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【プレビュー】66kg級の重心はトーナメント上側、ロンバルドとアンバウルの激突に注目/ワールドマスターズ・ドーハ2021第1日男子プレビュー(60kg級、66kg級)

(2021年1月11日)

※ eJudoメルマガ版1月10日掲載記事より転載・編集しています。
【プレビュー】66kg級の重心はトーナメント上側、ロンバルドとアンバウルの激突に注目
ワールドマスターズ・ドーハ2021第1日男子プレビュー(60kg級、66kg級)
ワールドマスターズ・ドーハ2021組み合わせ(Ippon.org)

文:eJudo編集部

■ 60kg級 ロシア勢2人の競り合いと、ルトフィラエフとチフヴィミアニ置かれたプールCの争いが主筋
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ロベルト・ムシュヴィドバゼ

(エントリー33名)

当初出場予定だった前大会王者の永山竜樹(了徳寺大職)は無念の欠場。新型コロナウイルス感染の濃厚接触者と認定されてしまい、PCR検査の結果は陰性で体調も良好ながら、外出制限のために大会出場を断念せざるを得なかった。昨年末に行われた全日本柔道選手権では非常に良いパフォーマンスを見せていただけに、非常に残念。

というわけで開催前にトーナメントの核を欠くことになったがこの階級であるが、それでも顔ぶれは極めて豪華。2019年東京世界選手権王者のルフミ・チフヴィミアニ(ジョージア)と同2位のシャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)、さらに直近のビッグタイトル2大会で決勝を争ったロベルト・ムシュヴィドバゼ(ロシア)とヤゴ・アブラゼ(ロシア)が揃って名を連ねた。さらにイェルドス・スメトフ(カザフスタン)、キム・ウォンジン(韓国)、約1年ぶりに60kg級に出場のディヨルベク・ウロズボエフ(ウズベキスタン)と世界大会の表彰台クラスがひしめき合っている。

永山が抜けたことで絶対的な優勝候補は不在となったが、直近の大会のパフォーマンスからまずムシュヴィドバゼとアブラゼのロシア勢2名の名前を挙げたい。ご存じの通りこの2人は昨年10月のグランドスラム・ブダペストと11月の欧州選手権と2大会連続で決勝を戦っており、前者ではアブラゼが、後者ではムシュヴィドバゼがそれぞれ勝利している。2大会ともこのロシア勢2人の仕上りは頭ひとつ抜けており、今回も勝ち上がる可能性が高い。組み合わせでは両者は準決勝で対戦することになるが、これといった障壁のないアブラゼに対して、ムシュヴィドバゼの側は3回戦でウロズボエフ、準々決勝で2019年東京世界選手権で苦杯を喫したヤン・ユンウェイ(台湾)と厄介な相手と連戦せねばならない組み合わせ。それでもなお両者がベスト4で対戦するところまではまず確実と思われるが、特にムシュヴィドバゼがどんな内容でここまで辿り着くかに注目しておきたい。

続いて面白いのはチフヴィミアニとルトフィラエフの2019年世界選手権ファイナリストが揃って配置されたプールC。チフヴィミアニの初戦(2回戦)の相手にはなんとキム・ウォンジンが置かれている。両者の対戦成績は1勝1敗だが、最後の対戦は2015年で、あまり参考にはならない。チフヴィミアニがコンスタントに結果を残すというよりもピークを合わせた大会でこそ真価を発揮するタイプであること、同選手が昨年11月の欧州選手権ではあまり良いパフォーマンスを見せていないことから勝敗予想としてはキムを推すが、もしキムが投げによる決着を目指した場合にはチフヴィミアニの際(きわ)の強さが生きて展開が揉める可能性もある。これが序盤戦最大の注目カードである。そして、この試合の勝者とルトフィラエフが対戦するであろう準々決勝も見逃せない好カード。ルトフィラエフの攻撃性の高さが展開を引っ張る形で試合が進むと予想され、見ごたえのある投げの打ち合いになること確実だ。

ここまでがトーナメントの主筋。ほか、エリック・タカバタケ(ブラジル)にヤン、イ・ハリン(韓国)と担ぎ技系の猛者が詰め込まれたプールA下側の山の勝ち上がりや、プールD準々決勝での実現が濃厚なスメトフとグスマン・キルギズバエフ(カザフスタン)の同国対決など、魅力的なサブシナリオがトーナメントのそこかしこに散りばめられている。見どころしかない、と言っても過言ではない(実は全階級がそうなのだが)だろう。後追いでも構わないので全試合漏らすことなく味わい尽くすことをおすすめする。

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ヤゴ・アブラゼ

【プールA】
第1シード:ロベルト・ムシュヴィドバゼ(ロシア)
第8シード:エリック・タカバタケ(ブラジル)
有力選手:モリッツ・プラフキー(ドイツ)、レニン・プレシアド(エクアドル)、ディヨルベク・ウロズボエフ(ウズベキスタン)、テムル・ノザゼ(ジョージア)、ヤン・ユンウェイ(台湾)、イ・ハリン(韓国)

【プールB】
第4シード:フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)
第5シード:ヤゴ・アブラゼ(ロシア)
有力選手:ダシュダワー・アマルツヴシン(モンゴル)、ルカ・ムヘイゼ(フランス)、トルニケ・チャカドア(オランダ)、アルテム・レシュク(ウクライナ)、フェリペ・キタダイ(ブラジル)、アシュリー・マッケンジー(イングランド)

【プールC】
第2シード:シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)
第7シード:ルフミ・チフヴィミアニ(ジョージア)
有力選手:イスラム・ヤシュエフ(ロシア)、ダヴィド・プルクラベク(チェコ)、ヨーレ・フェルストラーテン(ベルギー)、キム・ウォンジン(韓国)、ラグワジャムツ・ウヌボルド(モンゴル)、アドニス・ディアス(アメリカ)

【プールD】
第3シード:イェルドス・スメトフ(カザフスタン)
第6シード:グスマン・キルギズバエフ(カザフスタン)
有力選手:ヤニスラフ・ゲルチェフ(ブルガリア)、ワリード・キア(フランス)、フェリペ・ペリム(ブラジル)、ミフラジ・アックス(トルコ)、アルベルト・オグゾフ(ロシア)

■ 66kg級 トーナメントの重心は上側にあり、ロンバルトとアンバウルの準決勝対決に注目
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マニュエル・ロンバルド

(エントリー30名)

60kg級と同様、日本勢以外の強豪が勢揃いした超豪華トーナメントが組まれた。
第1シードはマニュエル・ロンバルド(イタリア)。11月の欧州選手権では初戦敗退と不本意な結果に終わっており、今大会で名誉挽回を期す。純実力ではこのロンバルドと、2015年アスタナ世界選手権王者のアン・バウル(韓国)の2人が優勝候補であると規定される。

以降はデニス・ヴィエル(モルドバ)、ヨンドンペレンレイ・バスフー(モンゴル)、キム・リーマン(韓国)、ヴァジャ・マルグヴェラシヴィリ(ジョージア)、タル・フリッカー(イスラエル)らがダンゴ状態、誰が抜け出すのかわからない競り合いの構図となっている。実績で言えばヴィエルがもう一段上の評価でも良いのだが、大会再開以降まだ本来の調子を見せていないため、ひとまずこのクラスタに含めている。11月の欧州選手権では復調の兆しを見せており、今大会の出来に注目したい。その欧州選手権を素晴らしい出来で制したオルハン・サファロフ(アゼルバイジャン)も要チェックだ。

66kg級は上位陣の実力が拮抗しているため、大規模トーナメントになるほど荒れやすい傾向がある。いざ終わってみれば意外な選手が優勝しているという可能性も決して低くはなく、序盤から誰が今日「来ている」のかを考えながら見るのも楽しいだろう。

組み合わせ配置に目を移す。優勝候補のロンバルドの初戦(2回戦)の相手に、なんとヴィエルが置かれた。両者は2019年に2度対戦しており、いずれもヴィエルが勝利している。最後の対戦がロンバルドが階級のトップに定着する前であったことと最近のヴィエルの低調ぶりから考えれば今回はロンバルドが勝利すると予想するが、相性的には厳しい戦いになるはずだ。組み合わせ的にはここを勝ち上がった選手がそのままベスト4まで勝ち上がることになるだろう。本階級序盤の最重要カードだ。

続いてもうひとりの優勝候補であるアン・バウル。こちらはプールBのノーシード位置に置かれており、準決勝のロンバルド戦に辿り着くためには2回戦でフリッカー、準々決勝でヨンドンペレンレイという2つのハードルを越えねばならない。ケンカ四つの担ぎ技系であるフリッカーは戦いにくい相手ではないが、問題はヨンドンペレンレイ。過去の戦績は2勝1敗だが、どの戦いでもその体の強さと圧力、スタミナのためにかなりの苦戦を強いられて来た。韓国チームが十分に稽古を積めているとの情報からここはアンの勝利を予想するが、コンディション次第では逆に食われてしまう可能性もあるし、消耗し過ぎて以降の試合が苦しくなるというシナリオは十分にあり得る。どのように粘り腰のヨンドンペレンレイを料理するのか、その戦いぶりに注目だ。この試合で現時点でのアンの仕上がり具合を測ることができるだろう。

ここまで読んでわかるとおり、トーナメントの重心は極端に上側のプールに偏っており、下の山は誰が勝ち上がってもおかしくない混戦である。序盤の注目カードとしてはプールC1回戦からキム・リーマンvsゲオルギー・ザンタライア(ウクライナ)、イェルラン・セリクジャノフ(カザフスタン)vsアブドゥラ・アブドゥルジャリロフ(ロシア)、そしてプールD1回戦からマルグヴェラシヴィリvsミハイル・プルヤエフ(ロシア)、バルチ・シュマイロフ(イスラエル)vsサファロフの4試合を挙げたい。ここに第2シードのガンボルド・ヘルレン(モンゴル)を加えたところまでが決勝勝ち上がり候補だ。

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アン・バウル

【プールA】
第1シード:マニュエル・ロンバルド(イタリア)
第8シード:アルベルト・ガイテロ=マルティン(スペイン)
有力選手:デニス・ヴィエル(モルドバ)ニジャット・シハリザダ(アゼルバイジャン)、アラム・グリゴリアン(ロシア)、ボグダン・イアドフ(ウクライナ)、バグラチ・ニニアシヴィリ(ジョージア)

【プールB】
第4シード:ダニエル・カルグニン(ブラジル)
第5シード:ヨンドンペレンレイ・バスフー(モンゴル)
有力選手:タル・フリッカー(イスラエル)アン・バウル(韓国)、モハメド・アブデルマウグド(エジプト)、ヤクブ・シャミロフ(ロシア)、イェルドス・ジューマカノフ(カザフスタン)

【プールC】
第2シード:ガンボルド・ヘルレン(モンゴル)
第7シード:キム・リーマン(韓国)
有力選手:セバスティアン・ザイドル(ドイツ)、ダニエル・ペレス=ロマン(スペイン)、ゲオルギー・ザンタライア(ウクライナ)イェルラン・セリクジャノフ(カザフスタン)、アブドゥラ・アブドゥルジャリロフ(ロシア)

【プールD】
第3シード:ヴァジャ・マルグヴェラシヴィリ(ジョージア)
第6シード:バルチ・シュマイロフ(イスラエル)
有力選手:ミハイル・プルヤエフ(ロシア)、イマド・バッスー(モロッコ)、オルハン・サファロフ(アゼルバイジャン)、ウィリアン・リマ(ブラジル)、サルドル・ヌリラエフ(ウズベキスタン)

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