PAGE TOP ↑
eJudo

与えられた時間のメリット生かす、練習復帰は段階的に/井上康生男子監督・増地克之女子監督コメント要旨

(2020年5月25日)

※ eJudoメルマガ版5月25日掲載記事より転載・編集しています。
与えられた時間のメリット生かす、練習復帰は段階的に/井上康生男子監督・増地克之女子監督コメント要旨
五輪代表13名の代表権維持正式承認を受けた井上康生男子監督と、増地克之女子監督のコメント要旨は下記。

eJudo Photo
井上康生・男子監督
※写真は2月27日、代表内定会見時

井上康生・男子監督のコメント

――五輪代表が正式に承認されました。

我々も、関係者の皆様も、なにより選手たちも、五輪が延期されたことで苦しい思いをしたのではないかと思います。新たな方向が見え、代表を継続することが決まってあらためて身が引き締まりますし、全力で戦っていかなければいけないという思いです

――再選考という選択肢もあった中で、代表権を維持した決め手は?

おそらく金野委員長からも話があったかと思いますが、まずひとつ、新型コロナウイルスの影響でこの先(のスケジュール)がまったく見えないということがあります。その中で再選考を行う場合には混乱があるでしょうし、ぎりぎりまで競い合わせることでの選手の疲弊や準備不足を招いてしまう可能性が大きいのではないかと思いました。また、現場としては、今の代表選手が1年間周到な準備を行っていけば必ず成果を挙げられると考えて、こういう形にさせて頂きました。

――選手はこの夏にコンディションを合わせて来ました。影響は?

1日でも早く、選手が望むような環境を作り、しっかり準備をさせてあげたいと思います。まだまだ先行き不透明な戦いが続くわけですが、今の選手たちは2021年7月開催のオリンピックにしっかり準備を整えていき、成果を挙げられると信じていますので、それに向かって一丸となって戦うのみです。

――海外勢に研究の時間を与えることでの不安や、逆に試合が出来ずに海外勢の研究ができないことについては?

海外の選手たちも同じように苦しい環境にあると思います。我々としてはまず、どのような環境でも相手をはね返すだけの絶対的な力を身につけることが大事です。また、細部においても、色々なネットワークを駆使して情報収集も行い、しっかり準備を図っていかなければいけない。メリットとデメリットは間違いなくあるでしょうから、メリットは何なのかを見極めてそれを生かしつつ、デメリットを埋めていけるように努力するのみです。

――本番まで1年2か月。緊張感やモチベーションの維持について?

今の段階では先が見通しずらい。1日1日、やれることを積み重ねていくしかありません。選手たちと話をしていると、モチベーションが下がったものなど1人もいませんし、戦う気持ちをしっかり持っている集団だなとあらためて実感しています。しかし人間にとって目標や生きがい、やりがいが感じられない時期は苦しい時間でもあるはず。色々な面でリラックスさせていきながら、ひとつのことに固執せず、多方面の視野を持つようにと伝えています。週1回ほどのウェブでのミーティングを利用して情報を提供することはもちろん、代表としての自覚や責任を持たせたり、個々のモチベーション、チーム全体のモチベーション上げていけるように色々な企画を考えているところです。今度は男女合わせての合同で、日本代表として戦うぞという決起集会的なものをやりたいと思っています。

――全日本チームの活動再開の見通しは?

現在の状況を考えれば、日本代表が決まったからといって、すぐに集めて何か行動に移るのが適切とは言い切れません。状況を見極めて、段階を経た上で進めていければと思います。合宿などについては、医科学委員会のアドバイスを頂きながら、そして選手の個々の状況を見極めていきながら判断します。もともと個々が自主的に、自立して戦っていく集団であることを重視して強化してきましたし、これまでも各自がそれぞれの環境、自分の考えで動いてきた部分もあります。ミーティングを通じてそれぞれの環境を確認したり、要望を吸い上げたりということは行っていますので、全体で集まってやるべきことと各自で進めるべきことを切り分けてやっていきたいと思います。

――緊急事態宣言が全面解除されました。

柔道は濃厚接触の競技ですから、今後も油断なく過ごすことが重要だと思います。しっかり状況を見極めて、段階的に取り組んでいかなければいけない。この2か月間各自が自主トレーニングを行っていたにしても、制限された環境の中では十分とは言い切れないはず。まずトレーニング、次に柔道着を着て、それから相手と組み合ってと段階的に、順序立てて進めていかないといけないと思います。世の中の状況、柔道の競技的な特性、個々の選手が置かれている環境をよく見極めて、それぞれの選手に良い環境を与えられるように努力します。

――66kg級の選考について?

野球やサッカーは6月中旬から開幕されそうな情勢ですが、プロかアマチュアか、またコンタクトスポーツか否かで事情はかなり違います。世の中の情勢はもちろんですし、選手は2か月以上競技から離れているわけですから、これを作り直す時間も必要になってくる。本人たちからも周到な準備をしたいという希望がありますし、医学的な見地からも、ある程度の時間を掛けなければと思っています。

eJudo Photo
増地克之・女子監督
※写真は2月27日、代表内定会見時

増地克之・女子代表監督のコメント

――代表権の維持が決まりました。

決定と報告がここまで延びたということで、まずは選手、そして所属に対して非常に申し訳なかったというのが率直な気持ちです。

――再選考ではなく、維持を推した理由は?

現在の状況から、来年の五輪にベストで臨むには何が最善かということを考えました。五輪まであと1年2か月ありますが、現状では試合の再開時期がまだわからない。これがいつになるのかがわかっていれば準備する時間も目途が立つのですが、このような状況でもう1回選考を組んで、果たしてもっともよいコンディションで臨むことが出来るのかどうか。こう考えると、ベストの選択はスライドであると考えました。

――1年の延長、メリットとデメリットをどう考えますか?

まずメリットですが、この与えられた時間、今でしか出来ないことがあります。五輪という舞台で勝つためには、今持っている技術だけではなかなか勝ち切れない部分がある。その勝つためのプラスアルファ、例えば新しい技を身に付けるためには時間が必要。そのために与えられた期間と考えれば非常にプラスになります。また、この時間をライバル選手たちの研究に使えるというメリットもあると思います。もちろん相手も同じように日本選手を研究してくると思いますが、我々もしっかり分析をしながら、逆に相手が想像してない、予想してない伸びしろを作り上げていくことがポイントになると思います。デメリットについては、この長い時間緊張感を持ち続けられるかというところはあると思います。その中でもしっかり緊張感を持たせるような場、たとえ試合が出来なくても実戦に近い場を作っていけるかどうかが、ひとつ大事になってくるのではないかと思っています。

――早期内定の素根輝選手は、他の6名以上に長い時間が空くことになります。

昨年の11月に内定、その後出場する予定だった国際大会もキャンセルになりました。これだけ試合がない時期が続くことは、非常に辛いとは思います。本人には自分を見つめ直すいい機会であること、準備を怠らずに新しい発見をする時間にして欲しいということを伝えています。

――緊急事態宣言が解除されました。今後の強化については?

先日発行された全柔連の指針に則って取り組むことになると思います。ですので急ぎ過ぎず、しっかり計画を立てます。この2か月の自粛期間を経て、選手たちの体力がかなり下がっていると思いますので、まずはこの回復。急激な負荷は体に強いストレスが掛かりますので、定期的にコンディションをチェックしながら、メンタル面もしっかりケアしながら、徐々に負荷を上げていきます。毎年、年明けに体力測定をやっておりますので、現況との差を客観的にチェックして、しっかりやらせていきたい。

――代表合宿の実施については?

県をまたいでの移動はまだ難しい。慌てずじっくり取り組んでいきたい。当面は担当コーチとストレングスのコーチ、栄養士さんなどを交えて、定期的にウェブミーティングをやっていきます。選手の練習場については、現状を担当コーチが把握して、例えばナショナルトレーニングセンターを使いたいという要望があれば出来る限り沿えるようにしたい。ただ、公共交通機関を使うケースなど、リスクに関してはしっかり考えていかねばならないと思っています。

※ eJudoメルマガ版5月25日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る