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【プレビュー】ベカウリとザアリシヴィリの連覇なるか、81kg級は竹市大祐が2回戦でグリガラシヴィリに挑戦・世界ジュニア柔道選手権2019全14階級プレビュー

(2019年10月16日)

※ eJudoメルマガ版10月16日掲載記事より転載・編集しています。
【プレビュー】ベカウリとザアリシヴィリの連覇なるか、81kg級は竹市大祐が2回戦でグリガラシヴィリに挑戦
世界ジュニア柔道選手権2019全14階級プレビュー
20歳以下の世界一決定戦、世界ジュニア柔道選手権2019がきょう16日から20日までモロッコ・マラケシュで81ヶ国から計517名の代表選手が集って開催される。ドロー(組み合わせ抽選)はきのう15日に行われ、即日発表された。

これからキャリアを積み上げんとする若い世代の大会ゆえ未知の選手も多いが、既にシニアでめざましい成績を挙げている強豪や、欧州ジュニア選手権あるいは昨年度大会での活躍からこれぞと注目される選手も散見される。これら注目選手の紹介という形で、プレビュー記事に代えさせて頂きたい。

特に評判高い選手が集うのは男子。大会全体で言えば、100kg超級のゲラ・ザアリシヴィリ(ジョージア)と90kg級のラシャ・ベカウリ(ジョージア)の2連覇なるか。ザアリシヴィリにはキム・ミンジョン(韓国)、ベカウリには増山香輔(明治大3年)と強敵が立ちはだかる。81kg級では既にシニアで4度ワールドツアーの表彰台に登り7月のグランプリ・ブダペストを制しているタト・グリガラシヴィリ(ジョージア)に、全日本ジュニアを圧勝した竹市大祐(大牟田高3年)が2回戦でマッチアップする。

→世界ジュニア柔道選手権2019組み合わせ

■ 男子60kg級
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東京世界選手権では7位入賞のクバニチュベク・アイベク=ウール

(エントリー45名)
日本代表選手:末松賢(明治大2年)、市川龍之介(東海大2年)

まず東京世界選手権でベスト8まで進んだクバニチュベク・アイベク=ウール(キルギスタン)に注目。同大会では4回戦でダシュダヴァー・アマルツヴシン(モンゴル)をGS延長戦の裏投「一本」に仕留め、大会前半戦で活躍の目だったキルギスタン勢の先鋒役を見事に仕留めた。同大会では準々決勝でグスマン・キルギズバエフ(カザフスタン)にGS「指導3」、敗者復活戦で髙藤直寿に肩車「技有」で敗れたがみごと7位入賞。キャリア的には飛び抜けている。

続いてトルコ勢から2人。欧州ジュニアを制したサリー・イルディスと、東京世界選手権で代表を務めたミフラジ・アックスを挙げておきたい。アックスは今年地元で行われたグランプリ・アンタルヤで3位入賞、世界選手権では2回戦で髙藤直寿に崩上四方固「一本」で敗れたが、腕(手首)を肘で挟んで殺すサンボ式の谷落を駆使する面白い選手。

日本勢では末松賢が3回戦でアックスに挑み、勝ち抜けば準々決勝で欧州ジュニア2位で昨年の55kg級世界ジュニア王者ロブサン・アリエフ(アゼルバイジャン)と戦う。末松と山が完全に分かれた市川龍之介はプールD配置、準々決勝で欧州ジュニア3位のアフマド・ユシフォフ(アゼルバイジャン)、準決勝でクバニチュベク・アイベク=ウールとの対戦が濃厚。

■ 男子66kg級
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欧州ジュニアを全試合一本勝ちで制したギオルギ・ツタシヴィリ。

日本代表選手:武岡毅(國學院大2年)、桂嵐斗(日本大1年)

跳び抜けた目玉はいないが、グランプリ・トビリシで2位に入賞し、欧州ジュニア選手権を全試合一本勝ちで制したギオルギ・ツタシヴィリ(ジョージア)が軸になる。同大会では5試合して合技「一本」が3試合、この4つの「技有」がすべて投技。この来歴が示す通り抜群に技が切れるわけではないのだが、袖釣込腰に腰車、釣腰と低く潰れるような腰技で無理やり回し切ってしまう面倒なタイプ。この欧州ジュニアで決勝を争ったアディル・オスマノフ(モルドバ)も、ロシア、ジョージアと名だたるジュニアの強豪国代表を連破(いずれも「指導3」)して2位に食い込んでいる。73kg級のヴィクトル・ステルプほどのインパクトはないが国全体として上げ潮であり、注目しておきたい。

日本からは武岡毅(國學院大2年)と桂嵐斗(日本大1年)が出場。シニアでは日本のレベルが飛び抜けて高いこの階級、ぜひ優勝を勝ち取ってもらいたい。両者とも組み合わせは悪くないと見る。

■ 男子73kg級
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東京世界選手権5位のソモン・マフマドベコフ。

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昨年度大会2位の塚綾

(エントリー53名)
日本代表選手:塚本綾(日本体育大2年)

昨年度大会2位の塚本綾が雪辱戦に挑む。同大会決勝で敗れたビラル・ジログル(トルコ)は既にシニアで大活躍、東京世界選手権でも7位(準々決勝で大野将平に敗退)入賞を果たしている。塚本もこの大会を出世のきっかけにしたいところ。

強敵の第一はソモン・マフマドベコフ(タジキスタン)。覚えておられるだろうか、東京世界選手権で大活躍したタジキスタンコンビの一。2回戦で今季の欧州王者トミー・マシアス(スウェーデン)を払腰「一本」、敗者復活戦ではジログルを「指導3」の反則で倒して、3位決定戦では敗れたもののヒダヤット・ヘイダロフ(アゼルバイジャン)と総試合時間12分に迫る大激戦を演じて5位入賞した、あの選手である。体が強く、具体的にポイントを狙える投げがしっかりあり、組み手が巧くて後の先も利くという現代IJF柔道の標準点を満たした好選手。今大会は優勝候補の筆頭と考えていいだろう。

欧州ジュニア選手権を全試合一本勝ちで制したヴィクトル・ステルプ(モルドバ)がこれに続く。細かい技術はまだまだも体の力が強く、長い手足をいっぱいに使った小外掛や裏投に威力がある。同大会では「腰絞め」の一本勝ちに「技有」ビハインドからの袈裟固「一本」もマークしており寝技にも強化の目が向いている模様。ワールドツアーでは出場常連、昨年11月のグランプリ・ハーグでは3位に入賞している。東京世界選手権ではマフマドベコフに小内刈「一本」で敗れており、今大会で雪辱を期す。

■ 男子81kg級
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最注目はジョージアの1番手候補タト・グリガラシヴィリ

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その直下に竹市大祐が配された

(エントリー47名)
日本代表選手:竹市大祐(大牟田高3年)

なんといっても注目はタト・グリガラシヴィリ(ジョージア)。今年に入って既にワールドツアーの表彰台4度、7月はグランプリ・ブダペストで優勝を果たし、続くグランプリ・ザグレブではサイード・モラエイ(イラン)に敗れたものの他試合は圧勝続きで3位を獲得している。出世時期が遅かったゆえ東京世界選手権代表には間に合わなかったが、同大会で銅メダルを獲得したルカ・マイスラゼではなく東京五輪の代表の本命はこちらでは、という声もあるくらいの大物だ。この世界ジュニアは2017年に73kg級で出場して3位、昨年はまさにそのマイスラゼに敗れて7位の屈辱を舐めている。マイスラゼを追い、五輪を狙うためには優勝以外にないという大会。

日本からは今年の高校カテゴリでMVP級の活躍、全日本ジュニアもまさに圧勝で代表の座を手にした竹市大祐が出場。そしてなんと、第2シード配置のグリガラシヴィリの直下に配されることとなった。1回戦でラトビア選手に勝てば早くも激突、竹市にとってはここが最大の山場となること間違いなし。竹市は国内の圧勝のさなか、「まだ力に頼って投げているところがある。このままでは上のカテゴリでは厳しいはずなので、技術を磨きたい。」との旨のコメントを幾度か発しているが、グリガラシヴィリを「技」で投げることが出来ればもはやその競技力はシニアの国際級。絶対に見逃せない一番だ。

欧州ジュニアはグリガラシヴィリが圧勝であったが、決勝で戦った同僚ウラジミール・アハルカツィも準決勝まで全試合一本勝ち、圧倒的な強さを見せていた。こちらも目が離せない。

また、ロシア代表監督のエツィオ・ガンバ氏の息子であるジャコモ・ガンバ(イタリア)が出場。欧州ジュニアでは腰を痛めたとの情報で棄権、7位に終わっているがこれもひとつ注目しておきたい。

■ 男子90kg級
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連覇を狙うラシャ・ベカウリ。写真は昨年度大会優勝時。

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ベカウリへのリベンジを誓った増山香補。今季はここまで無敵の強さ。

(エントリー39名)
日本代表選手:増山香補(明治大3年)

昨年度大会では準々決勝で増山香補、決勝で村尾三四郎を破って優勝したラシャ・ベカウリ(ジョージア)が第1シード配置。2連覇を狙う。

ベカウリはその後シニアのワールドツアー2大会に出場。5月のグランドスラム・バクーでは2回戦でネマニャ・マイドフ(セルビア)、8月のグランプリ・タシケントでは3位決定戦でベイカー茉秋と世界王者2人に敗れていずれも表彰台には手が届かなかったが、ベイカー戦では小外掛「技有」で先制するなど成績以上の存在感を見せている。戦術面での粗さはあるが、実力は間違いなく「ツアーで普通にメダルを獲れる」クラスの選手。

対抗馬は昨年3位の増山。増山は今季大躍進、得意の「立ち背負い」で投げに投げまくり、4月のアジアパシフィック選手権を皮切りに、9月の全日本ジュニアに10月の全日本学生体重別と無人の野を行く圧勝続き。昨年制した全日本ジュニアの出場については「世界ジュニアでベカウリにリベンジするため」と明言しており、今大会に掛ける気合いは相当なもの。ちなみに今大会には2月のオーストリアジュニア決勝で敗れたミヘイリ・ベカウリ(ジョージア、兄弟ではない)も同時出場しており、増山はこのコメントの際に「2人のベカウリ」とこれについても言及。まとめて借りを返すチャンスでもある。もう1つ言うと、増山は昨年この大会で左手を負傷、講道館杯に出場出来ずシニアでの出世のチャンスを逃している。まさに因縁の大会なのだ。気合いの入らぬはずがない。

講道館杯でも優勝候補に挙げられるはずの増山が敢えて選んだジュニアの大会、その戦いぶりに注目である。組み合わせで言えば準決勝でラシャ、決勝でミヘイリの両ベカウリと対戦可能。懸念は、4週間で3戦(全日本学生体重別、国民体育大会、世界ジュニア)という過密日程。

■ 男子100kg級
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本命なき階級、神垣和他には大チャンス。

(エントリー29名)

日本代表選手:神垣和他(明治大2年)

ざっと見る限りでは男子7階級のエアポケット。昨年5位のマティアス・マドセン(デンマーク)が第1シード、昨年7位のルーカス・リマ(ブラジル)が第2シードに入っているが、マドセンは欧州ジュニアでは7位に終わっており昨年の戦歴はちょっと参考にならない。率直に言ってインパクトに欠けるトーナメントだ。欧州ジュニアを制した18歳イリア・スラマニゼ(ジョージア)を軸としてひとまず推しておくが、様相の読みがたい階級である。

世界ジュニアの100kg級と言えば2014年大会と2015年大会でニヤズ・イリアソフ(2位、優勝)、2017年にアルマン・アダミアン(2位)と有望選手を次々輩出したロシアのイメージが強いのだが、今年はそもそも欧州ジュニアに選手を送っておらず、今大会の代表は2018年欧州カデ王者の17歳マトヴェイ・カニコフスキー。貴重な枠を育成に使うくらいなのだから、世代の狭間に嵌っているのだろう。

日本代表の神垣和他にとっては優勝の大チャンス。試合の見えるクレバーな選手だけに、競り合いとなるであろう今大会の様相がうまく嵌る可能性は十分である。

■ 男子100kg超級
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ゲラ・ザアリシヴィリ。写真はグランプリザグレブ決勝、原沢久喜から帯取返「一本」

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東京世界選手権3位のキム・ミンジョンがエントリー。

(エントリー29名)
日本代表選手:松村颯祐(東海大2年)

ゲラ・ザアリシヴィリ(ジョージア)とキム・ミンジョン(韓国)の2大スター激突、という明確な軸のある階級。

ザアリシヴィリは昨年度の覇者。この際は日本代表の斉藤立と2度(個人戦と男女混合団体戦)対戦し、いずれも小外掛「一本」で勝利を収めている。今年はシニアのワールドツアー派遣メンバーに加わり、5月にグランドスラム・バクーで優勝、7月はグランプリ・ブダペストで3位、さらに続くグランプリ・ザグレブではなんと決勝で原沢久喜から帯取返「一本」を奪って優勝、と快進撃を続けている。同国に2018年度世界王者グラム・ツシシヴィリの存在なくば、既に世界大会でメダルを獲得していてもおかしくない実力の持ち主だ。相手を丸呑みするような抱きつき技が得手であるが、このところ袖釣込腰でのポイント獲得も増えており技の幅が広がった。明らかに一段強くなった印象。

一方のキムは19歳、いわずと知れた東京世界選手権の銅メダリスト。こちらは対大型戦における担ぎ技がアイデンティティ、同大会ではオール・サッソンに一本背負投「技有」、ダヴィド・モウラ(ブラジル)に袖釣込腰「一本」、ラファエル・シウバから大内刈「一本」と大物食いを連発して表彰台まで辿り着いた。両者の激突は「東京の後」の最重量級世界を占う、単にこの大会の勝敗を超えた非常に楽しみなカード。実現あるとすれば決勝である。

これに待ったを掛けんとするのが日本代表の松村颯祐。配置はなんとザアリシヴィリの直下、2回戦でこの優勝候補に挑むこととなる。ザアリシヴィリにキム・ミンジョンを倒せば評価は単に「ジュニアカテゴリの勝利」に留まらない。シニアでの躍進に向けて、絶好の機会を得たとも捉えられる。健闘に期待したい。

ほか、天理大所属のツェツェンツェンゲル・オドフー(モンゴル)、格闘家ヴォルク・ハン氏の息子である昨年3位のジャマル・ガムザトハノフ(ロシア)に注目。

■ 女子48kg級
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グランプリ・モントリオール優勝の古賀若菜。

(エントリー31名)
日本代表選手:渡邉愛子(東海大1年)、古賀若菜(南筑高3年)

既にグランプリ・モントリオールで優勝を飾っている日本代表の古賀若菜が、実績では圧倒的。ひいき目でなく、古賀がどのような勝ちぶりを見せるかどうかに世界の注目が集まる大会である。ただし古賀、狙われる立場になったときにこれを突破する全方位性という観点からはまだ引き出しに欠け、全日本ジュニア決勝では投げの強さを前面に押し出した渡邉愛子に苦杯を喫している。再び古賀を倒して世代の第一線に躍り出ようという渡邊、力を見せつけたい古賀の日本人2人による優勝争いと観測しておきたい。

第1シードのガリヤ・チュンバエワ(カザフスタン)はアジアパシフィックジュニアで優勝出来ておらず(2位)、実力的に日本勢と伍すと見るのは無理がある。第2シードのラウラ・フェレイラは19歳ながらパンナムジュニア選手権を3連覇中だが世界大会では2017年の5位が最高位、かつシニアでの実績がまったくなく実力は値踏み出来ず。

■ 女子52kg級
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今季躍進のルハグヴァスレン・ソソルバラム。

(エントリー34名)
日本代表選手:川田歩実(修徳高2年)

まずルハグヴァスレン・ソソルバラム(モンゴル)を優勝候補として推すべきかと思われる。まだ18歳だが今年2月のグランドスラム・デュッセルドルフで日本の前田千島を倒して2位と躍進、アジアパシフィック選手権でも立川莉奈を破って準優勝し、世界選手権でも代表を務めた。圧を掛けながら足技を飛ばし、後の先の技や寝技で取り切るという「対強豪」仕様の柔道が追いかけられる立場でどう変わるのかに注目したい。

ブラジルからはラリッサ・ピメンタが送り込まれた。今年は3月のグランプリ・トビリシ、4月のグランプリ・アンタルヤ、5月のグランドスラム・バクーと3大会で銅メダルを獲得。先週地元で行われたグランドスラム・ブラジリアではエヴェリン・チョップ(スイス)とアストリーデ・ネト(フランス)を倒して見事決勝まで勝ち残っている。東京世界選手権では2戦目で阿部詩と当たってしまったために目立たなかったが、引退したエリカ・ミランダの後釜に座りつつあるブラジル期待の若手である。

シニアで活躍する選手としては、グランプリ・アンタルヤで3位入賞のグルタイ・ママダリエワ(アゼルバイジャン)がいる。欧州ジュニア選手権は5位も、既に欧州選手権や世界選手権でシニアの代表を務めた経験値はアドバンテージ。最近ジュニアの育成が復活しつつあるフランスからは18歳ながらファイザ・モクダが欧州を2連覇しているが今大会は出場せず、国際大会では実績を残せていないレオニー・ゴンザレスが送り込まれた。

日本からはインターハイと全日本ジュニアを制した川田歩実がエントリー。担ぎ技と小内刈の連続攻撃という極めて「東アジアの軽量級」らしいこのスタイルが世界で通用するか、非常に楽しみ。

■ 女子57kg級
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欧州ジュニアを制したエテリ・リパルテリアニ

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キム・チスにも優勝のチャンスは十分。

(エントリー42名)
日本代表選手:袴田佳名瑚(藤枝順心高3年)

欧州ジュニアを制したエテリ・リパルテリアニ(ジョージア、ヴァーラム・リパルテリアニの親族との情報)が第1シード。7月のグランプリ・ザグレブで初のワールドツアー表彰台(3位)を得たばかりでもっか上り調子、男女混合団体戦の貴重な戦力として同国の期待を集める注目株である。

この選手と山梨学院大所属のキム・チス(韓国)の2人が優勝争いの軸と見ておいて良いだろう。また、カヤ・カチェラ(スロベニア)はまだ19歳ながらここ3年間でワールドツアーの入賞(7位以上)が9回、表彰台が4回、今年はグランプリ・アンタルヤで準優勝している強豪。シニアは魅力的な強豪が多すぎるゆえいま一つ目立っていない印象だが、このカテゴリの中では地力で一段上と考えられる。

日本からは袴田佳名瑚がエントリー。キムと戦う準々決勝が山場になるはず。

■ 女子63kg級
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浦明澄がV候補筆頭

(エントリー43名)
日本代表選手:浦明澄(日本体育大1年)

この階級のシニアカテゴリはトップ以外の地盤沈下が激しく、かつ今大会にはシニアで活躍する選手のエントリーはなし。

昨年度大会の入賞者から、3位の浦明澄とアニャ・オブラドヴィッチ(セルビア)が残ったが、日本のジュニアと他地域のレベル差、またオブラドビッチが欧州ジュニアでは優勝したソフィー・オズバス(ハンガリー)に僅か13秒の大外巻込「一本」で一蹴されている結果とその内容に鑑みて、浦が優勝候補の筆頭と考えて良いのではないだろうか。

オズバスはまだ17歳で戦場はカデ(2017年世界カデ選手権3位、同年欧州カデ選手権優勝、2018年欧州カデ選手権3位)かジュニア。この欧州ジュニア優勝が出世の第一段階というクラスの選手ではあるが、同大会では全試合一本勝ち。これまで唯一参加したワールドツアー大会である今年のグランプリ・ブダペストではバルドルジ・ムングンチメグ(モンゴル)を払巻込「技有」で食って5位に入賞した実績がある。

この2人は昨年の世界ジュニア3位決定戦で対戦があり、その際は浦が一本背負投「技有」で勝利している。優勝候補筆頭は浦、後を追うのがオズバスとオブラドビッチと見立てて試合を見守りたい。

■ 女子70kg級
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世界カデを圧勝で制したアイ・ツノダ=ローザント。

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朝飛真実が初優勝を狙う。

(エントリー29名)
日本代表選手:朝飛真実(桐蔭学園高3年)

まだ高校3年生ではあるが、国内での勝ちぶりの良さから朝飛真実を優勝候補に推しておきたい。ただし、内股が掛かるかどうかで試合の進め方ががらりと変わる傾向も見え、パワーファイターが揃うであろうこのクラスでどれだけ戦えるのか、まことに興味深い。

欧州を制したのはケリー・ピーターセン=ポラード(イギリス)で、この選手が今大会の第1シード。寝技で躍進するシニア世代とメソッドを共有しているのか、決勝では見事な送襟絞(「腰絞」)「一本」で優勝を決めていた。ただし男女混合団体戦ではイタリアの2番手選手に長時間試合の末に抑え込まれて敗れており、その強さは絶対的なものではない。むしろ同大会で準優勝したアイ・ツノダ=ローザント(スペイン)のほうに注意を払いたい。9月の世界カデ選手権決勝で、朝飛のライバルである桑形萌花(夙川高2年)を豪快な大腰「一本」に屠り、全試合一本勝ちで王座を攫ったあの選手である。柔道は伸びやか、かつ節々で見せる動きが非常に理に叶っており、伸びしろ十分と評さざるを得ない。世界カデと世界ジュニアを同じ年に取りに来るというこの「野望」を朝飛が止めることが出来るのか。間違いなく同世代ナンバーワンのライバル候補、この後世界で戦うのであればここでしっかり勝利しておきたい。

朝飛は順当であれば準々決勝でピーターセン=ポラード、決勝でツノダという対戦順。

■ 女子78kg級
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東京世界選手権5位入賞のパトリシア・サンパイオ

(エントリー23名)
日本代表選手:黒田亜紀(富士学苑高3年)、和田梨乃子(三井住友海上)

シニアカテゴリの実績では東京世界選手権5位のパトリシア・サンパイオ(ポルトガル)が圧倒的。この大会は2年連続3位に終わっており、今大会で悲願の優勝を目指す。欧州ジュニアも順当に制し、今大会は第1シードへのピックアップを受けた。

これに昨年度の王者でサンパイオにも払巻込と崩上四方固の合技「一本」で完勝している和田梨乃子、その和田を全日本ジュニア決勝で内股「一本」に屠り去った黒田亜紀を加えた3名が優勝争いの本命と見ておいて良いのではないだろうか。

2連覇を狙う和田、全日本ジュニア決勝では黒田に組み手の一手目を封じられるといきなり手が詰まり、序盤戦と後半ではまったく別人。高校生相手に組み手の引き出しと戦術眼で負けるという屈辱を味わった。すべての選手にターゲットにされるはずの今大会を勝ち抜くことで評価を取り戻したい、絶対に負けられない大会。

■ 女子78kg超級
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優勝候補はキム・ハユン。

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高橋瑠璃が勝てば日本勢は大会7連覇。

(エントリー21名)
日本代表選手:髙橋瑠璃(山梨学院大1年)

形上第1シードは昨年度大会7位のルイザ・クルス(ブラジル)、第2シードが欧州ジュニアを制したレア・フォンティーヌ(フランス)だが、優勝候補の筆頭はキム・ハユン(韓国)ではないかと観察する。今年2月のグランドスラム・デュッセルドルフで3位、9月のグランプリ・タシケントで2位入賞、デュッセルドルフではアナマリ・ヴェレンセク(スロベニア)から大内刈「一本」、ラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)からも大内刈「技有」で勝利する驚きの戦果を挙げている。

日本からは高橋瑠璃が出場。配置はクルスの直下だがこの階級の地政学的レベル差を考えると、決勝進出まではまず問題なさそう。この大会は2010年アガディール大会以降井上愛美(2連覇)、朝比奈沙羅、冨田若春、素根輝、児玉ひかると日本勢が6連覇中。高橋もしっかり優勝を勝ち取りたい。

※ eJudoメルマガ版10月16日掲載記事より転載・編集しています。

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