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【レポート】2019年度講道館杯全日本柔道体重別選手権マッチレポート①第1日男子4階級

(2019年11月11日)

※ eJudoメルマガ版11月11日掲載記事より転載・編集しています。
2019年度講道館杯全日本柔道体重別選手権マッチレポート①第1日男子4階級
(60kg級、66kg級、73kg級、81kg級)
→男子7階級全試合結果(eJudoLITE)
→男子7階級プレビュー
→男子第1日速報ニュース

文責:古田英毅
撮影:辺見真也/eJudo編集部

■ 60kg級 大島優磨と志々目徹が陥落、若手躍進の中で青木大が初優勝飾る
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60kg級2回戦、中原諒人が志々目徹から出足払「技有」

【決勝まで】

第1シードの大島優磨(旭化成)と第2シードの志々目徹(了徳寺大職)、国際大会の一線で戦って来た2人がともに決勝に進めず。

まず昨年のアジア大会銅メダリストで4月の選抜体重別でも決勝に進んでいる志々目が、初戦(2回戦)で中原諒人(東レ滋賀)に敗戦。ともに「指導1」ずつを失って迎えたGS延長戦1分21秒、出足払を食って痛恨の「技有」を失い万事休す。2012年以来守り続けていた日本開催のグランドスラム代表からもついに滑り落ちてしまうこととなった。

大島は準々決勝で山本達彦(東海大4年)に苦杯。ともに「指導1」ずつを失って迎えたGS延長戦2分1秒に右小内巻込を食らって肩口から落下、「技有」献上で本戦トーナメントから脱落。松村将輝(国士舘大3年)との敗者復活戦は小内巻込「技有」で勝ち抜けたものの、竪山将(パーク24)との3位決定戦を「指導3」の反則で落とし、表彰台登攀はならなかった。大島もグランドスラム代表には選ばれず、第2グループにつけていた国内の序列も一歩後退を余儀なくされた。

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準々決勝、古賀玄暉が松村将輝を攻める。

決勝に進んだのは残りシード選手、古賀玄暉(日本体育大3年)と青木大(パーク24)の2人。日本体育大の先輩後輩が講道館杯初優勝を掛けて相まみえることとなった。

第4シード配置の古賀は2回戦で松本拓(千葉県警察)と激戦。2分21秒に浮落「技有」で先行も残り7秒に食った払釣込足「技有」で追いつかれ、試合はGS延長戦へ。ともに「指導2」も失って迎える延長戦というギリギリの試合をGS1分15秒再度の浮落「技有」で制して勝利決定。今季の学生王者納庄兵芽(天理大3年)を畳に迎えた注目の3回戦はこれも延長戦の末に隅返「技有」を得て勝ち抜け、準々決勝は松村将輝をGS延長戦の末に「指導3」対「指導2」で退ける。山本達彦との準決勝はGS延長戦2分34秒に小外掛「技有」で勝利決定、初の決勝進出を決めた。

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2回戦、青木大が変則の内股を連発して近藤隼斗を翻弄。

青木の勝ち上がりはベテランの色気たっぷり。初戦(2回戦)は高校カテゴリのヒーロー近藤隼斗(佐賀工高3年)を、得意の背中を深く抱いての変則組み手で翻弄。序盤はいずれも組み手のテクニカルファウルで「指導」2つを失ったが、以後はこの組み手からの技出しの早さと引き出しの多さで相手を寄せ付けず。ほとんど両手を畳に着いて跳ね上げる右内股で一方的に攻め、3つの反則ポイントを連取してGS延長戦2分3秒に勝ち抜け決定。右田晃介(福岡県警察)との3回戦は3分39秒片手絞「一本」、この日健闘の福田大悟(鹿屋体育大2年)との準々決勝は3分33秒腕挫腹固「一本」で勝ち抜け、竪山将との準決勝は3分26秒「指導3」対「指導1」で勝利決定。2015年大会以来2度目の決勝へと駒を進めることとなった。

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決勝、古賀が引き手で前襟を掴むが青木は素早くキャッチして右で背中を抱く「ケンカ四つクロス」に変換。

【決勝】
青木大(パーク24)○GS浮技(GS1:18)△古賀玄暉(日本体育大3年)

古賀、青木ともに右組みの相四つ。古賀左引き手で糸を引くように相手の右襟を掴むが、瞬間青木はこの手首を抑え、「ケンカ四つクロス」に近い形で斜めに体をずらす。青木がもっとも好む、相手に無理やり左構えを強いる形。十分心得た古賀すぐさま切って組み手をやり直す。古賀は組み際に奥襟を叩くが果たせず、続いて「カエル飛び」のよろしく一瞬極端に膝を折る牽制も見せるなど手立てを繰り出すが青木は隙を見せず、42秒双方に「取り組まない」咎で「指導」。

古賀が左引き手で右襟を掴むと青木またもや瞬間的にキャッチ、またもや左手でこの左袖、右手で背中を掴む「ケンカ四つクロス」に変換。いったん離れた古賀今度は自ら右釣り手で背中を抱きに行くが青木またもやキャッチしてあっという間に「ケンカ四つクロス」。古賀2度目の背中抱きも初動で青木の手先に捕まって自ら切り離さざるを得ず、続いて引き手で片襟を掴むがこれも指が引っかかる前に切られてしまう。古賀の仕掛けが4度青木に捕まったこのタイミングで主審試合を止め、1分36秒双方に「取り組まない」咎で「指導2」。

古賀は縦に奥襟、さらに引き手で左片襟を差しておいて横から背中抱きと進入角度を変えてアプローチを続けるが、いずれも切られるか、あるいは青木得意の「ケンカ四つクロス」の形に持ち込まれて攻撃の糸口が見つからない。青木3分15秒にはこの形から内股を仕掛けて展開を留保。古賀は2分39秒に片襟の右背負投、これに手ごたえを得て再度片襟、続いて引き手で腋下を握って両袖の内股に身を翻すが青木いずれもスピードを殺して防ぎ、揺るがず。

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青木が隅返のフェイントから右小内刈。

残り29秒、青木「ケンカ四つクロス」から左足に隅返を入れるとみせて右小内刈を引っ掛ける。そのまま左膝の上に体を載せるようにして押し込むと古賀大きく崩れて伏せ「待て」。この試合初めてポイントの予感漂う攻防。残り10秒、古賀が釣り手で後帯を掴むと青木も左手で帯を掴んで抱き勝負に応じ、右袖を掴んだまま後に体を捨てる変則の谷落。古賀が立ったまま耐えて、ここで本戦4分が終了。試合はGS延長戦へ。

延長も攻防の基調は変わらず。古賀が手立てを変えてアプローチするも青木ことごとくキャッチして「ケンカ四つクロス」に変換。GS43秒には再びこの形から右小内刈を絡ませて崩し、次いでこの技を餌に左前隅に古賀を引き落として「待て」。

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GS延長戦1分18秒、青木の浮技が「一本」

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悲願の初優勝決定、青木は思わず畳に突っ伏す。

状況の閉塞を感じた古賀はここでひときわ思い切った抱き勝負。右釣り手で深く背中を掴んで腹を出しながら距離を詰める。しかしここで青木がまたも上手さを発揮。応じて右で背中を掴むと、一瞬脱力してぶら下がることで腰の位置を後方にずらして相手の力の圏内から抜け出すと、古賀の右腕を外側から引き手でガッチリ拘束。互いの体は繋がっているが、右腕の伸びた古賀は力を掛けられない状態となる。しかし初動で一度掴まえた手ごたえにとらわれた古賀はこの形から降りることが出来ず、抱き合いを続けたまましばし駆け引き。

互いの体が1つに繋がったこの状態をうまく利用したのは青木。右横変形の抱き合いから左足を相手の正面に運んで時計回りの運動を作り出すと右脚を流して体を捨て、必殺の浮技一撃。双方自護体から回旋運動を作り出して体を捨てる、まるで「投の形」を再現したかのような理に叶った一撃。古賀到底耐えられず吹っ飛んで畳にめり込む。

主審の宣告は確かめるまでもなし。青木思わず畳に突っ伏し、顔を覆ってしばし歓喜に浸る。青木鮮やかな「一本」で悲願の講道館杯初優勝を決めた。

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60kg級メダリスト。左から2位の古賀玄暉、優勝の青木大、3位の竪山将と福田大悟。

【入賞者】
優 勝:青木大(パーク24)
準優勝:古賀玄暉(日本体育大3年)
第三位:竪山将(パーク24)、福田大悟(鹿屋体育大2年)
第五位:大島優磨(旭化成)、山本達彦(東海大4年)
第七位:松村将輝(国士舘大3年)、中原諒人(東レ滋賀)

【グランドスラム大阪代表選手】
髙藤直寿(パーク24)、永山竜樹(了徳寺大職)、青木大(パーク24)、古賀玄暉(日本体育大3年)

青木大選手のコメント

「いつも優勝にあと一歩届かなかった。自分がやって来たことが日本一に足るものだ、と信じて頑張りました。(-優勝が決まった瞬間はいかがでしたか?)年齢も年齢なので取り乱さないようにと思ってはいたんですが、嬉しくて表情に出してしまいました。組み手で捌いて行った先で、上手く自分の形に嵌められました。この優勝はあくまでもこれは通過点、次のステージを与えてもらえるならしっかり頑張りたいです。」

【準々決勝】
山本達彦○優勢[技有・小内巻込]△大島優磨
古賀玄暉○GS反則[指導3](GS4:59)△松村将輝
竪山将○優勢[技有・背負投]△中原諒人
青木大○腕挫腹固(3:33)△福田大悟

【敗者復活戦】
大島優磨○GS技有・小内巻込(GS2:01)△松村将輝
福田大悟○小内刈(3:09)△中原諒人

【準決勝】
古賀玄暉○GS技有・小外掛(GS2:34)△山本達彦
青木大○反則[指導3](3:26)△竪山将

【3位決定戦】
竪山将○反則[指導3](3:46)△大島優磨

■ 66kg級 勢い止まらぬ相田勇司が初優勝、グランドスラム大阪進出決定
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66kg級準決勝の同門対決、相田勇司が武岡毅から左袖釣込腰「技有」を奪う。

(エントリー37名)

【決勝まで】

混戦模様のトーナメントを決勝まで勝ち上がったのは相田勇司(國學院大2年)と西山祐貴(警視庁)の2人。勢いにのる若手と百戦錬磨のベテラン選手という、興味深い顔合わせとなった。

9月のグランプリ・タシケントで初めてのワールドツアー大会出場、見事決勝まで進んだ相田の勢いは今大会も衰えず。第4シードに配されたこの日はまず初戦(2回戦)で長尾崇文(日本体育大育大4年)をGS延長戦1分59秒「指導3」対「指導1」で撃破。3回戦は実業カテゴリの強者木戸清孝(アドヴィクス)を一方的に「指導」3つを奪って下し、勝負どころの準々決勝は磯田範仁(国士舘大職)にGS延長戦11秒背負投「一本」で快勝。同門同期の対決となった準決勝では今季の全日本ジュニア王者・武岡毅(國學院大2年)を袖釣込腰で攻めまくり、残り13秒にこの技で「技有」を得て勝利。講道館杯2度目の出場でみごと決勝の畳へと駒を進めることとなった。

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準決勝を戦う西山祐貴。

2014年には2位入賞、昨年も3位に入賞している西山は25歳、今季も警察タイトルを獲得してその配置は堂々の第2シード。この日は2回戦で末木貴将(センコー)から1分30秒背負投「一本」という素晴らしい立ち上がりを見せる。3回戦は難敵浅利昌哉(ALSOK)を相手にGS延長戦12秒一本背負投「技有」を奪って勝ち抜け、準々決勝は学生体重別2位の鈴木練(東海大4年)を「指導3」対「指導2」で下す。準決勝は第3シードの藤阪泰恒(パーク24)から一方的に「指導」3つを奪う快勝で、久々決勝の畳に駒を進めることとなった。

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2回戦、久間康寛が藤阪太郎から小外掛「一本」

連覇を狙った第1シードの藤阪太郎(大阪府警察)は初戦で久間康寛(警視庁)にGS3秒小外掛「一本」を奪われ敗退。藤阪が消えたAブロックではジュニア王者の武岡が暴れまくり、2回戦では今季の学生王者・内村光暉(東海大4年)から大外刈と支釣込足の合技「一本」、3回戦では橋口祐葵(パーク24)から1分46秒送襟絞「一本」、準々決勝は湯本祥真(筑波大2年)から移腰「一本」と出色の出来。表彰台登攀が正当な出来であったが、ここが講道館杯の厳しさ。同門相田に敗れて回った3位決定戦では昨年のグランドスラム大阪で代表を務めた田川兼三(了徳寺大職)に1分26秒大内刈を食って一本負け。最終成績は5位であった。

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決勝、西山の右背負投を相田が引き上げる。

【決勝】

相田勇司(國學院大2年)○GS技有・隅返(GS5:15)△西山祐貴(警視庁)

決勝は右相四つ。ともに引き手を先に欲しがり、この左で右前襟を掴んだところから激しい組み手争い。相田が左小内刈で先制攻撃、西山は片手交換のやりとりを縫って得意とする片襟の右背負投で対抗。
組み手の早さではベテラン西山に一日の長ありの印象も、相田は危機察知の早さと組み手と連動した鋭い足技で主導権を渡さず。1分8秒、西山片襟の右背負投に飛び込むが、相田は伏せた西山の腹下に左足先を突っ込むと、体ごと引き上げながら右足を回し入れて横車風の隅返。西山が吹っ飛び、膝から落ちて「待て」。
組み手争いのさなか、相田が引き手で西山の袖を絞り落としたとして1分39秒「指導」。以後は双方相譲らぬ激しい組み手の駆け引きが続く。西山は切り合いを縫って右片襟背負投を打ち込み、相田は右片襟で振っての左小内刈、さらに左小内刈で相手を下げて左足で相手を支えながらの巴投と色気のある技を連発。しかし準決勝で連発した左袖釣込腰には入らせてもらえない。西山が右片襟背負投を続けて放ったところでタイムアップ、拮抗のまま試合はGS延長戦へ。

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延長になると相田は左構えを多用、隅返に活路を見出す。

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西山はケンケンの右内股でこの接近戦に対抗。

GS延長戦が始まるなり、16秒相田が左で背中を抱いての隅返。まともに力を受けた西山吹っ飛んで膝から落ちる。相田これに手ごたえを得たか、組み手争いの中から再び左で背中を抱いて同じ形から左小内刈、さらに袖をいったん両手で確保する左の「ケンカ四つクロス」の形を経由してまたもや思い切った隅返に飛び込む。西山これも反応できず大きく崩れて腹ばい、GS1分13秒西山に「指導」。

相田は以後も相手の右に体を寄せ、左組みの形で圧力。西山巴投を放つが相田立って受けたまま崩れず、GS1分59秒には片襟の右大内刈で突進すると左で背中を引き寄せて隅返。さらに左で奥襟を叩く完全な左組みの構えから左大外刈の大技、西山を一歩下げるとこの左で後帯を引っ掴んでまたもや思い切り隅返に打って出る。西山大きく崩れ、GS2分16秒ついに「指導2」。

完全にやり方を掴んだ相田は左構えから隅返をさらし、左大腰から左小内刈とこの形からの左技にも冴えが出る。GS3分18秒、さらにGS3分38秒にも隅返で西山を崩して完全に展開を掌握。GS4分4秒、ようやくこの形に西山が反応、相田がまたもや左で後帯を掴むと右内股で脚を差し上げ、ケンケンで投げに掛かる。相田が脚を高く揚げて応じて耐え切り、しかしこれで展開は1度留保され相田の「指導3」奪取は1歩遠のいた形となる。

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延長5分を過ぎたところで相田がひときわ思い切りよく隅返。

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膝を入れて両足で投げ切り「技有」

西山勢いを得て右片襟背負投、さらに右体落に飛び込むが相田作用足を乗り越えるなり谷落で逆に投げに掛かり、まったく展開を譲る気配なし。さらに西山が奥襟を叩くと素早く反応して左大外刈を引っ掛け、あわやという場面を作る。

そして直後の5分15秒、相田がまたもやこの延長戦の戦術の要である隅返に飛び込む。西山回って腹ばいに落ちるかと思われたが相田残った右足の膝を腹中に差し入れて両足で一段強くコントロール。西山僅かに右肩、さらに腿側面から接地する。いったんは流されたが映像チェックの結果これが「技有」となってついに試合決着。相田が講道館杯初優勝を決めた。

相田は延長戦に入って左で背中を叩き、隅返を中核に試合を組み立てなおした戦術眼が光った。本人は「戦い方を変えたつもりはない」とのことだが、引き出し豊かな相田の柔道の良いところが存分に発揮された試合と言えるだろう。相田の攻撃の引き出しの多彩さ、そしてその危険さ、刷り込むリアクションの速さで、ベテラン西山の練れた組み手を乗り越えた試合だった。小内刈と担ぎ技のクラシックスタイルをベースとしながら抱き勝負に左右も厭わず、攻撃の形が多彩で足も効く、ワールドツアーの強者と見まがうばかりの柔道。60kg級の青木大と併せて、国際柔道のトレンドがしっかり国内に降りて来ていると感じさせられた試合だった。

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66kg級メダリスト。左から2位の西山祐貴、優勝の相田勇司、3位の磯田範仁と田川兼三。

【入賞者】
優 勝:相田勇司(國學院大2年)
準優勝:西山祐貴(警視庁)
第三位:磯田範仁(国士舘大職)、田川兼三(了徳寺大職)
第五位:藤阪泰恒(パーク24)、武岡毅(國學院大2年)
第七位:湯本祥真(筑波大2年)、鈴木練(東海大4年)

【グランドスラム大阪代表選手】
丸山城志郎(ミキハウス)、阿部一二三(日本体育大4年)、相田勇司(國學院大2年)、西山祐貴(警視庁)

相田勇司選手のコメント
「去年はこの大会に出るだけで満足していましたが、今年は本気で優勝を狙っていました。目標が達成出来てうれしいです。(-決勝の西山選手は昨年敗れた相手ですね?)長丁場になるのはわかっていましたので、我慢することだけ考えていました。去年負けた相手なので研究もしていて、上手い組み手についていってチャンスを探ろうと思っていました。最後は汚い柔道だったと思うんですが、とにかく勝とうと思っていました。(-延長戦に入ってやり方を変えた?)いや、そんなに変えていないです。組み手が物凄く上手い相手なので、そこをしっかりやって取りにいこうと考えていました。グランドスラム大阪に選ばれたら、2強を乗り越えられるように準備して、頑張りたいと思います。」

【準々決勝】
武岡毅○GS技有・移腰(GS3:42)△湯本祥真
相田勇司○GS背負投(GS0:11)△磯田範仁
西山祐貴○反則[指導3](3:48)△鈴木練
藤阪泰恒○GS小内刈(GS0:14)△田川兼三

【敗者復活戦】
磯田範仁○GS大外刈(GS0:33)△湯本祥真
田川兼三○GS技有・小外刈(GS1:04)△鈴木練

【準決勝】
相田勇司○優勢[技有・袖釣込腰]△武岡毅
西山祐貴○GS反則[指導3](GS3:34)△藤阪泰恒

【3位決定戦】
磯田範仁○小外刈(3:48)△藤阪泰恒
田川兼三○大内刈(1:26)△武岡毅

【決勝】
相田勇司○GS技有・隅返(GS5:15)△西山祐貴

■ 73kg級 原田健士驚きの全試合一本勝ち、決勝は海老沼匡を2度投げる完勝
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海老沼匡の初戦は大吉賢に右一本背負投を切り返されるという苦しい出だし。「技有」失陥。

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準決勝、海老沼が佐藤雄哉から釣込腰「一本」

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準決勝、原田健士が細木智樹から隅落「技有」

(エントリー35名)

【決勝まで】

人材多き激戦階級を決勝まで勝ち上がったのは海老沼匡(パーク24)と、原田健士(日本体育大3年)の2人。大本命とダークホースによる頂点対決となった。

海老沼は第1シード、初戦は大学カテゴリきっての勝負師・大吉賢(日本体育大3年)と対戦。試合終盤の3分4秒に右一本背負投を切り返されて隅落「技有」を失うピンチに陥ったが、残り20秒に再びの右一本背負投で「技有」を奪ってしぶとく生き残る。GS延長戦早々に相手の隅返をかわして横四方固に抑え込み、合技「一本」で結果としては順当に3回戦進出決定。以降も難敵と立て続けに戦うことになったが、その道行きは概ね順調。3回戦は岩渕侑生(センコー)からGS延長戦肩固「一本」、準々決勝は土井健史(三重県体育協会)から2分20秒一本背負投「技有」を奪うと以降も「指導」2つを奪う危なげない戦いで優勢勝ち。準決勝はこの日大健闘の佐藤雄哉(日本エースサポート)を豪快な左釣込腰「一本」に仕留め、気を良くして決勝の畳に臨む。

一方の原田はノーシード、1回戦からのスタート。初戦から竹内信康(立川拘置所)という厳しい配置だったがこの試合を2分54秒の背負投「一本」で突破すると、2回戦は清水健登(パーク24)から2分21秒小外刈「一本」、勝負どころの3回戦は今季の学生王者島田隆志郎(國學院大4年)からGS延長戦1分51秒に大内返「一本」。さらに準々決勝では第2シードの立川新(東海大4年)棄権の山を勝ち抜いた石田克行(日本文理大4年)から1分21秒内股「一本」と破竹の勢い。準決勝では混戦ブロックを勝ち上がった細木智樹(皇宮警察)と打ち合い。1分10秒に隅落「技有」先制、2分20秒に小外掛で「技有」を失ってタイスコアに持ち込まれたが、2分59秒隅返「技有」を得て勝ち越し。なんと全試合一本勝ちで決勝の畳まで辿り着くこととなった。

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決勝、海老沼が巧みに組み手を進める。

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原田が海老沼の左腰車を待ち構えて右に制動。

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そのまま豪快な裏投一撃「技有」。

【決勝】
原田健士(日本体育大3年)○合技[裏投・隅返](2:25)△海老沼匡(パーク24)

決勝は海老沼が左、原田が右組みのケンカ四つ。
原田が釣り手を内側から持ち、徐々に手首の位置を上げながら引き手争いが続く。原田は引き手で袖を得るといったん右肩をずらして入り口を作り、思い切った右内股。間髪入れずに右大内刈から出足払に繋いで海老沼を場外まで弾き出し「待て」。挑む立場の意気込みが存分に表れた、素晴らしい先制攻撃である。受け切った海老沼続く展開は内側に釣り手を入れ、右方向へ意識を向けさせながらの左小外刈を絡ませて早速反撃。以後も左右の腕をよく動かして高低差を作り出し、間合いを整えながら一撃の機会を伺う。1分半過ぎには組み手交換の間を縫って低く鋭い右一本背負投、原田が反応良く手を突いて耐え、これは「待て」。試合は拮抗である。

そして1分40秒、原田が右釣り手で上から背中を深く叩くと、海老沼は待ってましたとばかりに首を抱えて左腰車。近い間合いにおける海老沼の得意技だが、しかし予期した原田は備え十分。相手の右側に一歩出て低く抱き止めると、海老沼の体は右に傾いて大きくバランスを崩す。原田は右手でほとんど前帯を掴むところまで深くその体を抱き、じゅうぶん力を溜めた膝を伸ばして必殺の裏投一撃。海老沼が放物線軌道を描いて吹き飛び、そのさなか原田は右脚を高く揚げて投げの威力を一段アップ。激しく畳に落ちた両者の後方で主審高々右手を上げて「一本」を宣告。

原田思わず手を叩いて会心の表情、海老沼はがっくり。しかしここで映像のチェックが入り、この技の評価は「技有」にダウングレードされる。勢いが良すぎたためコントロールを失ったとみなされたか、あるいは単に回り過ぎて背中の接地が甘かったか。いずれ海老沼は命拾い。

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原田先んじて立ち上がり2度目の隅返。

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海老沼が体側から畳に落ちて「技有」

しかし「技有」リードの原田は守りに入らず、あくまで攻めの姿勢を貫く。続く展開では釣り手で背中を深く横に抱いて隅返。これは投げ切れず頭から着地した海老沼が膝から落ちてしまったが、すかさず立ち上がるなり中途半端な体勢の海老沼の上半身を引き上げ、再度の隅返で左前隅に放る。

またしても勢いの良さゆえアフターで手が離れたが、海老沼の肩の内側と下半身の側面は明らかに接地。主審は「待て」を掛けて映像のチェックを要求、技を受けた海老沼の姿勢が寝姿勢ではないこと、そして側面の接地とポイントの成立条件が確認された模様で、これに「技有」を宣告する。結果、合技「一本」で試合が決した。大学3年生の原田、驚きの講道館杯初優勝達成。なんと全試合一本勝ちである。

試合を決した隅返は絵に描いたような「寝から立ち」の隙を突いた一撃。練り上げた変則とその出口としての捨身技で決した60kg級決勝、担ぎ系選手がその枠に留まらぬ多彩な闘法を搭載して練れた組み手を突破した66kg級決勝に続き、国際大会の技術的傾向が色濃く反映された決勝となった。

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初優勝の原田健士。インターハイ66kg級を制して以来2度目の全国制覇は、講道館杯というビッグタイトルとなった。

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73kg級メダリスト。左から2位の海老沼匡、優勝の原田健士、3位の土井健史と佐藤雄哉。

【入賞者】
優 勝:原田健士(日本体育大3年)
準優勝:海老沼匡(パーク24)
第三位:土井健史(三重県体育協会)、佐藤雄哉(日本エースサポート)
第五位:細木智樹(皇宮警察)、西園航太(明治大4年)
第七位:塚本綾(日本体育大2年)、石田克行(日本文理大4年)

【グランドスラム大阪代表選手】
大野将平(旭化成)、橋本壮市(パーク24)、原田健士(日本体育大3年)、海老沼匡(パーク24)

原田健士選手のコメント
「自分でも信じられないくらい。びっくりしています。来たらそのまま返そう、隙があったら一発狙っていこうとは思っていました。挑戦者なので自分からガツガツ行かないと、と。(-あの裏投は「一本」では?)自分では持ち上げたところまでしかわからないのですが、勢いがあったと思ったので先にガッツポーズをしてしまいました。その後も、積極的に行こうと戦い切ることが出来たのは良かったと思います。73kg級は強い選手がたくさんいるので、追いついて、追い越せるように頑張っていきたいです。」

【準々決勝】
海老沼匡○優勢[技有・一本背負投]△土井健史
佐藤雄哉○GS反則[指導3](GS4:22)△塚本綾
原田健士○内股(1:21)△石田克行
細木智樹○GS技有・隅落(GS2:13)△西園航太

【敗者復活戦】
土井健史○袖釣込腰(3:12)△塚本綾
西園航太○優勢[技有・小外掛]△石田克行

【準決勝】
海老沼匡○釣込腰(1:22)△佐藤雄哉
原田健士○合技[隅落・隅返](1:01)△細木智樹

【3位決定戦】
土井健史○合技[袖釣込腰・小内巻込](3:22)△細木智樹
佐藤雄哉○合技[巴投・横四方固](2:33)△西園航太

【決勝】
原田健士○合技[裏投・隅返](2:25)△海老沼匡

■ 81kg級 友清光が決勝で小原拳哉破る、佐々木健志は3位確保でGS大阪滑り込み
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1回戦、佐々木健志が崎山寛至から内股「一本」

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準々決勝、佐々木が丸山剛毅を担いで「技有」先行

(エントリー32名)

【決勝まで】

第1シードに配された昨年のアジア大会日本代表・佐々木健志(ALSOK)の戦いぶりに注目が集まった。初戦(1回戦)は崎山寛至(日本大2年)から「指導」2つを奪った末に2分30秒完璧な内股を決めて「一本」。順調な出だしかと思われたが、2回戦は本田一将(帝京大4年)に1分30秒体落で畳に転がされ「技有」を失う大ピンチ。表情を変えずに「指導」1つを取り返すと、3分53秒小内刈「一本」で逆転勝ちを決めたものの、懸案の不安定感は払拭できず。

そして迎えた大一番、丸山剛毅(パーク24)との準々決勝はまさしく本領発揮。3分25秒に「韓国背負い」から頭を突っ込んでめくりかえして「技有」を奪うと、これで集中を失った丸山に容赦せず。再開直後の3分30秒に再度の背負投で再びの「技有」。鮮やかな合技「一本」で準決勝進出を決めた。

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2回戦、友清光が渕原槙一から隅落「技有」

準決勝で相まみえるのは今季のユニバーシアード王者・友清光(国士舘大3年)。こちらも2回戦で渕原槙一(パーク24)に1分59秒内股「技有」を先行される苦しいスタートだったが、2分35秒に隅落「技有」を取り返すと、ここから4分間掛けて一方的に「指導」3つを奪ってGS延長戦3分28秒に勝利決定。渕原の一撃は一時「一本」が宣されており、まさに首の皮一枚残ったところから勝ちに繋げた、友清らしいしぶとい一番。続く3回戦は学生体重別2位の岡虎(東海大3年)からGS延長戦15秒小内刈「一本」で勝ち抜け、迎えた準々決勝は第4シードのベテラン長島啓太(日本中央競馬会)と「指導2」ずつを失う消耗戦の末に、これもGS延長戦の1分58秒に小内刈「技有」を奪って勝利。佐々木の待つ準決勝の畳へと向かう。

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準決勝、友清が佐々木から袖釣込腰でまず「技有」を奪う

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3位決定戦、佐々木が江畑丈夫から腰車「一本」

そして迎えたこの準決勝は友清の圧勝。1分59秒に豪快な袖釣込腰で「技有」を奪うと、続く展開では得意の小内刈から突進。たたらを踏んで後方に逃れた佐々木は巴投に飛び込むが、既に大きく崩されており背中から畳に落ちる格好となってしまう。後転した佐々木の体を乗り越えた友清の後で主審は「一本」を宣告、映像チェックが持たれるも判定は覆らなかった。友清、快勝で決勝進出決定。

畳を降りる佐々木は足を引きずり、明らかに負傷した様子。当週の稽古で右足首の靭帯を痛めていたとのことで、メダル獲得に向けて暗雲漂う引き上げ。しかし迎えた江畑丈夫(パーク24)との3位決定戦は47秒腰車「一本」で乗り越え、無事表彰台を確保。グランドスラム大阪代表にも選ばれた。本人は「今の状況で出来ることを探してやった結果」とV逸に下を向くことなく、意外にも割り切った表情。「大阪で勝って、選抜でも優勝するしかない」と冷静にこの先を見据えていた。今大会5試合で3度投げられた不安定感は明らかにマイナス材料だが、コンディション調整の猶予が与えられた形のグランドスラム大阪でこれをかき消すだけのパフォーマンスが見せられるかどうか。注目である。

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2回戦、小原拳哉が青柳大虎から大外刈「技有」

友清と覇を競うもう1人の決勝進出者は、大会連覇を狙う小原拳哉(パーク24)。1回戦は遠江幸佑(佐賀県警察)から2分22秒引込返と巴投の合技「一本」で快勝。2回戦は青柳大虎(日本大2年)から「指導」2つを奪った末に残り30秒に得た大外刈「技有」をテコにこれも危なげなく優勢勝ち。準々決勝では粘る溝口琢海(桐蔭横浜大3年)からGS2分7秒「指導3」を奪って勝ち抜け、昨年度大会決勝の再現カードとなった準決勝は佐藤正大(自衛隊体育学校)との消耗戦をGS延長戦2分35秒「指導3」の反則で制した。大過なく、3年連続の決勝進出決定。

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釣り手争いは僅かずつ小原が優位

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友清は右小内刈で打開

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小原は度々巴投を見せる

【決勝】
友清光(国士舘大3年)○GS技有・隅落(GS4:25)△小原拳哉(パーク24)

決勝は小原が左、友清が右組みのケンカ四つ。組み手の巧い友清は「ケンカ四つクロス」に引き手側からの接近とアプローチの手立てを変えながら探りを入れるが、小原はあっという間に肘を入れて相手の釣り手を無力化、相対的優位を作ってしまう。30秒、小原が素早く前襟を掴むと友清はなかなか切り離せず、半端に終わらせてはならじとしっかり切りに掛かったところで小原が右一本背負投に飛び込む。この攻防に様相は端的、以後も釣り手の制空権は常に小原にあり、友清は低い位置で襟をひとまず得るのみで見た目は苦しい進退。しかし1分4秒に友清が初めて良い形で組んで右小内刈を一撃、さらに腰を切って右前技のフェイントを呉れると小原は思わず潰れてしまい、偽装攻撃の「指導」失陥。

続く展開、小原は引き手で袖の外側、さらに釣り手で内から高い位置で襟を得てほぼ完璧な組み手を作りだす。ここからどんな手を繰り出すか注目されるところだが、その選択は大内刈からの巴投。自らチャンスを捨ててしまった感もあり、やや勿体ない形。友清はまったく崩れず受け切って「待て」。

以後も概ね様相は変わらず。友清手立てを尽くして組み手を得んとするが、小原は巧みな釣り手操作を軸に相対的優位を譲らず、しかしそこから仕掛ける技は友清がしっかり受け止めるという形で試合が進む。小原2分6秒に二段の小外刈、2分35秒には引き手から持っての左大外刈から両足の巴投に繋ぐ良い攻めを見せるが、やはり友清は崩れない。機を見て威力ある出足払に鋭くステップを切っての右小内刈と要所で技を繰り出して粘り続ける。そして3分9秒、引き手で袖口を絞り込んだまま両袖の攻防を続けた小原に対して主審は「指導2」を宣告。組み手で勝り続けた小原の側に「指導」2つが一方的に積み重なる形となる。

以後も小原が僅かずつ有利を得る体の組み手争いが続き、残り5秒には一方的に組んだ小原がひときわ思い切って左内股。しかし反応した友清が力の圏外に逃れ、頭から畳に着地して潰れて「待て」。ここで友清に消極的の咎による「指導」1つが与えられ、反則累積は2対1。試合はGS延長戦に持ち越されることとなる。

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延長戦開始早々、友清が右小外刈であわやという場面を作る

延長開始早々、友清が引き手で相手の釣り手の袖を抑え、交差するように送り出しながら奥襟を確保。ここから背を抱いて右小外刈に体を捨てるが自分のみが滑り落ちてしまう形で「待て」。以後、徐々に友清が組み手で拮抗に持ち込む時間が増え始めた印象。しかし小原は左体落に巴投、さらに左大内刈から巴投と捨身技を2度纏めて手数を確保。優位を自ら切っている感も否めないが、審判は攻勢を認めてGS1分19秒友清に「指導2」。これでスコアはタイとなる。

当然ながら展開は加速。友清は引き手から得ての右大腰、小原は一気に手を2つ出して組み付いての前進に、友清の右内股を切り返しての左体落と攻めを重ねる。小原GS2分45秒には右一本背負投、続いて奥襟を餌に背に食らいついての谷落に打って出る。この谷落は滑り落ちてしまい不発だったが、以後も左小外刈からの右一本背負投、さらに二段の左小外刈と立て続けに放って攻勢継続。いずれも友清は立ったまま受け止めたが、あと一歩で小原が「指導3」を奪う可能性は高いかと思われた。

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小原が片手の左内股で体を捨てると、友清は引き手で前襟を掴んでその体をコントロール。

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大きく前に出て隅落「技有」。これで試合が決した。

そしてGS延長戦4分を超えたこのタイミングで、両者が釣り手で背を抱き合う待ったなしの体勢が訪れる。ここで先に動いた小原の選択は釣り手一本の右内股。頭を下げ、片手のまま脚を思い切り高く揚げてあと1つの「指導」を取りに出る。しかし友清はこの技の仕掛けの直前に空いた引き手で小原の前襟を握っており、自ら頭を下げて体勢を崩した小原の倒れ際に首元の襟を拾った絶好の形となる。巧者友清がこの機を逃すはずはなく、前襟をグイと引き上げて制動を効かせ、大きく前に乗り込んで相手を捲り返し隅落「技有」。

劇的なポイントで試合決着。大学3年生の友清が講道館杯初制覇を果たすこととなった。

直接勝敗を分けた攻防の因は、小原が投げではなくあと1つの「指導」を取りに出てしまい、片手技で隙を作ってしまったということに尽きる。投げのダイナミクスに必要な引き手の牽引を捨てて片手のままの「崩し技」、これで相手に横腹を晒す形で頭を下げてしまった。

これまでに攻めて終わる展開を積んでいたがゆえ、あと1つの「指導」に現実的に手が届く状況にあったゆえのミスと見るべきなのだろうが、もう1つ。ここに至るまでに小原は大枠優位を取りながら強気に徹せず自ら展開を切る場面が幾度かあり、その試合姿勢が端的に表れてしまった場面であるという見方も可能だ。優位を取りながら捨身技で展開を渡してしまうのは小原がこれまでのキャリアで幾度か見せている失敗パターン。この試合でも1分32秒、2分35秒、GS1分19秒と組み勝っていながら巴投でひとまず展開を切り、手数の上積みと引き換えに投げのチャンスを逸してしまう場面が3度あった。捨身技を効かせるのは窮してからではなく自身優位の時、という考え方も当たりではあるのだが、ここぞで勝負に出ずに手数の積み重ねに舵を切った、その総体としての報いを最後に食ったという見立てはひとつ提示しておきたい。

もう1つ。大枠小原に組み手を制される中で友清にもっとも可能性があると感じられた形はGS延長戦21秒から53秒までの時間帯、小原が引き手で袖、釣り手で背中を深く抱えた状態。友清は釣り手で腹を突く一見苦しい進退であったが、右小内刈で打開して最終的に小原を体落で潰すに至っている。小原の襟を持っての組み手の防壁が外れ、友清の特徴である不思議な体の強さが生きる状態になっていた。最後の場面はこれに相似。これまで自身を優位ならしめた所以の組み手の堅陣を崩して、内懐に抱く形で相手の力をまともに受ける状態で、しかも崩し技で手数を積みに出てしまった、という段重ねのミスがあったということだ。

最後に。大学に入るなり一気に出世、1年時に全日本ジュニア優勝、2年時に全日本学生体重別優勝と着実に成績を残して来た友清の不思議な体の強さがこの試合でも存存分に発揮されたと感じた。地味ながら練れた組み手、今出来ることを素早く読み解いて前に出続け、隙あらば一発取らんという友清の圧力が、実は見た目以上に効いていたのではないだろうか。試合を見ていても、小原が組み勝っているはずなのに友清の側になぜか危うさが感じられず、むしろ状況をひっくり返す意外な一発が生まれるとしたら友清の側ではないかという感触が常にあった。GS延長戦、小原が2度、3度と手数を積んでも主審が容易に動かなかったのは、この友清の「組み負けていることはずなのに、なぜか試合は支配している」という圧力を間際で感じたせいかもしれない。最近は威力ある投技の獲得にも進境著しい友清、今後が非常に楽しみだ。

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81kg級メダリスト。左から2位の小原拳哉、優勝の友清光、3位の長島啓太と佐々木健志。

【入賞者】
優 勝:友清光(国士舘大3年)
準優勝:小原拳哉(パーク24)
第三位:長島啓太(日本中央競馬会)、佐々木健志(ALSOK)
第五位:佐藤正大(自衛隊体育学校)、江畑丈夫(パーク24)
第七位:丸山剛毅(パーク24)、溝口琢海(桐蔭横浜大3年)

【グランドスラム大阪代表選手】
藤原崇太郎(日本体育大3年)、永瀬貴規(旭化成)、友清光(国士舘大3年)、佐々木健志(ALSOK)

友清光選手のコメント
「決勝は勝つというよりも全力を出そう、という姿勢で臨みました。なかなか組めなかったのですが、ワンチャンスあったら飛び込もうとは思っていました。『技有』の場面は狙っていたわけではなく、体がうまく反応してくれた感じです。1回戦は緊張して体が固まり、徐々に動けるようになってきて、調子が良くなって来たなというところで決勝を迎えられました。ここで終わるんじゃなくて、次のステージでも勝てるようにもっともっと頑張りたいと思います。」

【準々決勝】
佐々木健志○合技[背負投・背負投](3:30)△丸山剛毅
友清光○GS技有・小内刈(GS1:58)△長島啓太
小原拳哉○GS反則[指導3](GS2:07)△溝口琢海
佐藤正大○袖釣込腰(3:29)△江畑丈夫

【敗者復活戦】
長島啓太○大内刈(3:37)△丸山剛毅
江畑丈夫○GS技有・内股(GS2:39)△溝口琢海

【準決勝】
友清光○小内刈(2:24)△佐々木健志
小原拳哉○GS反則[指導3](GS2:35)△佐藤正大

【3位決定戦】
長島啓太○大内刈(3:54)△佐藤正大
佐々木健志○腰車(0:47)△江畑丈夫

【決勝】
友清光○GS技有・隅落(GS4:25)△小原拳哉

※ eJudoメルマガ版11月11日掲載記事より転載・編集しています。

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