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【eJudo's EYE】永瀬貴規の強さは出色、あらためて強さ示したアルベール・グランドスラムブラジリア第2日評

(2019年10月8日)

※ eJudoメルマガ版10月8日掲載記事より転載・編集しています。
【eJudo's EYE】永瀬貴規の強さは出色、あらためて強さ示したアルベール・グランドスラムブラジリア第2日評
文責:古田英毅


従来、ニュースあるいはレポートに組み込んでいた「評」であるが、もっとコラムを読みたい、独立して読みたいという声が多く届く。これにお応えして、以後なるべく「評」の部分は短くとも「eJudo’s EYE」の形に独立させてお届けしたいと思う。まずは、グランドスラム・ブラジリア第2日(男子73kg級、81kg級、女子63kg級、70kg級)の評。結果と日本人選手勝ち上がりについては同時配信のニュースを参照頂きたい。

■ 永瀬貴規の強さは出色
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1回戦、永瀬がアーサー・ライトから内股「技有」

永瀬貴規の強さは出色だった。5戦して4つの一本勝ち(決勝は「指導3」)という結果はもちろんだが、その進退自体に「格の違い」がにじみ出る。決勝の様相にこれは端的で、パワー自慢のアルバイラクが永瀬相手にはまともに組んでいられず、ずれて、切って、肩越しに掴んでと手立てを繰り出すも永瀬のリーチの長さと組み手の巧さ、そして何より体の強さの前にどんどん状況を失っていく。組んでいるだけで海外のパワーファイターが勝手に詰んでいく、という日本選手は極めて珍しい。現役選手では大野将平くらいではないだろうか。モントリオールほどの爆発的な出来ではなかったが、決して絶好調ではないことがかえって凄みを増幅していた。3回戦のサントスユウジ戦で決めた腕挫十字固「一本」は“寝→寝”の展開で決めたもので寝技技術にも進歩あり。
永瀬はこれでワールドツアー3連勝、優勝した4月の選抜体重別から無敗、結果からも内容からも完全復活と言ってしまって良いだろう。代表争いにおいては形上世界選手権代表の藤原崇太郎にアドバンテージがあるが、藤原が同大会で初戦敗退に終わっていることと、この間の永瀬の躍進を考えれば実質的な立ち位置は同等に近く、潜在的にはもはや永瀬優位とすら言えるかもしれない。

橋本、モグシコフ戦は幾度も勝ち切るチャンスがあり、かつ2つ目の「指導」(相手の袖を折り込んで前に出て場外まで弾き出したところ、押し出しと裁定された)は不運であったが、少なくとも3つ目の偽装攻撃による「指導」失陥は文句が言えないところ。モグシコフは、世界選手権に同時出場したデニス・イアルツェフと激しい代表争いの渦中にあり、イアルツェフが同大会で銅メダルを獲得している現状からこの大会はどうしても負けるわけにはいかなかった。橋本も状況は相似であるが、大きく見れば、世界選手権以降代表争いにターボが掛かっているロシア勢の覚悟と勢い(9月のGPタシケントでもこれは顕著であった)に呑み込まれてしまった大会と言える。勝ち続けることでしか王者・大野将平との代表争いの土俵に乗れない橋本としては、痛すぎる一敗。

■ 世界選手権の悔しさぶつけ、あらためて強さ示したアルベール
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アルベール、今大会は強豪たちをなで斬り。写真は2回戦、マリア・ベルナベウから大内刈「一本」。

70kg級のアルベールはニュース記事で書かせて頂いた通り素晴らしい出来だった。世界選手権では予選ラウンド敗退(3回戦でアンナ・ベルンホルムに腕挫十字固で一本負け)に終わっているが、あらためて金メダルを争う力があると世界に示した大会になったのではないだろうか。腕を抱いた状態、得意の巻き込みを晒しながらの駆け引きはさすがの一言。今回はここから従来の反時計回り回転(前技)でなく、後ろ方向へのフィニッシュ(大外巻込)が目立った。

63kg級はブラジル勢同士の決勝。ランキング31位で32歳のクアドロスが、まだワールドツアーの表彰台のないアレクシア・カスティルホスを破って優勝を決めた。プレビュー記事で書かせて頂いた通り、トップ数名と他選手のレベルの差が激しく全体的な地盤沈下が止まらないこの階級の様相を端的に示したものと捉えられる。

ブラジルはここまでメダル14個(金3、銀6、銅4)と他を大きく引き離す戦果。4名出場枠で投入された2番手以下の選手の奮闘と、遠来の欧州、アジア勢の苦戦という大会の様相がハッキリ出始めた第2日目となった。

※ eJudoメルマガ版10月8日掲載記事より転載・編集しています。

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