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【プレビュー】81kg級は準世界選手権レベルの豪華陣容、モラエイの復活に期待/グランドスラム・ブダペスト2020第2日男子プレビュー(73kg級、81kg級)

(2020年10月24日)

※ eJudoメルマガ版10月23日掲載記事より転載・編集しています。
【プレビュー】81kg級は準世界選手権レベルの豪華陣容、モラエイの復活に期待
グランドスラム・ブダペスト2020第2日男子プレビュー(73kg級、81kg級)
→グランドスラム・ブダペスト2020組み合わせ(公式サイト)

■ 73kg級・強豪揃ったハイレベルトーナメント、オルジョフとモグシコフの戦いぶりに注目
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ルスタン・オルジョフ

(エントリー37名)

ヨーロッパ地域を中心に多くの強豪が顔を揃えたハイレベルなトーナメント。シード外にまでラシャ・シャヴダトゥアシヴィリ(ジョージア)やジャンサイ・スマグロフ(カザフスタン)ら表彰台クラスの実力者が漏れ出ており、陣容非常に厚い。第1シードには、これまでに世界大会の2位を3度獲得しているルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)が置かれた。純戦闘力では他の選手から頭1つ抜け出たこの選手が優勝争いの軸だ。今大会目立つ強豪国によるライバル同時派遣は、この階級についてはそれはなし。代表争いの文脈とは関係のない純粋な勝負、力比べの要素が強いトーナメントといえるだろう。

敢えて言えば。出場している強豪がほぼ国内1番手の座を確定している中、ムサ・モグシコフ(ロシア)だけはデニス・イアルツェフ(ロシア)を追いかける2番手選手であり、周りよりも一段高いモチベーションで本大会に臨んでいるという見方は出来る。実力的には十分優勝圏内、この観点から戦いぶりをチェックするのは面白い見方かもしれない。組み合わせ配置はプールA、準々決勝でオルジョフとの対戦が予定されており、これはトーナメント屈指の好カードである。

ほか、オルジョフのワールドツアー久々の優勝なるか、という観点を提供したい。どの大会でも安定して上位に入賞しているオルジョフだが、実は2018年のワールドマスターズを最後に2年近く優勝から遠ざかっているのだ。今回は日本勢やアン・チャンリン(韓国)などこれまで決勝を争って来たライバルたちが出場していない大チャンス。加えて現在戦火の真っただ中にある母国を勇気づけるために奮起している可能性も考えられる。オルジョフはモチベーションの高低が戦いぶりに現れやすいタイプ、まずは初戦の戦いぶりに注目したい。

【プールA】
第1シード:ルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)
第8シード:ムサ・モグシコフ(ロシア)
有力選手:ヴィクトル・ステルプ(モルドバ)

【プールB】
第4シード:トハル・ブトブル(イスラエル)
第5シード:トミー・マシアス(スウェーデン)
有力選手:ジャンサイ・スマグロフ(カザフスタン)、マルティン・ホヤック(スロベニア)

【プールC】
第2シード:アルチュール・マルジェリドン(カナダ)
第7シード:アキル・ジャコヴァ(コソボ)
有力選手:エフゲニー・プロコプチュク(ロシア)、ギヨーム・シェヌ(フランス)、ラシャ・シャヴダトゥアシヴィリ(ジョージア)

【プールD】
第3シード:ビラル・ジログル(トルコ)
第6シード:ヒクマティロフ・ツラエフ(ウズベキスタン)
有力選手:ゲオルギオス・アゾイディス(ギリシャ)、ニルス・スタンプ(スイス)、エドゥアルド・バルボサ(ブラジル)

■ 81kg級 準世界選手権レベルの豪華陣容、モラエイの復活優勝に期待
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サイード・モラエイ

(エントリー43名)

世界大会表彰台クラスの強豪が多数参加、準世界選手権レベルの豪華な陣容である。2017年ブダペスト世界選手権王者のサイード・モラエイ(モンゴル)と2016年リオデジャネイロ五輪金メダリストのハサン・ハルモルザエフ(ロシア)を中心に、ヴェダット・アルバイラク(トルコ)、アントワーヌ・ヴァロア=フォルティエ(カナダ)、フランク・デヴィト(オランダ)、シャロフィディン・ボルタボエフ(ウズベキスタン)らこれぞという実力者がずらり顔を揃えた。シード外にもイヴァイロ・イヴァノフ(ブルガリア)やアンリ・エグティゼ(ポルトガル)などワールドツアーの表彰台常連選手が密度高く配され、序盤戦からいたるところで強豪同士の潰し合いが発生する過酷なトーナメントとなった。

最注目選手はもちろんモラエイ。イラン選手は政治的事情からイスラエル選手との対戦が許されず故意の棄権を政府に強要されてきたが、昨年の東京世界選手権ではモラエイだけが強行出場。大会期間中に当局から凄まじい圧力を受けることなり、ついにそのまま母国イランを出ることを決断した。難民選手団への所属を経て、昨年12月からはモンゴル国籍を取得。この騒動のさなか11月のグランドスラム大阪、12月のワールドマスターズ、今年2月のグランドスラム・デュッセルドルフと3大会に出場しているが明らかに調整不足で一度も本来のパフォーマンスを見せられておらず、今大会での完全復活に期待がかかる。もともとはレスリングの選手であり、代名詞である両袖で相手の懐に潜り込み背中で押し投げる変則肩車(通称「モラエイ」)など独特の技術が代名詞。今大会ではモラエイらしいオリジナリティあふれる柔道を見せてくれるのか、その戦いぶりに注目だ。

もう1人注目選手としてピックアップしたいのは第7シードのボルタボエフ。昨年の東京世界選手権で藤原崇太郎(日本体育大4年)を破った選手といえば覚えている方も多いだろう。以降一段階段を上がって完全に階級の上位に定着、同年9月のグランプリ・タシケントで優勝を飾り、今年2月のグランドスラム・パリでは現役世界王者のサギ・ムキ(イスラエル)を体落からの大外刈「一本」で破って2位入賞を果たしている。柔道スタイルは体の力をベースに接近を繰り返し、威力高く、かつ鋭い技をこれでもかと連発する典型的なウズベキスタンモデル。今大会では初戦でアッティラ・ウングヴァリ(ハンガリー)とディダル・ハムザ(カザフスタン)の勝者、次戦でイヴァノフとヒダヤット・ヘイダロフ(アゼルバイジャン)の勝者と対戦予定。タフな組み合わせだが、地力の高さと直近の大会のハイパフォーマンスぶりに鑑みれば十分に勝ち上がることが出来るはず。東京五輪に向けてまだまだ伸びる選手である。初戦から見逃さずにチェックしておきたい。

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シャロフィディン・ボルタボエフ

【プールA】
第1シード:ヴェダット・アルバイラク(トルコ)
第8シード:アレクシオス・ンタナツィディス(ギリシャ)
有力選手:カモリディン・ラスロフ(ウズベキスタン)、シャミル・ボルチャシヴィリ(オーストリア)、アルファ=ウマ・ジャロ(フランス)

【プールB】
第4シード:フランク・デヴィト(オランダ)
第5シード:ハサン・ハルモルザエフ(ロシア)
有力選手:ダミアン・シュワルノヴィエツキ(ポーランド)、ギルヘルム・シミット(ブラジル)

【プールC】
第2シード:アントワーヌ・ヴァロア=フォルティエ(カナダ)
第7シード:シャロフィディン・ボルタボエフ(ウズベキスタン)
有力選手:アンリ・エグティゼ(ポルトガル)ウングヴァリ ・アッティラ(ハンガリー)ディダル・ハムザ(カザフスタン)イヴァイロ・イヴァノフ(ブルガリア)ヒダヤット・ヘイダロフ(アゼルバイジャン)

【プールD】
第3シード:サイード・モラエイ(モンゴル)
第6シード:アスラン・ラッピナゴフ(ロシア)
有力選手:ロビン・パチェック(スウェーデン)、ウラジミール・ゾロエフ(キルギスタン)

※ eJudoメルマガ版10月23日掲載記事より転載・編集しています。

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