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【プレビュー】濱田の『フランス勢3人抜き』に期待、78kg超級はオルティスvsディッコの2回戦に注目/ワールドマスターズ・ドーハ2021最終日女子プレビュー(78kg級、78kg超級)

(2021年1月13日)

※ eJudoメルマガ版1月13日掲載記事より転載・編集しています。
【プレビュー】濱田の『フランス勢3人抜き』に期待、78kg超級はオルティスvsディッコの2回戦に注目
ワールドマスターズ・ドーハ2021最終日女子プレビュー(78kg級、78kg超級)
ワールドマスターズ・ドーハ2021組み合わせ(Ippon.org)
文:eJudo編集部

■ 78kg級 「寝技の濱田」か「投げの濱田」か、戦いぶり自体がみどころ
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濵田尚里

(エントリー24名)

濵田尚里(自衛隊体育学校)とマドレーヌ・マロンガ(フランス)の階級トップ2が揃って参戦。加えてオドレイ・チュメオ(フランス)、ファニー=エステル・ポスヴィト(フランス)のフランス勢を中心にナタリー・パウエル(イングランド)、フッシェ・ステインハウス(オランダ)など世界大会の表彰台経験者がずらりと顔を揃えた。世界大会なみとまではいかないが、トーナメントのレベルは極めて高い。

濵田は第2シードに置かれており、第1シードのマロンガとの対戦が実現するのは決勝。初戦(2回戦)に勝ちさえすれば以降は準々決勝でチュメオ、準決勝でポスヴィトとフランス勢とのフルコースを戦うこととなる。「少しでも早く試合に出たい」と実戦機会を求めてウズウズしていた濱田にとっては、これぞ望むところの難関ルート。

純粋に勝ち負けという観点だけで言えば、いずれの試合もテーマはただ一つ。どれだけ寝勝負に徹することができるかだ。濱田の寝技は間違いなく女子柔道最強。このフィールドでは仮にいくつかミスがあったとしても、それでも全員に勝利してしまうくらいの圧倒的な強さがある。

ただし濱田自身の志向は実は立ち技にあり、囲み取材等では「投げて勝つ」ことへの執着を幾度も語っている。また、このコロナ禍期間に相当の稽古量を積んだとのことで、増地克之女子監督が「『投げの濱田』にも注目して欲しい」と発言するなど、立ち技の進境相当著しいものがあるようだ。五輪をどう戦うのか、五輪までにどのくらいのスケールアップを期するのか(濱田は実戦で調整するタイプで、以後もかなりのテスト大会を踏む予定とのこと)。今回濱田がどう戦うかは、この観点からも非常なみものである。濱田の投げの威力自体は世界でも随一、ただし相手の技を下がりながら正面から受けてしまう癖があり、意外な場面で派手に飛んでしまうことが多かった。自粛期間の猛稽古では、この攻守のバランス調整を期したのか、それとも凹凸は承知の上でさらに技の威力を上積んだのか。濱田の魅力がどの方向に振れていくのか、まことに興味深い。凝り性の濱田であればまったく他から飛びぬけたとんでもない強さの選手に羽化していることすらありえるのでは、などという妄想まで抱いてしまう。フランス勢一の矢のチュメオが、濱田にとっては立ち技の相性悪く寝技をやれば絶対に勝てる相手ということで、これらを測る上では絶好のサンプルになる。まずはこの試合にひときわ注目である。

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マドレーヌ・マロンガ

一方、マロンガの側は準々決勝でルイーズ・マルツァン(ドイツ)、準決勝でナタリー・パウエル(イギリス)との対戦が濃厚。いずれも好調時のマロンガであれば問題なく勝利できる相手だが、この選手はコンディションにかなりの波があり、特に2019年世界選手権の戴冠後は平均値のパフォーマンスすら出来ない大会が頻発している。場合によっては濵田に辿り着く前に敗れてしまう可能性も十分に考えられる。初戦(2回戦)の相手とはある程度力の差があるため、まずはマルツァーンとの試合でこの日の調子を測りたい。

【プールA】
第1シード:マドレーヌ・マロンガ(フランス)
第8シード:ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)
有力選手:カルラ・プロダン(クロアチア)、ユン・ヒュンジ(韓国)、ベアタ・パクト(ポーランド)

【プールB】
第4シード:ナタリー・パウエル(イングランド)
第5シード:アナ=マリア・ヴァグナー(ドイツ)
有力選手:ネフェリ・パパダキス(アメリカ)、マルヒンデ・フェルケルク(オランダ)アレクサンドラ・バビンツェワ(ロシア)

【プールC】
第2シード:濵田尚里(自衛隊体育学校)
第7シード:オドレイ・チュメオ(フランス)
有力選手:イ・ジョンギュン(韓国)、ロリアナ・クカ(コソボ)

【プールD】
第3シード:ファニー=エステル・ポスヴィト(フランス)
第6シード:カリエマ・アントマルチ(キューバ)
有力選手:フッシェ・ステインハウス(オランダ)、アントニーナ・シュメレワ(ロシア)、アナスタシア・タルチン(ウクライナ)

■ 78kg超級 オルティス-ディッコの2回戦が最大のみどころ
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イダリス・オルティス

(エントリー26名)

現役世界王者・素根輝をのぞく世界の強豪が集結。イダリス・オルティス(キューバ)にホマーヌ・ディッコ(フランス)と、普段あまり大会に出ることのない強豪もあまねくその名を連ねた。トーナメントのレベルは間違いなく世界大会級だ。

優勝候補筆頭は第1シードのオルティス。どっしりとした腰の重さに技の威力、そしてなによりその戦術レベルの高さで周囲から頭ひとつ抜けている。

最大のライバルは、11月の欧州選手権でも優勝を飾っているフランス期待の若手ディッコ。そしてなんとこの優勝候補ふたりの対戦が早くも2回戦、オルティスにとっての初戦で組まれてしまった。もちろんこれがトーナメント全体を通した最注目カードである。両者は2017年世界無差別選手権の3位決定戦で対戦しており、そのときはオルティスがわずか開始41秒の送襟絞(「腰絞め」)「一本」で格の違いを見せつけた。あれから3年あまり、現時点でもオルティスの方が力は上だと思われるが、もっかメキメキ成長中のディッコの勢いを考えれば勝負の行方はわからない。非常に楽しみな一番だ。素根との柔道的な相性を考えれば東京五輪のライバル一番手はあくまでオルティスだが、比較的柔道の素直なディッコがこの時点で超戦術派のオルティスに勝利するだけの地力を練っているようであれば話は少々変わってくる。注目の一番である。

ほかにもみどころ満載、と話を続けたいところなのだが、この階級は自粛期間明けから上位陣のほとんど全員が大会に出続けているために逆に戦線が停滞中。バックグランドに物語や因縁が薄く、実はこれといったトピックは見出しがたい。イリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)にラリサ・ツェリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)、ニヘル・シェイフ=ルーフー(チュニジア)、マリア=スエレン・アルセマン(ブラジル)、カイラ・サイート(トルコ)など出場者のレベルは極めて高いので、それぞれの戦いを純粋に楽しみたい。序盤から世界大会上位戦クラスのカードが目白押し、という形にはなっている。

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ホマーヌ・ディッコ

【プールA】
第1シード:イダリス・オルティス(キューバ)
第8シード:ニヘル・シェイフ=ルーフー(チュニジア)
有力選手:ホマーヌ・ディッコ(フランス)、メリッサ・モヒカ(プエルトリコ)、ハン・ミジン(韓国)、サラ・アドリントン(イングランド)

【プールB】
第4シード:ベアトリス・ソウザ(ブラジル)
第5シード:カイラ・サイート(トルコ)
有力選手:ラズ・ヘルシュコ(イスラエル)、アン=ファトゥメタ・ムバイロ(フランス)

【プールC】
第2シード:マリア=スエレン・アルセマン(ブラジル)
第7シード:マリーナ・スルツカヤ(ベラルーシ)
有力選手:ホシェリ・ヌネス(ポルトガル)、ホーテンス=ヴァネッサ・ムバラ=アタンガナ(カメルーン)、エリザヴェータ・カラニナ(ウクライナ)、ジュリア・トロフア(フランス)

【プールD】
第3シード:イリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)
第6シード:ラリサ・ツェリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)
有力選手:サンドラ・ヤブロンスキーテ(リトアニア)、ヤスミン・グラボウスキ(ドイツ)、キム・ハユン(韓国)、シゲトヴァリ ・メルセデス(ハンガリー)

※ eJudoメルマガ版1月13日掲載記事より転載・編集しています。

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