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グランドスラム・デュッセルドルフ2020第2日女子プレビュー(63kg級、70kg級)

(2020年2月22日)

※ eJudoメルマガ版2月22日掲載記事より転載・編集しています。
グランドスラム・デュッセルドルフ2020第2日女子プレビュー
(63kg級、70kg級)
文責:古田英毅/eJudo編集部
→組み合わせ(ippon.org内)

■ 63kg級 アグベニュー不在、優勝候補筆頭は田代未来
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田代未来が優勝候補筆頭

日本の第1走者・田代未来が五輪代表内定に挑む。田代、グランドスラム大阪とワールドマスターズで優勝を逃し昨年の終わり方は決して良いものではなかったが、2番手鍋倉那美がグランドスラム・パリを勝ち切れなかったことで、1番手の座自体を浸食されるような事態までには至らなかった。このあたりはオーバービューで書かせて頂いた通り。「優勝すればまず内定確実」という1番手の権利を十分行使できる状態にある。

そして今回、優勝のハードルは前3大会(GS大阪、ワールドマスターズ、GSパリ)に比べて格段に下がった。鬼門の日本人選手がおらず、そしてなにより唯一最大のターゲット選手であるクラリス・アグベニュー(フランス)がいない。実はティナ・トルステニャク(スロベニア)にマルティナ・トライドス(ドイツ)と以降の強豪はがっちり出場しているのだが、もともとの田代、そして日本のトップ選手の座席は「アグベニュー以外なら全員勝てる」というもの。唯一の「蓋」が存在しない今大会、田代が優勝してそのまま五輪代表内定を勝ちとるものとの予測は、まことに妥当なものと思われる。平均点の出来で、ミッション達成だろう。

中堅の強豪は数多く参加しているのだが、この階級は上記上位陣と「それ以外」のレベル差が大きい。地力以外の特殊な梯子を掛けられる曲者タイプも少なく、トーナメントを俯瞰するには薄目を空けてこの3人の配置を確認すれば十分。田代は第2シード、準決勝でトライドスと戦い、トルステニャクと決勝を争う。と考えておいて間違いない。

昨年不調のままシーズンを終えた田代の状態が、水準点まで復しているかどうか。トーナメントを揺らす最大の要素は、これである。

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第1シードはティナ・トルステニャク

【プールA】
第1シード:ティナ・トルステニャク(スロベニア)
第8シード:ダリア・ダヴィドワ(ロシア)
有力選手:エドウィッジ・グウェン(イタリア)

【プールB】
第4シード:マイリン・デルトロ=カルバハル(キューバ)
第5シード:キャサリン・ブーシェミン=ピナード(カナダ)
有力選手:マグダレナ・クルサコワ(オーストリア)、アガタ・オズドバ=ブラフ(ポーランド)、アレクシア・カスティルホス(ブラジル)、チョ・モッキ(韓国)、エイミー・リヴェシー(イングランド)

【プールC】
第2シード:田代未来(コマツ)
第7シード:ボルド・ガンハイチ(モンゴル)
有力選手:ハンナ・マーティン(アメリカ)、ナディア・バジンスキー(ドイツ)、アリス・シュレシンジャー(イングランド)

【プールD】
第3シード:マルティナ・トライドス(ドイツ)
第6シード:ケトレイン・クアドロス(ブラジル)
有力選手:カトリン・ウンターヴルツァハー(オーストリア)、キヨミ・ワタナベ(フィリピン)、マリア・セントラッキオ(イタリア)、ハン・ヒジュ(韓国)

■ 70kg級 新井千鶴が優勝候補筆頭、新鋭ツノダの健闘に期待
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代表内定に挑む新井千鶴

(エントリー40名)

国内代表争い1番手の新井千鶴(三井住友海上)が五輪代表内定獲得に挑む。階級の選手層の厚さを反映して有力選手の数は多いが、マリー=イヴ・ガイ(フランス)、キム・ポリング(オランダ)といった世界大会優勝クラスの相手は参加しておらず、パリ大会に比べるとトーナメントのレベルは明らかに下がった。

第3シード配置の新井はもっとも戦いやすいプールDに置かれており、最初の山場はベスト8のジョヴァンナ・スコッチマッロ(ドイツ)戦。以降は恐らく準決勝でマルゴ・ピノ(フランス)、決勝でマリア・ポルテラ(ブラジル)かジェンマ・ハウエル(イングランド)と対戦する可能性が高いが、新井が本来の力を出しさえすれば敗れることはないだろう。平均点の出来で十分勝ち抜ける大会だ。

国内の代表争いではライバルの大野陽子(コマツ)と新添左季(自衛隊体育学校)がともに安定して結果を残すことができておらず、現時点で十分な差がついていると考えられる。とはいえ、現在新井は過去最大級の不調の只中におり、8月の東京世界選手権から3大会連続で優勝を逃している。因となっているのは新井積年の課題である組み手と作りの甘さ。恐らく本人もこのことは強く意識していること思うが、今回の参加メンバーであれば、仮に問題点を残したままであっても、現状の力で十分に優勝可能。課題は代表に内定したあとでじっくりと解決することとして、まずは割り切って目の前の勝負に集中してもらいたい。自身を持って持ち味である力強い柔道ができれば、この陣容で遅れを取ることはないはずだ。ここはしっかりと優勝を飾り、余計な議論の起こる余地なく代表の座を手に入れたい。

ほか、注目したいのは今回がワールドツアー2戦目となる2019年世界カデ選手権王者アイ・ツノダ=ロウスタント(スペイン)。丁寧で勘どころを抑えた柔道が持ち味、試合ぶりから稽古の質の高さが透けて見える若手の注目株だ。ワールドツアーデビュー戦となった1月のグランプリ・テルアビブではアンナ・ベルンホルム(スウェーデン)らシニアの上位選手に勝利していきなり3位を獲得している。今大会でも組み合わせを見る限り十分に上位戦進出の目があり、是非その戦いぶりに注目したい。最初の山場は2回戦に設定された第1シードのミヘイラ・ポレレス(オーストリア)戦だ。

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昨年世界カデを制し、早くもワールドツアーでも表彰台に上がったアイ・ツノダ=ロウスタント

【プールA】
第1シード:ミヘイラ・ポレレス(オーストリア)
第8シード:ミリアム・ブートケライト(ドイツ)
有力選手:アイ・ツノダ=ロウスタント(スペイン)、エリザヴェト・テルツィドゥ(ギリシャ)、キム・ソンヨン(韓国)

【プールB】
第4シード:マリア・ポルテラ(ブラジル)
第5シード:ジェンマ・ハウエル(イングランド)
有力選手:アレナ・プロコペンコ(ロシア)、メガン・フレッチャー(アイルランド)、アッスマ・ニアン(モロッコ)、ツェンドアユシュ・ナランジャルガル(モンゴル)、ガブリエラ・ヴィレムス(ベルギー)

【プールC】
第2シード:マルゴ・ピノ(フランス)
第7シード:マリア・ベルナベウ(スペイン)
有力選手:アリーチェ・ベッランディ(イタリア)、マディーナ・タイマゾワ(ロシア)

【プールD】
第3シード:新井千鶴(三井住友海上)
第6シード:ジョヴァンナ・スコッチマッロ(ドイツ)
有力選手:サビナ・ゲルチャク(ハンガリー)、グルノザ・マトニヤゾワ(ウズベキスタン)、ロクサーヌ・タエイモンス(ベルギー)

※ eJudoメルマガ版2月22日掲載記事より転載・編集しています。

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