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令和2年全日本柔道選手権感想戦「令和最初の『全日本』を振り返る」①一回戦

(2021年2月6日)

※ eJudoメルマガ版2月6日掲載記事より転載・編集しています。
令和2年全日本柔道選手権感想戦「令和最初の『全日本』を振り返る」
①一回戦
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開会式。令和2年大会は72年ぶりの講道館開催となった。

参加者:朝飛大、上水研一朗、西森大
司会:古田英毅

※座談会は1月6日にオンラインで実施されました
→全試合結果

古田 朝飛先生、羽賀龍之介選手の優勝おめでとうございます。その後、お会いになられました?

朝飛 終わってから実家の方に帰って来たので、会いました。なかなか体の痛みが取れなくて。うちのそばにお風呂屋さんがあるんですけども、そこに寄って体を伸ばして、道場に来てストレッチをやるというのを何日間かやっていましたよ。

古田 中1日空いたところで、ツイッターで、「いま筋肉痛がきた」と呟いているのを見ましたよ。

朝飛 その日から何日間かは道場に寄って、体を伸ばしていましたね。怪我しないように、ストレッチ、ストレッチと言いながら。相当体に負担が来ていたと思います。

古田 過酷な戦いだったというのがよく分かりますね。…さて、昨年の好評を受けまして令和2年大会もこの「感想戦」の機会を持たせて頂きました。今回も私はなるべく司会に徹して、お三方に存分に語って頂きたいと思います。まず、それぞれ大会全体のインプレッションを一言ずつお願いします。上水先生からお願いしてもよろしいでしょうか。

上水 インプレッションといいますか、1つまず言いたいのは、今回は控室にIJFの大会で使っているようなモニターがあったんですよ。選手が試合の進行を見ることが出来ましたので、これは非常に助かりました。

古田 いままで、これはなかったのですね?

上水 そうなんです。日本武道館ではなかったんですよ。係員の人が来て、呼ばれて試合場に出ていくことを繰り返すので、会場を行ったり来たりしてまるまる見られない試合があったりします。今回のようにモニターで試合が見られると、いま何試合目をやっているのか、どういう試合状況なのかがリアルタイムでわかる。これは選手にとって非常に良いことだと思いますし、我々もとても助かりました。ぜひ継続して頂きたいですね。

古田 さっそく貴重なインサイドの話を。これはコロナウイルスの感染対策で、控室が違う階にあったからということですよね?

上水 頻繁に行ったり来たり出来ないことに配慮頂いたのだと思います。間違いなく大きな進歩ですので、これはここでまず話しておこうと思ったんです。忘れないうちにまずこれを言わせてください(笑)。

古田 貴重な意見ですね。そんなところにもコロナ禍ゆえ良い方向に転がった、新しいことがあったんですね。

上水 試合全体としては、どの選手もコンディショニングが大変だったのだろうなと感じました。やはり本調子ではない選手が目立ちましたし、特にほとんど稽古が積めなかったはずの警察グループはかわいそうだなというのが正直な印象でした。ただ、そんな中でも大会が無事開催されて、そして全日本選手権らしい、面白い試合が非常に多かったのは素晴らしいことです。無差別でやる大会の意義をあらためて感じました。

古田 ありがとうございます。苦しい年にこそ、面白い試合が多かった。まさに同感です。では朝飛先生、お願いします。

朝飛 いま上水先生が言われたんですけど、面白い試合、ワクワクする試合がたくさんありました。しかも会場は講道館の大道場。あの正面の椅子に、本当に嘉納治五郎先生が座られているのではないかと思うくらい、皆さん、礼法とか技に対しての思いがあった試合だなと感じました。

古田 単にお写真の前である、ということに留まらないレベルの緊張感があったと。素晴らしいご指摘だと思います。私もひときわ、「場」を大事にしようとする選手の思いを感じました。では最後に、西森さんお願いします。

西森 まず読者の皆さん、そして出場した選手の皆さんに謝らないといけないのが、今年も予想座談会の予想がかなり外れたことですね。来る前に数えてみたら24試合しか当たっていないんです。例えばウルフ選手の欠場でその後の予想が大きく変わったというのはあるのですが、これは我々の予想を超えて選手の皆さんが奮闘してくれたということだと思います。優勝した羽賀選手が、この予想座談会であまり評価が高くなかったので発奮したと仰っていたようなんですが、

古田 西森さんも試合後、直接やりとりされたそうですね(笑)

西森 はい(笑)。…いろんな選手がそういう風に感じてくれて、持ち前の力以上のものを発揮してくれたのではないかと思いたいです。試合に関しては、事前の座談会でも申し上げたのですが、「全日本選手権」というものの可能性の高さをあらためて感じました。時期、出場選手の枠組みなど工夫することで、柔道の魅力を発信していける大会なんです。

古田 ありがとうございます。今回はコロナ禍もあって色々実験的な試みをすることになった大会なのですが、それがことごとく嵌り、この上なく魅力的なものになった。まだまだ出来ることもあるでしょうし、西森さんご指摘の通り、「柔道」というものの表現の場としての全日本、インフラとしての全日本の潜在能力の高さを感じさせた大会だったと思います。

■ 一回戦 

【1回戦 第1試合】
藤原崇太郎(推薦・日本体育大4年)○優勢[有効・大外返]△田中大貴(近畿・日本製鉄)
両者左組みの相四つ。体格に勝る田中はまず両襟から、藤原は引き手で田中の釣り手を絞って横変形気味に位置を取る。1分過ぎ、藤原が組み際に左一本背負投を仕掛けるが不発。田中は釣り手を低く落とされてなかなか技が出せないが、絞らせたまま大内刈に大外刈と片襟の技で対抗する。残り40秒、田中釣り手を絞らせたまま片襟を差しての左大外刈。しかし藤原躊躇なく返しに出、一本背負投の形に腕を抱えての大外返「有効」。ビハインドの田中大内刈で反撃も藤原がしっかり捌いて時間となる。


古田 では、さっそく試合評に移りたいと思います。まずは藤原崇太郎選手と田中大貴選手によるオープニングゲーム。大外返「有効」で藤原選手の勝利となった一番です。

西森 座談会でも予想していたんですが、藤原選手が非常に巧さを発揮して、田中選手のパワーをうまく封じた。なおかつ勝負どころで田中選手の技を見事に返して、大外返で「有効」を取った。巧さはもちろんのこと、体の強さも感じさせられました。81kg級ということでこの大会では線の細い印象のある藤原選手ですが、やはり率直に強い選手だなと感じました。

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※ eJudoメルマガ版2月6日掲載記事より転載・編集しています。

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