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【レポート】堀川恵が初優勝、鍋倉那美と土井雅子が3位を確保/2020年度講道館杯全日本柔道体重別選手権女子63kg級レポート

(2021年1月10日)

※ eJudoメルマガ版1月10日掲載記事より転載・編集しています。
【レポート】堀川恵が初優勝、鍋倉那美と土井雅子が3位を確保
2020年度講道館杯全日本柔道体重別選手権女子63kg級レポート
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3位決定戦、鍋倉那美が佐藤史織から大外落「一本」

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準決勝、渡邉聖子が鍋倉を攻める。

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1回戦、堀川恵が山口葵良梨(から大外刈「技有」

【決勝まで】

第1シードの鍋倉那美(NAWACLUB)が決勝進出ならず。山場と目された初戦(準々決勝)は能智亜衣美(了徳寺大職員)を隅返「技有」優勢で下し順調だったが、続く準決勝で渡邉聖子(帝京大3年)の粘りに捕まり、GS延長戦56秒、偽装攻撃で3つ目の「指導」を貰って本戦トーナメントから脱落。

しかし3位決定戦は粘りが身上の佐藤史織(ミキハウス)をまっこうから撃破。GS延長戦3分41秒、佐藤の体がまさに畳に埋まる強烈な大外刈「一本」で表彰台登攀を決めた。鍋倉は三井住友海上を退社し、これが初試合。相手の良さを塗りつぶすことに長け、国内の強者を狩ることで地位を得て来た積年の宿敵・佐藤を、最大の長所である投げ一撃で跳ねのけるというこれ以上ない形で、新たな門出を飾った。

決勝に進んだのは、鍋倉に勝利した渡邉と、堀川(旧姓津金)恵(パーク24)。

渡邊は決勝まですべての試合がGS延長戦「指導3」の反則による勝利と、タフさを見せての決勝進出。初戦は嘉重春樺(環太平洋大3年)からGS2分3秒までに一方的に3つの反則を奪う快勝、準々決勝で明石ひかる(筑波大3年)をGS2分37秒「指導3」対「指導1」と、同学年の強者を次々下すと準決勝は前述の通り鍋倉に「指導3」対「指導1」で競り勝ち。みごとこの大舞台まで辿り着いた。

一方の掘川はまず1回戦で山口葵良梨(国士舘大1年)を大外刈「技有」優勢で下して大会をスタート。準々決勝は警察王者の荒木穂乃佳(兵庫県警察)とマッチアップ、階級随一の粘戦ファイターを相手に総試合時間10分28秒を戦い切り「指導2」対「指導3」で勝利。最大の山場と目された準決勝も第2シードの土井雅子(JR東日本)を相手に8分55秒を戦い、最後は得意の右内股「技有」を得て勝ち抜け決定。25歳にして初の講道館杯決勝の畳に辿り着いた。

土井は3位決定戦で能智にGS延長戦5分19秒「指導3」で勝利してぶじ表彰台は確保。寝技が代名詞の土井だが、この日は初戦で工藤七海を内股と崩上四方固の合技「一本」、準々決勝で佐藤を内股「技有」といずれも投げを決めており、新たな境地を見せた。投技の威力が上がって取り味が増した分、もう1つの長所である手堅さが減じたとの観察も可能ではあるが、ここはポジティブにレベルアップと捉えたい。以後の戦闘力アップがみもの。

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決勝、堀川が引き手を確保、練れた組み手で渡邉の突進を止める。

【決勝】

堀川恵○優勢[技有・小外刈]△渡邉聖子

決勝は渡邉が左、堀川が右組みのケンカ四つ。試合が始まるなり渡邉が得意のパワーファイト、いきなり奥襟を叩き、これが外されるや両袖のまま押し込んで堀川を場外にはじき出す。続く展開も奥襟を叩くが、堀川粘り強く対峙。釣り手勝負の渡邉をよそにまず引き手を前線に定めて袖口近くを一方的に得、結果相対的には堀川優位となる。渡邉この引き手を切らんとするが、堀川は上体の動きと足技を連動させながらなかなか切らせない。内股フェイントを利用して相手の拘束を剥がし、結果として釣り手の自由までも得てかなり練れた進退。しかし具体的な技はなかなか出ず、1分13秒両者に消極的との咎で「指導」。

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堀川の右小外刈が見事に決まって「技有」

奮起した渡邉再開とともに激しく前へ。袖を先に抑える「ケンカ四つ」クロスを経て釣り手で激しく奥襟を叩く。しかし津金巧みな円運動でこの拘束から抜け出し、その時には既に引き手で袖をしっかり確保。引き手一本からまず釣り手で奥襟を叩いての内股フェイント、続いてこの軌道の残像を利用して釣り手を今度は横抱きに背中を回す。大腰か、と渡邉が素早く反応したその瞬間には既に堀川の右小外刈が襲来。堀川が体を捨てて決めに掛かれば、片足を抜き上げられた渡邉激しく畳に落ちて「技有」。奥襟からの脱出から小外刈までの動きはまさに流れるがごとく。組み手、体捌き、戦術性の高さ、技の切れ味と全てが揃った素晴らしい一撃だった。試合時間は1分24秒、残り時間は2分36秒。

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ビハインドの渡邉が突進。

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堀川が右出足払、渡邉を伏せさせて試合展開を持ち直す。

こうなればパワーファイトを仕掛けるしかない渡邉、状況を十分に心得て思い切り奥襟を叩く。堀川は巧みに展開をスローダウンさせて粘るも、渡邉が引き手も得る形で圧を掛けた1分55秒には体を屈して伏せてしまい、「指導2」失陥。スコア上後がなくなってしまう。

渡邉激しく前へ。しかしここで足技が堀川を救う。2分3秒には相手の下がり際を出足払を抜き上げて展開スピードを減殺、続く2分20秒にはいったん小さく足を当てておいてからの右小外刈で大きく抜きあげ、まともに食った渡邉は宙に一瞬浮き、次いで腹ばいに伏せる。これで攻撃点を重ねた津金は「指導」失陥の危機から大きく遠ざかる。

渡邉は組み際の小外刈に奥襟を叩いての圧力と的確に手立てを打つが、老練な堀川は小外刈の弾幕を張って容易に芯を食わせず。残り1分を過ぎると渡邉さらに加速もなかなかこれぞという形が作れない。残り30秒を過ぎ、渡辺が引き手で袖、釣り手で横襟付近を得て圧力の掛け合いを挑むも津金は釣り手の肘で相手を粘り強くブロック。残り時間の少なさに焦れた渡辺釣り手を放して低い体勢で背中を抱くがこれは判断ミス、堀川この持ち替えを利してすばやく体を捌き、圧力の圏外に逃れることに成功。渡邊遠間から遮二無二左内股、さらに小内刈に連絡するが距離が遠く力が伝えきれない。ここで終了ブザーが鳴り、堀川の講道館杯初優勝が決まった。

入賞者、優勝者のコメントおよび全試合の結果は下記。

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試合終了。

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63kg級成績上位者。左から2位の渡邉聖子、優勝の堀川恵、3位の土井雅子と鍋倉那美。

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優勝の堀川恵。

(エントリー15名)

【入賞者】
1.HORIKAWA, Megumi
2.WATANABE, Seiko
3.DOI, Masako
3.NABEKURA, Nami
5.NOUCHI, Aimi
5.SATO, Shiori
7.AKASHI, Hikaru
7.ARAKI, Honoka

【成績上位者】
優 勝:堀川恵(パーク24)
準優勝:渡邉聖子(帝京大3年)
第三位:土井雅子(JR東日本)、鍋倉那美(NAWA CLUB)

堀川恵選手のコメント
「一戦一戦を大事に戦ってきて、それが優勝に繋がったのだと思います。試合が終わってすぐなのでまだ実感はないんですけれど、勝てたことは素直に嬉しいです。決勝はすごく勢いのある選手が相手で、つきあってしまうと相手のペースになってしまうので、いかに自分のペースで試合を運ぶかを考えて戦いました。このコロナ期間は組み手を重視して稽古して来たのですが、その練習してきたことが十分出来た大会だったなと思います。津金という名前でも勝ちたかったんですけど、新しく変わったこの堀川という名でも、これからも変わらずに頑張っていこうとあらためて思いました。この先も簡単には勝てないと思いますが、1つ1つ自分の課題をクリアして、イチから作り直すつもりで頑張りたいと思います。」

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準々決勝、鍋倉那美が能智亜衣美から隅返「技有」

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準々決勝、土井雅子が佐藤史織から内股「技有」

【1回戦】
能智亜衣美(了德寺大職)○小外刈(2:39)△長内香月(JR東日本)
明石ひかる(筑波大3年)○GS反則[指導3](GS7:31)△山本杏(パーク24)
渡邉聖子(帝京大3年)○GS反則[指導3](GS2:03)△嘉重春樺(環太平洋大3年)
土井雅子(JR東日本)○合技[崩上四方固・内股](1:23)△工藤七海(府中刑務所)
佐藤史織(ミキハウス)○合技[背負投・崩上四方固](2:41)△小齊穂奈美(富士学苑高3年)
荒木穂乃佳(兵庫県警察)○GS反則[指導3](GS4:01)△幸田奈々(自衛隊体育学校)
堀川恵(パーク24)○優勢[技有・大外刈]△山口葵良梨(国士舘大1年)

【準々決勝】
鍋倉那美(NAWACLUB)○優勢[技有・隅返]△能智亜衣美(了德寺大職)
渡邉聖子(帝京大3年)○反則[指導3](2:37)△明石ひかる(筑波大3年)
土井雅子(JR東日本)○優勢[技有・内股]△佐藤史織(ミキハウス)
堀川恵(パーク24)○GS反則[指導3](GS6:28)△荒木穂乃佳(兵庫県警察)

【敗者復活戦】
能智亜衣美○優勢[技有・小外刈]△明石ひかる
佐藤史織○GS反則[指導3](GS0:51)△荒木穂乃佳

【準決勝】
渡邉聖子○GS反則[指導3](GS0:56)△鍋倉那美
堀川恵○GS技有・内股(GS4:55)△土井雅子

【3位決定戦】
土井雅子○GS反則[指導3](GS5:19)△能智亜衣美
鍋倉那美○GS大外刈(GS3:41)△佐藤史織

【決勝】
堀川恵○優勢[技有・小外刈]△渡邉聖子

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