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【プレビュー】2019年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会・男子7階級展望

(2019年10月30日)

※ eJudoメルマガ版10月30日掲載記事より転載・編集しています。
【プレビュー】2019年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会・男子7階級展望
→2019年度講道館杯全日本体重別選手権組み合わせ(全日本柔道連盟ウェブサイト)

文責:古田英毅

■ 60kg級 V候補は大島優磨と志々目徹、古賀玄暉と納庄兵芽の大学生2人に注目
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第1シードは大島優磨

(エントリー36名)

グランドスラム大阪進出選手:髙藤直寿(パーク24)、永山竜樹(了徳寺大職)
グランドスラム大阪出場権残枠:「2」
第1シード:大島優磨(旭化成) 第2シード:志々目徹(了徳寺大職)
第3シード:青木大(パーク24) 第4シード:古賀玄暉(日本体育大3年)

優勝争いを引っ張るのは大島優磨と志々目徹の2名。27歳になった志々目だが4月の選抜体重別では2位、大島も3月のグランドスラム・エカテリンブルクでは2位に入賞しており実力十分。

しかし、五輪代表争いでは髙藤直寿と永山竜樹が独走中。他選手が代表に選ばれる可能性はすでにない。今大会のみどころとしては優勝争い以上に、意外と姿の見え難い五輪後の60kg級世界を形作るような動きがあるか、新たな勢力の台頭あるかということになる。

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学生体重別を素晴らしい内容で制した納庄兵芽に注目

若い世代ではワールドツアーデビュー戦のランプリ・タシケントで決勝まで進んだ古賀玄暉(日本体育大3年)に、高校カテゴリの猛者近藤隼斗(佐賀工高3年)の名前が挙がるはずだが、もう1人。期待枠として全日本学生体重別選手権を圧勝した納庄兵芽(天理大3年)を推しておきたい。投げ勘抜群、行動のいちいちが投げを終着点として組み立てられており、技術のトレンドもしっかり踏まえているという非常に今の天理大らしい選手。この大舞台で力を発揮できるだけの経験値があるかどうかは不安だが、試合を見ているだけで面白い選手。注目である。

【Aブロック】
大島優磨の山。下側の山に手練れが多いが、いずれの選手も爆発力がある型ではなく大島の勝ち上がり自体は堅いと思われる。

【Bブロック】
古賀玄暉の山。直下で納庄兵芽と高校選手権の覇者福田大晟(比叡山高3年)が戦い、3回戦で古賀と激突するという非常にイキのいい選手が揃ったブロック。この3回戦は見逃せないカードである。

【Cブロック】
志々目徹の山。下側の山では竪山将(パーク24)の勝ち上がり濃厚、両者による準々決勝が大きなみどころだ。

【Dブロック】
全日本実業個人選手権3連覇中の青木大に、初戦で近藤隼斗が挑戦。高校以下のタイトルを総なめにしながら今年3月の高校選手権に全日本ジュニアと休んで出場大会を絞って来た近藤が、これぞとフォーカスした大舞台でどこまで力を見せられるかに注目。勝ち上がりとしては青木を推す。青木持ち前の深く組んでの一発勝負は、挑む立場で、かつこちらも一発のある近藤にとっては逆にチャンスになる可能性もある。青木がどう試合を組み立てるかに注目したい。

■ 66kg級 シード選手軸の大混戦、上位の顔ぶれは予想困難
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昨年度の覇者藤阪太郎

(エントリー37名)

グランドスラム大阪進出選手:丸山城志郎(ミキハウス)、阿部一二三(日本体育大4年)
グランドスラム大阪出場権残枠:「2」
第1シード:藤阪太郎(大阪府警察) 第2シード:西山祐貴(警視庁)
第3シード:藤阪泰恒(パーク24) 第4シード:相田勇司(國學院大4年)

国際舞台の66kg級は丸山城志郎と阿部一二三という日本勢2人が牽引。当然国内のレベルも高いのだが、このスター2人の活躍があまりに派手ゆえ、実力者がぎっしりなのに地味な顔ぶれに見えてしまう。玄人好みの渋いトーナメントと言っていいだろう。桂嵐斗(日本大1年)の勢いが落ち、若い世代に爆発の予感漂わせるタイプが少ないこともこの観察を後押し。

優勝争いの様相は混沌。この時点では藤阪太郎、西山祐貴、藤阪泰恒らシード選手に磯田範仁(国士舘大教)、実業個人の覇者橋口祐葵(パーク24)、田川兼三(了徳寺大職)らが絡む混戦としておくしかない。「誰が優勝してもおかしくない」というフレーズが似合う混戦階級。

【Aブロック】
藤阪太郎の山。下側の山はV候補の一角橋口祐葵、学生王者の内村光暉(東海大4年)、世界ジュニア2位の武岡毅(國學院大2年)らがひしめく激戦。藤阪と橋口の準々決勝が大きな山場になるはず。

【Bブロック】
昨年世界ジュニアで3位入賞、今年9月のグランプリ・タシケントで2位入賞の相田勇司の山。直下に木戸清孝(アドヴィックス)、下側の山には磯田範仁と髙市賢悟(旭化成)が配されるという激戦区。勝敗は予断を許さず。

【Cブロック】
昨年度3位の今年の警察王者西山祐貴の山。こちらは西山が座る上側の山が密度高く、末木貴将(センコー)に世界ジュニア代表の桂嵐斗、浅利昌哉(ALSOK)がひしめく激戦。西山が軸だが、ここも勝ち上がりの行方は混沌。

【Dブロック】
うるさい選手が揃ったが、他の山に比べると密度は薄め。最終的には藤阪泰恒と田川兼三の一騎打ちになると見る。

■ 73kg級 V候補は海老沼匡、シード選手不安定で他ブロックは混戦気配
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海老沼匡が優勝候補筆頭

(エントリー35名)

グランドスラム大阪進出選手:大野将平(旭化成)、橋本壮市(パーク24)※
グランドスラム大阪出場権残枠:「2」
※正式決定は講道館杯終了後
第1シード:海老沼匡(パーク24) 第2シード:立川新(東海大4年)
第3シード:石郷岡秀征(筑波大3年) 第4シード:野上廉太郎(筑波大3年)

海老沼匡が優勝候補の筆頭。昨年のグランドスラム大阪、今年の全日本選抜体重別といずれも王者大野将平に蓋をされた形で突き抜けられなかったが、投げ一発の威力と勝負度胸の良さは健在だ。この海老沼の試合ぶりをチェックしつつ、他ブロックから誰が勝ち上がるのかその激戦を見守るという形が観戦上の基本姿勢と言えるだろう。第2シード選手の立川新は10月の2大会を見る限りではあまり調子が上がっておらず、第4シードの野上廉太郎は今季試合出場が少なく現時点での力は未知数。これを反映して全体的に上位進出者の読みがたいトーナメントとなっている。Aシード外からは島田隆志郎(國學院大4年)と古賀颯人(日本体育大4年)を推したいが、全体としては混戦。

※立川新は大会前日(11/1)に欠場表明

【Aブロック】
海老沼匡の山。初戦から大吉賢(日本体育大3年)戦という魅力的なカードが組まれた。海老沼とはタイプは違うが、この選手も一発があって試合運びが巧いという勝負師型。見逃せない一番。ベスト4勝ち上がりは海老沼を推す。

【Bブロック】
野上廉太郎の山だが、学生体重別団体にも帯同なかったという情報の、野上の現時点の力は測りがたい。下側の山に座る世界ジュニア代表・塚本綾(日本体育大2年)勝ち上がりの目も十分あるのではないだろうか。塚本の山に組み入れられた高校選手権の覇者田中裕大(大牟田高3年)の健闘に期待。

【Cブロック】
立川新の山。前述の通り状態は良いとは言えないようだが、それでもベスト8までの勝ち上がりは堅いはず。下側の山は前述島田隆志郎をはじめ、実業個人の覇者清水健登(パーク24)、原田健士(日本体育大3年)、竹内信康(立川拘置所)が配された激戦区。この勝者と戦う準々決勝からが本番だ。若手からは上側にインターハイ王者有馬雄生(東海大相模高3年)、下側に石原樹(前橋商高3年)が配された。

【Dブロック】
石郷岡秀征の山。下側の山に古賀颯人と内村秀資(東海大1年)が配された若手ブロック。石郷岡-古賀の勝者がベスト4入りと見る。

■ 81kg級 復活かける佐々木健志に注目
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代表戦線への復活かける佐々木健志

(エントリー32名)

グランドスラム大阪進出選手:藤原崇太郎(日本体育大3年)、永瀬貴規(旭化成)※
グランドスラム大阪出場権残枠:「2」
※正式決定は講道館杯終了後
第1シード:佐々木健志(ALSOK) 第2シード:小原拳哉(パーク24)
第3シード:佐藤正大(自衛隊体育学校) 第4シード:長島啓太(日本中央競馬会)

昨年グランドスラム大阪とワールドマスターズを制した第1シード選手・佐々木健志の復権なるかが最大のみどころ。凄まじい勝ちぶりの一方で、あまりの思い切りの良さゆえの「自爆」や判断ミスを繰り返してなかなか成績安定せず。一時は81kg級の1番手と目されながらなかなか突き抜けられないこの佐々木がぶじ優勝して代表争いのステージに復帰できるかどうか。もっか五輪代表争いは藤原崇太郎が東京世界選手権で初戦敗退を喫し、その中で永瀬貴規が7月のグランプリ・モントリオールとグランプリ・ザグレブ、そして10月のグランドスラム・ブラジリアとワールドツアーを3連勝して猛追中、風雲急を告げている。佐々木としては出来得れば優勝して、文句のない形でのグランドスラム大阪進出を勝ち取りたい。

対抗するのは小原拳哉と佐藤正大のシード選手2人に、なんといっても実業個人を制して復活気配の丸山剛毅(パーク24)、そして大ベテラン長島啓太。若手では今季ジュニア以下の大会をすさまじい勝ちぶりで制している竹市大祐(大牟田高3年)に注目。世界ジュニアではタト・グルガラシヴィリ(ジョージア)のパワーに屈したが、「確変」の予感を感じさせる次代の大物だ。

【Aブロック】
佐々木健志の山。初戦は崎山寛至(日本大2年)、2回戦は本田一将(帝京大4年)と佐藤佑樹(山形刑務所)の勝者と対戦する。勝負どころは丸山剛毅が待ち受ける次戦、準々決勝である。

その丸山の山には、高校王者竹市大祐が配された。竹市の初戦は川端悠生(警視庁)、勝てば次戦で丸山に挑戦することとなる。竹市のスタイルは変則だが、若いながらも自分で考えて柔道を作っていけるタイプ。たとえ敗れても見えた課題を次回に生かしてくることは確実で、以後のこの選手の成長をフォローするためにもその戦いぶりをしっかり観察しておきたいところ。

【Bブロック】
長島啓太の山。2回戦で前濵忠大(日本大4年)とマッチアップ濃厚。長島の勝負力は健在だが既に31歳、若く、そして担ぎの利く前濵の連続攻撃をどう凌いで勝利に繋げんとするか、見ものである。
下側の山では今夏のユニバーシアードを制した友清光(国士舘大3年)、渕原槙一(パーク24)、岡虎(東海大3年)がベスト8入りを争う。長島のスタミナという変数の影響力が大きく、勝ち上がりの見込みは混沌。

【Cブロック】
小原拳哉の山。2回戦で青柳大虎(日本大2年)と戦い、勝負どころは笠原大雅(天理大3年)が勝ち上がってくるであろう準々決勝。現時点では小原の勝ち上がりを推す。

【Dブロック】
シード選手佐藤正大(自衛隊体育学校)が軸。担ぎ技の威力抜群、独特の世界があり、そしてこれを嫌気するとそのこと自体でその世界に呑み込まれていくというまことに戦いにくい選手。下側の山は学生王者の渡邊神威(東海大3年)、実業個人3位の江畑丈夫(パーク24)、ジュニアの好選手賀持喜道(日本大1年)と揃った面白いブロック。勝ち上がりは佐藤を推しておくが、渡邊の冷静さ、江畑の一発と見逃せない不確定要素あり。

■ 90kg級 大会屈指の豪華階級、村尾三四郎とベイカー茉秋の2強を田嶋剛希と増山香補が追う
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世界選手権団体戦代表の村尾三四郎が第1シードを張る

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リオ五輪金メダリストのベイカー茉秋

(エントリー34名)

グランドスラム大阪進出選手:向翔一郎(ALSOK)
グランドスラム大阪出場権残枠:「3」
※正式決定は講道館杯終了後
第1シード:村尾三四郎(東海大1年) 第2シード:ベイカー茉秋(日本中央競馬会)
第3シード:田嶋剛希(筑波大4年) 第4シード:増山香補(明治大3年)

注目選手、それも爆発力あるスターがずらり揃った魅力的な階級。トーナメントの主筋は東京世界選手権で団体戦代表を務めた村尾三四郎と、リオ五輪金メダリストのベイカー茉秋のグランドラム大阪進出なるか。これだけでも十分過ぎるほど面白いのだが、この2人に絡むシード選手田嶋剛希と増山香補がいずれも技一発の威力を以て立つ、「嵌れば誰でも一発放る」大物食い要素を孕む選手であることがトーナメントの緊張感を嫌が上にも高めている。豪華陣容の男子第2日の、目玉となる階級である。

【Aブロック】
村尾三四郎の山。準々決勝で待ち受けるのは担ぎの利く大町隆雄(山口県警察)か、捨身技の勝負師北野裕一(パーク24)か、それとも曲者金山天地(東京拘置所)か、試合力のある山本悠司(旭化成)か。いずれも一筋縄ではいかない相手。GS進出権獲得への山場である。

【Bブロック】
全日本ジュニア2連覇、学生体重別も圧勝した増山香補の山。下側の山では長井晃志(日本体育大3年)と穴井航史(旭化成)がベスト8入りを争う。増山は高校時代東京予選で長井に蓋をされ、なかなか全国の檜舞台を踏めなかったという因縁がある。大学に入ってからも東京ジュニア決勝、全日本学生体重別準決勝と、内容は接戦も勝利したのはいずれも長井。増山への挑戦権を得るのは勝負師・穴井ではないかと見るが、対戦実現なれば注目。

【Cブロック】
ベイカー茉秋の山。初戦が岩渕晃大、次戦が森健心(大牟田高3年)か加藤慎之介(山梨学院大4年)で、準々決勝は実業個人の覇者・二見省吾(旭化成)との対戦が濃厚。純実力から考えればベイカーの勝ち上がり自体は揺るがないはず、勝敗を揺らす要素は組み合わせではなくベイカー自身の中にあると見る。グランプリ・タシケントではラシャ・ベカウリ(ジョージア)に勝利して3位を得る勝負強さを見せたが、明らかに動きが重かった。どこまで研ぎ澄まされた状態でこの大会に臨めているか、これが唯一最大の鍵。

【Dブロック】
田嶋剛希の山。下側の山は小林悠輔(旭化成)、前田宗哉(自衛隊体育学校)に神鳥剛(明治大4年)と揃った激戦区。田嶋の山も難度は低くないが、勝負はここからの勝者を迎える準々決勝だ。

■ 100kg級 第1シードは羽賀龍之介、有望若手と手練れのベテラン入り乱れる混戦
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選抜体重別を制した羽賀龍之介

(エントリー30名)

グランドスラム大阪進出選手:ウルフアロン(了徳寺大職)、飯田健太郎(国士舘大3年)
グランドスラム大阪出場権残枠:「2」
※正式決定は講道館杯終了後
第1シード:羽賀龍之介(旭化成) 第2シード:西山大希(日本製鉄)
第3シード:垣田恭兵(旭化成) 第4シード:山口貴也(日本大2年)

「残るグランドスラム進出枠を巡る、ベテランと若手入り乱れた激戦」という、ワールドツアー時代の講道館杯にあるべきテーマがまっすぐ嵌る、面白い階級。羽賀龍之介(旭化成)、西山大希(日本製鉄)、垣田恭兵(旭化成)、山口貴也(日本大2年)のAシード選手4名のほかにも、国際大会で何かをやってくれるのではないかと期待させる個性派、あるいは潜在能力豊かな若手がずらりと並んでいる。

優勝候補の筆頭は選抜体重別の覇者羽賀龍之介、対抗馬が実業個人では100kg超級で決勝まで進んだ西山大希、というのが大枠の構図。しかしこれはあくまで軸。そしてディティールの積み重ねがこの「軸」をも揺るがしかねない陣容分厚い階級だ。特にCブロックには有力選手が密集しており、変数の多さゆえ上位メンバーを正確に予想するのは困難。

【Aブロック】
羽賀龍之介の山。池田賢生(日本中央競馬会)との2回戦というハードルがあるが、他ブロックに比べればそれでも戦い易い山。ベスト4進出は規定路線と見ておくべきだろう。

【Bブロック】
学生体重別の覇者山口貴也の山。いきなり試合巧者大辻康太(桐蔭横浜大教)、続いて山下魁輝(国士舘大3年)、さらに準々決勝で関根聖隆(筑波大2年)か北山達也(東海大4年)というまったく先の読めない山。誰が勝ち上がってもおかしくない混戦ブロックだ。

【Cブロック】
おそらくもっとも厳しい山。西山大希への挑戦権を争う1回戦で学生体重別2位の後藤龍真(東海大3年)と世界ジュニアの覇者神垣和他(明治大2年)がいきなり激突。ベスト8ではおそらく石内裕貴(旭化成)が待ち受ける。

【Dブロック】
垣田恭兵と下和田翔平(京葉ガス)という全日本選手権級の対決が初戦で実現。講道館杯の厳しさを思い知らされる過酷な配置である。勝者がそのままベスト4入りを果たすと予想しておきたい。

■ 100kg超級 見どころ事欠かぬ豪華階級、V候補は太田彪雅、注目は斉藤立、ダークホースは熊代佑輔
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太田彪雅を優勝候補に推したい

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高校3年生にして3度目の講道館杯挑戦となる斉藤立

(エントリー35名)

グランドスラム大阪進出選手:原沢久喜(百五銀行)、影浦心(日本中央競馬会)
グランドスラム大阪出場権残枠:「2」
※正式決定は講道館杯終了後
第1シード:佐藤和哉(日本製鉄) 第2シード:太田彪雅(東海大4年)
第3シード:小川雄勢(パーク24) 第4シード:上田轄麻(日本製鉄)

これも豪華階級。優勝争いを牽引するのは太田彪雅と佐藤和哉の2人だが、高校3年生の大物斉藤立(国士舘高3年)の参戦あり、世界ジュニアでゲラ・ザアリシヴィリ(ジョージア)を倒して優勝した松村颯祐(東海大2年)のエントリーあり、七戸龍(九州電力)と王子谷剛志(旭化成)らもと世界選手権代表の参加あり、と見どころには事欠かない。どのブロックもまことに魅力的、みどころは個々人「お好み次第」のお祭り階級である。

ひときわ注目されるトピックを1つ挙げれば、講道館杯3度目の挑戦となる斉藤立の勝ち上がりなるか、ということになるだろう。過去2大会はいずれも巧者上田轄麻の組み手に完封されて早い段階で畳を去ることになったが、今回もいきなり学生体重別の覇者木元拓人(日本大4年)と戦う非常に厳しい配置。ここに勝っても尾原琢仁(旭化成)か田中源大(日本製鉄)、そして準々決勝では太田彪雅と、全日本選手権と見まがう強敵揃い。普通に考えればギリギリ一杯戦ってもベスト8が上限だが、これまでも度々我々の常識を覆す力を見せた斉藤がサプライズを起こしてくれるのか、健闘に期待したい。

組み合わせを睨んで上記選手以外から優勝候補を挙げるとすると、熊代佑輔(ALSOK)が面白い。準々決勝の小川雄勢戦を乗り越えれば、準決勝の相手はおそらく後輩の太田彪雅。世間の序列を覆すだけのアドバンテージがあるのではないか。

【Aブロック】
佐藤和哉の山。2試合目(3回戦)の巨漢・渡邉智斗(パーク24)をどう捌くかでまず調子を見極めたい。下側の山からのベスト8進出者は石川竜多(筑波大4年)が濃厚だが、高校選手権無差別の覇者、「丸呑み」高橋翼(作陽高3年)の健闘に期待したい。

【Bブロック】
上側の山にシード選手上田轄麻と香川大吾、七戸龍が配され、下側に王子谷剛志と東部直希(日本大2年)、松村颯祐(東海大2年)が置かれるという混戦ブロック。爆発力は七戸、競り合いなら上田の勝ち上がりが濃厚。松村は世界ジュニアの勢いを持ち込んでサプライズを起こしたい。

【Cブロック】
太田彪雅の山。3回戦(2試合目)で、千野根有我(筑波大1年)あるいは西田将樹(山梨学院大3年)と対戦し、準々決勝では前述の通り、斉藤立らの山の勝者と対戦する。実力、そして技術と戦術の引き出しの豊富さからして太田の勝利は揺るがないと考える。

【Dブロック】
小川雄勢の山。ベスト8まではまずまず確実に勝ち上がると見る。
下側の山がかなり強力。実業個人を制してますます柔道に味が出て来た熊代佑輔、中野寛太(天理大1年)、黒岩貴信(日本製鉄)が同居する豪華ブロックだ。熊代の練れた戦術を乗り越えるには単に状況を作るだけでなく一発で全てを変える力が必要で、これに嵌るのは中野くらい。中野の確変なくば、実は勝ち上がり候補の第一は熊代なのではないだろうか。非常に面白い山。

※ eJudoメルマガ版10月30日掲載記事より転載・編集しています。

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