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講道館杯組み合わせ発表、男女14階級ひとこと評

(2020年10月16日)

※ eJudoメルマガ版10月16日掲載記事より転載・編集しています。
講道館杯組み合わせ発表、男女14階級ひとこと評
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16日に公開された大会ビジュアル

16日、「講道館杯全日本柔道体重別選手権大会兼全日本選抜柔道体重別選手権大会」(10月31日~11月1日、千葉ポートアリーナ)の組み合わせが発表された。

男女ともA強化選手(東京五輪代表内定選手および66kg級候補選手)の出場はなし。B強化選手がトーナメントの中軸を張り、これにC(ジュニア)強化選手を加えたところまでがエントリー枠の下限というのがこの、おそらくは1回こっきりの「兼全日本選抜柔道体重別」大会のメンバー構成。B強化選手のうち、最後まで五輪代表の座を争った2番手選手が出場するかどうかは階級ごとにまちまちである。女子は7階級中6階級でこの位置づけの選手が出場、男子は重量3階級のみ。

出場人数を絞っただけあって平均レベルは上がり、大会名そのまま「常の講道館杯の上位対戦+選抜体重別」という印象。規模こそ小さくなったがこの濃さを以て「地獄の講道館杯」は今回も健在といっていい。勝ち上がるのはやはり至難の業である。


→2020年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会兼全日本選抜柔道体重別選手権大会 組み合わせ
(全日本柔道連盟ウェブサイト、PDFファイル)

■ 男子
五輪代表レースを最後まで争った60kg級の永山竜樹(了徳寺学園職)と73kg級の橋本壮市(パーク24)、81kg級の藤原崇太郎(日本体育大4年)は欠場。一方で90kg級は村尾三四郎(東海大2年)が出場、100kg級は羽賀龍之介(旭化成)に飯田健太郎(国士舘大4年)が挑むという豪華陣容となり、100kg超級も今年のグランドスラム・パリでテディ・リネールを破った影浦心(日本中央競馬会)が第1シードで出場する。羽賀・飯田の100kg級はもちろん、特に目を引くのは村尾に増山香補(明治大4年)、田嶋剛毅(パーク24)と次代を担う面白い若手が揃った90kg級。階級変更選手としては長年60kg級を引っ張った志々目徹(了徳寺学園職)の66kg級転向がひときわ目立つ。

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青木大

【60kg級】 エントリー19名

永山竜樹が欠場。トーナメントの軸は2連覇を狙う青木大(パーク24)と古賀玄暉(日本体育大4年)の、昨年のファイナリスト2人という形になる。第3、第4シードは昨年3位の福田大悟(鹿屋体育大3年)と竪山将(パーク24)の2人がそれぞれ座った。若手では近藤隼斗(国士舘大1年)に注目。高校最終学年は出場大会を絞っていたこともあり、コロナ禍の有無に関わらず試合はかなり久しぶりの印象。昨年この大会2回戦で青木に敗れて以来の実戦である。

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相田勇司

【66kg級】 エントリー22名

第1シードは昨年の優勝者で、グランドスラム東京でも3位入賞した相田勇司(國學院大3年)。この階級は五輪代表を争う阿部一二三と丸山城志郎に続く次の階層が年ごとに勝ったり負けたりを繰り返す団子状態となりつつあるが、昨年そこから頭1つ抜け出した若い相田がこの位置を今年も続けられるかが大きなテーマ。相田以下のシード選手は昨年2位の西山佑貴(警視庁)に、磯田範仁(国士舘大職)、田川兼三(学習院中等科教員)。V候補筆頭の相田の初戦の相手が橋口祐葵(パーク24)ということでわかるとおり、トーナメントの密度はかなり濃い。

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海老沼匡

【73kg級】 エントリー21名

橋本壮市が欠場。第1シードは昨年グランドスラム大阪で優勝して国際戦線に返り咲いた海老沼匡(パーク24)が張り、第2シードには昨年驚きのパフォーマンスで初優勝をさらった原田健士(日本体育大4年)が座った。第3シードには再び国際大会の一線進出を狙う立川新(旭化成)が入り、この3人がそのままV候補と言える。原田は国際大会が2月で閉じられてしまった不運もあって昨年の優勝をキャリアに生かし切れておらず、かつて代表の一線で戦った立川も立ち位置を派遣ラインギリギリまで後退させている。それぞれ負けられない事情を負った戦いである。3者いずれの山にもハードルとしてひと癖ある選手が置かれたが、力関係や相性までを考えると勝ち上がりの難易度はほぼ同等。

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友清光

【81kg級】 エントリー23名

昨年度の世界選手権代表・藤原崇太郎は出場せず。昨年度大会の覇者友清光(国士舘大4年)が第1シード、2位の小原拳哉(パーク24)が第2シードに座ることとなった。これに第3シードの2018年アジア大会代表佐々木健志(ALSOK)を加えたところまでが優勝候補、第4シードの長島啓太(日本中央競馬会)の直下に配された丸山剛毅(パーク24)が後を追うという勢力図。連覇を狙う友清には直下に同学年の学生王者・渡邊神威(東海大4年)が配され、まずこれを退けるというミッションが課された。有力選手は枚挙に暇がないが、竹市大祐(国士舘大)、小畑大樹(筑波大)、菅原幸大(日本体育大)、大竹龍之介(日本体育大)と好選手揃った大学1年生の活躍には注目。

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村尾三四郎

【90kg級】

東京五輪代表向翔一郎(パーク24)が欠場、さらにリオ五輪の金メダリスト・ベイカー茉秋(日本中央競馬会)も出場しないが、第1シードの村尾三四郎(東海大2年)を筆頭に実に魅力的なトーナメントが出来上がった。村尾とともに次代を担う田嶋剛希(パーク24)と増山香補(明治大4年)、さらに前田宗哉(自衛隊体育学校)を加えたシード選手4人がいずれも豪快な投げを売りにするタイプで、上位対戦は「一本」決着必至。日本の90kg級の「次」どころか「今」を決すると言っていい、ハイレベルトーナメントである。

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飯田健太郎

【100kg級】

飯田健太郎(国士舘大4年)と羽賀龍之介(旭化成)が2強。配置は第1シードが飯田、第2シードが羽賀という形である。飯田の山には業界きっての試合巧者垣田恭兵(旭化成)が配されており、対戦あればこの3回戦がトーナメント最大の変数。羽賀の方には昨年のファイナリスト西山大希(日本製鉄)あるいは石内裕貴(旭化成)というハードルが課されたが、いずれも本格派で相性としては噛み合う印象。階級の上位メンバーが硬直化しつつある中で、後藤龍真(東海大4年)ら学生勢の中にこれを突き崩すスケールの選手が現れるかどうかにも注目である。

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影浦心

【100kg超級】

次代のスター斉藤立(国士舘大1年)のが欠場し、率直に言ってファン視者点からの面白みは一段下がってしまった。とはいえB強化選手の欠場は斉藤1人のみで、五輪代表を最後まで争った影浦心(日本中央競馬会)をはじめ、シニアの一線級がほぼあまねく顔を揃えて陣容は豪華である。シード順は上から影浦、昨年王者の熊代佑輔(ALSOK)、佐藤和哉(日本製鉄)、香川大吾(ALSOK)。小川雄勢(パーク24)や王子谷剛志(旭化成)がBシードに回るという分厚いトーナメントとなっている。以後の国際戦線はもちろんであるが、それ以上に12月に控える全日本柔道選手権を占う上で目が離せない対戦が目白押し。

■ 女子
男子と少々様相が異なり、五輪代表レースを最後まで争った選手がほぼ全員参戦。角田夏実(48kg級・了徳寺学園職)、志々目愛(52kg級・了徳寺学園職)、玉置桃(57kg級・三井住友海上)、鍋倉那美(63kg級・NAWACLUB)、大野陽子(70kg級・コマツ)と新添左季(70kg級・自衛隊体育学校)、そして梅木真美(ALSOK)と、78kg超級以外の全階級でこの位置の選手がエントリーしている。階級変更選手としては、48kg級に階級を下げた52kg級のB強化選手・立川莉奈(福岡県警察)が目立つ。

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角田夏実

【48kg級】 エントリー14名

もと52kg級世界選手権銀メダリストで、1月にはこの階級でもワールドツアー大会初制覇を成し遂げた角田夏実(了徳寺大職)が優勝候補筆頭。角田が第1シード、古賀若菜(山梨学院大2年)が第2シードに座って対抗する山組みとなった。
リオ五輪代表の近藤亜美(三井住友海上)が現役引退を表明して出場せず、昨年2位の渡邉愛子(東海大2年)も姿を見せぬ中、続く第3、第4シード選手には小倉葵(岡山県警察)と遠藤宏美(ALSOK)がそれぞれ配された。
階級変更の立川莉奈(福岡県警察)は2戦目で角田と戦う位置に配されるという過酷な引き。52kg級からの変更者枠は1つで十分とでも言わんばかりのこのハードルを乗り越えぬ限り、以後の出世は難しい。

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志々目愛

【52kg級】 エントリー10名

第1シードの志々目愛(了徳寺大職)がV候補筆頭。実力的にも実績的にも頭1つ抜けている。昨年の優勝者内尾真子(自衛隊体育学校)が欠場、2位の立川莉奈も48kg級に移ってファイナリスト2人が不在となった中、対抗馬としては第2シードの前田千島(三井住友海上)と第3シードの武田亮子(龍谷大3年)が挙げられる。メジャー国際大会の経験者はここまでで終了。リオ―東京期における「金メダル級のトップ3が突出して、他は大きく引き離されての混戦」という構図がエース阿部詩のいないまままっすぐトーナメントに反映され、率直に言ってかなり華やかさに欠ける陣容となった。昨年ジュニア世代で勝ちまくった川田歩実(修徳高)が欠場しており、若手の期待株という観点からもみどころは薄い。エントリー人数も僅か10名に留まり、注目すべきは志々目の勝ちぶり1つと言っても過言ではないだろう。

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玉置桃

【57kg級】

五輪代表芳田司(コマツ)を除いた有望選手がほぼあまねく顔を揃えた。第1シードの玉置桃(三井住友海上)、第2シードの舟久保遥香(三井住友海上)と並んだ2人の国際級を筆頭にB強化選手が全員参戦。ジュニア世代からも中水流りり(早稲田大1年)に袴田佳名瑚(桐蔭横浜大1年)、五十嵐日菜(国士舘高3年)、江口凛(桐蔭学園高2年)と才能ある個性派が顔を揃えて若手枠も充実。この枠には63kg級から階級を下げた浦明澄(日本体育大2年)も加わった。みどころ多い階級である。

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鍋倉那美

【63kg級】 エントリー15名

昨年のワールドマスターズの覇者・鍋倉那美(NAWA CLUB)と、グランドスラム大阪を制した土井雅子(JR東日本)が2強。もちろんそれぞれ第1シードと第2シードに配されている。この2人の勝ち上がりという規定ラインに、昨年躍進の幸田奈々(自衛隊体育学校)や「上位潰し」を担い得る粘戦ファイター佐藤史織(ミキハウス)らが絡むという構図。国際経験で群を抜く両シード選手が重囲をどう跳ねのけるかが、トーナメントを貫く大きなみどころである。所属を飛び出したばかりの鍋倉が心機一転、どのようなパフォーマンスを見せるかにはひときわ注目したい。

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大野陽子

【70kg級】 エントリー14名

グランドスラム大阪とグランドスラム・パリを立て続けに制した大野陽子(コマツ)と、アジア大会金メダリスト・新添左季(自衛隊体育学校)の国際実績豊かな2人が本命。第3シードの田中志歩(環太平洋大4年)がこれに割って入らんとするというのがトーナメントの大きな骨組みである。有力選手数あれど、事前予測の段階ではこの構図は覆しようがない。若手では桑形萌花(須磨学園夙川高3年)に期待。

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梅木真美

【78kg級】 エントリー13名

人数が絞られたことで階級の特性がハッキリ出たというべきか。新人からベテランまでエントリー選手のほとんど全員が強烈な一発を持つ撃ち合い型であり、退屈な組み合わせが極端に少ない。一般社会目線でのネームバリューから言えば地味かもしれないが、実は投げて投げられてのエキサイティングな展開が期待できるなかなか面白いトーナメントである。3連覇を狙う梅木真美(ALSOK)の充実が伝えられる中、第2シードの泉真生(コマツ)と世界ジュニア2連覇者・和田梨乃子(NAWA CLUB)がどこまで食らいつくか、が事前に持っておくべき大きな構図であるが、それ以上に各人個々の「勝負」自体を楽しみたい階級。

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冨田若春

【78kg超級】 エントリー13名

ここ数年間2トップとして最重量級を牽引してきた素根輝と朝比奈沙羅が欠け、少々スケール感に欠けるトーナメント。シード順の序列通りに、連覇を狙う冨田若春(コマツ)が優勝候補筆頭。昨年度の学生王者児玉ひかる(東海大2年)と一昨年この大会を制した秋場麻優(ALSOK)がこれに挑むという構図となっている。

※ eJudoメルマガ版10月16日掲載記事より転載・編集しています。

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