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【プレビュー】東京五輪出場へ総仕上げ、優勝に代表内定掛かる阿部詩・グランドスラム大阪2019第1日女子プレビュー

(2019年11月21日)

※ eJudoメルマガ版11月21日掲載記事より転載・編集しています。
東京五輪出場へ総仕上げ、優勝に代表内定掛かる阿部詩
グランドスラム大阪2019第1日女子プレビュー(48kg級、52kg級、57kg級)
→グランドスラム大阪2019組み合わせ(IPPON.ORG)
文責:eJudo編集部

■ 48kg級 階級変更後無敵の角田夏実が初参戦、第一人者渡名喜風南が決勝で待ち受ける
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2017年世界選手権に優勝、以降も銀メダル2度の渡名喜風南

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ブダペスト世界選手権52kg級銀メダリスト、角田夏実が電撃参戦

(エントリー26名)

世界選手権3年連続ファイナリストの渡名喜風南(パーク24)に階級変更後無敗の角田夏実(了徳寺大職)、さらに今大会に最後の望みを掛ける近藤亜美(三井住友海上)、加えて期待の若手古賀若菜(南筑高3年)と、日本勢4名だけでもグランドスラム大会が1つ成立しかねない、非常に濃いメンバーが揃った。ムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)、ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)、カン・ユジョン(韓国)と海外のトップ選手も参加しており、トーナメントの優勝難度は世界大会と比べても遜色ない。

最注目の角田はプールCに配され、渡名喜、近藤とは反対側の山を引いた。初戦からカン、さらに準々決勝でムンフバットと対戦予定となっており、いきなり階級トップクラスと手を合わせることとなる。控えめに言っても過酷な配置だが、講道館杯での戦いぶりを見る限り52kg級時代の細身な体型に似合わぬ地力の高さは健在。角田の得意技が初見では対応の難しい独特の理合の巴投であることも考慮すれば、かなりの率で勝利が期待できるはずだ。角田がここから東京五輪の代表権を得るためには全勝が最低条件。48kg級での国際大会初参戦となる角田がどこまで戦えるのか、初戦から全試合見逃さずにチェックしたい。

一方の渡名喜は第1シードのアドバンテージが正当に反映される形で、比較的戦いやすい組み合わせとなっている。厄介なのは準々決勝で対戦するパワーファイターのリー・ヤナン(中国)くらい。すぐ下のプールBからは近藤亜美(三井住友海上)が勝ち上がってくることが濃厚であり、となると準決勝で積年のライバル対決が実現することとなる。近藤はここのところ思うように成績が残せていないものの、純実力ではやはりトップクラス。背水の陣ということで相当な覚悟で臨んでくるものと思われ、これはかなりの熱戦が期待できるはずだ。

順当にトーナメントが進んだ場合、決勝の組み合わせは渡名喜と角田の対戦になると予想される。最近の渡名喜はその強さの因のかなりの部分を体の力の強さに拠っており、まず地力勝負でどちらが上回るかが第1の注目ポイント。渡名喜が今大会で優勝を飾った場合には実績的から考えて実質的に代表内定といってしまって良いと思われるが、角田が優勝した場合には国内の序列が一気に入れ替わり、ここから「短く激しい」代表争いが始まることとなる。いずれにせよ、ここが最後の分岐点であることは間違いない。

古賀若菜(南筑高3年)は2回戦でガルバドラフと対戦予定となっており、ここが山場。ここさえ抜ければ高い確率でベスト4入りが見込める。なんとか勝ち上がって角田にリターンマッチを挑みたいところ。古賀の強さも強靭な体幹をベースとしており、階級随一のパワーファイターであるガルバドラフ相手にどのような戦いを見せられるかに注目だ。

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もと世界王者ムンフバット・ウランツェツェグが角田の前に立ちはだかる。

【プールA】
第1シード:渡名喜風南(パーク24)
第8シード:リー・ヤナン(中国)
有力選手:ガブリエラ・チバナ(ブラジル)

【プールB】
第4シード:メラニー・クレモン(フランス)
第5シード:近藤亜美(三井住友海上)

【プールC】
第2シード:ムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)
第7シード:カン・ユジョン(韓国)
有力選手:モニカ・ウングレアヌ(ルーマニア)
日本代表選手:角田夏実(了徳寺大職)

【プールD】
第3シード:フリア・フィゲロア(スペイン)
第6シード:ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)
有力選手:アレシア・クズネツォワ(ロシア)、メロディ・ヴガニ(フランス)
日本代表選手:古賀若菜(南筑高3年)

■ 52kg級 阿部詩、五輪代表内定なるか?
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代表内定に挑む阿部詩

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対抗し得るのは志々目愛のみ

(エントリー31名)

世界選手権2連覇者、阿部詩(日本体育大1年)の五輪代表獲得なるかが最大の注目ポイント。アモンディーヌ・ブシャー(フランス)、ラグワスレン・ソソルバラム(モンゴル)ら力のある海外勢が多数顔を揃えたが、今大会の参加者のなかで阿部に伍することのできるレベルの選手は2017年世界王者の志々目愛(了徳寺大職)のみ。阿部は従来の技の威力にさらなる磨きをかけるとともに寝技も大幅強化、8月の東京世界選手権では階級のもと絶対王者マイリンダ・ケルメンディ(コソボ)も破って名実ともに絶対的な存在になりつつある。実力比べで阿部に迫りうる選手は恐らくおらず、届き得る刃を持つものがいるとすれば、技の切れ味という別系統の武器を持つ志々目くらいだろう。

準決勝での両者の対決がトーナメント最大の山場だ。また、この対戦は阿部と五輪代表を争っている志々目が自らの力で阿部の代表獲得に「待った」を掛けるチャンスでもある。ここで52kg級の代表争いが決着するのか、それとも志々目が意地を見せるのか、熱戦に期待したい。ただし両者の相性はハッキリしており、これまでの対戦成績は6戦5勝、現在3連勝中の阿部が大きく勝ち越している。通常の力比べでは今回もこの相性どおりの結果になる可能性が高い。志々目がいかなる作戦を以て阿部に臨むのかにも注目だ。

日本勢では内尾真子(自衛隊体育学校)がプールAの初戦でパク・ダソル(韓国)、準々決勝でアモンディーヌ・ブシャー(フランス)、前田千島(三井住友海上)がプールBの初戦でギリ・コーヘン(イスラエル)、準々決勝でアナ・ペレス=ボックス(スペイン)と対戦予定となっている。前田、内尾ともにブシャー以外に敗れる可能性は低いと思われ、内尾は準々決勝のブシャー戦、前田は準決勝の内尾、あるいはブシャーとの戦いが山場となる。最低でもいずれかがブシャーを止め、決勝で阿部に挑戦したいところ。

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アモンディーヌ・ブシャーが第1シードに入った。

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今季急成長のラグワスレン・ソソルバラム

【プールA】
第1シード:アモンディーヌ・ブシャー(フランス)
第8シード:パク・ダソル(韓国)
有力選手:サラ・メネゼス(ブラジル)
日本代表選手:内尾真子(自衛隊体育学校)

【プールB】
第4シード:ギリ・コーヘン(イスラエル)
第5シード:アナ・ペレス=ボックス(スペイン)
日本代表選手:前田千島(三井住友海上)

【プールC】
第2シード:阿部詩(日本体育大1年)
第7シード:ラグワスレン・ソソルバラム(モンゴル)
有力選手:ディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン)、エカテリーナ・グイカ(カナダ)

【プールD】
第3シード:志々目愛(了徳寺大職)
第6シード:ラリッサ・ピメンタ(ブラジル)
有力選手:アンドレア・キトゥ(ルーマニア)、ジョン・ボキョン(韓国)

■ 57kg級 日本人トップ2の対決に期待、カギを握るのは芳田のコンディション
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世界選手権3年連続ファイナリスト、昨年の世界王者芳田司

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「強い選手に強い」玉置桃が後を追う

(エントリー37名)

芳田司(コマツ)と玉置桃(三井住友海上)の国内トップ2を中心に、2017年世界王者のドルジスレン・スミヤ(モンゴル)、昨年来国際大会で上位をキープし続けているジェシカ・クリムカイト(カナダ)、今年のヨーロッパ王者ダリア・メジェツカイア(ロシア)と階級のトップクラスが多数参戦。それ以外にもイヴェリナ・イリエワ(ブルガリア)、レン・チェンリン(台湾)ら実力者が揃っており、激戦階級57kg級の例にもれず非常にレベルの高いトーナメントが組まれた。

国内の五輪代表争いは芳田が大きくリードしており、それを玉置が追っている状況にある。8月の世界選手権で2位の芳田には今回は代表決定の権利がないのだが、実績と直接対決の戦績を考えるなら、芳田が優勝した場合には実質的に代表に決まると考えてよいだろう。両者は順当に勝ち上がれば準決勝で対戦、これが最注目試合となる。芳田は昨年来、新たな技術を次々と習得して立ってよし寝てよしの全方位性を増しているが、大会での出来はそのピーキングの成否に拠る部分が大きいように見受けられる。好調であれば芳田の勝利と予想するが、平均値比べは玉置の土俵。まずは序盤戦、芳田の調子に注目したい。なお、玉置は芳田の前に準々決勝でドルジスレンと対戦予定となっている。本来であれば大一番だが、この選手は昨年から1度もワールドツアーの優勝がなく不調、今年は5月のグランプリ・フフホト以来大会に姿を見せていなかった。今大会にどのようなコンディションで臨んでくるかはわからないが、玉置は過去5戦4勝、現在3連勝中と大きく勝ち越しており、喫した1敗も2015年のこと。今回も玉置勝利と予想してよいだろう。

日本勢では舟久保遥香(三井住友海上)がプールCに配され準々決勝でクリムカイトと対戦予定となっている。両者の対戦戦績は1勝1敗の五分、舟久保としては是非ともここは勝利して存在感を示したいところ。一方、鶴岡来雪(コマツ)はプールDに置かれ、初戦から実力者アメリー・シュトル(ドイツ)、以降3回戦でメジェツカイア、準々決勝でレンとキムの勝者と対戦せねばならない過酷な配置を引いた。ただし、この山には世界王者クラスの相手はおらず、プールの属性としては「誰が勝ち上がってもおかしくない混戦」。持ち前の粘り強さを生かして勝ち残りたい。

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ジェシカ・クリムカイト。昨年度この大会で優勝を飾った。

【プールA】
第1シード:芳田司(コマツ)
第8シード:イヴェリナ・イリエワ(ブルガリア)
有力選手:アレクサンドラ=ラリサ・フロリアン(アゼルバイジャン)、ミリアム・ローパー(パナマ)、ルー・トンジュアン(中国)、アルレタ・ポドラック(ポーランド)

【プールB】
第4シード:ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)
第5シード:玉置桃(三井住友海上)
有力選手:キム・ジャンディ(韓国)、コリーナ・ステファン(ルーマニア)、セヴァラ・ニシャンバエワ(カザフスタン)、ヨワナ・ロギッチ(セルビア)

【プールC】
第2シード:ジェシカ・クリムカイト(カナダ)
第7シード:アンナ・ボロフスカ(ポーランド)
有力選手:ザブリナ・フィルツモザー(オーストリア)、サンネ・フェルハーヘン(オランダ)
日本代表選手:舟久保遥香(三井住友海上)

【プールD】
第3シード:レン・チェンリン(台湾)
第6シード:ダリア・メジェツカイア(ロシア)
有力選手:キム・チス(韓国)、アメリー・シュトル(ドイツ)
日本代表選手:鶴岡来雪(コマツ)

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