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【プレビュー】73kg級アン・チャンリンが戦列に復帰/グランプリ・テルアビブ2020男子7階級プレビュー

(2020年1月22日)

※ eJudoメルマガ版1月22日掲載記事より転載・編集しています。
73kg級アン・チャンリンが戦列に復帰
グランプリ・テルアビブ2020男子7階級プレビュー
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五輪イヤー初戦、日本勢最大の難敵アン・チャンリンが畳に復帰する。

→グランプリ・テルアビブ2020組み合わせ(IJF)

2020年IJFワールドツアー第1戦、グランプリ・テルアビブ大会がきょう23日に開幕する。来週のヨーロッパオープン・オディベーラス(/ソフィア)、さらにグランドスラム・パリ、ヨーロッパオープン・ブラチスラヴァ(/オーバーヴァルト)、そしてグランドスラム・デュッセルドルフと約1ヶ月にわたって続く、欧州シリーズの開幕である。

スーパートップ選手の重心はあくまで来月のグランドスラム2大会にあるが、これを展望するためにも今大会を見逃すわけにはいかない。日本が選手を派遣していることもあり、ひとことずつ、各階級のみどころを挙げてみたい。

男子のみどころは、なんといっても73kg級アン・チャンリン(韓国)の復帰に尽きる。首の負傷のため長期休養していたアンは、これが2019年4月のアジア選手権以来の実戦。東京五輪における日本勢最大の強敵と言われるアンがいったいどのような試合を見せてくれるか。もしアンが既に仕上がっているとすれば、そして来月のグランドスラム2大会へのエントリーがあるとすれば、これは日本の代表選考における最大の変数になり得る。その出来、見逃せない。

アンに限らず、今大会は韓国勢のエントリーが濃い目。一線級をずらり派遣した韓国と、揚がる勢いの地元イスラエルの対決が全階級を貫く軸と言える。

■ 60kg級 アブラゼとキム・ウォンジンが初戦で激突
(エントリー35名)
日本代表選手:青木大(パーク24)

Aシード選手は順にグスマン・キルギズバエフ(カザフスタン)、エリック・タカバタケ(ブラジル)、アシュリー・マッケンジー(イギリス)、トルニケ・チャカドア(オランダ)。全体としてはこれらシード選手よりも、ノーシード選手に面白い、良い意味で破れのある強者が揃った。序盤の注目対決はプールDの2回戦(初戦)で組まれたヤゴ・アブラゼ(ロシア)対キム・ウォンジン(韓国)。個人的にはノーシードながら爆発力を感じさせるカラマト・フセイノフ(アゼルバイジャン)にも注目したい。

日本の青木大の初戦は売り出し中のジュニア選手、東京世界選手権7位のクバニチュベク・アイベク=ウール(キルギスタン)。勝つとタカバタケ、あるいは自身と似た引き込み型のヤニスラフ・ゲルチェフ(ブルガリア)との対戦が待ち受ける。ここを勝って、ベスト4でアブラゼあるいはキム・ウォンジンと矛を交えるところまでは進みたいところ。

■ 66kg級 韓国とイスラエルの2トップ対決が軸
(エントリー48名)
日本代表選手:橋口祐葵(パーク24)

韓国は今大会もアン・バウルとキム・リマンの2トップを同時派遣。五輪代表争いの山場が訪れつつあると感じさせる。地元イスラエルがバルチ・シュマイロフとタル・フリッカーのエース2人をこれも同時に突っ込んでおり、この2国の争いがトーナメント全体を貫く軸である。今大会の様相がもっとも端的に表れた階級といえる。

日本の橋口は1試合を勝ち抜くと、2回戦でいきなりフリッカーと戦わねばならない厳しい組み合わせ。周囲の配置のインパクトはさほどでもなく、ここを勝ち抜けば十分表彰台が見えてくる。Aシード選手は順に前述シュマイロフ、ダニエル・カルグニン(ブラジル)、ゲオルギー・ザンタライア(ウクライナ)、イェルラン・セリクジャノフ(カザフスタン)。

■ 73kg級 アン・チャンリンついに復帰
(エントリー57名)
日本代表選手:清水健登(パーク24)

今大会最多選手が参加する巨大トーナメント。注目選手多かれど、もっとも注目すべきはもちろん2018年ブダペスト世界選手権の覇者アン・チャンリン(韓国)だ。これが昨年4月のアジア選手権以来の実戦、果たしてどんな試合を見せてくれるか。配置は第3シード(プールD)、ベスト8までは無風も準々決勝では売り出し中のベフルジ・ホジャゾダ(タジキスタン)との対決が待ち受ける。ホジャゾダはトップファイターの基準点全てをクリアしていると言っていいオールラウンダーで、その源泉はなんといっても体の力。アンの仕上がりを見極めるにはこれ以上ない相手と言えるだろう。

日本の清水健登は1試合を勝てばファビオ・バジーレ(イタリア)への挑戦が叶う。世界を驚かす戦果を期待したい。

Aシード選手は順にトミー・マシアス(スウェーデン)、ビラル・ジログル(トルコ)、アン・チャンリン、ヒクマティロフ・ツラエフ(ウズベキスタン)。中堅の強豪が多く挙げきれないが、注目選手としては若手からソモン・マフマドベコフ(タジキスタン)、ヴィクトル・ステルプ(モルドバ)の2人を挙げておく。

■ 81kg級 丸山剛毅はプールD配置、準々決勝でマイスラゼに挑戦
(エントリー54名)
日本代表選手:丸山剛毅(パーク24)

スーパートップ(永瀬貴規やサギ・ムキ、サイード・モラエイら)は不在もメダルクラスの強豪がぎっしりで非常にレベルが高い、という極めてこの階級らしいトーナメント。優勝争いを引っ張るのは東京世界選手権3位のルカ・マイスラゼ(ジョージア)とバクー世界選手権3位のヴェダット・アルバイラク(トルコ)のパワー派2名である。加うるならば、このところ能動的な投げ一発の切れ味を上積みしてひとつ階段を上った感のある(かつては後の先の技で勝つことがほとんどだった)巧者ドミニク・レッセル(ドイツ)というところ。

Aシード選手は順にアルバイラク、レッセル、マイスラゼ、アスラン・ラッピナゴフ(ロシア)。これまた敢えてこの選手と挙げることが難しい好役者ぞろいのトーナメントではあるのだが、注目選手としてはワールドマスターズでスケール感の高さを見せた、2018年世界ジュニア王者クリスティアン・パルラーティ(イタリア)の名を挙げておきたい。

日本の丸山はプールD下側に配置。確実にベスト8まで進んでマイスラゼと矛を交えておきたいところだ。

■ 90kg級 ガク・ドンハンの試合ぶりに注目
(エントリー45名)

優勝候補はガク・ドンハン(韓国)、ミカイル・オゼルレル(トルコ)、マーカス・ニーマン(スウェーデン)の3名。予選ラウンドの山場はオゼルレルとニーマンが戦うプールCの準々決勝、序盤の激戦区はエドゥアルド・トリッペル(ドイツ)とダブラト・ボボノフ(ウズベキスタン)が3回戦で戦うプールD上側。

ざっくり言って、トーナメントの密度が少々薄い印象。その中で注目すべきはガクの試合ぶり。具体的には、ここ1年半近くにわたって得意の背負投を敢えて封印しているガク(グランドスラム大阪での1試合のみ、この技で勝っている)が、この技を見せるかどうか。Aシードは順にガク、オゼルレル、トリッペル、ラファエル・マセド(ブラジル)。

■ 100kg級 チョ・グハンが優勝候補筆頭
(エントリー42名)
日本代表選手:石内裕貴(旭化成)

第1シードがチョ・グハン(韓国)。トーナメントを見渡す限り、現時点での勢い、実績、実力ともにこの選手を脅かす存在は見つけられない。潜在力でいえばカール=リヒャード・フレイ(ドイツ)や、キリル・デニソフ(ロシア)、カヨル・レイズ(カナダ)らの名を挙げることが出来るが、チョが頭ひとつ抜けた優勝争いの大本命と言ってしまっていいだろう。ライバルは、第2シードに配された地元イスラエルの両組み選手ペテル・パルチク。

日本の石内裕貴はプールA配置。2試合に勝って準々決勝のチョとの対戦まで辿り着きたいところ。オーストラリア代表として参加する高木海帆はプールD配置、こちらは3回戦でフレイとの戦いが待ち受ける。Aシードは順に、チョ、パルチク、ラファエル・ブザカリニ(ブラジル)、レオナルド・ゴンサルヴェス(ブラジル)。

■ 100kg超級 熊代の初戦はV候補ザアリシヴィリ
(エントリー34名)
日本代表選手:熊代佑輔(ALSOK)

エントリーしていたテディ・リネール(フランス)は結局欠場。キム・スンミン(韓国)が第1シードを張る混戦模様のトーナメントである。優勝候補はキムのほか、売り出し中のゲラ・ザアリシヴィリ(ジョージア)、地元Vを狙うオール・サッソン(イスラエル)。ベストパフォーマンスが発揮出来れば柔道の幅を広げつつある(もはや試合を楽しんでいる感あり)キム、昨年の勢いと平均値でいえばザアリシヴィリというところか。

Aシードは順にキム、サッソン、ヤキフ・ハモー(ウクライナ)、ベクムロド・オルティボエフ(ウズベキスタン)。日本の熊代佑輔はかなり厳しい引き、初戦でザアリシヴィリと対戦する。典型的な抱き勝負ファイターであるザアリシヴィリは階級屈指の強者だが、やってくることもハッキリしている。若いザアリシヴィリを、日本屈指の巧者であるベテラン熊代がどう嵌めんとするか。非常に楽しみな一番。

※ eJudoメルマガ版1月22日掲載記事より転載・編集しています。

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