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【プレビュー】2019年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会・女子7階級展望

(2019年10月30日)

※ eJudoメルマガ版10月30日掲載記事より転載・編集しています。
【プレビュー】2019年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会・女子7階級展望
→2019年度講道館杯全日本体重別選手権組み合わせ(全日本柔道連盟ウェブサイト)

文責:古田英毅

■ 48kg級 最注目はCブロック、角田夏実と古賀若菜が準々決勝で激突
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選抜体重別を制した古賀若菜

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48kg級に電撃参戦、代表入りを狙う角田夏実

(エントリー26名)

グランドスラム大阪進出選手:渡名喜風南(パーク24)
グランドスラム大阪出場権残枠:「3」
第1シード:近藤亜美(三井住友海上) 第2シード:古賀若菜(南筑高3年)
第3シード:遠藤宏美(ALSOK) 第4シード:山﨑珠美(自衛隊体育学校)

近藤亜美をはじめ実績あるビッグネーム、そしてジュニア世代に分厚く有望株が揃ったこの階級も話題には事欠かない。それでも敢えて巨視的に見れば。最大の話題は52kg級から電撃参戦した2017年ブダペスト世界選手権銀メダリスト角田夏実(了徳寺大職)と、今季の選抜体重別王者で国際大会無敗(グランプリ・モントリオール1位、世界ジュニア選手権1位)の古賀若菜(南筑高3年)の対決ということになるだろう。両者は同ブロックに配置され、早くも3回戦(準々決勝)で激突する。

52kg級でも際立っていた角田の体の強さがもし減量後も維持されるとなれば凄まじい脅威。バリエーション豊かな、そして良い意味で我儘で一方的な巴投と腕挫十字固の威力がそのまま持ち込まれた場合48kg級の選手が止めるのは簡単ではないと思われ、その場合興味はもはや国際大会の一線級とどれだけやれるのかという位相に移る。角田のコンディションが最大の焦点だ。

一方の古賀は4月の選抜体重別を制する快挙を成し遂げ、ワールドツアーデビュー戦のグランンプリ・モントリオールでいきなり優勝するなど順風満帆であったが、9月の全日本ジュニア決勝では渡邊愛子(東海大1年)に苦杯。国際大会への適性を見せる一方で「狙われた」状況での戦術的な引き出しや取り切る方法論の整備に課題を見せている。体の強さと復数種を使い分ける大内刈の威力、そして抜群の勝負勘で勝ち抜いてはいるが、挑戦者から「受けて立つ」立場にステージを変えてなおすべてを退けるだけの幅があるかとなると少々厳しい。インターハイや全日本ジュニアなどこれまでの内容を見る限り、百戦錬磨の角田の攻撃を凌ぎ切るのは難しいのではないか。試合が縺れれば縺れるほど勝機は角田に傾くはず。先に投げて勝つしかない。

とはいえこれらすべて、角田のコンディションが整っているという前提にたってのもの。減量を経てどこまであのパフォーマンスが残せるのか。注目である。

もう1つの重要トピックは近藤亜美の復活なるか。最大の長所であった勝負勘やメンタルの強さが揺らぎ、歯車が狂ってしまった印象であったが、グランドスラム大阪~欧州シリーズと続く五輪選考ステージに参加するには絶対に落とせない大会である。

【Aブロック】
シード選手は近藤。ここに徹底した攻撃柔道で全日本ジュニアタイトルを攫った渡邊愛子(東海大1年)に、高校選手権52kg級の覇者白石響(熊本西高3年)と若手きっての実力者が配された。白石は古賀の存在なくば飛び抜けた存在としてこの世代のトップを張ったであろう有望株。

一方の近藤は前述の通り昨年来低調、相手をなかなか投げれぬうち、また抑え切れぬうちにスタミナを失い、焦り、最後にミスを犯すという悪いスパイラルのゲームが続いている。この精神状態にあって「挑まれる」立場で戦わねばならない講道館杯はまさに難関。攻撃型だが隙も多い渡邊はともかく、体の力が強くひたすらしぶとい、しかも失うもののない高校生という立場で挑んで来る白石が来た場合かなり面倒な試合になるのではないか。ここはしっかり退けて、シニアのレベルとこの階級の層の厚さを見せつけて欲しい。

【Bブロック】
第4シード選手山﨑珠美のブロック、対抗馬の第一は学生体重別2連覇者の小倉葵(環太平洋大)。裏投をはじめ常に大技を狙い、これを怖れさせることで展開を作る山﨑にとって、攻撃型の小倉は比較的取り口が合うものと考える。

【Cブロック】
古賀若菜と角田夏実が激突する最注目ブロック。前述の通り、焦点は角田のコンディション。

【Dブロック】
シード選手遠藤宏美に加えて、坂上綾(三井住友海上)、森崎由理江(宮崎大教)とタイプの違う強豪が詰め込まれた密度の高いブロック。高校選手権48kg級の覇者吉岡光(八千代高2年)も期待。全日本ジュニア準決勝の古賀若菜戦では浅い背負投の手数攻撃で試合を拾わんとして自滅、優勝した渡邊愛子があくまで投げんと攻めることで古賀を攻略した分、評価を下げた印象があった。高校生らしい思い切った試合に期待。

■ 52kg級 第1シード前田千島中心の混戦、次代を担う若手の勃興に期待
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第1シードは前田千島

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昨年48kg級を制した芳田真が参戦

(エントリー33名)

グランドスラム大阪進出選手:阿部詩(日本体育大1年)、志々目愛(了徳寺大職
グランドスラム大阪出場権残枠:「2」
第1シード:前田千島(三井住友海上) 第2シード:立川莉奈(福岡県警察)
第3シード:武田亮子(龍谷大3年) 第4シード:内尾真子(自衛隊体育学校)

優勝候補は前田千島を筆頭とするシード選手4名。ただしグランドスラム大阪に進出を決めている2名が代表レースを独走する中、かつ区切りとなる五輪の前年に、しかもシード選手がいずれもキャリア豊富で国際大会における力の測定がほぼ見えつつある中にあっては、どちらかというと興味は次代を担う若手の登場なるかということになる。

優勝に絡み得る中では前述の大学3年生武田亮子、挑戦枠では高校2年生にしてインターハイと全日本ジュニアを制して世界ジュニアでも3位に入った川田歩実(修徳高3年)に注目。高校生にとってシニアの壁は分厚いが健闘に期待したい。

また、昨年度48kg級王者の芳田真(コマツ)が階級を上げて参加しており、これはかなりの注目ポイント。この階級には数少ない、これまでの勢力図に嵌らない爆発力を秘める選手だ。もし今大会からブレイクする選手が現れるとしたら、この芳田が最有力候補ではないだろうか。

【Aブロック】
前田千島と、階級を上げて参加の昨年度大会48kg級王者芳田真が早くも3回戦(2試合目)で激突。序盤戦最大の注目対決である。

【Bブロック】
シード選手内尾真子が勝ち上がりの第1候補。周囲は今季学生体重別2位の亀川真代(龍谷大4年)、甫木実咲(JR東日本)、もと学生王者米田愛理子(埼玉県警察)、もとジュニア王者古瀬舞(帝京大3年)としぶとい選手が揃った。川田歩実は初戦で甫木に挑戦する。

【Cブロック】
シード選手は立川莉奈。直下に組まれたもと48kg級の強者対決・常見海琴(コマツ)対對馬みなみ(仙台大1年)の一番に注目したい。

【Dブロック】
勝ち上がり候補はシード選手の学生王者・武田亮子。初戦で全国高校選手権2位の藤城心(富士学苑高3年)が挑戦する。

■ 57kg級 「見ること自体」が面白い好取り組み続く、注目は才能豊かなジュニア世代の選手たち
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アジア大会王者の玉置桃が第1シード

(エントリー37名)

グランドスラム大阪進出選手:芳田司(コマツ)
グランドスラム大阪出場権残枠:「3」
第1シード:玉置桃 (三井住友海上) 第2シード:舟久保遥香(三井住友海上)
第3シード:富沢佳奈(東海大2年)※欠場 第4シード:岡田恵里佳(立命館宇治高3年)※

常に厚いトーナメントが組まれる国際大会と同様、この階級は国内も才能と実力ある人材が集まった激戦階級。若手からベテランまで、それぞれの世代にいつ爆発してもおかしくない有望選手がぎっしり控えている。

優勝争いはもちろんのこと、注目ポイントはまず世界選手権団体戦代表を務めた玉置桃が、ぶじグランドスラム大阪進出なるかどうか、「強者に強い」タイプの玉置が第1シードの立場を得、前評判通りにしっかり勝ち上がれるかどうかだ。第2シードの舟久保遥香も、ここでグランドスラム大阪の進出権を得ておくかどうかはキャリア上の一大分岐点。譲れない戦いだ。

手堅い選手が多い女子には比較的稀な事象であるが、この階級は試合を見ること自体が面白い好役者、好取り組みが目白押し。ジュニア世代に才能ある選手が多く、今年後半になって急成長の袴田佳名瑚(藤枝順心高3年)、高校選手権とインターハイを取った業師・中水流りり(渋谷教育学園渋谷)、香川瑞希(東海大2年)、五十嵐日菜(国士舘高2年)は特に注目。岡田恵里佳と富沢佳奈が欠場してなお、これだけのスター候補の名が挙がる。竹内鈴(東海大4年)ら学生勢力はもちろんシニアにも、宇高菜絵(コマツ)や石川慈(コマツ)らのビッグネームが密度高く参集。もっとも面白い階級かもしれない。

※袴田は大会前日(11/1)に欠場を表明

【Aブロック】
玉置桃の山。初戦から黒木七都美(龍谷大4年)と組まれるなかなか歯ごたえのある配置。準々決勝では中水流りりと袴田佳名瑚、ジュニア世代の第一人者いずれかの挑戦を受けることとなる。投げ勘抜群の中水流は、普段から三井住友海上に出稽古に出ており玉置の柔道をよく知っているはず。健闘に期待したい。

【Bブロック】
シード選手岡田恵里佳が欠けたが、それでもまったくレベルの落ちない魅力的なブロック。初戦から世界カデ王者の江口凜(桐蔭学園高1年)がもと世界王者宇高菜絵に挑戦するという一大イベントがあり、下側の山には竹内鈴、瀧川萌(筑波大2年)、五十嵐日菜(国士舘高2年)が配されている。勝ち上がり候補はもちろん宇高だが、まさに試合の様相自体から目の離せないブロック。

【Cブロック】
舟久保遥香の山、初戦は古賀ひより(環太平洋大1年)とマッチアップする。準々決勝での舟久保への挑戦権を争う山には大辻瑛美(自衛隊体育学校)、小野彰子(ベネシード)のベテラン2名に香川瑞希、鶴岡来雪が配されるという、大激戦区だ。

【Dブロック】
シード選手富沢佳奈が欠け、上側の山は混戦模様。下側の山は石川慈(コマツ)を筆頭に、柴田理帆(JR東日本)、高野綺海(東京学芸大4年)、大森朱莉(敬愛高2年)と各カテゴリの実力者が配された激戦区。この山の勝者がそのままベスト4入りを果たす可能性が高い。

■ 63kg級 優勝候補は鍋倉那美と土井雅子、復活の狼煙あげた長内香月と階級変更の朝飛七海に注目
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田代未来追撃の1番手は鍋倉那美

(エントリー36名)

グランドスラム大阪進出選手:田代未来(コマツ)
グランドスラム大阪出場権残枠:「3」
第1シード:鍋倉那美(三井住友海上) 第2シード:土井雅子(JR東日本)
第3シード:能智亜衣美(了徳寺大職) 第4シード:幸田奈々(帝京科学大3年)

田代未来が他を寄せ付けぬ1強として代表を牽引も、いまだ王者クラリス・アグベニュー(フランス)には手が届かず。現実的にはともかく、理屈上はアグベニューを倒せる選手ならばまだ僅かながら五輪代表の可能性はある。それを示すためにも、まずは講道館杯を突破してグランドスラム大阪の舞台に立たねばならない。

この観点から注目されるのは、まず暫定2番手の鍋倉那美がしっかりグランドスラム進出権を得ることが出来るか。さらにワールドツアーで戦った経験のある土井雅子、能智亜衣美に割って入り代表権を得るような選手が出てくるかどうかだ。

この階級も面白い選手が多く絞って紹介するのが難しいのだが、昨年の70kg級準優勝者朝飛七海(桐蔭横浜大2年)と、今季ついに復活、見事全日本実業個人選手権制覇を果たした長内香月(JR東日本)の2人の名前を挙げておきたい。長内には村井惟衣(龍谷大4年)、朝飛には明石ひかる(筑波大2年)に佐藤史織(ミキハウス)とともにしぶとい選手が配されたが、この重囲を突破して鍋倉ら国際級に挑戦することが出来るか。閉塞気配のこの階級の序列を揺るがすに至るか、注目である。

【Aブロック】
鍋倉那美がシード配置。津金恵(パーク24)との準々決勝が最大の山場だ。

【Bブロック】
シード選手は幸田奈々。ここに前述の通り長内と村井、下側の山には佐藤史織、明石ひかる、そして朝飛七海が配された。勝ち上がり候補は長内と朝飛だが、結果は予断を許さない。

【Cブロック】
土井雅子の山。下側の山に荒木穂乃佳(兵庫県警察)と全日本ジュニアを2連覇したばかりの浦明澄(日本体育大1年)が配されたが、土井の勝ち上がり自体は揺るがぬものと観測する。

【Dブロック】
能智亜衣衣に挑むのは、全日本実業個人で3位に入ったもと57kg級世界選手権代表の山本杏(パーク24)。両者による準々決勝がブロック最大の山場だ。

■ 70kg級 大野陽子と新添左季の2強対決が軸、ジュニア世代ではタイトル総なめの朝飛真美に注目
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第1シードは大野陽子

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新添左季が大野との決戦に挑む

(エントリー31名)

グランドスラム大阪進出選手:新井千鶴(三井住友海上)
グランドスラム大阪出場権残枠:「3」
第1シード:大野陽子(コマツ) 第2シード:新添左季(自衛隊体育学校)
第3シード:田中志歩(環太平洋大3年) 第4シード:嶺井美穂(桐蔭横浜大3年)

世界選手権団体戦で代表を務めた大野陽子、昨年のアジア大会王者新添左季の2人がぶじ勝ち進んでグランドスラム大阪の出場権を得られるかどうかがもっとも大きなトピック。そして実力からして、この2人による決勝対決までは実現濃厚と考えられる。残る1枠については田中志歩が有力だが、今季の国際大会における成績はグランドスラム・エカテリンブルクにおける3位入賞のみ、これは対的なアドバンテージとまではなりえない。今大会の結果次第で代表権はどう転がるかわからない状況である。

若手の注目選手としては今季世界ジュニア優勝をはじめジュニア以下のタイトルを総なめにしている朝飛真実(桐蔭学園高3年)と、世界カデ2位の桑形萌花(夙川高2年)を挙げておきたい。朝飛は順調なら準々決勝で新添に挑戦予定、内股一発の威力と方法論の確かさで勝ちを重ねる朝飛だが、ほとんど悪魔的と言える新添の体の強さと一撃の強さにどう立ち向かうか。注目である。

【Aブロック】
大野陽子の山。2回戦で宇野友紀子(JR東日本)の挑戦を受けるが、ベスト4への勝ち上がりが揺らぐことはないと見る。

【Bブロック】
嶺井美穂の山。ここは初戦の柿澤史歩(三井住友海上)、直下の青柳麗美(環太平洋大4年)と力の差が少ない混戦ブロック。下側の山からは桑形萌花がベスト8入りを目指す。。

【Cブロック】
新添左季の山。前述の通り、準々決勝の朝飛真実戦が注目される。

【Dブロック】
田中志歩の山。2回戦で佐藤みずほ(三井住友海上)、準々決勝で学生王者杉山歌嶺(桐蔭横浜大4年)の挑戦を受ける。杉山、田中ともにパワー勝負を厭わないタイプゆえ、準々決勝は面白い試合が期待できそう。

■ 78kg級 梅木真美、佐藤瑠香らビッグネームが出直し図る
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梅木真美が第1シード扱いを受けた

(エントリー30名)

グランドスラム大阪進出選手:濵田尚里(自衛隊体育学校)
グランドスラム大阪出場権残枠:「3」
第1シード:梅木真美(ALSOK) 第2シード:佐藤瑠香(コマツ)
第3シード:髙山莉加(三井住友海上) 第4シード:泉真生(コマツ)

ともに2月の欧州シリーズを転戦したもと世界王者の梅木真美と過去4回世界選手権代表を務めた佐藤瑠香の2人がグランドスラム大阪に事前選出されず、この講道館杯からやり直し。もちろん選考に際して実績のアドバンテージは加味されるであろうが、強化陣によるこの階級の自己評価の厳しさを存分に感じさせる措置である。

優勝争いは梅木と佐藤に髙山莉加、そして泉真生のシード選手4名が牽引。ジュニア世代に面白い選手が揃って来たこの階級であるが、シード4名は少々格が違う印象。とかく勝ち負けが安定しないこれら78kg級のトップ層だが、さすがにこの大会は取りこぼすわけにはいかないだろう。

【Aブロック】
梅木真美の山。下側の山には学生王者の佐々木ちえ(東京学芸大2年)、同2位の松田なみき(金沢学院大4年)、そして全日本ジュニア王者の黒田亜紀(富士学苑高3年)がまとめて配された激戦区だ。黒田は世界ジュニアでは意外な早期敗退、まだ地力で勝っていないと本来の技が出せない印象だが、このレベルでどこまでやれるかに注目。勝ち上がりは梅木を推す。

【Bブロック】
泉真生の山。梅津志悠(三井住友海上)との準々決勝が山場。

【Cブロック】
佐藤の山。階級を下げた山本沙羅(福井県スポーツ協会)と2回戦でマッチアップ濃厚、これはなかなか楽しみなカード。下側の山からは世界ジュニア連覇の和田梨乃子(三井住友海上)と長谷川瑞紀(近畿大1年)の勝者が佐藤への挑戦権を得る。

【Dブロック】
髙山莉加の山。初戦で対戦予定だった田中怜奈(東海大2年)が欠場し、序盤戦の難易度はかなり落ちた。他のブロックに比べれば戦い易い印象。

■ 78kg超級 第1シードは稲森奈見、学生王者児玉ひかるの出来に注目
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学生体重別を圧勝で制した児玉ひかる。この際昨年度王者秋場麻優にも勝利している。

(エントリー29名)

グランドスラム大阪進出選手:素根輝(環太平洋大1年)、朝比奈沙羅(パーク24)
グランドスラム大阪出場権残枠:「2」
第1シード:稲森奈見(三井住友海上) 第2シード:冨田若春 (コマツ)
第3シード:秋場麻優(環太平洋大2年) 第4シード:井上あかり(JR東日本)

五輪代表争いは、独走中の現役世界王者素根輝と、昨年の世界選手権の覇者朝比奈沙羅までで事実上締め切られている状況。実力的にもこの状況が動くことは考えづらい。

第1シード選手稲森奈見をはじめ実績と実力ある選手は数多いが、ファン視点でのみどころは五輪の「次」を見据えての若手の台頭ということになるはずだ。その観点からは昨年の世界ジュニア王者で、今期の全日本学生体重別選手権を圧勝した児玉ひかる(東海大1年)に期待したい。続く全日本学生体重別団体で同大会時の全能感はやや目減りしたが、資質だけで言えば五輪代表争いの渦中にあるトップ2人に勝るとも劣らぬものを持っている。課題はメンタル。懸念されていた自己評価の低さは払拭されつつあると見るが、相手に粘られると極端にペースを失う場面が散見され、現状圧勝然らずんば苦戦という二極を揺れ動く試合が多い。競り合いを制する精神的なタフさを発揮出来れば、今大会もGS大阪進出枠に届くような活躍が見られるのではないだろうか。

優勝争いは稲森と冨田若春(コマツ)が軸。8月の全日本実業個人を制して復活の狼煙をあげた橋本朱未(コマツ)にも注目。

【Aブロック】
稲森奈見の山。下側の山に橋本朱未と世界ジュニアを獲ったばかりの高橋瑠璃(山梨学院大1年)が配された激戦ブロック。実績は稲森だが、同大会の序列を適用するなら(橋本は1位、稲森は3位)橋本勝ち上がりの可能性も十分。ついにその高い資質が発揮されることとなるか、注目したい。

【Bブロック】
シード選手井上あかりと、山部佳苗(ミキハウス)が対決するブロック。実績は山部も様相は予断を許さず。

【Cブロック】
冨田若春のブロック。上側、下側と手練れが揃った山であるが冨田の勝ち上がりは堅いと見る。

【Dブロック】
秋場麻優のブロック。下側に児玉ひかるが配されている。両者は9月の全日本学生体重別準々決勝で対戦歴があり、児玉が払巻込「技有」で勝利している。続く全日本学生体重別団体での両者の戦いぶりは決して冴えたものではなかったが、決定的なミス(粂田晴乃に支釣込足「一本」を食らってチームが逆転負け)を犯した秋場と、ともあれ無敗でチームの優勝に貢献した児玉とではメンタルのカーブが全く違うはず。秋場の長時間試合を厭わぬ体力と消耗戦上等のマインドセット、ひたすら優位を取るしぶとさは脅威だが、ここは対戦歴と一撃の強さを買って児玉の勝ち上がりを推す。メンタルに課題のある児玉の本当の勝負は、強気の塊のような冨田若春との対決待ち受ける準決勝だ。

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