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代表合宿再開、井上監督「チーム一丸で五輪へ」(井上康生監督コメント要旨)

(2020年10月17日)

※ eJudoメルマガ版10月16日掲載記事より転載・編集しています。
代表合宿再開、井上監督「チーム一丸で五輪へ」
井上康生監督コメント要旨
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久々の代表合宿、ひときわ存在感を見せた73kg級代表の大野将平
(提供:全日本柔道連盟)

新型コロナウイルスの感染拡大以降実施されてなかった日本男子代表の合宿が都内で再開され、指揮を執る井上康生監督が16日、オンラインで報道陣の取材に応じた。

井上監督は「五輪に向けて気持ちを引き締め直すきっかけ」とこの合宿を位置づけ、「選手がこの(コロナ禍の)期間中、しっかりやるべきことをやってきたなという姿を見られている」と手ごたえを語った。インタビューの中で選手の様子を問われるとチームの核である大野将平について言及、「存在感が凄い。リーダーシップを発揮して背中でチームを引っ張るだけでなく、技術面やメンタル面などで情報交換もしていて、頼もしい」と讃えていた。

合宿は都内で12日から17日まで都内で実施。東京五輪の代表が内定してから合宿が行われるのはこれが初で、6階級の代表のほか、66kg級の丸山城志郎(ミキハウス)が参加している。

井上監督のコメント要旨は下記。今後の海外派遣や強化計画についても言及している

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オンラインで取材に応じた井上康生監督

井上康生監督のコメント

――合宿再開、久々選手が集まりました。

久々の全体合宿、選手たちもコーチ陣もスタッフもあらためて五輪に向けて気持ちを引き締め直す良いきっかけになっていると思います。選手もトレーニングに稽古にと非常に意欲的ですし、この期間中やるべきことをやっていたなという姿を見ることが出来ましたので、安心しましたし、嬉しく思っています。制限がある中ではありますが、選手の動きからも、集まってやれることの喜び、合宿をやれる喜びを凄く感じます。チーム一丸となって、ここから先も続けてやっていこうとあらためて強く思いました。

――合宿の狙いは。

最初の合宿でもありますので、強化というよりもオリンピックにむけて1つにまとまり、戦っていこうという気持ちを持ってもらうこと。来週にもグランドスラム・ブダペストが開催されてまた国際大会が始まることになって、柔道も動き出しています。その中で、出来る範囲の中で五輪に向けて準備をしていきたいと考えた上で、合宿を組ませてもらいました。安全面については医科学委員会のガイドラインに従って行動制限を守り、マスクの着用や消毒の徹底などの細かいこと、当たり前のことを1つ1つ行っています。

――内容やスケジュール、これまでと変えている部分は?

コロナ禍の中でこれまでの練習環境にそれぞれ差があり、選手によって課題も違います。大まかなメニューは統一していますが、その部分は担当コーチとも話し合って柔軟に対応し、選手の状態に合わせて様々なことをやっています。ただ、これまでも選手が自発的・、自律的に動くチームを作るという方針でやって来ましたので、これは特別なことではなく、いままでと同じやり方であるとも言えます。全体的な練習強度としては乱取りまでしっかり行っています。

――半年以上合宿がない、試合がない状況が続きました。

選手たちにとって、非常に厳しい環境であったと思います。五輪があることを信じて戦っていますが、それすらいまも100パーセント確実というわけではありませんし、色々な葛藤があるのは間違いない。しかしそんな中でも選手は自分の信念を持って、いま出来ることを積み重ねながら前に進んでいます。見ていて頼もしい。今回合宿をしてみて感じるのは、選手たち同士が刺激をし合うことの力の強さ。我々コーチもこれまで鼓舞する言葉を掛けて来たんですけれども、同じ目線を持った選手たち同士が掛け合う言葉、見せる姿の影響力はやはりまったく違う。特にこのチームの核的な存在である大野の存在感が凄い。技術的な指導や、トレーニング法やメンタル的なものの情報交換はもちろん、彼自身の練習する姿、背中を見せることでチームを引っ張っている。彼のリーダーシップは大きいと感じます。これからも、監督・コーチとして仕事はまっとうしていきますが、こうやって選手同士が刺激し合って前に進んでいくことを後押ししていきたい。

――他に練習の動きを見ていて印象に残った選手は?

皆さんご存じの通り、それぞれが良いキャラクターを持っていて、一概にこれがいいあれがいいとは言いづらい。60kg級の髙藤はこの期間トレーニングも練習も非常に考えてやって来たなと感じます。ミーティングで話をしていても、オリンピックまでどういう段階を踏んでいくか、きちんと設定出来ていることがよくわかりました。81kg級の永瀬は何も言わずに黙々とトレーニングや稽古を詰めていくタイプ。制限のある中でもブレずにしっかり準備してきた姿を確認出来ました。90kg級の向に関しても、他とは違った形ですが、彼らしい姿を見ることが出来ています。まだまだ積まなければいけないことはありますが、順調に進んでいます。100kg級のウルフは拠点の東海大の練習再開が少し遅れた部分があったのですが、動き、そして体組成を見る限りトレーニングをみっちり行ってきたことがわかる。ここから練習の強度を徐々に上げていけばしっかり整っていくと感じます。100kg超級の原沢に関しては永瀬と似た印象。やるべきことをしっかりやった上で乗り込んで来ていますし、非常に力強さを感じさせる稽古をしています。もう1つ2つ、技術力を備えていきながらレベルアップを図りたいと思っています。

――この先の強化計画について、合宿は定期的に行うのか?

世の中の状況を見ていかなければいけませんし、国際大会のスケジュールがどのような形で定められるかを見極めなければなりませんが、代表合宿は定期的に行っていきたい。国内の合宿はもちろん、選手からの要望もありますので、国外合宿も視野に入れています。国によって状況がかなり違いますので、安全面を十分考慮した上で検討したい。国際大会に関しては今のところ来週のグランドスラム・ブダペスト、11月のアジア選手権、12月のグランプリ・ザグレブ、1月のワールドマスターズまでが定められたという情報ですが、どこでどうなるかまだわからない。突然のキャンセルや変更も想定しながら進めていくしかありません。所属の練習も重視しつつ、全体合宿も定期的に組み込んで、それぞれの選手にあった様々なプログラムを考えながら進めていきたい。

――年内、国際大会の参加はないと聞いています。参加はいつになるか、また実戦から離れることでの選手の不安はありますか?

そもそも大会のスケジュール自体が明確でない部分がありますし、選手個々によって実戦機会の捉え方も違いますので、なかなかここから出ますとは言えない部分があります。ヨーロッパシリーズが例年の通りの時期にあるのか、いつ発表されるのかでも変わって来ますし、いま確実なことは言えません。実戦から離れる時間が長くなっていることに関しては、オリンピックまでには皆何回か大会出場を想定しているのでそこまでの焦りはないと思います。ただ本番一発勝負はかなりのリスクがありますので、大会自体が開催されないとなると、国内で試合を設定するなど何か努力が必要。現状では、オリンピック云々というよりはまず国際大会に出ることを視座に、練習の中に実際の試合に近いメニューを組み込むことで調整していきたい。ルールなど試合に対する感覚を取り戻すことも大事ですし、試合では体の使い方が変わってくることによる怪我のリスクも出てきます。今回の合宿では乱取りの中にいわゆる「一本勝負」を組み込んだりしていますが、来月からは例えば審判を入れての練習試合など予行演習的なプログラムも考えています。

――国際大会のポイントは、シード順や出場権にも絡みます。

たとえば来週のブダペスト大会は、全世界の選手が公平に出られる環境かというと決してそうではない。この大会の成績がきちんとポイント化されるかということについても、いまだペンディングの状況という情報が入っています。もちろん本番までに必要なポイントはしっかり逆算しなければいけませんが、この状況でポイントを取る事だけを目的にすると全体のバランスが崩れてしまいます。試合が出来るコンディションを作ったり、出るための状況を整えたり、計画的にポイントを取ることを考えたり、トータルで考えて冷静にスケジュールを定めていきたい。

――合宿の参加メンバー、66kg級に関して。

66kg級の2人に関しては、参加は任意です。12月に試合があることを前提に、それぞれ練習スケジュールの希望を聞きました。結果、阿部は別の日に違うメニュー、異なるプログラムでやるという要望があり、丸山は参加するという形になりました。

――講道館杯の組み合わせが出ました。大会への期待は。

まず、このコロナ禍の中でも安全に柔道がスタート出来ると証明できる大会になればいいと思っています。選手によっては練習環境に差があるかもしれませんが、その中でも、今までやってきたことを存分に発揮してもらいたいと思っています。

――66kg級の代表決定戦が迫る2人に関して。

練習の姿を見ても話をする中でも、どんな環境だろうがどんな相手だろうがもう勝つしかないという凄まじい覚悟を感じます。お互い状況を理解して日々を送っていることがよくわかっていますので、あらためて言うべきことはない。最後の戦いをしっかり見守る、そのくらいしかいまのところ言葉はありません。

※ eJudoメルマガ版10月16日掲載記事より転載・編集しています。

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