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【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第92回

(2020年1月13日)

※ eJudoメルマガ版1月13日掲載記事より転載・編集しています。
【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第92回
本当の自他共栄は、後々のことも考えて、人のためにも、自分のためにも、広く遠く、また大きく考えて栄とならなければならぬのである。
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嘉納治五郎師範

資料提供 公益財団法人講道館
copyright:Kodokan Judo Institute

※写真の無断転載および転用を厳に禁じます

出典:「衆議院議員の選挙について」作興7巻2号
昭和3年2月 (『嘉納治五郎大系』6巻414頁)

「税」「安」「金」「北」「災」「令」。これが何かおわかりでしょうか?
毎年、その年の世相を一文字で表す「今年の漢字」として、直近5年間で選ばれた漢字です。

我々日本人にとってなじみ深く、日常生活に欠くことのできない漢字。その特徴の一つとして、字自体が情報を持っているということが挙げられます。おかげで、その字や単語を知らなくても、読み方や意味がある程度分かることはよくあります。一方、その情報故に読み違えることもあります。
 
さて、我々柔道修行者にとって馴染みがある「自他共栄」。
これも漢字から意味が簡単に取れます。「自分も他者も共に栄える」。非常にシンプルで分かりやすい。ですが、これを日常生活に実践しようとした時、どうでしょうか?

今回の「ひとこと」で、師範は本当の自他共栄の「栄」というのは、自分や人のためになることを<広く><遠く><大きく>考えたうえのものでなければならないと述べています。
簡単に、<現在>、<自分と自分の周り>が良ければ良いというものではないわけです。出典は「衆議院議員の選挙について」という、師範が「選挙」について言及したものです。そこで、併せて説いた一節が今回の「本当の自他共栄」です。

師範は別のところで<精力善用自他共栄を間違いなく実践するには平素の研究が必要>と説きます。
「自他共栄」も「精力善用」も、字だけ見て意味を取るのは簡単です。一通り説くのも、そこまで難しくありません。ですが、その実践は常日頃から、研究する必要がある-つまり、簡単ではない、と師範は言っているわけです。

「自他共栄」を口にした時、果たして、それが、「どれくらい後」「どれくらいの範囲」を想定して考えた「栄」なのか・・・。具体的に、自問自答してみても良いのではないでしょうか。簡単に思えて実は簡単でないことがすぐにわかるでしょう。

著者:元 敏季(ハジメ・トシキ)
1975年生まれ。柔道は中学校から始め、大学までは競技を中心に行うが、卒業論文を機に柔道の文化的側面に関心を持ち、大学院へ進学。凡そ10年、大学院・研究機関に所属するも、研究とは異なる分野の仕事に就き現在に至る。ライフワークとして嘉納治五郎に関する史料を蒐集・研究し、その成果を柔道振興のため発信しようとしている。

※ eJudoメルマガ版1月13日掲載記事より転載・編集しています。

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