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【連載】eJudoマンガ夜話 第5回 高い画力が”小よく大を制す”ファンタジー支える、女子柔道マンガの最高峰!「YAWARA!」

(2020年7月29日)

※ eJudoメルマガ版7月29日掲載記事より転載・編集しています。
【連載】eJudoマンガ夜話 第5回「YAWARA!」
高い画力が「小よく大を制す」ファンタジー支える、女子柔道マンガの最高峰!
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(C)Naoki Urasawa/小学館

世にあまたある柔道マンガを、「柔道」側からの視点でよもやま語って批評する「eJudoマンガ夜話」。第5回は柔道マンガ史上空前の大ヒット作「YAWARA!」(浦沢直樹/小学館)を取り上げます。アニメ化(最高視聴率は19.7%)に映画化、全国に沸き起こった女子柔道ブームと、一般社会にもっともインパクトを与えた柔道マンガ。この作品なくばそもそも女子柔道競技というジャンルが日本に根付くことはなかったかもしれない、という、柔道史上の大転換点となった作品でもあります。友達も家族も、まわりのみんなが当たり前に「YAWARA!」を読んでいたあの頃を思い出しながら、ぜひ再読の上でお楽しみください。

<<「YAWARA!」 あらすじ>>
「日刊エヴリースポーツ」記者の松田耕作は、ある日ひったくりの現場に遭遇し、犯人を鮮やかに投げ飛ばす女子高生と出会う。その少女の名前は猪熊柔。世界的に有名な柔道家である祖父・猪熊滋悟郎の英才教育を受けた天才柔道家であったが、本人は柔道に興味はなく、試合にも一切出たことがないどころか、柔道をしていることすら周囲に隠していた。この主人公・柔が「普通の女の子になりたい」という思いと、類まれなる柔道の才能の挟間で揺れ動きながら、バルセロナ五輪で2階級を制覇し、国民栄誉賞を授与するまでを描く。連載は小学館「ビッグコミックスピリッツ」にて、1986年から1993年まで。

語り手:東弘太郎 古今の柔道マンガを「やたらに読み込んでいる」柔道マニア。大メジャーはもちろん泡沫連載のギャグマンガや知られざる怪作まであまねく読み込むその熱量は少々異様。その造詣の深さと見識に編集長が惚れ込み、たって登場願った。競技では「三五十五とも粉川巧とも一緒にインターハイ出場」の実績あり。柔道マンガ内ノンフィクションで読んでみたいのは、やはり猪熊滋悟郎の「柔の道は一日にしてならずぢゃ」。柔が五輪連覇を達成したことで、増補改訂版が出たと予想します。もう1冊は西野に負けて虚脱状態になった三五十五に校長先生が渡した明治の文豪・今林誠一郎の日記「闘魂の書物」。三五は最後まで読んだのだろうか?

聞き手:古田英毅 eJudo編集長。自他ともに認める読書家でフィクション好き。ただし柔道マンガに関しても一貫して「いいフィクションは読む」「乗れないものは必ずしも読まない」という姿勢で接してきたため、このジャンルの積み上げは東氏に比べて薄め。まだ見ぬ良き柔道マンガを仕事で読ませてもらえるチャンスと、期待に胸を膨らませている。柔道マンガ内フィクションで紐解きたいのは「JUDOしてっ!」の「柔道娘大手柄」と、「YAWARA!」の「マリリンの大相撲夏場所」。まだVHSデッキが現役なので、後者、行けます。

     *     *     *

古田: ということで第5回で取り上げるのは「YAWARA!」。久々通読しましたけど、やっぱりもう、めちゃくちゃ面白いですね。のっけにまずはその一言を言わなきゃいけない。やっぱり格が違います。

東: あらためて読むと本当にそう思います。単純に楽しめることはもちろん、深く読み込めば読み込むほど作者がそこに込めているものの、…絵もそうですし、ストーリーもそうですし、意図の深さやこだわりに唸らされます。逆に言うと、柔道マンガのカテゴリーで語るのが申し訳ないくらい。一言で言って、古田さん評される通り「別格」ということだと思います。

古田: 柔道マンガという範疇で語るには収まらないくらいにフィクションとして物凄くレベルが高い、エンタテイメント作品として出来が良い。

東: 浦沢直樹さん、これが本格連載2作目なんですよね。

古田: 「パイナップルARMY」の次ということですよね?

東: 次であり、並行なんですよ。「パイナップルARMY」が始まって1年くらいして「YAWARA!」が始まったんです。

古田: 地方の中高生の間でも「パイナップルARMY」はかなり話題になっていて。この人は描ける!と皆が目をつけていたイケてる作家がなんと柔道のマンガ描き始めてくれたという感じでした。テイストの違いに、かなり戸惑ったりもしたものですが。…ではあらためて、「ビッグ5」の一角「YAWARA!」、お願いします。

東: はい。非常にフィクションとしてレベルの高い「YAWARA!」を「柔道マンガ」という目線であらためて読み込む、という趣旨で進めていきます。

古田: 恐れ多いところもあるので、このスタンスをまず確認しておかないとですね(笑)

東: はい。浦沢直樹さんの場合、既にそれぞれの作品に本格的な評論がたくさんありますし、そもそもご本人自身が創作についてこれまで何度もインタビューで濃く語ってきていますので、私たちが取り上げるのであればそういう文脈とはちょっと離れたところで、なるべく「柔道」のほうにフォーカスして喋りたいと思います。

古田: フィクション論ではなく、あくまで「柔道マンガ」評として語る、と。メジャーな作品ですので、今回もeJudoユーザーなら既に読んでいるという前提で進めていきましょう。

「巨人の星」のパロディとしてスタート

東: さて。この連載の初回の「ヒット作の条件は」でお話した文脈に即して話しますと。まず最大の特徴は「主人公が天才的に強いが、柔道嫌いである」という設定。

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※ eJudoメルマガ版7月29日掲載記事より転載・編集しています。

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