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女子五輪代表、12月のGPザグレブ派遣を視野 (増地克之監督コメント要旨)

(2020年10月22日)

※ eJudoメルマガ版10月21日掲載記事より転載・編集しています。
女子五輪代表、12月のGPザグレブ派遣を視野 
増地克之監督コメント要旨
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オンラインで取材に応じた増地克之監督

女子日本代表の増地克之監督が21日、オンラインで報道陣の合同取材に応じ、女子五輪代表の現状と今後について語った。

五輪代表は9月から月1回の個別分散合宿を実施して強化中。まだ全体合宿の見込みは立っていないが、増地監督は今後について、12月に実施と発表されているグランプリ・ザグレブへの選手派遣の可能性を示唆した。これまで年内の国際大会派遣は見合わせる方針であったが、政府が帰国者の待機措置を緩和したため、再度派遣が俎上に上がっているとのこと。78kg級の濵田尚里ら「すぐにでも試合がしたい」と訴える選手もおり、スタッフ・コーチなども含めて要件が揃えば、参加は十分現実的。実現すれば五輪代表決定以降、日本代表初めての試合参加となる。

また、先日引退を表明した近藤亜美選手について問われると「48kg級をここまでよく引っ張ってくれた」とその労をねぎらい、「保育士を目指すという話を聞いた。柔道で培った経験を新たな舞台で生かして、思いやりのある。子どもたちをしっかり育てられる保育士になってもらいたい」とエールを送っていた。

増地監督のコメント要旨は下記。

―― 女子代表の活動の現在、合宿などの予定について。

9月くらいから各所属とも動きがとれるようになりましたので、月1回の頻度、1週間の期間を目安に、担当コーチを中心に個別分散合宿を実施しています。JOCの関連施設で高地トレーニングをしたり、稽古をやったりする選手もいますし、自分の所属で稽古をして、所属が受け入れを許可してくれれば、そこに担当コーチや私が出向いて選手の状況を把握するという形を採っている場合もあります。全体合宿についてはもちろん条件が揃えば実施したいのですが、女子の場合は練習相手を用意するという部分でのハードルの高さがある。たとえば重量級の素根には男子の練習相手が必要ですし、軽量級の渡名喜や阿部は女子の軽量級の相手をある程度の人数用意しなければならない。なかなか全員が同時に満足するような練習環境はみつからないのが現状です。本来はNTCにほかの所属の選手を呼んでやれれば一番良いわけですけど、これはあくまで状況を見てという形になります。ですので、まず、合宿というよりも1度再スタートということで1日ないしは2日の短期間、オリンピックに向けてどうやっていくかという情報共有の機会を設けたい。これは年内に、練習とは別に1度やりたいと思っています。チームとしてオリンピックを戦うということをもう1度再確認したい。

――― 3月に五輪の延期が決定しました。1年以上先を見据えて準備するのは大変だと思います。モチベーションの維持に関して、気を遣ったことは?

選手たちも延期が決まった直後はなかなか受け入れがたい部分があったと思いますけど、こればっかりは我々ではどうすることもできませんので、まずは自分の足元、現実を見据えて、いまやるべきことが何かを明確にして1つ1つやっていくしかないと話しました。あとは、せっかく与えられた時間なのでいかに有意義に使うかという話をしました。海外の選手たちは日本選手を徹底マークしてきますので、勝つために新たな武器、新たな技を身に着けようと選手たちにも話をして、とにかくこの期間も前向きに進めていこうと伝えました。

―― 監督の目から見た代表選手の現状をそれぞれ教えてください。

78kg超級の素根は11月にオリンピック内定が決まって、本当に順調にやってきたんですけど、柔道に専念したいと所属をやめて、地元の南筑高校で練習に励んでいるという状況です。今後の試合に関してはあくまで本人の意思を尊重しますが、一番長く試合から離れている選手ですので、試合勘という意味でも、早めに試合に出場させたいとは思っています。ただ、本人と話すと、試合から離れることには不安は感じていないとのこと。逆に、地元に帰って、ここまでやってきた練習メニューやトレーニング内容を自分自身で行えるということで、すごく前向きです。78kg級の濵田は、すぐにでも試合がしたいという状況です。先日も自衛隊体育学校に行って状態を見て来たのですが、コンディション的にも不安はなくいますぐにでも試合に出られる仕上がりと見受けました。寝技も粘り強く練習していた。立ち技から、様々なバリエーションでいかに寝技に持ち込むかを研究している。70kg級の新井は今月と先月、2回ほどNTCで個別分散合宿を行いました。目的は、まず自分をもう一度客観視しようということ。ストレングスコーチと、JISSの研究員にもご協力頂いて、自分の動きを映像に撮って、色々な角度から客観視して自分の柔道に生かそうとしています。あとは無酸素的な能力もしっかり測定して、新たな課題をみつめなおして取り組んでいます。技術的には昨年の世界選手権でポイントを取られた場面など、問題があったと思われるシーンをもう1度見直してしっかり研究しています。63kg級の田代は、新井同様JISSで自分の動きを客観視するデータを取りました。2回ほど高地トレーニングを行って、現地スタッフの協力のもとで。自分の今の能力をしっかりデータとして表して頂いて、これをもとにして作ったトレーニングメニューを所属に帰っても続けています。57kg級の芳田は所属が同じということもあり、ほぼ田代と同じメニューに取り組んでいます。万全の状態で試合に臨めるように、自分の体力的な部分をしっかり見つめなおした。芳田に関しては2月のグランドスラム・デュッセルドルフを怪我で欠場したのですが延期で与えられた時間が怪我を治すのに非常に役立った。いまは万全の状態で練習に取り組んでいます。52kg級の阿部は報道にもあった通り新たな技、低い背負投に取り組んでいます。まだまだ本人にとっては十分ではないかもしれませんが、柔道の幅を広げようとしている。コンディションとしてはすぐにでも試合に出られる状態だと思います。世界チャンピオンとしてプライドをしっかり持って練習に励んでいます。48kg級の渡名喜はとにかくビロディドに対してどう戦うかを考えている。所属でも自分より3階級上の相手と乱取りに取り組んでいる状況です。相手の懐に入っていく技や、奥襟をいかに持たせないようにするか、こういったことを課題にしっかり練習に取り組んでいます。

――― 高地トレーニングの狙いは?

心肺機能、ヘモグロビンが増えて酸素運搬能力が高まると言われているようなことももちろんありますが、まず1つ、環境を変えること自体が狙い。いつも同じ環境でやるのではなく、新たな挑戦というか、目先を変えることも大事なことだと思っています。もう1つは専門的な施設で活動することで、自分の現状をしっかり知るということ。科学的なデータと指標を得て、トレーニング法もしっかりアドバイス頂いて、所属に帰っての稽古に生かすことが出来たと思います。

―――すぐにでも試合に出たい選手がいるとのこと。今後の国際大会の予定は?

政府のほうから、代表選手の海外渡航に関して色々な制限が掛かっている状況。ただ、帰国後2週間の隔離が緩和されて、公共交通機関を使わねば、自宅と練習場の往復はすぐ認められる。ただこの条件、選手ではなく帯同するスタッフにとっては難しい。たとえば大学の教員は、帰ってきてすぐ大学で授業が出来ないわけです。とはいえ万が一の怪我の対応もあるし、選手1人で行かせるわけにはいかない。逆に言うと、そのあたりがクリア出来ればすぐにでも海外に行かせたい。グランドスラム・ブダペストには派遣がありませんが、12月にはグランプリ・ザグレブが開催されるという情報があります。条件が整えばそのあたりも視野に入れていきたい。

―――当初、年内は国際大会の派遣はないという方針だったと思いますが、判断が変わって来た?

政府が、海外渡航する選手スタッフに関し、帰国後2週間の隔離措置を緩和している。自宅それをもとにもう1度考えてはどうかという話にはなって来ている。ただ今言った通り、選手はともかくスタッフの問題がありますので、これから調整です。基本的には選手が希望して、条件が整った場合は派遣となります。ブダペスト大会の様子も判断材料になりますので、まずこれを見てからです。

―――もっとも長く実戦から離れている、素根選手については?

本人はオリンピックに向けて2つくらい試合に出たいと言っています。時期についてはオリンピックから逆算して決めていくわけですが、ただ試合がいつ開催されるかわかっていない。いまのところ1月のワールドマスターズまでしか予定が明らかになっていないので、まだ決められない。ザグレブも、おそらく見送ると思います。

―――講道館杯への期待をお願いします。

講道館杯、本当に久々の試合ということで選手たち非常に楽しみにしていると思います。ただ、怪我のない、そしてコロナの感染者を出さない、安心な安全な大会になることを希望しています。オリンピック代表は出場しませんが、東京オリンピック後の大会、世界選手権に向けて新たな選手の台頭もみていきたいなと思います。限られた人数の中で全員にチャンスがある。それをものにしてもらいたいと期待しています。

――― 48kg級の近藤亜美選手が引退を表明しました。

19歳で世界チャンピオンになって華々しいデビューを飾って、48kg級をここまでよく引っ張ってくれたと思います。リオ前とリオ後で、明と暗に分かれたなとすごく感じます。リオまでは勢いで駆け上がり、銅メダルを取り、その後は近藤が中心と誰もが思っていたと思いますが、リオの後は思い通り自分の柔道が出来なかった印象を受けています。リオまでは追いかける立場、東京に向けては追いかけられる立場、そのあたりの難しさがあったのではないでしょうか。報道で保育士を目指すという話を聞きました、柔道で培った経験を新たな舞台で生かして、思いやりのある。子どもたちをしっかり育てられる保育士になってもらいたいなと思います。本当にご苦労様でしたと言いたいです。

※ eJudoメルマガ版10月21日掲載記事より転載・編集しています。

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