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【eJudo’s EYE】 「観戦記」/東京2020オリンピック柔道男子66㎏級日本代表内定選手決定戦

(2020年12月24日)

※ eJudoメルマガ版12月24日掲載記事より転載・編集しています。
【eJudo’s EYE】 「観戦記」/東京2020オリンピック柔道男子66㎏級日本代表内定選手決定戦
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講道館旧館前、嘉納治五郎師範の像。

文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

現地の体験をまとめたメモを「観戦記」という形でアウトプットさせて頂く。この試合は歴史的一番でありながら実際に目撃したもの極めて少ないクローズドイベントであり、会場であったことを残すことにはある程度の意味があると思う。拙い日記ではあるがなにがしか皆さんの観戦体験を補完できるものになれば幸いである。ちなみに「補完」の接点として説明しておくと、公式動画内正面からの絵、タイマーの真上でひざ掛け上にメモを広げているのが私(の脚)である。あの場所からのルポなのだな、と思ってもらえれば幸いだ。

*     *     *     *

14:15 神保町から春日に向かう都営三田線の車中で、先日柔道本を上梓されたばかりのT記者と出くわす。珍しくスーツ姿。「プレビューを読んで、そうか、自分はきょう歴史の証人なんだと気づいて急遽着替えました」とのこと。その感性が嬉しい。私も勿論珍しくネクタイ締めている。連れだって講道館へ。

14:25 講道館旧館前到着。代表撮影のカメラマンさんたちとTV勢が先着しているが、ペン記者では一番乗り。T記者に続き、H記者、M記者、I記者とメジャーメディアの柔道担当記者が続々到着。まずは、と嘉納師範像の写真を撮り「現地着」とSNSに投稿。

14:30 ここ数日感情がおかしい。緊張だけではない。話を聞いてくれる人が現れたおかげで、けさ気づいたその理由をようやくアウトプット出来る。なぜこんなに気持ちが重いのか。あまりにも決定的な一番すぎて、どちらかが負ける姿を見るのが怖いのだ。ワンマッチの五輪代表決定戦。試合は見たいけど、楽しみかと言われると実は全然そうじゃない。このやり方で本当に良かったのだろうか。残酷すぎはしないだろうか。

14:35 予定時刻 (14:45)前だが、人の集まりのペースが早いので密を避けるために受付を開始します、と広報さんが声を掛けてくれる。手を消毒し、検温し、2週間の健康調査表を提出し、「同意書」に署名する。入場が許されるのは、昨年度の取材実績に応じて選ばれた社から代表1名ずつの35名のみ。「同意書」はもちろん「コロナ感染防止対策に協力します」という趣旨のものなのだが、この大一番、そして入場者が極端に限られる中では「歴史の証人として責任を持って報道します」とか「どんな結末も甘んじて受け入れます」との誓約書に署名させられた気分になる。背筋が伸びる。恐怖感がさらに増す。密を避けるために4人ずつが旧館のエレベーターで昇り、途中から外階段を使って新館8Fの観客席フロアに向かうという変則ルートで移動を開始。

14:40 8階観客席へ。大道場の風景が一変している。国際仕様の「黄色・赤」畳に、1面のみの試合場。中継局がSNSに作業の様子を投稿してくれていたので事前に知ってはいたが、やはりかなりの異容。普段はつかない天井のシーリングライト(普段は蛍光灯のみ)の点灯が、意外にもかなりこの特別感の醸成に一役買っている。不自然に明るい。場内はリハーサルが進行中。代役の試合者を入れ、SEIKOタイマーが稼働。そしてここで我々は、主審が天野安喜子さんであることを知る。

14:45 向こう正面の報道席へ。机はない。数席間隔で使用可能な椅子が定められている。ご存じの通り講道館8階観客席は観にくい。最前列は視界に柵が入って顔を上下前後と動かさねばならないが、これを避けて1列下がっただけでもう死角が出る。足元側が見えない。すべてを満たす席はない。腹を括って最前列を確保する。リュックを置き、いったん席を立ってスマホで場内を撮影。比較用にと先週同じ場所から撮っておいた写真と併せて、SNSにアップする。デバイスは導入したばかりのiphone12mini。こういう用途のために入れたと言っていいのだが、そもそも大会自体がなく今回の一連がようやく初の使用。

14:50 「ひとり強化会議」の名づけ親であるライターの佐藤温夏さんが登場。長大な記事を丁寧に読み込んでくださっていた。長さを詫びると、いくら長くてもいい、むしろいつまでも読んでいたいとありがたいお返事。そして場慣れしている温夏さんの表情にも緊張感ありあり。我々が事前に伝えられているスケジュールは「16:40選手入場」。大一番まであと、1時間50分。

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※ eJudoメルマガ版12月24日掲載記事より転載・編集しています。

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