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【eJudo’s EYE】五輪に強いロシア、その恐ろしさと誤算垣間見えた大会/グランドスラム・ブダペスト総評

(2020年10月28日)

※ eJudoメルマガ版10月26日掲載記事より転載・編集しています。
【eJudo’s EYE】五輪に強いロシア、その恐ろしさと誤算垣間見えた大会/グランドスラム・ブダペスト総評
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大会は無観客で行われた。会場のパップ・ラズロ・ブダペスト・スポーツアリーナ。(Photo:IJF)

文責:古田英毅

8が月ぶりのワールドツアー大会、グランドスラム・ブダペスト2020の総評をお届けする。各階級の様子や選手個々の活躍ぶりはこのあと配信の「各階級評」(決勝戦評を付す)に譲るとして、まずは箇条書きに近い感覚で、大会のインパクト薄れぬうちにインプレッションを記しておきたい。拙速は承知、ご了承の上でおつきあい願いたい。総評、ロシア評、五輪展望、技術評(トレンド技術をいくつか紹介する)、最後におまけで「コロナ太り」評。

フィジカル重視の選手は強さを維持、「柔道力」属性の選手には苦しい大会

まず持っておきたい前提は、地域、国それぞれによってこのコロナ禍の影響は異なり、ゆえにチームごとの出来不出来の差が激しい大会であったということ。ほとんど稽古が出来なかった国もあれば、チームごと国外に脱出して隔離された環境である程度のトレーニングを積んでいる国もあるし、初期段階から合宿施設に籠ってほぼ常と変わらぬ強度の稽古を行ってきた国もあると聞く。今回の出来は、あくまでこの事情に沿った参考記録に留まるということだ。ちなみにチーム単位で強さを感じたのは男子のロシア、女子のフランス(稽古を積んでいるなと思わされた)、男女ともにカナダ、それにトルコといったところ。

選手に関して言えば、おおまかに言って、パワー系、つまりフィジカルにその強さの因がある選手はほぼ番付なみの強さを維持していたと総括していいだろう。コロナ禍の中でも、トレーニングでフィジカルを追い込むことは出来る。中には逆にパワーを増して相対的には強くなっているのではとすら思われる選手もいた。上位選手でいえば81kg級のヴェダット・アルバイラク(トルコ)やフランク・デヴィト(オランダ)、100kg級のアルマン・アダミアン(ロシア)、100kg超級のイナル・タソエフ(ロシア)、女子48kg級のディストリア・クラスニキ(コソボ)とパウラ・パレト(アルゼンチン)、52kg級のアンドレア・キトゥ(ルーマニア)、78kg級のファニー=エステル・ポスヴィト(フランス)、78kg超級のニヘル・シェイフ=ルーフー(チュニジア)といったところが、その代表格。

一方で、絶対的な乱取りの量を必要とする「柔道自体の巧さや強さ」に軸足のある選手は苦戦していた印象。ここ一番で技の連携が続かなかったり、「ここでその動き?」と首を傾げるリアクションを取ったり、相手の技への対応が一瞬遅れたり、返し技の選択を誤ったり。代表格は66kg級東京世界選手権3位のデニス・ヴィエル(モルドバ・ただしこの人は昨年後半からの低空飛行を引きずったという印象であるが)、ほか、73kg級のトミー・マシアス(スウェーデン・ただしヴィエルと同様の傾向もあり)、81kg級のネマニャ・マイドフ(セルビア)とハサン・ハルモルザエフ(ロシア・同僚のパワー系の充実があるだけにそのやりにくそうな戦いぶりの印象際立った)、90kg級のノエル・ファンテンド(オランダ)とニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン・それでも十分強かったが)、100kg級のエルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)、100kg超級のオール・サッソン(イスラエル)、女子48kg級のシリーヌ・ブクリ(フランス)、70kg級のマルゴ・ピノ(フランス)ら。このあと柔道世界が常の状態に戻っていけば勢力図は旧に復していくであろうが、大会や国際合宿の機会がこのまま増えない場合、この「フィジカルタイプ優位」はさらに加速していく可能性がある。

実は五輪の試金石として機能した大会の可能性

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※ eJudoメルマガ版10月26日掲載記事より転載・編集しています。

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