な柔道を「やる」ことへの渇望を掻き立ててくれる全日本でした。…それでは一応今回これで締めさせていただきます。やはり今回も5時間超え。とんでもない時間になってしまいましたけど、素晴らしい時を過ごさせて頂きました。本当にありがとうございました!

<→①一回戦> <→②二回戦> <→③三回戦>

※ eJudoメルマガ版2月27日掲載記事より転載・編集しています。

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