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グランドスラム・デュッセルドルフ2020第1日女子プレビュー(48kg級、52kg級、57kg級)

(2020年2月20日)

※ eJudoメルマガ版2月20日掲載記事より転載・編集しています。
グランドスラム・デュッセルドルフ2020第1日女子プレビュー
(48kg級、52kg級、57kg級)
文責:古田英毅/eJudo編集部
→組み合わせ(ippon.org内)

■ 48kg級 第1シード渡名喜風南に敵は見当たらず、アップセット要素孕むのはカン・ユジョン
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優勝候補筆頭は渡名喜風南

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もっとも怖いのはカン・ユジョン

(エントリー36名)

第1シードは渡名喜風南。出場選手に敵を見出すのは難しい。頭1つ抜けた優勝候補だ。

実績だけで言えば第3シードのガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)の名を挙げるべきだが、この選手はほぼ1年間にわたって不調。当初はコンディション不良、現在はその作りのない単調な技術体系が知れ渡ってしまい、ほとんど自分の間合いで技を仕掛けられていない。そうこうするうちに受けの弱さまでが露見したという格好で上位進出自体が危うい状況。第2シードはフリア・フィゲロア(スペイン)だが、キャリアハイであったグランドスラム大阪の直接対決で渡名喜が圧勝していることを考えれば敵にはなりえず。配置の直下にワールドマスターズ2位のガンバータル・ナランツェツェグ(モンゴル)とガブリエラ・チバナ(ブラジル)がいるが、両者はともに先週のヨーロッパオープン・ブラチスラバで日本の小倉葵(環太平洋大4年)に敗れている。

というわけで渡名喜の敵は、極端に言って自分のみ。オーバービューで書かせて頂いた通りもはや試合成績に関わらず代表内定が出されること間違いない状況だが、しっかり勝って、堂々五輪乗り込みを決めたいところだ。

それでも敢えて1人、もっとも怖い敵を挙げるとすれば、カン・ユジョン(韓国)。グランドスラム・パリでは絶対王者ダリア・ビロディド(ウクライナ)から横落崩れの小外掛で「技有」を奪う場面も見せ、あきらかに上り調子だ。そもそもアジア選手権で渡名喜に勝利したことをきっかけに名を売り、のしあがった経緯のある選手であるから、こと「渡名喜狩り」については実力を超えた自信を持っている可能性もある。配置は逆サイドだが、フィゲロアとガルバトラフを倒して決勝まで来れるようなコンディションがあるなら、今大会に関してはまさしく「一番嫌な挑戦者」となるであろう。

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第2シードはフリア・フィゲロア

【プールA】
第1シード:渡名喜風南(パーク24)
第8シード:サビナ・ギリアゾワ(ロシア)
有力選手:ガンバータル・ナランツェツェグ(モンゴル)、ガブリエラ・チバナ(ブラジル)、メロディ・ヴガニ(フランス)

【プールB】
第4シード:ラウラ・マルティネス=アベレンダ(スペイン)
第5シード:ミリカ・ニコリッチ(セルビア)
有力選手:モニカ・ウングレアヌ(ルーマニア)

【プールC】
第2シード:フリア・フィゲロア(スペイン)
第7シード:カン・ユジョン(韓国)
有力選手:ナタリア・ブリギダ(ブラジル)、シリーヌ・ブクリ(フランス)

【プールD】
第3シード:ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)
第6シード:カタリナ・メンツ(ドイツ)

■ 52kg級 阿部対ブシャーの決勝が唯一最大の山場
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阿部詩は五輪代表内定確実

(エントリー40名)

敵はエントリーを回避せず。主役2人がしっかりトーナメントのメインに座った。第1シードのアモンディーヌ・ブシャー(フランス)と第2シードの阿部詩による頂点対決がこの階級唯一最大の、そしてデュッセルドルフ大会女子全7階級随一の見せ場だ。

ご存じの通り、世界選手権2連覇で無人の野を行く勢いの阿部詩の連勝を、グランドスラム大阪決勝で止めてみせたのがこのブシャー。五輪内定決定戦というプレッシャーに冒された阿部の金縛り状態に付け込み、左右の「袖クロス」「襟クロス」組み手でその両袖内股を完封し、最後は得意技の「襟逆手握り」の肩車で取り切ったというその完璧な試合ぶりについては、試合後の分析コラムでお伝えしたとおり。

オーバービューでお伝えした通り、どんな成績であろうとも阿部の五輪代表内定はもはや確実。五輪に最強王者のまま乗り込むか、それとも「天敵」の存在を許してしまうのかどうかというのがこの大会の目当てだ。

両者の組み合わせ。阿部の側には3回戦でアンドレア・キトゥ(ルーマニア)、準々決勝でチェルシー・ジャイルス(イギリス)かラグワスレン・ソソルバラム(モンゴル)とそれなりに手ごたえのある選手が配されているのだが、なにしろ阿部が強すぎる。むしろ心配すべきは、ムラ気のブシャーが、3回戦でジョン・ボキョン(韓国)、準決勝でジェフェン・プリモ(イギリス)かエヴェリン・チョップ(スイス)という中堅ながら山気のある連中をしっかり退けて決勝までたどり着いてくれるかどうか、である。

決勝。阿部は前回対戦でも、ブシャーの、肩車を終着点に据えた逆手組み手や、封殺を期したクロス組み手を一手目でしっかり処理しているうちは、危なげなかった。これを「切って」やりなおすのか、なんらかそのまま自身の組み手や攻撃に繋げる手段を獲得しているのか、このあたりが見もの。五輪を戦ううえでの阿部の方法論の引き出しや、「ものの考え方」の方向性自体、これが垣間見える面白い試合になることであろう。

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阿部の敵はただ1人、アモンディーヌ・ブシャー。

【プールA】
第1シード:アモンディーヌ・ブシャー(フランス)
第8シード:アンジェリカ・デルガド(アメリカ)
有力選手:ジョン・ボキョン(韓国)、カロリナ・ピンコフスカ(ポーランド)

【プールB】
第4シード:ジェフェン・プリモ(イスラエル)
第5シード:エヴェリン・チョップ(スイス)
有力選手:ジョアナ・ラモス(ポルトガル)、ビシュレルト・ホルロードイ(モンゴル)、エレウディス・ヴァレンティン(ブラジル)

【プールC】
第2シード:阿部詩(日本体育大1年)
第7シード:チェルシー・ジャイルス(イングランド)
有力選手:ファビアン・コッヒャー(スイス)、アンドレア・キトゥ(ルーマニア)、ラグワスレン・ソソルバラム(モンゴル)、ディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン)

【プールD】
第3シード:アナ・ペレス=ボックス(スペイン)
第6シード:ギリ・コーヘン(イスラエル)
有力選手:サラ・メネゼス(ブラジル)、カチャコーン・ワラシハ(タイ)

■ 57kg級 V候補筆頭は大物新人シジク、第1シードはクリムカイト
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V候補筆頭は大型新人サハ=レオニー・シジク

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ジェシカ・クリムカイトが第1シードを張る

(エントリー41名)

出場予定であった芳田司(コマツ)が昨年のワールドマスターズで負った左手中指の怪我が癒えずに欠場。詳しくはオーバービューで触れているが、これで今大会での芳田の復活優勝というシナリオは消え、グランドスラム・パリで玉置桃(三井住友海上)が敗れたことと合わせて国内57kg級全体の不調、混迷が誰の目にも見える形で浮かび上がっている。

というわけで「芳田復活Vなるか」という最大の見どころは失われたわけだが、それでもさすがは57kg級。今回も海外勢の顔ぶれは非常に豪華、トーナメントのあらゆる山に所狭しと強豪が詰め込まれている。

第1シードに配されたのは現役世界王者の出口クリスタ(カナダ)と五輪代表の座を争っているジェシカ・クリムカイト(カナダ)。既に実績、直接対決の戦績ともに大きな差がついているが、カナダの選考システムの都合上、代表はあくまでも直接対決で行われる選考試合の結果によって決定される。ここでしっかり優勝を飾り、良い流れに乗っておきたいところ。

実力からいけば、優勝候補の最右翼は第3シードに置かれているフランスの大型新人サハ=レオニー・シジク(フランス)。地元で行われたグランドスラム・パリ準決勝では出口に合技「一本」で格の違いを見せつけられたが、素材は間違いなく世界王者級。ワールドツアーでの優勝はまだなく、国内のライバルであるエレーヌ・ルスヴォに差をつけるためにもここで初優勝を果たしておきたい。「電光石火」と評したくなる、加速力ある投げに注目だ。ほか、パリ大会で2位を獲得していよいよ東京五輪に向けて復調気配の2017年世界王者ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)の出来にも注意を払っておきたい。

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ようやく復調の兆しが見えて来たドルジスレン・スミヤ

(エントリー41名)

【プールA】
第1シード:ジェシカ・クリムカイト(カナダ)
第8シード:エレーヌ・ルスヴォ(フランス)
有力選手:アナスタシア・コンキナ(ロシア)

【プールB】
第4シード:ヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)
第5シード:ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)
有力選手:ミリアム・ローパー(パナマ)ザブリナ・フィルツモザー(オーストリア)、キム・ジャンディ(韓国)、サンネ・フェルハーヘン(オランダ)

【プールC】
第2シード:テレザ・シュトル(ドイツ)
第7シード:ダリア・メジェツカイア(ロシア)
有力選手:ヨワナ・ロギッチ(セルビア)、アレクサンドラ=ラリサ・フロリアン(アゼルバイジャン)

【プールD】
第3シード:サハ=レオニー・シジク(フランス)
第6シード:ティムナ・ネルソン=レヴィー(イスラエル)
有力選手:イヴェリナ・イリエワ(ブルガリア)、コリーナ・ステファン(ルーマニア)、アンナ・ボロフスカ(ポーランド)、キム・チス(韓国)

※ eJudoメルマガ版2月20日掲載記事より転載・編集しています。

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