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【プレビュー】3階級いずれも分厚い陣容、90kg級は現役世界王者ファンテンド参戦・最終日男子プレビュー

(2019年11月23日)

※ eJudoメルマガ版11月23日掲載記事より転載・編集しています。
【プレビュー】3階級いずれも分厚い陣容、90kg級は現役世界王者ファンテンド参戦
最終日男子プレビュー(90kg級、100kg級、100kg超級)
■ 90kg級 世界王者ファンテンド参戦、分厚いトーナメント組まれる
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東京世界選手権を制したノエル・ファンテンド

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世界選手権銀メダリスト・向翔一郎がリベンジに挑む

(エントリー42名)

現役世界王者のノエル・ファンテンド(オランダ)を筆頭に、ガク・ドンハン(韓国)、イワン=フェリペ・シルバ=モラレス(キューバ)、ベカ・グヴィニアシヴィリ(ジョージア)、マーカス・ニーマン(スウェーデン)ら実に多くのトップ選手が集った豪華トーナメント。日本勢4名も五輪王者のベイカー茉秋(日本中央競馬会)に、世界選手権メダリストの向翔一郎(ALSOK)と長澤憲大(パーク24)、次代の大物である村尾三四郎(東海大1年)と非常に魅力的かつ、強力だ。

東京五輪の代表レースは現在、今夏の東京世界選手権で2位を獲得した向が一歩リードしているが、これには1つだけ注釈を付ける必要がある。かつて向には不要な密着勝負で自滅する悪癖があり、現在の高評価はあくまでもこれが改善されたということが前提となってのもののはず。本当にこれが改善されたのか、今大会はいわば追試のようなもの。東京世界選手権で見せたような、自制の利いた緩急自在の柔道に期待したい。今回の組み合わせは初戦からガンツルガ・アルタンバガナ(モンゴル)、そして準々決勝でガクとニーマンの勝者と対戦せねばならない少々厳しいものであるが、前述の戦い方ができれば実力的にはじゅうぶん勝ち上がれるはずだ。

東京世界選手権で団体戦代表を務めた村尾は初戦でもと81kg級王者のアヴタンディル・チリキシヴィリ(ジョージア)、次戦でラファエル・マセド(ブラジル)、準々決勝でファンテンドという、こちらも過酷な組み合わせ。村尾はこれまで「柔道自体が強い」選手を相手には好成績を収める一方、「試合に強い勝負師タイプ」を相手にはあと一歩勝ち切れない甘さがあった。しかし、前述の世界選手権でまさにこのタイプの代表格であるアクセル・クレルジェ(フランス)に敗れてからは戦い方に厳しさが備わってきており、準々決勝のファンテンドは自らの成長をアピールするには恰好の相手。なんとかここを突破して準決勝で向に直接対決を挑みたい。

ベイカーと長澤も他の2名と同じくプール内に強敵が同居。ベイカーが3回戦でグヴィニアシヴィリ、準々決勝でママダリ・メディエフ(アゼルバイジャン)、長澤が3回戦シルバ=モラレス、準々決勝でアレクサンダー・クコル(セルビア)と対戦予定となっている。両者が今大会に選出されたのはやはり向にまだ絶対的といえるほどの信頼がないことが理由であるはずで、両者ともに今大会の結果と内容次第ではまだぎりぎり東京五輪の代表争いに加わることが可能とみる。この2名はここのところ国際大会での成績が奮っておらず、現在どの程度のパフォーマンスを発揮できるのか未知数な部分がある。まずは初戦の戦いに注目したい。

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講道館杯を制した村尾三四郎

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2015年の世界王者ガク・ドンハン

【プールA】
第1シード:ノエル・ファンテンド(オランダ)
第8シード:ラファエル・マセド(ブラジル)
有力選手:ダヴラト・ボボノフ(ウズベキスタン)、ダヴィド・クラメルト(チェコ)、アヴタンディル・チリキシヴィリ(ジョージア)
日本代表選手:村尾三四郎(東海大1年)

【プールB】
第4シード:ガク・ドンハン(韓国)
第5シード:向翔一郎(ALSOK)
有力選手:マーカス・ニーマン(スウェーデン)、クエジョウ・ナーバリ(ウクライナ)、ガンツルガ・アルタンバガナ(モンゴル)

【プールC】
第2シード:イワン=フェリペ・シルバ=モラレス(キューバ)
第7シード:アレクサンダー・クコル(セルビア)
有力選手:イェスパー・シュミンク(オランダ)、ザッカリー・バート(カナダ)
日本代表選手:長澤憲大(パーク24)

【プールD】
第3シード:ママダリ・メディエフ(アゼルバイジャン)
第6シード:ベカ・グヴィニアシヴィリ(ジョージア)
日本代表選手:ベイカー茉秋(日本中央競馬会)

■ 100kg級 ウルフアロン軸に分厚いトーナメント組まれる
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トーナメントを引っ張るのはウルフアロ

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第1シードはリパルテリアニ

(エントリー38名)

これまで毎年参加していた現役世界王者のジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)がドローの段階で出場を回避した。あの切れ味鋭い投げ技と陽気なキャラクターが見られないことは残念だが、ヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)、シャディー・エルナハス(カナダ)、マイケル・コレル(オランダ)ら階級のトップ層が数多くエントリー、フォンセカ抜きでも十分に豪華かつ魅力的な顔ぶれとなっている。

東京五輪の代表争いは、現在3年連続で世界選手権代表を務めたウルフアロン(了徳寺大職)が大きくリードしている状況。その背中を追う飯田健太郎(国士舘大3年)、今年はワールドツアー2大会を連勝するなど成績を上向かせているが、国内で勝ち切れていないことや出場対戦した相手のレベルを考慮するならば、やはりもう一段のアピールが必要と思われる。今大会のレベルは十分にこれを満たしうるものだが、同時にこれはもしウルフが優勝した場合にはその差が確定的なものになることも意味している。今大会はウルフにとってはここで実質的に五輪代表を内定させるため、そして飯田にとってはウルフに追いつき、以降の戦い望みを繋ぐための戦い。奇しくも両者はベスト8で激突する組み合わせとなっており、それまでの相手を見る限り直接対決の実現は確定的。この対決が五輪代表の決定に与える影響は大きく、今大会の最注目カードの1つだ。飯田はこれまで1度もウルフに勝利したことはないが、両者の最後の対戦は一昨年の全日本学生体重別団体優勝大会まで遡り、現時点でどの程度戦えるのかは未知数。気持ちと気持ちがぶつかり合う熱戦に期待したい。

羽賀龍之介(旭化成)と西山大希(日本製鉄)のベテラン2名は現時点で東京五輪選出の可能性は高くない。とはいえ、現時点でできる最善は勝つことしかなく、まずは今大会で優勝を飾って議論の俎上に上がりたいところ。組み合わせは羽賀が2回戦でラグワスレン・オトゴンバータル(モンゴル)、西山が3回戦でエルナハスと対戦予定となっており、ここが最初の山場だ。

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講道館杯を制した羽賀龍之介

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飯田健太郎は第4シード

【プールA】
第1シード:ヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)
第8シード:エルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)
有力選手:レオナルド・ゴンサルヴェス(ブラジル)、グリゴリ・ミナシキン(エストニア)

【プールB】
第4シード:飯田健太郎(国士舘大3年)
第5シード:ウルフアロン(了徳寺大職)
有力選手:ミクロス・サーイエニッチ(ハンガリー)カヨル・レイズ(カナダ)

【プールC】
第2シード:マイケル・コレル(オランダ)
第7シード:シャディー・エルナハス(カナダ)
有力選手:ヨアキム・ドファービー(スウェーデン)
日本代表選手:西山大希(日本製鉄)

【プールD】
第3シード:ラグワスレン・オトゴンバータル(モンゴル)
第6シード:ベンジャミン・フレッチャー(アイルランド)
有力選手:ズラトコ・クムリッチ(クロアチア)、カール=リヒャード・フレイ(ドイツ)ゼリム・コツォイエフ(アゼルバイジャン)アルマン・アダミアン(ロシア)
日本代表選手:羽賀龍之介(旭化成)

■ 100kg超級 実力、キャラクターともに好役者揃った好トーナメント
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東京世界選手権では団体戦で活躍した影浦心

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東京世界選手権3位のキム・ミンジョン

(エントリー26名)

東京世界選手権2位で国内序列一番手の原沢久喜(百五銀行)が左足(左半膜様筋)を肉離れのために欠場、代替選手としては今季随所で冴えた戦いを見せている太田彪雅(東海大4年)が選ばれた。海外勢でも現役世界王者のルカシュ・クルパレク(チェコ)がドロー段階で出場を取り止め、トーナメントの柱となるべき2名が欠けたことで他の2階級と比べるとどうしても一段レベルが下がってしまう印象はいなめない。しかし近頃はダンスパフォーマンスでも注目を集めている実力者ロイ・メイヤー(オランダ)と韓国の新一番手キム・ミンジョン(韓国)の東京世界選手権銅メダリスト2名や、ラファエル・シウバ(ブラジル)、イナル・タソエフ(ロシア)ら東京五輪のメダル候補が多数参戦しており、みどころは十分以上。強さはもちろん、キャラクターでも楽しめる面白いトーナメントだ。

国内の代表争いでは前述の通り原沢が大きくリードしており、それを二番手の影浦心(日本中央競馬会)が追っている状況。原沢不在の今大会は影浦にとっては差を詰めるチャンスであり、是が非でも優勝したいところだ。組み合わせは2回戦でナイダン・ツヴシンバヤル(モンゴル)と対戦予定となっており、ここが勝ち上がり上最大の山場。ほか3名も2回戦に最初の山場が設定されており、講道館杯王者の熊代佑輔(ALSOK)がメイヤー、香川大吾(ALSOK)がキム・ミンジョン、太田彪雅がヤキフ・ハモー(ウクライナ)とそれぞれ対戦予定だ。いずれも好カード、ファンとしては是非チェックしたいところ。特に今回が100kg超級での国際大会初参戦となる熊代がどこまで戦えるのかは本階級最大の注目ポイントの一。現在の100kg超級ではもと100kg級の機動力を備えたアスリート体型の選手が結果を残す傾向があり、今回の結果次第では熊代が東京五輪代表争いに絡んでくる可能性もまったくないとはいえない。初戦から見逃すことなくその戦いぶりを観察したい。

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ロイ・メイヤーに注目

【プールA】
第1シード:ラファエル・シウバ(ブラジル)
第8シード:キム・ミンジョン(韓国)
有力選手:オレクサンドル・ゴルディエンコ(ウクライナ)
日本代表選手:香川大吾(ALSOK)

【プールB】
第4シード:影浦心(日本中央競馬会)
第5シード:イナル・タソエフ(ロシア)
有力選手:ナイダン・ツヴシンバヤル(モンゴル)ユーリ・クラコヴェツキ(キルギスタン)、スヴェン・ハインル(ドイツ)

【プールC】
第2シード:ロイ・メイヤー(オランダ)
第7シード:ステファン・ヘギー(オーストリア)
有力選手:ベクボロト・トクトゴノフ(キルギスタン)、オドフー・ツェツェンツェンゲル(モンゴル)、ルスラン・シャハバゾフ(ロシア)
日本代表選手:熊代佑輔(ALSOK)

【プールD】
第3シード:キム・スンミン(韓国)
第6シード:ヤキフ・ハモー(ウクライナ)
有力選手:ヴラダト・シミオネスク(ルーマニア)、アンディー・グランダ(キューバ)
日本代表選手:太田彪雅(東海大4年)

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