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大会支えた名張高・稲澤真人監督に聞く/名張高等学校柔道強化親睦大会

(2020年9月23日)

※ eJudoメルマガ版9月23日掲載記事より転載・編集しています。
大会支えた名張高・稲澤真人監督に聞く/名張高等学校柔道強化親睦大会
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主管事務を担った地元・名張高チームは3年生の部で優勝を果たした。

令和2年度の高校柔道シーンは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、3月の全国高校選手権、夏の金鷲旗にインターハイと全ての全国大会が中止。辛うじて各県の代替大会が行われるという厳しい状況の中、3年生の「区切り」を創り出すべく、全国から強豪を集めての親睦大会が開かれた。

三重県名張市で9月19日から4日間に亘って開催された「名張高等学校柔道強化親睦大会」(主催・名張自動車学校)。主管者として大会を切り回した名張高監督・稲澤真人氏に話をお聞きした。

――― 大会開催の経緯を教えてください。

コロナウイルスの感染拡大の影響で、3年生にとっての最後の大会がなくなってしまった。同じ高校3年生でも1月や2月に全国大会が出来た競技もあるし、野球は甲子園で試合が出来たりもしている。柔道でも、なんとか区切りになる大会をやってあげたかった。何か指導者で出来ることはないかと、いつも一緒に合宿をしている先生方と電話でやりとりをして、6月くらいから準備を始めました。

――― 各県で感染状況も違う中、企画の段階からかなりの苦労があったのでは。

国全体の感染状況があり、その中で全日本柔道連盟のガイドラインがあり、その中で各県それぞれで出来る稽古の段階も違う。どの時期、どの場所がベストかと毎日議論を重ねました。当初はインターハイと同時期の8月9日に開催を決定。三重県は6月から学校が再開されており、この日程であれば「段階1」開始から2か月半の時間が経っている。順調であれば十分試合が出来る状況と見込みました。この段階では参加校も15校集まっていました。

――― 1ヶ月延期となったわけですね。

8月3日に開催地である三重県が県独自の緊急警戒宣言を出しました。これを受けて県の教育委員会から夏季休業期間の大会・合宿を延期あるいは中止するようにとの通達がありました。大会開催の噂を聞きつけた外部の第三者から「とんでもないことを考えるな」などとお叱りの電話も幾度かあり、ガイドラインに則って適切に対応させていただきますと丁寧に対応を続けたものの、実施の難しさを痛感しました。結局大会3日前に延期を決断することとなりました。ルールを破るわけにはいきませんから。

――― 延期を受けて、レギュレーションも変更。

9月開催となるとどこも新チームがスタートしています。本当に大会が出来るかどうかがわからない中で3年生にいつまで部活動を続けさせるかは各校判断が分かれるところでしょうし、県によってはもう地区の新人戦がスタートしてしまいますので、2年生に稽古の比重を移さねばなりません。また、なにより、この状況で1ヶ月延期するというのは生徒にとって精神的にも大変なこと。本校では、3年生にもう1回踏ん張ってくれ、あと1ヶ月気持ちを切り替えてしっかりやってくれと話して、なんとかここまで辿り着きました。参加校は団体戦が7校とかなり減ってしまいしたが、3年生の部を5人制から3人制に変更、毎試合オーダーチェンジ可能とするなど、少しでも多くの学校、生徒に参加してもらえるようにと、パンフレットの印刷を止めて最後の最後までまで調整を続けました。

――― 一方で、ガイドラインの順守を徹底したそうですね。

発起人の1人でもある米冨和郎先生が指導する比叡山高校が参加の予定でしたが、滋賀県柔道連盟から「稽古段階を『3』から上げてはならない」と通達があり、「段階4」が必要な試合参加は取りやるめことになりました。そんな中で、直前に、21日からは「段階4」を認めるとの知らせがありました。大会開始日と2日違いで大会期間内ではありますが、ここは徹底してルールを守るということで、我慢して頂きました。京都学園高校は試合の4日前になって、大会初日の19日から「段階4」に稽古段階を上げられることになった。稽古不足で団体戦のみの参加となりましたが、これも「段階3」のままであれば参加は見送りの予定でした。

――― 大野将平選手が合同稽古にゲスト参加しました

自分が天理大のOBであるという縁もあり、高校生の思い出に残る大会にしたいと相談させて頂いたところ「五輪が延期になっている中でもあり、自分なりにこの状況で高校生にお話しできることもあるかと思う」と快諾を頂きました。試合前日の合同練習で高校生に胸を貸してくれ、大外刈の技披露、講話とフルに力を貸していただきました。本当にありがたいことで、生徒の胸にも強く響くものがあったと思います。…また、普段からやりとりをしている比叡山高の米富和郎先生、神戸国際大附高の長澤伸昭先生、初芝橋本高の森泰伸先生たちと「思い出に残るようなイベントが出来ないか」と話し合って、「唄う柔道家」として活動している高松太地さんに閉会式で歌を披露して頂きました。真剣に戦いながらも、こういう、思い出に残るようなことが出来ないかと心を砕いた次第です。

――― 生徒さんたちは、大会を楽しんでいましたか。

3年生は正直に強いなと思わせてくれる試合を見せてくれましたし、躍動感も思った以上。生徒たちには密になるな、あまり喋るなと言っておいたのですが、それでも漏れ聞こえてくる「試合やってくれて良かったな」という他校の子たちと話し合う声に、大いに励まされました。やって良かったと思います。

――― 教え子が3年生の部で優勝を果たしました。

3月に高校選手権がなくなってしまい、インターハイもなくなり、何度も気持ちが切れたと思います。そんな先が見えない中で稽古を続けるのみならず、大会準備からすべてに関わってくれて、大会当日には優勝。感謝はもちろんのこと、何より、子どもたちの人間としての強さを感じました。

――― 大会を終えて。

大きな怪我もなく、感染症も現段階では出ておらず、ひとまず無事に大会を終えることが出来ました。今の気持ちは、2週間前から毎日全員の健康チェックを行い、きちんとルールを守って試合に臨んでくれた先生方や生徒への感謝、これに尽きます。1人でも、1チームでも「自分くらいは」と思うものがれば全てが崩れてしまいます。マスク着用も消毒もしっかりやってくれ、会場の設営や清掃なども、全ての生徒が、普段先生方に指導されている通りに、高い意識でやってくれた。勝った負けたよりも、この厳しい状況の中で、普段以上に自他共栄の精神がよく見えた大会であったと思います。

――― ありがとうございました。

※ eJudoメルマガ版9月23日掲載記事より転載・編集しています。

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