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【プレビュー】絶対王者ビロディド、階級上げて52kg級に電撃参戦/グランドスラム・ブダペスト2020第1日女子プレビュー(48kg級、52kg級、57kg級)

(2020年10月23日)

※ eJudoメルマガ版10月22日掲載記事より転載・編集しています。
【プレビュー】絶対王者ビロディド、階級上げて52kg級に電撃参戦
グランドスラム・ブダペスト2020第1日女子プレビュー(48kg級、52kg級、57kg級)
→グランドスラム・ブダペスト2020組み合わせ(公式サイト)

■ 48kg級 V候補筆頭はクラスニキ、注目はフランスの新鋭ブクリ
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注目の新鋭シリーヌ・ブクリ。

(エントリー22名)

2019年ワールドマスターズ王者のディストリア・クラスニキ(コソボ)が第1シード。さらに2016年リオデジャネイロ五輪金メダリストのパウラ・パレト(アルゼンチン)、イリーナ・ドルゴワ(ロシア)、チェルノヴィツキ・エヴァ(ハンガリー)など世界大会表彰台クラスの強豪が顔を揃え、グランドスラムにふさわしいレベルの高いトーナメントが組まれた。順当シナリオでの優勝候補は、地力で頭1つ抜けているクラスニキ。52kg級でもグランドスラム・パリで優勝を浚うなど好調時のパワーはまさに手が付けられない。しかし、最も注目すべきはフランス期待の新星シリーヌ・ブクリ(フランス)だ。

ブクリは昨年の世界ジュニア選手権で2位入賞。同大会では決勝で古賀若菜(山梨学院大1年)に大内刈で2発投げられての合技「一本」で敗れているものの、今年に入って突如覚醒。グランドスラム・パリでは現役世界王者のダリア・ビロディド(ウクライナ)を相手に先に「指導2」を奪って合計8分間の大接戦を演じ、続くグランドスラム・デュッセルドルフでは渡名喜風南(パーク24)を隅返「技有」で破って優勝を飾っている。柔道スタイルは背中を抱いて密着しながら圧を掛け、強引な腰技や捨身技で仕留めるというパワーを前面に押し出したシンプルなもの。しかしそのパワーが階級屈指の体の力を誇るビロディドと渡名喜に伍するだけの水準に達していること、かつ伸び盛りのジュニア世代であることも考慮すると今後世界大会の優勝争いに絡んでくる可能性も大いにあり得る。組み合わせは2回戦でミリカ・ニコリッチ(セルビア)、準々決勝でクラスニキとチェルノヴィツキの勝者と戦わねばならないかなり厳しい配置となっているが、力を測るという意味ではいずれも恰好の相手。最後の試合から8ヶ月、現時点でどこまで進化しているのか、そして徹底マークされたうえでどの程度の力を出せるのかをチェックしたい。なお、このブクリの準々決勝の対戦相手を決めるクラスニキとチェルノヴィツキの2回戦も序盤戦屈指の好カード。どちらもヨーロッパを代表するパワーファイターであり、迫力のある力と力のぶつかり合いが見られるはずだ。

五輪金メダリストのパウラ・パレトは現役の医師。今回のパンデミックでも最前線で治療にあたる姿がSNS、ネットメディアを通じて幾度か報じられていた。声も拍手も届かぬオンライン視聴ではあるが、ファンの皆様、ぜひその姿を見たら一声その活躍を称え、声援を送ってあげてほしい。

【プールA】
第1シード:ディストリア・クラスニキ(コソボ)
第8シード:ミリカ・ニコリッチ(セルビア)
有力選手:チェルノビツキ・エヴァ(ハンガリー)、シリーヌ・ブクリ(フランス)

【プールB】
第4シード:イリーナ・ドルゴワ(ロシア)
第5シード:シラ・リショニー(イスラエル)

【プールC】
第2シード:カタリナ・コスタ(ポルトガル)
第7シード:サビナ・ギリアゾワ(ロシア)
有力選手:ガンバータル・ナランツェツェグ(モンゴル)、アンドレア・ストヤディノフ(セルビア)

【プールD】
第3シード:ラウラ・マルティネス=アベレンダ(スペイン)
第6シード:パウラ・パレト(アルゼンチン)

■ 52kg級 ビロディドが階級上げてまさかの参戦
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48kg級の絶対王者ダリア・ビロディド

(エントリー23名)

48kg級の現役世界王者ダリア・ビロディド(ウクライナ)が階級を上げてまさかの参戦。これを昨年後半から好調をキープ、グランドスラム大阪では決勝で阿部詩(日本体育大1年)を破ってセンセーションを巻き起こしたアモンディーヌ・ブシャー(フランス)ら、52kg級の有力選手が迎え撃つというのが本階級の構図だ。

ビロディドは身長173センチと、48kg級では文字どおり頭1つ抜けた長身を誇る。この上背の高さが強さの何よりの源泉だが、一方で恵まれた体格ゆえの減量の厳しさも指摘されており、東京五輪後に階級を上げるのではないかとの噂が絶えない。今大会の52kg級出場はあくまでも調整の一環(1週間前までは48kg級でエントリーしていた)と見るが、ファンとしては同時に「東京の後」の可能性を占う恰好の機会でもある。48kg級ではその手足の長さを生かした遠間からの大内刈と「横三角」で一本勝ちの山を築いているビロディドだが、果たして体格のアドバンテージが減じる52kg級でもこの戦い方が通用するのか。全試合必見である。組み合わせ配置はプールC、2回戦でディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン)、準々決勝でラリッサ・ピメンタ(ブラジル)とアンドレア・キトゥ(ルーマニア)の勝者、準決勝でジェフェン・プリモ(イスラエル)とギリ・コーヘン(イスラエル)の勝者と対戦予定となっている。このなかではプリモの力がやや抜けているが、いずれも阿部やマイリンダ・ケルメンディ(コソボ)といったこの階級のトップ選手であれば星を落とすことはないであろう相手ばかり。是非とも決勝まで勝ち上がり、トップの一角であるブシャーに挑戦したいところだ。

一方第1シードに座ったブシャー。肩車から空転して仕掛ける変則の谷落、あるいは練れた組み手と戦いの手札を着実に増やしており、昨秋以降明らかに実力を一段上げている。コロナ禍期間に新たな技術を積んできている可能性もあり、こちらの勝ち上がりにも注目したい。

ほか、注目の対決という意味ではプールD準々決勝で組まれているイスラエル勢同士の対決も面白い。昨年の段階で東京五輪代表はプリモに決定したとの情報があったが、延期を受けて状況が変わったのか今大会はコーヘンとの同時派遣となっている。今回の結果がどの程度イスラエルの代表選考に影響するのかは未知数だが、両者の意地と意地がぶつかりあう気持ちの入った試合が期待できるだろう。

【プールA】
第1シード:アモンディーヌ・ブシャー(フランス)
第8シード:ビシュレルト・ホルロードイ(モンゴル)

【プールB】
第4シード:エヴェリン・チョップ(スイス)
第5シード:アストリーデ・ネト(フランス)
有力選手:プップ・レカ(ハンガリー)

【プールC】
第2シード:ラリッサ・ピメンタ(ブラジル)
第7シード:ディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン)
有力選手:アンドレア・キトゥ(ルーマニア)、ダリア・ビロディド(ウクライナ)

【プールD】
第3シード:ジェフェン・プリモ(イスラエル)
第6シード:ギリ・コーヘン(イスラエル)
有力選手:ファビアン・コッヒャー(スイス)

■ 57kg級 平常運航の高水準トーナメント、優勝候補はクリムカイト
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第1シードはジェシカ・クリムカイト。

(エントリー25名)

女子随一の選手層の厚さを反映し、どんな大会でもトーナメントのレベルが落ちることとない57kg級。平時と比べるとやや薄い印象は否めないものの、今回も水準の高いトーナメントが組まれた。第1シードのジェシカ・クリムカイト(カナダ)を筆頭に、ノラ・ジャコヴァ(コソボ)、ダリア・メジェツカイア(ロシア)、テルマ・モンテイロ(ポルトガル)、ティムナ・ネルソン=レヴィー(イスラエル)ら決勝ラウンドの常連選手が顔を揃えている。ただしこの日行われる他2階級のように大型新人の出現や他階級の王者の参戦といった派手なトピックもなく、あくまでも「いつもどおり」。平常運航の57kg級である。

優勝候補はクリムカイト。東京五輪の代表争いではカナダ国内のレギュレーションに助けられる形で、ライバルの世界王者出口クリスタ(カナダ)との直接対決という一発逆転の大チャンスが控えている。ここでしっかり勝って勢いをつけておきたいところ。組み合わせでは準々決勝でイヴェリナ・イリエワ(ブルガリア)、準決勝でネルソン=レヴィーとカラカス・ヘドウィグ(ハンガリー)の勝者と対戦予定となっているが、いずれも平均点の力を出せればまず負けることはないだろう。

クリムカイト以外で今回注目したいのは昨年のヨーロッパ王者メジェツカイア。体格は小柄だが、パワフルな担ぎ技、そして外から足を回し込む形の切れ味鋭い内股と、威力の高い決め技を持つ好選手。業師の例に漏れず成績こそ安定しないが爆発力はかなりのもの、今回の面子ならば十分に優勝するだけの力を持っている。準々決勝に第2シードのジャコヴァとの対戦が予定されており、これが山場。本階級予選ラウンド随一の好カードだ。

【プールA】
第1シード:ジェシカ・クリムカイト(カナダ)
第8シード:イヴェリナ・イリエワ(ブルガリア)
有力選手:セヴァラ・ニシャンバエワ(カザフスタン)

【プールB】
第4シード:ティムナ・ネルソン=レヴィー(イスラエル)
第5シード:カラカス・ヘドウィグ(ハンガリー)
有力選手:アナスタシア・コンキナ(ロシア)

【プールC】
第2シード:ノラ・ジャコヴァ(コソボ)
第7シード:ダリア・メジェツカイア(ロシア)
有力選手:エレーヌ・ルスヴォ(フランス)、ジェシカ・ペレイラ(ブラジル)、ザブリナ・フィルツモザー(オーストリア)

【プールD】
第3シード:テルマ・モンテイロ(ポルトガル)
第6シード:カヤ・カチェラ(スロベニア)
有力選手:サンネ・フェルハーヘン(オランダ)

※ eJudoメルマガ版10月22日掲載記事より転載・編集しています。

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